看護のためのChatGPT
初めての人も使える活用ヒント集

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臨床で働く看護職や看護教員・研究者に向け、ChatGPTの実践的・具体的な活用法を紹介する入門書。生成AIの基本から、看護業務・教育・研究への応用まで、豊富なプロンプトと出力例を交えて解説する。看護師としての視点から「看護の現場でどう使えるか」に重点を置き、初学者でも無理なく日常業務に取り入れられる工夫を随所に盛り込んだ。ChatGPTを「新しいパートナー」として育てていくヒントが詰まっている。

編著 永井 翔 / 篠崎 惠美子
坂 亮輔 / 藤井 徹也
発行 2025年07月判型:A5頁:232
ISBN 978-4-260-06213-8
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

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 もし看護の現場で,「もっと綺麗な文章を書きたい」「自分の考えが合っているか不安」と感じたら,どうしますか.先輩や同僚に相談するかもしれませんし,専門書を開いて何度も読み返すかもしれません.あるいは自分の思考を吟味して,慎重に答えを導くかもしれません.しかし,もし「人と対話するように柔軟に応じ,あなたの疑問に寄り添うパートナー」が突然現れたとしたら──ChatGPTはまさに,そんな新しい相棒となり得る存在といえるでしょう.
 私たちは今,生成AIが目まぐるしい進化を遂げる時代の入り口にいます.単なる文章自動生成ツールではなく,膨大なデータから高度な推論を行い,ユーザーの問いに合わせて最適な答えを導き出す──かつてSFで描かれていた未来が,看護の現場にも手を伸ばし始めているのです.業務レポートや実践報告の作成の手間を大幅に短縮できる時短効果はもちろん,「患者さんの背景や症状をふまえ,より質の高いケアを実現するにはどうすればよいか」という深い問いをChatGPTとともに探求できる可能性が広がっています.
 とはいえ,「AIが便利なのはわかるけれど,具体的にどう始めればよいのか」と戸惑う方も多いでしょう.多忙な現場で情報収集や文献探しに時間を割くのは容易ではありませんし,看護教員の方々も学生の指導や教材づくりで手いっぱいかもしれません.そこで本書は,看護の文脈に即したChatGPTの活用方法をやさしく紹介しつつ,AI活用の懸念を払拭するためにも「AIリテラシーを高める」という観点も意識してまとめました.
 本書ではまず,「ChatGPTとは何か」という基本的な疑問に答えながら,看護の現場で活用するメリットや注意点を整理します.そして,実践的な使い方がイメージしやすいよう,具体的な事例をふんだんに盛り込みました.「ChatGPTで患者さん・ご家族向け説明資料をわかりやすく作成したい」「カンファレンスや申し送りにChatGPTを活用し,他部署との連携を円滑化したい」「ChatGPTでアセスメント視点を広げ,より質の高い看護計画に活かしたい」など,さまざまな現場の課題に対してAIがどのように寄り添い,あなたの助けになってくれるかを丁寧にガイドしています.
 さらに,「すぐに真似して使えるプロンプト例」を多数収録している点も特徴です.プロンプトとは,ChatGPTへの指示文のことです.これを少し工夫するだけで,応答の質や精度が大きく変わります.もしAIが意図と異なる返答をしたとしても,「問い方を変えると正確な答えが得られる」という調整のコツをつかめば,あなたの思考を豊かにし,視野をより広げてくれるでしょう.
 看護分野でここまで生成AIの活用に踏み込んだ書籍は,まだ多くありません.だからこそ本書が,あなたの「初めてのAIガイド」として活躍してくれれば幸いです.忙しくて分厚い専門書を読む時間がなくても,ちょっとした合間にページをめくれば,「こんな使い方があったのか」という気づきや発見が得られるはずです.看護師の方には日常の業務を,看護教員の方には学生への指導を,そして看護の学習者には学びの可能性を,一歩先へと進める助けになるでしょう.
 本書は,「看護の世界にChatGPTという新たな仲間を迎えるための集いの場」のような存在です.未知なるAIという客人が,あなたの看護実践にどのような変化をもたらすのか,その可能性を一緒に探ってみてください.まずは気軽にページを開き,そしてChatGPTに尋ねてみて,どんな答えを返してくれるか,耳を澄ませましょう.その先に広がる景色が,あなたの看護をさらに彩り豊かなものにしてくれることを願って──さあ,本編へと踏み出してください.
 最後に,本書をまとめるにあたり,企画から完成までご尽力いただいた医学書院の坂元祐太氏,番匠遼介氏に心より感謝いたします.

 2025年6月
 永井 翔・篠崎惠美子

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第1章 まずはChatGPTを知ろう
 ChatGPTを始める前の超基礎知識──ChatGPTで何ができるの?
 5ステップで簡単にアカウント作成
 ChatGPTの使い方の基本を学ぼう
 目的に合わせて無料版と有料版を選択しよう
 ChatGPTの基本活用法──プロンプトの4要素で回答を最適化
 拡張機能でさらに便利に使おう
 ChatGPTの限界(特性)を知って強みを活かす
 医療分野での注意点
 著作権と商用利用に関するルール

第2章 看護の仕事で使えるChatGPT
 一般業務やデスクワークのサポート・効率化
 看護記録の練習・改善に活用しよう──わかりやすいSOAPに仕上げるコツ
 教育資料の作成を効率化しよう
 カンファレンスや申し送りの準備に活用しよう
 看護計画の立案に活用しよう
 看護現場で役立つヒントをもらおう

第3章 教育や学習の補助にChatGPTを使ってみる
 教育支援にChatGPTを活用しよう──授業・指導の準備がぐっとラクに
 授業や臨床教育での活用例──スライド・ケース作成の補助ツール
 生成AIを教育や学習で正しく活用するために
 自分だけのChatGPTをつくろう──GPTsのつくり方,授業での活用例

第4章 研究の支援にChatGPTを使ってみる
 ChatGPTで研究をサポート──まずは基本を押さえよう
 ChatGPTを使って専門的な文章の読みやすさを向上させる
 検索戦略を強化しよう──ChatGPTによる文献検索の効率化
 文献レビューの作成を手伝ってもらおう
 データを適切に処理して信頼できる形に整理しよう
 データ分析をサポート──統計解析Rのコードを生成させてみよう
 推論モデル×STEMで変わる看護の新スタンダード
 論文の構成・内容整理を効率化しよう
 論文の文章校正をサポートしてもらおう

第5章 ChatGPTの応用と多様な使い方に挑戦しよう
 ChatGPT Advanced Voice Modeで学ぶ英語・多言語コミュニケーション
 外国人患者とのコミュニケーションを円滑に──わかりやすい表現や相手の背景に配慮した会話
 あなたのキャリアデザインをChatGPTに相談してみよう
 GPTsによるシミュレーション活用事例──臨床で必要なスキルの強化に役立てよう
 VRとの組み合わせで新しい教育に挑戦してみよう

生成AIの使用に関する開示
索引

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