看護実習の極意
学生の学びを深め、教員・指導者を助ける

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看護実習の中で学生たちが抱える苦しさや葛藤に目を向けながら、学生が「学びたい」と思える実習の創造をサポートします! 第1章では、看護を教える人が知っておきたい心がまえを、第2章では、学生が現場で輝き、教員・指導者のこころが楽になる、そんな10の“とっておき”の技を紹介します。「はじめて、知った!」そんな情報が満載の1冊です。

高橋 聖子 / 近田 真美子
発行 2026年06月判型:A5頁:144
ISBN 978-4-260-06569-6
定価 2,420円 (本体2,200円+税)

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はじめに

 かつてフローレンス・ナイチンゲールは、看護師になることに反対する家族をよそに、表向きは「旅行」という名目でドイツへ渡り、カイザースヴェルト看護師養成所で看護を学びました。
 当時、上流階級の女性が看護の道へ進むことは、決して歓迎されるものではありませんでした。それでも彼女は、机上の知識だけではなく、臨床の場で実際の看護の技を身に付けたいという思いを抑えきれなかったのです。
 では、現代の看護学生たちはどうでしょうか。本来、臨地実習は「実際の医療現場をこの目で見てみたい」「看護の技を実践の中で身に付けたい」という思いを抱いて臨む場であるはずです。
 しかし現実には、実習前になると眠れなくなる、記録が終わらず涙を流す、自分だけができていないように感じる、指導者や教員の言葉に深く傷つく──そのような苦しさを抱え、実習に臨んでいる学生は少なくありません。
 私自身も、学生時代に実習を辛く苦しいと感じた1人でした。「間違ってはいけない」「迷惑をかけてはいけない」と常に緊張し、自分らしく患者さんと関わる余裕を失っていたように思います。
 また、どこか自分が受け入れられていないような感覚もありました。実習の場に自分の居場所がないように感じ、そこにいるだけで緊張し、周囲に気を遣い続けていたように思います。当時の私にとって、臨床での実習は、安心して学べる場所ではありませんでした。
 こうした苦しさや葛藤は、大学、専門学校、短期大学、看護師養成所など、学校の種別を越えて、多くの学生に共通しているのではないでしょうか。

 教員や指導者はどうでしょうか。教員や指導者自身も、「失敗したくない」という思いを抱えながら、学生と関わっていることが多いように感じます。
 学生が、指導者から指導を受けると、「自分の指導不足だったのではないか」と感じ、周囲と比べてしまい、落ち込むことがあるかもしれません。そうすると、学生が失敗しないように、先回りして答えを与えてしまうような関わりが増えていくのではないでしょうか。
 もちろん、実習では、命と向き合う責任が生じます。患者さんを守るためには、緊張感や厳しさも必要です。しかし、厳しさだけでは人は育ちません。失敗を恐れるあまり、「学びたい」という思いよりも、「失敗したくない」「傷つきたくない」という気持ちが強くなってしまうからです。
 本来、学生の失敗やつまずきは、成長していくための大切な機会でもあるはずです。うまくいかなかった経験の中で悩み、自分なりに意味を見出しながら立ち直っていく過程そのものが、成長を促すのではないでしょうか。

 本書では、看護実習の中で学生たちが抱える苦しさや葛藤に目を向けながら、学生が「学びたい」と思える実習とはどのようなものなのかを見つめ直していきます。
 実習で傷ついた経験も、悩みながら患者さんと向き合った時間も、決して無駄ではありません。その1つ1つの経験に意味を見出しながら、これからの看護教育について、看護に関わる皆さんと一緒に考えていけたらと思います。
 本書が、学生にとっても、教員や指導者にとっても、安心して学び、成長していける実習を考える小さなヒントとなれば幸いです。

 2026年5月
 高橋聖子

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はじめに
著者紹介

第1章 看護を教える人が持っておきたい思考
 1 実習とは何か
 2 精神科の実習からヒントを得る
 3 病気ではなく、患者を見るという発想
 4 臨床判断能力の捉え方
 5 完全主義からの脱却
 6 ハラスメントを起こさないために
 7 しなやかで破綻しないメンタルのつくり方
 (voice1) 入職2年目の看護師たちの語り──同級生だった男性看護師Hと女性看護師Mが学生時代を振り返って

第2章 学びを深め、指導を助ける10の“とっておき”のこと
 とっておき1 ベッドメーキングは学びの宝庫である
 とっておき2 variety(バラエティ)が、回復の源であるとナイチンゲールは言った
 とっておき3 その人に触れてみる
 とっておき4 看護であることと、看護でないこと
 とっておき5 アンダースタンドとウィズスタンド
 (voice2) 基礎看護学実習を担当する教員の語り
 とっておき6 失敗したくない学生と、失敗させたくない先生
 とっておき7 学生を愛されキャラに
 とっておき8 自分自身をケアする力
 とっておき9 学生のつまずきから始めるナラティヴ・アプローチ
 とっておき10 笑いは最高の薬である
 (column) 語り・聴き・共有することで生まれる看護の知

第3章 実習前に行いたい授業
 1 ノンテクニカルスキルをロールプレイやシミュレーションで学ぶ
 2 看護以外のプロフェッショナルから学ぶ──柔軟で逞しい看護師になるための授業
 3 精神科看護実習に向かう前に行いたい演習
 (voice3) 入職1年目の看護師の語り

特別座談会  「こんな看護実習にしていきたい!」

おわりに
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