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骨・関節X線写真の撮りかたと見かた 第8版

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画像検査の目的を把握しているか。診断精度の高い画像を得るための工夫をしているか。1つひとつの画像から、あなたはどれだけの情報を得られるだろうか。著者自らが描いた1000枚以上の細密画には、撮影の工夫や画像の見るべきポイントがリアルに描かれている。画像診断の要である単純X線写真の撮影法と読影法を軸に、CTやMRIの解説もさらに充実した。部位ごとの解剖・各疾患の病態解説も必読。
堀尾 重治
発行 2010年04月判型:B5頁:480
ISBN 978-4-260-00994-2
定価 6,820円 (本体6,200円+税)

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第8版 序

 本書の初版が発行されたのは1986年6月であるが,その後における画像診断技術の進歩を考慮して,すでに7回にわたって改訂を行ってきた。ことに第7版は2007年3月発行で,その後まだ日は浅いのであるが,今回再び広い範囲にわたって加筆,訂正を行い世に出すことになった。
 今回の改訂では,画像の微妙な変化,すなわち白黒の濃淡を生じる病理変化を推定するために必要な知識を提供することに重点をおいた。さらに読影に必要な各部位の局所解剖図,病変を説明した画像およびその模式図を多数追加し充実化を図った。
 私の初めての単著『骨単純撮影法とX線解剖図譜』(医学書院)が世に出たのは1971年春であるから,実に約39年の歳月を経たわけで,著者として感慨無量である。39年という長い間,私の拙い著書が多くの人々に愛読されてきたということは,著者として誠にうれしい限りである。
 この39年間における画像診断技術の進歩はめざましく,CTやMRIの出現は整形外科や脳神経外科領域における画像診断の精度を向上させただけでなく,治療計画を立てるに当たっても大いに貢献している。近年,コンピュータ産業における技術革新は,ハードウェア,ソフトウェアともに急速な高性能化を実現している。その高性能化はとどまることを知らず,今もなお進歩しつづけている。このような恩恵を受けて,画像診断技術の分野では1995年過ぎごろから,今まで使用してきたCT画像,MRI画像といった二次元的な画像を三次元画像として捉え,人体を三次元的に可視化するという技術が積極的に取り入れられるようになった。
 今後本書は,これが初めて世に出た頃のことを全く知らない,また想像もできない人達によって利用していただくことになろう。本書が引き続き骨・関節の画像診断に関心を抱く人々のお役に立つことを期待してやまない。
 改版に当たっては,著者の意図を十二分に汲み取っていただき,見事な本に仕上げていただいた医学書院の関係の方々に心から敬意を表し厚く御礼申し上げます。

 2010年3月
 堀尾重治

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第I部 整形外科編
1 肩関節
 A.肩関節の解剖
 B.肩関節の単純X線撮影法
 C.肩関節の疾患
2 肘関節
 A.肘関節の解剖
 B.肘関節の単純X線撮影法
 C.肘関節の疾患
3 手関節,手指
 A.手関節,手指の解剖
 B.手関節,手指の単純X線撮影法
 C.手関節,手指の疾患
4 頚椎
 A.頚椎の解剖
 B.頚椎の単純X線撮影法
 C.脊椎,脊髄のX線CT
 D.脊椎,脊髄のMRI
 E.頚椎の疾患
5 胸椎,胸郭
 A.胸椎,胸郭の解剖
 B.胸椎,胸郭の単純X線撮影法
 C.胸椎,胸郭の疾患
6 腰椎
 A.腰椎の解剖
 B.腰椎の単純X線撮影法
 C.腰椎柱の退行性変性過程
 D.腰椎の疾患
7 脊椎,脊髄
8 骨盤
 A.骨盤の解剖
 B.骨盤の単純X線撮影法
 C.骨盤の疾患
9 股関節
 A.股関節の解剖
 B.股関節の単純X線撮影法
 C.股関節の疾患
10 膝関節
 A.膝関節の解剖
 B.膝関節の単純X線撮影法
 C.膝関節の疾患
11 下腿,足関節,足
 A.下腿,足関節,足の解剖
 B.下腿,足関節,足の単純X線撮影法
 C.下腿,足関節,足の疾患
12 関節リウマチ
13 骨腫瘍

第II部 頭部・耳鼻・顎関節編
14 頭部
 A.頭部の解剖
 B.頭部の単純X線撮影法
 C.頭部のX線CT
 D.頭部のCTとMRIの対比
 E.脳腫瘍,脳膿瘍
 F.脳血管障害
 G.頭部外傷
 H.認知症性疾患
 I.認知症様症状をきたす疾患
15 耳
 A.耳の解剖
 B.側頭骨の単純X線撮影法,CT検査法
 C.耳の疾患
16 鼻
 A.鼻の解剖
 B.副鼻腔の単純X線撮影法,CT検査法
 C.鼻の疾患
 D.顔面外傷
17 顎関節
 A.顎関節の解剖
 B.顎関節の単純X線撮影法
 C.顎関節の疾患

 参考文献
 和文索引
 欧文索引

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医学と撮像技術の融合
書評者: 北山 彰 (川崎医療短大准教授・放射線画像検査学)
 『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた』の第8版が発刊された。本書で自らが学び,かつ大学教育で使用させていただいている読者の一人として,本書の感想を述べてみたい。

 画像診断では,一枚の画像からそこに隠された多くの情報を読み取ることが必要である。そのためには三次元の正確な正常解剖はもとより,そこに生じる疾患の形態学的特徴を熟知する必要がある。本書は画像検査法の技術的理論に基づいて,画像を読影するための基本的な人体解剖と,そこに発生する疾患の病理病態をわかりやすく教えてくれる。

 本書の特筆すべきことは,すべての画像がスケッチで描かれていることである。この種の書物では,通常は単純X線画像にしてもX線CT画像,MRI画像にしても,実際の臨床画像が掲載されるが,本書ではすべての画像が著者による詳細かつ的確で美しい細密画で描かれているのである。初めて見る読者は,多少,奇異に思われるかもしれないが,これには著者のこの本に対する真摯な姿勢と一つの重要な思いが込められている。

 実際の臨床画像では,写真濃度,コントラスト,解像度,粒状性などの画像因子,または,撮影時の整位などによって画像の良し悪しが左右される。しかも適正な画像であるからといって,目的とする観察部位がその画像の中で障害陰影もなく明瞭に観察されるとは限らない。放射線画像のスペシャリストである著者はそのことを熟知しており,本書ではあえてすべての画像を細密画に置き換えることによって,実際の画像では観察しにくい構造物も詳細かつ明瞭に描出し,読者に理解しやすく,わかりやすいように工夫しているのである。ここまで画像の掲載にこだわり,時間を費やして,読者の立場に立って画像が描かれ,掲載された書籍は私の知る限り他に類をみない。

 この本の著者,堀尾重治氏の初めての著書が1971年に発刊された『骨単純撮影法とX線解剖図譜』(医学書院)である。A4判306頁から成る大きな書籍であるが,著者の美しく正確なX線画像の細密画と解剖図の数々に目が引き留められる。今回紹介する『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた』の原点がここにあることがわかる。

 今回の第8版の発刊は,1986年の初版発刊から24年が経過して7回目の改訂となる。このことは,この本が近年の画像検査法,画像モダリティのすさまじい進歩にもよく対応し,内容が古くなることなく,多くの読者に愛され,読み続けられてきたということを如実に示している。実際にそれぞれの改訂によって,順次,X線CT画像,MRI画像が追加され,それに伴い,骨から筋肉,神経へと領域が広がり,それらに関係した疾患,病態画像の追加が行われ,内容の充実が繰り返されてきた。特に今回の第8版では,病理変化から画像に生じる微妙な濃度変化に関係した項目が重点的に追加されている。

 本書は今までと同様に,また,さらに多くの整形外科,画像診断をめざす医学生およびかけだしの医師,そしてこの領域の画像検査に携わる診療放射線技師に,良い教科書・参考書として喜んで受け入れられることを確信する。私は本書に医学と撮像技術の融合をみたような気がする。
刻々と変化する撮影法や読影法にも対応
書評者: 小寺 吉衞 (名大教授・放射線科学)
 本書が第8版と伺って驚くとともに著者堀尾重治氏の不断の努力と研鑽に敬服するばかりである。医用画像機器の進歩発展は著しく,その撮影法や読影法は刻々変化している。その中で,このような書を長く世に送り出すためには並々ならぬ力量が必要であることは言うまでもない。

 本書を見てまず目に付くのは図が大変明瞭でわかりやすいことである。部位ごとに解剖図,撮影法,画像があり,それらの部位で考えられる疾患の画像として単純X線像が,必要であればCT像,MR像が繊細なタッチで描画されている。解剖図も画像も,すべての図が著者の手によって描かれているのが本書の大きな特徴であり,病態のとらえかたが初心者にも理解しやすい。また随所に参考・noteというコラムや表があり,症状の解説や読影のポイントなどが記述されている。

 医用画像は診断・治療に用いられることは言うまでもない。読影医は平面の画像から生体患部を立体的に読み取るため,その画像がどのように撮影されたかが肝要となる。撮影角度がわずかに変わっても,各組織の重なりが異なってくることから見え方も変化する。したがって,撮影者と読影者の間には強い信頼関係がなければならない。この関係は一朝一夕に生まれるものではない。本書『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた』は1986年に初版が出てから24年,その前身の書『骨単純撮影法とX線解剖図譜』から数えると39年の長きにわたって撮影法と画像の見かたについての書としてこの世界に送り出されてきた。その間,医用画像はアナログからデジタルに代わり,診断の主流もCTやMRIに移っていったが,本書は改訂を重ね,その都度変化に対応しながら多くの方々の期待に応えてきた。この書が撮影者と読影者の強い支持を受けていることがわかる。

 画像を評価するにはコントラスト,鮮鋭度,雑音特性などの画質因子を用いる。これまでの医用画像では主に高コントラストで高鮮鋭の画像が望まれていたが,最近は淡いがんなどの陰影の描出が主体となっていることから,SN比(信号対雑音比)で評価することが多くなっている。今回の改訂では,画像に生じる微妙な濃淡の変化から病理変化を推定するために必要な知識を重点的に盛り込んでいるということで時代に即した内容になっている。

 本書は,撮影法を勉強する診療放射線技師のみならず読影を行う者にとっても大変わかりやすい書になっている。また,骨・関節部の画像ということから,リハビリテーションに携わる方にも良好の書といえるであろう。ちょうど,本年(2010年)4月30日付けの厚生労働省医政局長名で各都道府県知事あてに「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」が発令された。その中に,各医療スタッフが実施することができる業務の具体例として,診療放射線技師は,画像診断における読影の補助を行うこと,放射線検査等に関する説明・相談を行うこと,が挙げられている。まさに,本書はこの局長通知に呼応した最適の書である。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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