がんのリハビリテーション 第2版
学びも実践もこれ一冊! がんリハ教科書の決定版
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がん患者の増加により、リハビリテーションの重要性が高まる中、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の役割も拡大している。本書は、基礎から周術期リハ、合併症、リスク管理、緩和ケアまでを網羅。養成校の授業用テキストとしてはもちろん、臨床現場でがん医療に関わるリハ職にも必携の一冊。第2版では最新のガイドラインを踏まえ、内容を大幅にアップデートしている。
| シリーズ | 標準理学療法学・作業療法学・言語聴覚障害学 別巻 |
|---|---|
| 編集 | 辻 哲也 |
| 編集協力 | 高倉 保幸 / 田尻 寿子 / 安藤 牧子 |
| 発行 | 2026年03月判型:B5頁:288 |
| ISBN | 978-4-260-06280-0 |
| 定価 | 4,400円 (本体4,000円+税) |
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第2版 序
わが国では,国民の2人に1人が生涯のうちに悪性腫瘍(以下,がん)に罹患し,3人に1人ががんで死亡します.人口の高齢化に伴い,がん罹患者数と死亡者数は増加の一途をたどっていますが,その一方で,医学の進歩による早期発見・治療技術の向上は,がんを「不治の病」から「長く共存する病」へと変貌させました.がんサバイバーの増加は,単なる延命だけでなく,その後の生活の質(QOL)をいかに維持・向上させるかという課題を私たちに突きつけています.
がん患者がその人らしく生きるための支援として,「がんのリハビリテーション診療」の重要性は論をまちません.2006年の「がん対策基本法」制定,2016年の改正を経て,「がんのリハビリテーション診療」はがん医療における必須の柱として位置づけられました.しかし,制度上の整備が進む一方で,臨床現場や教育機関において,「がんのリハビリテーション診療」に関する体系的かつ標準的な知識を習得する機会は,依然として十分とはいえません.こうした背景のなか,2018年に刊行された本書の初版は,リハビリテーション専門職を目指す学生にとっての数少ない実践的な入門書として,多くの読者に受け入れられてきました.
初版刊行から数年が経過し,がん医療を取り巻く環境はさらに変化・進化しています.このたびの第2版刊行における最大の目的は,2019年に刊行された「がんのリハビリテーション診療ガイドライン第2版」の内容を踏まえ,最新のエビデンスに基づいた記述へとアップデートすることにあります.本書の初版は2013年のガイドライン初版をベースとしていましたが,その後の研究の進展や臨床知見の蓄積により,推奨される介入方法や考え方にも変化が生じています.第2版では,これらの新しい知見を反映させ,より実践に即した「標準」となるテキストを目指しました.
今回の改訂は,基本的には初版の構成を踏襲したマイナーチェンジではありますが,細部においては臨床の現状に即した重要な変更を行っています.まず,第3章のタイトルおよび項目名を「化学療法」から「薬物療法」へと変更しました.これは,従来細胞障害性抗がん薬が中心であったがん治療に,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などが広く導入され,治療の選択肢が多様化した現状を反映させたものです.これに伴い,リハビリテーション専門職に求められる副作用対策やリスク管理の知識もより高度かつ広範なものとなっています.また,第2章の周術期リハビリテーションにおいては,旧来の「開胸開腹術」という術式による区分から,「肺がん・消化器がん」というがん種別の項目名へと変更し,それぞれの疾患特性に応じたより具体的なリハビリテーションアプローチを解説する形に改めました.さらに執筆陣についても,第2章の「脳腫瘍」および第4章の「摂食嚥下障害」に関しては,新たな知見をもつ先生方に執筆を依頼し,内容の刷新を図っています.その他の章についても,初版の執筆を担当された先生方に再度筆を執っていただき,最新の情報を盛り込んでいただきました.
本書は,「標準」シリーズの別巻として,リハビリテーション専門職(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)の養成校におけるテキストとしての役割を担いつつ,臨床の最前線でがん患者と向き合う多職種の方々にとっても有用な実践書であり続けることを目指しています.がんの基礎知識から,周術期,薬物・放射線療法中,そして緩和ケアに至るまで,がんの病期(ステージ)や治療経過に合わせた切れ目のない支援を行うための知識が,本書には凝縮されています.
改訂にあたり,多忙な臨床・研究活動の合間を縫ってご執筆いただいた著者の先生方,そして編集にご協力いただいた高倉保幸先生,田尻寿子先生,安藤牧子先生,並びに医学書院の皆様に深く感謝いたします.本書が,がんリハビリテーションに関わるすべての方々の座右の書となり,ひいては多くのがん患者さんのQOL向上に貢献できることを切に願っております.
2026年1月
辻 哲也
目次
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第1章 がんのリハビリテーション診療概論
1 がんの基礎知識
① がん=悪性腫瘍とは何か
② がんの治療
③ がんの疫学
2 がんのリハビリテーション診療の基礎知識
① がんと共生する時代へ
② がんのリハビリテーション診療の目的と定義
③ わが国におけるがんのリハビリテーション診療の動向
④ 病期別分類
⑤ 対象となる障害
⑥ 評価
⑦ がんのリハビリテーション診療実施のポイント
⑧ がんのリハビリテーションの実際
⑨ リスク管理
第2章 周術期リハビリテーション
1 肺がん・消化器がん
① 対象となる疾患・術式
② リハビリテーションの目的
③ 周術期リハビリテーションの効果・エビデンス
④ 術後呼吸器合併症の定義,リスクを高める要因
⑤ 周術期リハビリテーションの実際
2 乳がん
① 疫学
② リハビリテーションの目的
③ 治療法
④ 術後に生じる問題
⑤ 術後のリハビリテーションの効果・エビデンス
⑥ 周術期リハビリテーションの実際
3 脳腫瘍
① 脳腫瘍とは
② 脳腫瘍の治療
③ 脳腫瘍のリハビリテーション
4 頸部リンパ節郭清術(頭頸部がん)
① 術式と対象となる疾患
② 術後の症状とリスク管理
③ 副神経麻痺(僧帽筋麻痺)による肩の症状と機能予後
④ 術後のリハビリテーションの目的
⑤ リハビリテーションの効果・エビデンス
⑥ リハビリテーションの実際
5 原発性骨軟部腫瘍・脊髄腫瘍
① 疫学
② 基本的な治療体系
③ リハビリテーションの目的
④ 手術症例に対するリハビリテーションの実際
⑤ リハビリテーションの効果・エビデンス
第3章 薬物療法・放射線療法
1 薬物療法・放射線療法中・後のリハビリテーション
① リハビリテーションのポイント
② がん治療に伴う患者の負担や障害
③ リハビリテーションの効果・エビデンス
④ 有害反応
⑤ 血球減少とリスク,対応のポイント
⑥ がん治療に伴い生じる心合併症とその対応
⑦ 進行がん患者のリスク管理
⑧ リハビリテーションの実際
2 造血幹細胞移植前後のリハビリテーション
① 移植の対象となる疾患とその治療法
② 移植患者に対するリハビリテーションの目的
③ 移植治療と生じうる機能障害(筋力,運動耐容能など廃用症候群)
④ リハビリテーションの効果・エビデンス
⑤ リハビリテーションプログラムの立案(リスク管理)
⑥ リハビリテーションの実際
3 骨転移
① 疫学
② 骨転移により生じる問題
③ 画像評価
④ 骨関連事象の予測方法
⑤ 治療
⑥ リハビリテーションの目的
⑦ リハビリテーションの実際
第4章 摂食嚥下障害,コミュニケーション障害
1 頭頸部がんの病態と治療
2 摂食嚥下障害
① 摂食嚥下に関与する構造・領域
② 周術期の対応(頭頸部がん,食道がん,脳腫瘍)
③ 頭頸部がんに対する放射線療法中・後の病態
④ 緩和ケア主体の時期の病態
⑤ その他のがん患者の摂食嚥下障害の病態
⑥ 評価
⑦ リハビリテーションの実際
3 頭頸部がん術後の発声障害と構音障害
① 発声と構音
② 喉頭・下咽頭がんの治療法
③ リハビリテーションの目的
④ 口腔咽頭がん術後の構音障害
4 高次脳機能障害
① 高次脳機能障害を生じる疾患や治療
② リハビリテーションの実際
③ 失語症の評価・介入
第5章 リンパ浮腫
1 リンパ浮腫へのアプローチ
① リンパ浮腫とは?
② 疫学
③ がん治療後の病態
④ 診断
⑤ 予防指導
⑥ リンパ浮腫複合的治療
⑦ まとめ
第6章 緩和ケアが主体となる時期
1 緩和ケアが主体となる時期のリハビリテーション
① 緩和ケアとは
② リハビリテーションのポイント
③ 症状・病態に合わせたリハビリテーション・アプローチ
④ 在宅支援とリハビリテーション
第7章 心のケアとリハビリテーション
1 がん患者の精神的負担とコミュニケーションスキル
① 留意すべき精神的負担(適応反応症,うつ病,せん妄)
② がん医療におけるコミュニケーション
参考図書
Check Sheet
索引
Advanced Study
・ 人工物による乳房再建術
・ 光線力学療法(PDT)
・ 脳腫瘍の診断・治療成績の用語の定義
・ 「有害反応」と「副作用」
・ 最大心拍数を予測するGellishの式
・ IPAQ日本版とPASE日本版
・ 造血幹細胞移植における合併症
・ 多職種チームによる介入
・ がん患者の摂食嚥下障害と栄養──サルコペニアの摂食嚥下障害
・ 頸部郭清と摂食嚥下障害
・ 摂食嚥下障害に対する手術
・ 口渇について
・ せん妄と認知症の違い
・ リンパ浮腫の手術治療
・ リハビリテーション前のレスキュー使用
Topics
・ 個別化医療
・ ICU-AW
・ ICU-ASD
・ 乳がん検診
・ がん遺伝子パネル検査
・ 小脳無言症(cerebellar mutism)
・ ERASプロトコル
・ CRF(がんに伴う倦怠感)
・ がん患者の就労状況
・ FITT
・ 造血幹細胞移植患者に対するリハビリテーションの介入効果
・ 嗅覚リハビリテーション
・ リンパ浮腫複合的治療料
・ 健常者のむくみの原因




