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看護の現場をはたらきやすく! みんなでつくる心理的安全性

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「こんな現場だったらはたらきやすいのになぁ……」リーダーであれメンバーであれ、誰もがこう考えたことがあると思います。理想の現場を実現するのにはさまざまな道筋がありますが、まず必要なのは心理的安全性です。本書は、アイデアや懸念、疑問、間違いなどを発言しても、否定されたり非難されたりしないこの状態を、リーダー、メンバーがチームとなって実現する方法を紹介します。

津嘉山 みどり
監修 塩見 康史 / なかむら アサミ
発行 2026年08月判型:A5頁:176
ISBN 978-4-260-06652-5
定価 2,750円 (本体2,500円+税)

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はじめに──「まるっとチーム」を目指そう!

心理的安全性はみんなで育むもの
 皆さんは,今の職場にはたらきづらさを感じていませんか? 心理的安全性の高い職場やチームは,生産性を高め,職員が安心して力を発揮できる環境をもたらします。しかし,その重要性を理解し,「心理的安全性の高い,はたらきやすい職場をつくりたい」と願っても,「では,明日から何をすればいいの?」と具体的な1歩に迷う方も少なくないのではないでしょうか。心理的安全性のある職場づくりは,管理者だけが担うものではありません。職員1人ひとりが主体的にかかわり,互いに支え合う姿勢が不可欠です。
 本書では,心理的安全性のある職場づくりに誰もが実践できる行動を具体的に示し,皆さんが日々の業務のなかで活用できる形にしました。患者さんの命を預かる医療現場では,心理的安全性が十分に保たれていない場面に直面することも少なくありません。そうした現実をふまえながら,まずは職員同士の人間関係や信頼関係を築く「関係の質」を高めることに焦点を当て,管理者とスタッフが共に協力し合い,はたらきやすい職場づくりに役立つヒントを散りばめています。

今の時代に求められる「まるっとチーム」
 緊張感のある医療現場では,「厳しい指導」や「先輩の背中を見て学ぶ」といった教育スタイルが根づいており,そのなかで専門職としての知識や態度を身につけてきた方も多いでしょう。しかし,上下関係が厳しい職場では,自由に意見を述べることが難しく感じられることもあります。さらに,部署には新卒からベテラン看護師まで幅広い世代が在籍しており,急速な時代の変化により,価値観を共有することも難しくなってきています。こうした職場環境のなかで,誰もが安心してはたらける職場をつくるにはどうすればよいのでしょうか。その答えの1つが,何でも言い合える「まるっとチーム」をつくることです。
 本書では,心理的安全性のある職場・チームのことをまるっとチームと呼ぶことにします。「まるまる」優しく包み込み,「ほっと」安心できる関係づくりを意図して名づけました。まるっとチームは,上下関係や世代の違いを超えて全員で目的を共有し,協力し合いながら目標に向かっていける,誰もが率直に意見を交わせる環境を目指します。もちろんチームづくりは簡単なことではありません。しかし,変化が激しく,先行きの予測が困難なVUCA(Volatility:変動性,Uncertainty:不確実性,Complexity:複雑性,Ambiguity:曖昧性)の時代だからこそ,心理的安全性の高い,はたらきやすい職場環境を築くことが,医療の質とチームの持続可能性を支える鍵となるのです。

はたらきやすい職場づくりは,小さなアクションの積み重ね
 本書で紹介している臨床看護の現場に即した実践的な内容は,どれもネガティブな反省ではなく,前向きに取り組める小さなアクションばかり。日々の業務のなかで無理なく取り入れられる工夫が詰まっています。コツコツと小さなアクションを積み重ねることがまるっとチームの実現につながり,心理的安全性の高い職場づくりへの第一歩となるのです。
 さらに,これらのスキルを身につけることは,読者であるあなた自身の成長にもつながります。どの職場に行っても,あなたは周囲から信頼され,あなたの存在が職場の雰囲気を変えていくことでしょう。
 心理的安全性の高い,はたらきやすい職場づくりに向けて,本書がその一助となれば幸いです。
 なお,本書の執筆にあたり,多くの方々から温かいご支援をいただきました。
 私が心理的安全性の可能性に深く気づくきっかけとなったのが,『わたしからはじまる心理的安全性──リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70(翔泳社,2023)』との出会いでした。リーダーだけでなく,1人ひとりの行動が職場をつくるという視点や,具体的な実践方法の数々は,看護の現場にも応用できると強く感じました。本書は『わたしからはじまる心理的安全性』の考え方を土台に,医療・看護の視点から再構成したものです。著者である株式会社スコラ・コンサルトの塩見康史様,サイボウズ株式会社のなかむらアサミ様には監修者としてかかわっていただき,内容の検証や専門的な観点から多くの貴重な助言を頂戴しました。医療現場に合わせてわかりやすいかたちに整えることができたのは,お二人のお力添えがあってこそです。心より感謝申し上げます。

本書の構成と使い方
 本書は,看護管理に携わる看護師長や主任はもちろん,中堅看護師から新人看護師まで,あらゆる立場の方に役立つ内容となっています。自分の立場に近い章から読み進めるのも良いですし,異なる立場の視点を理解することで,相互理解を深める読み方も可能です。
 第2章以降では,心理的安全性を高めるための44の具体的な行動を抽出し,紹介しています。取り組みやすいものから選んで実践することができます。また,臨床現場で心理的安全性が損なわれがちな場面を取り上げたコラムも随所に設けており,行動の背景や対応例を学ぶことができます。また,本書では,上司や部下という表現でなく,チームの一員としてのリーダーとメンバーという表現で進めていきます。リーダーは,看護師長や主任という役職だけでなく,日々の業務リーダーや委員会やプロジェクトのリーダーなど,さまざまな立場がありますが,その役割に応じた読み方ができるはずです。ぜひ,ご自身の立場や職場環境に合わせてご活用ください。

第1章
 心理的安全性とは何か,そしてそれがはたらきやすい職場や成果向上にどう関係するのかを解説しています。なぜ心理的安全性が必要なのかを理解したうえで,実践に取り組むことができます。

第2章
 本章以降は,心理的安全性が高いまるっとチームをつくるために実践できることを具体的に紹介しています。第2章では,まず,人間関係の基本であるコミュニケーションのコツを中心に解説します。基本的なものばかりなので,取り入れるのもさほど難しくないでしょう。立場や役職に関係なく,1人ひとりができること,誰もが実践できることを挙げています。どの場面で,どのようなことができるのかをイメージしながら参考にしてください。また,1つひとつの行動を紹介することで,部署やチームで理解を共有し,活用しやすくしています。

第3章
 リーダーとして部署をまとめる,はたらきやすい職場の風土づくりに役立つ内容です。リーダーの立場で読む方を想定した内容になっていますが,必ずしも看護師長や主任という肩書のある管理者だけでなく,役割としてリーダーを担っている立場の方が使える内容になっています。リーダーの行動がメンバーにどのような影響を与えるのか,チーム全体への影響を理解できる章です。

第4章
 ここでは,メンバーだからこそ担える役割や行動に焦点を当て,まるっとチームを実現するためにできることをまとめています。これらの内容は,リーダーがチームを導く際に,どのような協力をメンバーから得られるかを考えるヒントにもなります。さらに,リーダーからどのようなはたらきかけがあれば,メンバーがこれらの行動を実践しやすくなるかという視点をもち,メンバーへの理解を深めながら読み進めることも効果的です。

第5章
 ここでは再び,リーダー,メンバーといった立場を問わず,誰もが協力してまるっとチームを実現するための内容を紹介しています。チームの理想の姿を実現するには,時には組織横断的なアプローチが求められる場面もあります。そのため,看護師長やトップマネジャーなどのリーダー層の役割は極めて重要であり,現場の声を拾い上げながら,組織全体の方向性を推進する存在となります。自部署の取り組みを起点に,組織全体へと広がるイメージをもちながら読み進められる内容となっています。

リーダーの皆さんへ
 本書では,リーダーに向けた項目を多く取り上げています。心理的安全性の高い職場づくりには,リーダーの果たす役割が大きいからです。目標をもって行動し,スタッフだった頃の自分を振り返ることで,今の自分を見つめ直す機会にもなります。
▪ 第2章のコミュニケーションのコツは,すべての行動の基盤です。常に意識しましょう。
▪ 第4章のメンバー編は,メンバー自身が取り組めることを紹介しています。その内容をリーダーが理解し,サポートすることも大切です。
▪ メンバーへのアプローチの方法として,「声のかけ方」「問いかけ」の例を紹介しています。参考にして,取り入れてみましょう。
▪ メンバーの反応を観察し,自分の言動がどのような影響を与えているかを意識的に確認しながら進めましょう。
▪ 職場の現状に合わせて,取り入れやすく優先度の高い行動から始め,無理なく継続することが大切です。

メンバーの皆さんへ
 自分ひとりでできることはたくさんあります。難しいことに挑戦する必要はありません。まずは,心理的安全性にかかわる行動を理解することから始めましょう。
▪ できそうなことを1つ選び,まずは実践してみましょう。
▪ 話しやすい仲間にこの取り組みを共有し,協力して実践できる仲間を増やしましょう。
▪ リーダーや新人看護師の立場や考え方を知ることで,異なる視点を理解し合うきっかけにもなります。

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はじめに──「まるっとチーム」を目指そう!

第1章 心理的安全性が「はたらきやすい職場」をつくる──心理的安全性が高いチームパフォーマンスを実現する
 1.そもそも心理的安全性とは?
 2.「心理的安全性がある=ゆるい関係」じゃない!
 3.心理的安全性を高めるスキルを身につけて「まるっとチーム」になろう
 4.「まるっとチーム」は,医療パフォーマンスが高くなる
 5.「まるっとチーム」をつくる前提はこれだ!
 6.「まるっとチーム」になるためにリーダーがすること
 7.「まるっとチーム」になるためにメンバーがすること
 8.わがままは看護師の成長につながる?
 9.心理的安全性が組織の幸福度を高める

第2章 「はたらきやすい職場」づくりのためにまずできること──小さな行動の積み重ねが安心感を生み,仕事の成果を高める
 1.「はたらきやすい職場」づくりに,わたしができること
 2.自分からあいさつをする
 3.マスク越しでも笑顔を大切にする
 4.フラットな関係づくりのため「さん」づけで呼び合う
 5.感謝を込めて「ありがとう」の言葉を伝える
 6.「最近どう?」とひと声かける
 7.自分のフェイススケールも伝えてみる
 8.ほめるポイントは具体的に伝える
 9.看護へのこだわりを聞き,強みを共有する

第3章 リーダーとメンバーが一緒につくる「はたらきやすい職場」
【リーダー編】──リーダーはメンバーにこれを伝える,行動する

 1.リーダーからつくる「はたらきやすい職場」
 2.腕を組まない! 視線を合わせる! ため息をつかない!
 3.話を遮らずに傾聴する
  ▪ コラム 新人の相談には傾聴で対応する──質問攻めにしていませんか?
 4.強みを活かし,弱みを共有し,補完し合う
 5.ワーク・ライフ・バランス(WLB)はとれているか聞いてみる
 6.「どんな看護がしたいの?」と思いを引き出してみる
 7.1on1でじっくり聴く・話す──1on1は本音を語る機会
 8.「相談しやすい」しくみをつくる
  ▪ コラム 忙しそうで聞くに聞けない──相談したいのに,声がかけられない
 9.時には肩書を脱いで,ひとりの看護師として話す
 10.「看護するのは何のため?」と尋ね,看護の目的を見つめ直す
 11.「どこまで進んでいる?」と進捗を確認する
  ▪ コラム インシデントを報告して責められる?──ミスを防ぐため進捗確認
 12.「どんな意見も大歓迎です」と伝える──改善のアイデアを引き出すようにはたらきかける
 13.会議は「伝える,決める,意見をもらう」を明確にする
 14.「自分」を主語に,自分の言葉で伝え,看護を動かす
 15.チームを強くするために本音で話してみる
 16.「一緒に考えてほしい」と伝える──リーダーの提案にメンバーを巻き込むには

第4章 リーダーとメンバーが一緒につくる「はたらきやすい職場」
【メンバー編】──メンバーは自身のことを発信し,リーダーはメンバーがこれらのことが実践できるようにはたらきかける

 1.メンバーみんなが育てる「はたらきやすい職場」
 2.自分の得意なこと,苦手なことを話してみる
 3.本音を安心して話せる人を職場につくる
 4.考えや思いを表出してみる
 5.「こんな看護がしたい」──やりたい看護を表現する
 6.「看護のこういうところが好き」を言葉にする
 7.1on1で感謝やお詫びの気持ちを伝える
 8.「よそ」の情報を収集し,視野を広げる
 9.こんな看護ができるチームになりたいと伝える

第5章 組織で育てる「はたらきやすい職場」──チームのみんなで協力し実現する職場づくり
 1.みんなで取り組み,前に進んでいこう
 2.定期的に勉強会を開催して看護の学びを共有する
 3.ミーティング前にルールを確認する
  ▪ コラム 新人が参加しやすい声かけを──ミーティングルールの活用とちょっとした工夫
 4.モヤモヤは放っておかずに口に出してみる
 5.看護の現場を良くするために,気づきを共有する──問題提起ができる環境をつくろう
 6.声かけ,世話焼き,気配りを忘れないようにする
 7.情報を共有し,チームの看護力を上げる
 8.心を込めて,事実をもとに話す,伝える
 9.他部署,他職種の役割を共有する時間をつくる
 10.他部署のメンバーと交流するイベントに参加する
 11.看護チーム,委員会,プロジェクトの取り組みを情報発信する
 12.他部署を経験して看護の視野を広げる
  ▪ コラム:業務の引継ぎも楽じゃない──相手の立場で考えると,見える景色が変わる
 13.理想のチーム,看護のありたい姿を思い描く
 14.医師との良い関係には,TeamSTEPPSを活用する

おわりに

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