図で説く整形外科疾患[ハイブリッドCD-ROM付]
外来診療のヒント
整形外科で扱う疾患が全部わかる1冊
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「痛み」「しびれ」「腫れ」「違和感」など多彩な運動器症状に悩む患者から説明を求められた際、明解に対応できる説明用資料集。病気の原因、経過を詳細に表した豊富なカラー図を用いて効率よく説明ができる。よりよい治療を目指すために必携の書。診察室で役立つCD-ROM付き。
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- 目次
- 書評
- 正誤表
目次
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1 肩こり,頚の痛み,腕の痛み,肩甲間部痛
2 腰痛,下肢のしびれ・痛み,坐骨神経痛
3 頚部・脊柱の変形と運動制限
4 背部痛,胸壁痛
5 脊髄麻痺
6 手指のしびれと麻痺
7 肩の痛み
8 肘の痛みと変形
9 手関節部の痛みと変形
10 手指の痛みと変形
11 股関節の痛みと歩行障害
12 膝関節部の痛みと歩行障害
13 下腿の痛み
14 足関節部,踵部の疼痛と歩行障害
15 足・足ゆび(趾)の疼痛
索引
CD-ROM操作ガイド
2 腰痛,下肢のしびれ・痛み,坐骨神経痛
3 頚部・脊柱の変形と運動制限
4 背部痛,胸壁痛
5 脊髄麻痺
6 手指のしびれと麻痺
7 肩の痛み
8 肘の痛みと変形
9 手関節部の痛みと変形
10 手指の痛みと変形
11 股関節の痛みと歩行障害
12 膝関節部の痛みと歩行障害
13 下腿の痛み
14 足関節部,踵部の疼痛と歩行障害
15 足・足ゆび(趾)の疼痛
索引
CD-ROM操作ガイド
書評
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患者への説明にも使える三つ星の本
書評者: 山内 裕雄 (順天堂大学名誉教授)
近年インフォームドコンセントの重要性が叫ばれている。そんな外来語を持ち出さなくても,むかしから患者さんへの説明は医療の一部であったし,よい説明は百薬にも勝るものである。しかし実際には時間をかけて説明してもなかなかわかってもらえず,一方通行になっていることが少なくない。患者さんが理解しやすい説明法にわれわれはもっと習熟すべきであろう。
そのよい手段として図示がある。いろいろな学会から主要疾患の説明パンフレットが出ているし,私も以前ある製薬会社の依頼を受けてPatient Education Guideなる図譜・CD-ROMの作製に協力したことがある。
本書はまさにそれをめざして書き下ろされたものである。寺山氏は定年後も臨床と教育に情熱を燃やされており,共著者の堀尾氏は九州厚生年金病院放射線室技師長をされていた方で,自筆の挿絵を多数鏤めた『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた』(医学書院)というすばらしい本を出されている。今回の企画には寺山氏の要望で最初から参加,すばらしい図を書き下ろされた。まさしく日本版Dr. Netterであろう。本書にはウィンドウズ・マック両用のCD―ROMがついており,診察室でモニター表示をしたり,その場でプリントアウトして患者さんに手渡せるようにも配慮されている。
本書の根底には寺山氏が永年育まれてきた,そしていつしか整形外科のトップセラー教科書となった『標準整形外科学』(医学書院)がある。その別冊付録「主訴,主症状から想定すべき疾患一覧表」は氏ご自慢の作で,本書でも踏襲され骨格となっている。いわばその基本メニューに沿って寺山シェフが腕をふるい,堀尾コ・シェフが彩りを添えたといってもいいだろう。コース値段は税込み7140円といささかお高い。私はゆっくり味わせていただいた。
まず三つ星は彩り,すなわち挿絵に差し上げよう。単なるイラストレータではなく内容をよくわきまえた画筆さばき,まことにお見事。ついで本文。さすがに永年臨床・教育に携わってこられた老練名誉教授である。ずばりポイントをついている。なかには「そこまで言っていいの」という記載もあるが,それこそ本書の特色でもあろう。特にご専門である股関節疾患の章には間然たるところなし,対象は整形外科臨床医であるが,ときに患者さんにも読んでもらいたいという気持ちから「脊椎の前方の円板状の骨を椎体という」といったあらずもがなの説明もあるが,わかってほしいという意欲のほとばしりか。手根管が3カ所に反復して出てきたり,初版にありがちな瑕疵も少々あるが,本書の価値を決して損なうものではない。
この上等なコースにどんなワインを合わせるかは皆さまのお愉しみ。整形外科街にもしゃれたお店ができたものである。
図で示すわかりやすい骨・関節疾患の手引き書
書評者: 片山 仁 (順天堂大学名誉教授)
ハンディな骨関節疾患の解説書である。図の説明がよく書けている本書は大変わかりやすく,一般の人が読んでも整形外科的な疾患を十分理解できる解説書であると思う。頁を開くとまず目にとびこんでくるのが見事な図解である。そして簡潔に重要なポイントを解説してある。日頃よく遭遇する疾患を中心に,難しい,専門的な疾患は思い切って割愛してあるのがいい。
患者さんにわかりやすく説明するのはEBMの観点からも留意すべき点であるが,“云うのはやさし,行うのは難し”というのが現実である。そういう場合に本書はきわめて有用である。先日,自動車の修理工場で,わが愛車の問題の箇所をいろいろ専門用語で指摘されたが,よく理解できず,ただうなずくばかり。知人に通訳を頼んでしまったことがある。それはわれわれ医師も患者さんに説明するのに同じような調子でやっているのではないかと自省させられた機会でもあった。本書は堀尾氏のすばらしい挿し絵と相まって,疾患の病態をちょうどよい詳しさで説明してある。病態の理解は現症や治療,予後の説明に欠かせないものであり,患者さんに説明する立場のスタッフにとって有り難い内容である。本書を通読すれば,日常頻度の高い骨関節疾患の全体像が把握できるし,疾患の1つひとつをゆっくり読めば,医師が患者さんの診療にあたって,説明のよすがにするに十分な解説がしてある。医学書院から出版されている『標準整形外科学』と併用すればさらに内容が深まるように考慮されており,医師,コ・メディカルのスタッフなどのための参考書として役立つものと考える。ぜひ,座右におかれることをお薦めする。
著者の一人堀尾重治氏は50年にもなろうとする知己であるが,著書『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた』(医学書院)の名著の版を重ねられている逸材である。信州大学名誉教授の寺山和雄先生は整形外科医としてだけでなく,医師として立派な哲学をお持ちの先生で,患者さんのための医療を,患者さんと同じ目線で実践されている医師である。この2人の逸材が協力して,本書をまとめられたことは,医療の質を上げ,患者さんと同じ目線での診療が求められている現在,まことにタイムリーで当を得た内容であると思う。本書にはCD-ROMが添付されているが,パソコンにあまり馴れていない人にも大変使いやすいように気配りがしてあり,まったく問題ない。ハンディな好著である。
外来での頻度を考慮した類を見ない整形外科書
書評者: 片田 重彦 (医療法人かただ整形外科・理事長)
外来で患者に図を描いて病気の説明をする機会は多いが,残念なことにわれわれはさほど絵の素養がないため,思っていることの半分も伝えることができていないようである。
こうしたわれわれが長年の間,忸怩たる思いを抱いてきた難問を解決するひとつの手段として『図で説く整形外科疾患―外来診療のヒント』が生まれた。
本書では,堀尾重治先生の描いた精妙で美しいたくさんの図がとりわけ印象的である。堀尾先生の描かれた図がどれほどすばらしいかはこの本をぱらぱらとめくっていただくだけですぐにわかる。私もしばし堀尾先生の絵にみとれてしまった。
外来で診察する患者の大部分は手術をすぐに要するような重大な疾患ではない。従来の整形外科書のほとんどが手術を要するような疾患を中心に構成されていたが,本書では外来で頻繁に出会う病気から順に構成されている。そのはじめのページは“肩こり”である。このように“肩こり”から始まる整形外科書は他に例を見ない。“いわゆる腰痛”,“いわゆる五十肩”,“テニス肘”などの日常的疾患,骨折,脱臼などの外傷,神経麻痺,退行性疾患,先天性疾患および比較的稀な難病にいたるまでほとんどすべての整形外科疾患が頁単位に美しい図になっている。これに寺山名誉教授の適切な解説があって,絵にひきこまれながら解説を読むという疾患の理解には最良の方法が講じられている。
本書の構成にひと際光彩を放っているのは疾患一覧表である。各章ごとに目次がわりに疾患が表になっていて,好発年齢や疾患の特徴が解説されている。この疾患一覧表を眺めるだけで整形外科疾患が俯瞰できる。これほど読者に親切な整形外科書は珍しい。
もっとも現在は整形外科の疼痛性疾患の大部分はAKA―博田法で即時治療できるので,そのような場合の病態説明はあまり必要ではないかもしれない。しかし外傷,神経麻痺,腫瘍,感染性病変,小児疾患など詳しい説明を要する疾患には本書は大きな役割を果たすことができよう。
さらに本書には寺山名誉教授の“ほっと一息”という欄外コメントがある。例えば関節痛の患者は動き出す前にいきなり動作を始めるのでなくアイドリングをするように2―3回自動運動をしてから動くとよいなど,ユーモアに満ちた,また長い経験からえた患者指導のヒントが数多く載せられていて,読んでいても楽しいのである。
整形外科専門医だけでなく,研修医,看護師,リハビリテーションのスタッフ,そして日常的に整形外科の患者を診察せざるをえない内科,外科医の先生方にもぜひ診察机に常備していただきたい1冊である。なお本書には内容をそのまま電子化したCD―ROMが付属しているので診察机にパソコンとカラープリンターがあれば該当頁をその場でプリントし患者に手渡すことができる。
書評者: 山内 裕雄 (順天堂大学名誉教授)
近年インフォームドコンセントの重要性が叫ばれている。そんな外来語を持ち出さなくても,むかしから患者さんへの説明は医療の一部であったし,よい説明は百薬にも勝るものである。しかし実際には時間をかけて説明してもなかなかわかってもらえず,一方通行になっていることが少なくない。患者さんが理解しやすい説明法にわれわれはもっと習熟すべきであろう。
そのよい手段として図示がある。いろいろな学会から主要疾患の説明パンフレットが出ているし,私も以前ある製薬会社の依頼を受けてPatient Education Guideなる図譜・CD-ROMの作製に協力したことがある。
本書はまさにそれをめざして書き下ろされたものである。寺山氏は定年後も臨床と教育に情熱を燃やされており,共著者の堀尾氏は九州厚生年金病院放射線室技師長をされていた方で,自筆の挿絵を多数鏤めた『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた』(医学書院)というすばらしい本を出されている。今回の企画には寺山氏の要望で最初から参加,すばらしい図を書き下ろされた。まさしく日本版Dr. Netterであろう。本書にはウィンドウズ・マック両用のCD―ROMがついており,診察室でモニター表示をしたり,その場でプリントアウトして患者さんに手渡せるようにも配慮されている。
本書の根底には寺山氏が永年育まれてきた,そしていつしか整形外科のトップセラー教科書となった『標準整形外科学』(医学書院)がある。その別冊付録「主訴,主症状から想定すべき疾患一覧表」は氏ご自慢の作で,本書でも踏襲され骨格となっている。いわばその基本メニューに沿って寺山シェフが腕をふるい,堀尾コ・シェフが彩りを添えたといってもいいだろう。コース値段は税込み7140円といささかお高い。私はゆっくり味わせていただいた。
まず三つ星は彩り,すなわち挿絵に差し上げよう。単なるイラストレータではなく内容をよくわきまえた画筆さばき,まことにお見事。ついで本文。さすがに永年臨床・教育に携わってこられた老練名誉教授である。ずばりポイントをついている。なかには「そこまで言っていいの」という記載もあるが,それこそ本書の特色でもあろう。特にご専門である股関節疾患の章には間然たるところなし,対象は整形外科臨床医であるが,ときに患者さんにも読んでもらいたいという気持ちから「脊椎の前方の円板状の骨を椎体という」といったあらずもがなの説明もあるが,わかってほしいという意欲のほとばしりか。手根管が3カ所に反復して出てきたり,初版にありがちな瑕疵も少々あるが,本書の価値を決して損なうものではない。
この上等なコースにどんなワインを合わせるかは皆さまのお愉しみ。整形外科街にもしゃれたお店ができたものである。
図で示すわかりやすい骨・関節疾患の手引き書
書評者: 片山 仁 (順天堂大学名誉教授)
ハンディな骨関節疾患の解説書である。図の説明がよく書けている本書は大変わかりやすく,一般の人が読んでも整形外科的な疾患を十分理解できる解説書であると思う。頁を開くとまず目にとびこんでくるのが見事な図解である。そして簡潔に重要なポイントを解説してある。日頃よく遭遇する疾患を中心に,難しい,専門的な疾患は思い切って割愛してあるのがいい。
患者さんにわかりやすく説明するのはEBMの観点からも留意すべき点であるが,“云うのはやさし,行うのは難し”というのが現実である。そういう場合に本書はきわめて有用である。先日,自動車の修理工場で,わが愛車の問題の箇所をいろいろ専門用語で指摘されたが,よく理解できず,ただうなずくばかり。知人に通訳を頼んでしまったことがある。それはわれわれ医師も患者さんに説明するのに同じような調子でやっているのではないかと自省させられた機会でもあった。本書は堀尾氏のすばらしい挿し絵と相まって,疾患の病態をちょうどよい詳しさで説明してある。病態の理解は現症や治療,予後の説明に欠かせないものであり,患者さんに説明する立場のスタッフにとって有り難い内容である。本書を通読すれば,日常頻度の高い骨関節疾患の全体像が把握できるし,疾患の1つひとつをゆっくり読めば,医師が患者さんの診療にあたって,説明のよすがにするに十分な解説がしてある。医学書院から出版されている『標準整形外科学』と併用すればさらに内容が深まるように考慮されており,医師,コ・メディカルのスタッフなどのための参考書として役立つものと考える。ぜひ,座右におかれることをお薦めする。
著者の一人堀尾重治氏は50年にもなろうとする知己であるが,著書『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた』(医学書院)の名著の版を重ねられている逸材である。信州大学名誉教授の寺山和雄先生は整形外科医としてだけでなく,医師として立派な哲学をお持ちの先生で,患者さんのための医療を,患者さんと同じ目線で実践されている医師である。この2人の逸材が協力して,本書をまとめられたことは,医療の質を上げ,患者さんと同じ目線での診療が求められている現在,まことにタイムリーで当を得た内容であると思う。本書にはCD-ROMが添付されているが,パソコンにあまり馴れていない人にも大変使いやすいように気配りがしてあり,まったく問題ない。ハンディな好著である。
外来での頻度を考慮した類を見ない整形外科書
書評者: 片田 重彦 (医療法人かただ整形外科・理事長)
外来で患者に図を描いて病気の説明をする機会は多いが,残念なことにわれわれはさほど絵の素養がないため,思っていることの半分も伝えることができていないようである。
こうしたわれわれが長年の間,忸怩たる思いを抱いてきた難問を解決するひとつの手段として『図で説く整形外科疾患―外来診療のヒント』が生まれた。
本書では,堀尾重治先生の描いた精妙で美しいたくさんの図がとりわけ印象的である。堀尾先生の描かれた図がどれほどすばらしいかはこの本をぱらぱらとめくっていただくだけですぐにわかる。私もしばし堀尾先生の絵にみとれてしまった。
外来で診察する患者の大部分は手術をすぐに要するような重大な疾患ではない。従来の整形外科書のほとんどが手術を要するような疾患を中心に構成されていたが,本書では外来で頻繁に出会う病気から順に構成されている。そのはじめのページは“肩こり”である。このように“肩こり”から始まる整形外科書は他に例を見ない。“いわゆる腰痛”,“いわゆる五十肩”,“テニス肘”などの日常的疾患,骨折,脱臼などの外傷,神経麻痺,退行性疾患,先天性疾患および比較的稀な難病にいたるまでほとんどすべての整形外科疾患が頁単位に美しい図になっている。これに寺山名誉教授の適切な解説があって,絵にひきこまれながら解説を読むという疾患の理解には最良の方法が講じられている。
本書の構成にひと際光彩を放っているのは疾患一覧表である。各章ごとに目次がわりに疾患が表になっていて,好発年齢や疾患の特徴が解説されている。この疾患一覧表を眺めるだけで整形外科疾患が俯瞰できる。これほど読者に親切な整形外科書は珍しい。
もっとも現在は整形外科の疼痛性疾患の大部分はAKA―博田法で即時治療できるので,そのような場合の病態説明はあまり必要ではないかもしれない。しかし外傷,神経麻痺,腫瘍,感染性病変,小児疾患など詳しい説明を要する疾患には本書は大きな役割を果たすことができよう。
さらに本書には寺山名誉教授の“ほっと一息”という欄外コメントがある。例えば関節痛の患者は動き出す前にいきなり動作を始めるのでなくアイドリングをするように2―3回自動運動をしてから動くとよいなど,ユーモアに満ちた,また長い経験からえた患者指導のヒントが数多く載せられていて,読んでいても楽しいのである。
整形外科専門医だけでなく,研修医,看護師,リハビリテーションのスタッフ,そして日常的に整形外科の患者を診察せざるをえない内科,外科医の先生方にもぜひ診察机に常備していただきたい1冊である。なお本書には内容をそのまま電子化したCD―ROMが付属しているので診察机にパソコンとカラープリンターがあれば該当頁をその場でプリントし患者に手渡すことができる。
正誤表
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。