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消化器外科レジデントが知っておきたい 108 topics
外科レジデント・専攻医のための知恵袋
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気になるアレやコレが見開き2ページでつかめる、外科レジデント・専攻医のための知恵袋。一読・一見で要点を把握できるビジュアル重視の紙面が、忙しい外科医の仕事を助ける。病棟や手術室で役立つノウハウ、治療に関するエビデンス、自己研鑽のハックなど多様なトピックが満載。時代を経ても変わらない古典的知識から最新の知見まで、外科医生活をサバイブするための情報とヒントが詰まった一冊。これだけ知っておけば怖くない!
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『消化器外科レジデントが知っておきたい108 topics』の刊行に寄せて
近年,外科医,特に消化器外科医の減少が医療全体の社会問題として注目されている.長時間手術,重篤な術後管理,緊急・急変対応など過酷な労働条件がその一因とされ,タスクシフト,チーム医療などの働き方改革が早急に進められている.そのような多忙ななかでも若手の医師は多くの最新の医学的知識を学ばなければならない.我々の若い時代に比べて必要な医学的知識は遥かに,そして急速に増えつづけており,そのための時間や努力は自己研鑽という綺麗ごとでは済まされなくなってきていることを実感する.
本書は消化器外科専攻医がベッドサイドで必要な知識を体系的に記載した教科書であるが,多忙な外科医が「効率的」に活用できるように工夫を加えて制作した.まずは,膨大な消化器外科で特に必要性の高い108のトピックスを抽出し,その解説を見開き2ページで完結することを基本としている.見開きにまとめることでページをめくらなくても必要な情報を一瞬のうちに俯瞰することができる.そして,解説内容はできるだけ視覚素材を多くしており,例えば,ガイドライン等もフローチャートや図表を多用して文章を読まなくても直感的に理解できることを重視している.そして,広範かつ専門性の高い消化器外科において,この編集方針を一貫するために,大阪大学消化器外科教室員一丸となって作成に当たったことも特徴である.
スマートフォンやインターネットは確かに便利で何でも調べられる.しかし,正確で多くの情報を短時間で取得するには優れた紙の本に優るものはない.この書は実践書であり若い先生たちに臨床の現場で使ってもらって初めて生きてくる.108とは若い先生たちの煩悩の数であるが,同時に患者さんを目の当たりにして四苦八苦(4×9+8×9=108)している外科医の悩みの数でもある.そんな若い先生に少しでも役に立つことを期待してこの書を世に送りだしたいと考えている.
2025年10月
大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学
土岐祐一郎
江口 英利
目次
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I 総論
A 周術期管理編
1 手術リスクの評価と予測 多様な評価ツールでリスクを“見える化”して術後管理に活かそう
2 高齢者周術期管理の要点 高齢者手術を安全に乗り切るために
3 上部消化管癌術前栄養療法の種類と選択,エビデンス 栄養戦略がカギ! 術前から始める集学的治療サポート
4 術前栄養評価──肝胆膵 低栄養状態には適切な介入を
5 個々の病態に合わせ適切に選択 経腸栄養・胃瘻・腸瘻管理の基本
6 外科医が理解すべき胆道ドレナージ 黄疸を認めたときのストラテジー
7 術前腸管プレップのエビデンス SSI予防に有効な方法は?
8 周術期予防抗菌薬の使い方 目的を踏まえた投与法のポイント
9 たかが創,されど創 創処置──肥厚性瘢痕予防のためには
10 抗血栓薬の適応と注意点──出血リスクをベースに休薬を判断
11 消化器外科医が知っておくべき 循環作動薬の基本
12 術後疼痛管理の基本 術式に応じた適切な投与法を選択
13 医療用麻薬アップデート オピオイドを知り,選び,使い分けて最善の痛み制御を!
14 術後合併症の予防・早期発見のために 見逃してはいけない消化器外科術後の危険なサイン
15 ドレーン管理マスターになろう! ドレーン管理の基本──食道編
16 目的を理解し適切にコントロール ドレーン管理の基本──肝胆膵編
17 全身状態の推移を考慮 術後輸液管理の基本
18 術後難治性腹水に対する治療 正しい評価で病態を見極め,的確な腹水マネジメントを
19 積極的な介入が必要なケースは? 術後胸水・無気肺の対策と治療
20 術後肺炎の予防と対策 正しいリスク評価と多職種連携がカギ!
21 術後不整脈の対応 循環器内科へのコンサルトを考慮しつつ速やかに対処
22 術後乳び瘻の対策と治療──発生を認めたらどのように対処する?
23 適切な管理で膵切除も怖くない 術後膵液瘻の対策と治療
24 術後せん妄の成因と対策──入院早期からの介入により発症率低下
25 術後下痢症の検査と対応──原因を正しく理解し適切にマネジメントを
26 一層の普及には課題もあり ERASのエビデンスと現状
27 バンドルで臨む感染対策 創傷治癒のエビデンス
28 カテーテル関連血流感染症の予防と対応 予防と初動で差がつく見逃せない感染対策
29 これだけ知っておけば怖くない ストーママスターへの道
30 VAC治療の原理と適応 どんなとき,どのように行うか
31 消化器外科にかかわる腸内細菌叢のトピックス 治療の効果に影響あり?
32 消化器外科医が知っておくべき漢方
B 手術手技編
33 手術前の準備が一番大事 手術体位のとり方の基本
34 開腹・閉腹に関する外科医の常識
35 消化管再建の基本 手縫い吻合も習得必須
36 血管再建の基本 習得したい手技のポイント
37 縫合不全をどのように防ぐか 手技の向上のみならず術前管理も重要
38 癒着防止材のエビデンスとtips なぜ効く?を知って正しく使いこなそう
39 まずはスコピストから 腹腔鏡の正しい操作
40 手術検体のさばき方 臨床価値を最大化するために
C 集学的治療編
41 消化器癌の腫瘍マーカーと使い分け 偽陰性・偽陽性にも注意!
42 遺伝子を知れば治療が変わる! 遺伝子検査の目的と臨床応用
43 患者さんに説明できますか? MSI-HとdMMRの違い
44 TMB(腫瘍遺伝子変異量)検査とは 免疫チェックポイント阻害薬の治療効果と相関する?
45 遺伝子パネル検査の目的と臨床応用 パネル検査が拓く個別化医療
46 第4の癌治療薬! 免疫チェックポイント阻害薬のメカニズム
47 ctDNAで何がわかるのか,何が変わろうとしているのか
48 化学療法有害事象のスクリーニングと対処法 CTCAEを用い細やかな評価を
49 irAEのスクリーニングと対応 早期発見・専門科への速やかなコンサルトが重要
50 消化器外科緩和医療のいろは
D 外科記録・医療安全編
51 外科医にも本当に必要? ノンテクニカルスキルって何?
52 症例の問題点が伝わってますか? 術前プレゼンテーションの基本
53 手術IC記録の書き方 医療安全の観点から
54 術後腹部X線写真の見方 医療安全の観点から
55 手術が伝わる,上手くなる オペレコの書き方
56 AE(adverse event)の評価と記録 術後有害事象への適切な対応
E 学術活動・専門医修練編
57 診療ガイドラインの読み方 最大限活用するためのポイント
58 抄読会のネタ探し・発表スライドの作成
II 各論
A 症状・徴候編
59 腹痛患者の診察のポイント 「いま何が危ないのか」に配慮しつつ全身を丁寧にみる
60 適切に対応できますか? 緊急手術が必要となる急性腹症とその判断
61 消化管穿孔の画像診断の基本 free airの“先”をどう読むか
62 これだけわかる 腹部単純X線写真の見方
63 エビデンスに基づいたアプローチ イレウスと腸閉塞を区別できている?
64 そのアッペ本当にただのアッペ? 見逃してはいけない虫垂炎の鑑別診断
65 肛門病変の鑑別と初診の心得 プライバシーに配慮しつつ十分な観察を
66 本当にただの痔瘻? 痔瘻初診の心得
67 隠れた疾患を見抜け! 見逃してはいけない便秘の鑑別疾患
68 下剤の禁忌と使い分け 特性を踏まえた薬剤の選択
69 超高齢化社会にて高まるニーズ 骨盤臓器脱とは?
B 疾患編
[上部消化管]
70 ついにここまできた! 上部消化管癌における免疫治療の現状
71 腹腔鏡下胃瘻・腸瘻造設術
72 縦隔気管孔造設術 術後合併症の予防が重要
73 術中他臓器損傷時の対応──食道編 損傷リスクを念頭に周囲臓器の解剖を把握
74 No.16リンパ節郭清手技の基本 解剖学的ランドマークの正確な把握が肝要
75 食道癌salvage手術 最善を尽くすために考慮すべきポイント
76 食道機能性疾患の診断と治療 外科的治療の適応は?
77 外科医でも常識! ガイドラインを変えた 化学療法エポック試験──食道癌
78 正確な治療方針を知ろう! 早期胃癌の治療方針
79 2つのRCTに注目! 進行胃癌に対する開腹/腹腔鏡下/ロボット支援手術選択の現状
80 進行中の臨床試験に注目! 進行胃癌における術前治療の意義
81 外科医でも常識! ガイドラインを変えた 化学療法エポック試験──胃癌
[下部消化管]
82 直腸癌のCRMとは? 海外では常識の評価
83 直腸癌の術前評価──EMVI 知っておきたい意義と評価法
84 直腸癌の術前治療は何のためにする? 歴史から紐とく局所再発・遠隔転移との戦い
85 直腸癌局所再発の治療戦略 拡大手術の適応は?
86 手術に必要な肛門周囲解剖 筋肉と支持組織の理解が重要
87 TaTME 利点と手技のミニマムエッセンシャルズ
88 肝切除不能症例の選択肢? 大腸癌肝転移の最新治療──肝移植
89 閉塞性大腸癌の管理と治療戦略 大腸ステント留置が有用な病態は?
90 外科医でも常識! ガイドラインを変えた 化学療法エポック試験──大腸癌
91 手術のタイミングを逃すな! 炎症性腸疾患手術の基本──Crohn病
92 押さえておきたい手術適応と術式の選択 炎症性腸疾患手術の基本──潰瘍性大腸炎
[肝胆膵]
93 肝切除シミュレーションソフトを術者目線で使いこなす
94 肝切除術における鉗子の使い分け──この場面ではこの鉗子
95 肝細胞癌薬物療法──どう使い分けるか conversion surgeryの可能性も念頭に
96 知っていますか? operable/inoperableと resectable/borderline-resectable/unresectableの違い
97 薬物療法,いつまでやるの? 肝胆膵領域癌のconversion surgeryの基準とは
98 必要性・安全性・効果を慎重に考慮 局所治療としての肝移植
99 知っておくべき解剖──肝臓手術
100 解剖知識が手術を助ける 知っておくべき解剖──胆膵手術
101 必ず一度は経験する 後出血への対応──膵頭十二指腸切除術
102 高齢者における肝胆膵手術──耐術能,忍容性,栄養状態が重要
103 出血,胆管損傷に冷静に対処 ラパ胆におけるトラブルシューティング
104 知っておきたい移植適応判定の基準 肝移植・膵移植の適応
105 万が一のときに備えておきたい 脳死下臓器提供の流れ
106 肝移植後の免疫抑制薬の使い方──トラフ値をモニタリングして投与量を調節
107 膵腎移植の管理のポイント──押さえておきたい術前・術後の留意点
108 肝膵移植後の患者さんはどのような生活をしているのか?
文献一覧
索引




![肝胆膵高難度外科手術[Web動画付] 第3版](https://www.igaku-shoin.co.jp/application/files/9616/8662/2775/112068.jpg)