認知症ハンドブック 第3版
“認知症時代”の診療バイブル、最新ガイドラインを踏まえ待望の改訂!
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認知症にかかわる医療従事者が知っておきたい知識を網羅した決定版、改訂第3版。診察から検査、薬物療法・非薬物療法、リハビリテーション、ケアまで、臨床で必要となる情報を『認知症疾患診療ガイドライン2026』に準拠して解説。新たな治療の選択肢である抗アミロイドβ抗体薬など、最新の知見も充実。まさに「臨床のエンサイクロペディア」と呼ぶにふさわしい1冊に仕上がっている。
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序文
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序
医学・医療の大きな進歩により平均寿命が延長して高齢者が増加し,認知症者も増加してきた.一方,高齢者の医療・介護や生活支援などに関わる取り組みも進められ,老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費補助金)なども実施されてきた.認知症の人が自分らしく暮らせて,認知症の人にやさしい地域を作るための「地域づくり」に関する検討も進められてきている.
こうした認知症を取り巻く医療・介護・社会の変化と歩みをともにしながら,本書も版を重ねてきた.2013年の初版の刊行以来,認知症の診療や介護に携わる多くの方々に活用していただき,その後の新たな知見や臨床の変化を取り入れて改訂を重ね,このたび第3版を刊行することとなった.これまで本書を手に取ってくださった読者の方々,そして各版の刊行にご尽力いただいた多くの先生方の積み重ねがあってこその第3版である.
認知症研究の進歩は日進月歩であり,認知症の臨床も大きく変貌しようとしている.認知症を生じる疾患として最も多いとされているアルツハイマー型認知症(Alzheimer'sdisease:AD)の診断に向けて,脳脊髄液中のAβ42の低下や総タウ・リン酸化タウ増加,アミロイドPET陽性なども活用される.また,MRI画像検査による萎縮部位の確認も診断の参考にされる.
一方,治療薬の開発・進歩も著しい.わが国では,AD治療薬として,1999年からドネペジルが使用可能となり,2011年にガランタミン,リバスチグミン,メマンチンが認可された.2023年になり,ADの新たな治療薬として,原因物質であるアミロイドβ蛋白に作用する薬剤も開発された.このように,認知症診療は,症状への対応を中心としていた時代から,より早期かつ精緻な診断,さらには疾患の病態そのものを標的とした治療を視野に入れる時代へと,大きな転換点を迎えている.
その一方で,認知症の人を支えるために必要なのは,診断や薬物療法だけではない.本人の生活や思いを尊重し,家族を支え,医療・介護・福祉が連携しながら地域での暮らしを支えていくことの重要性は,これまで以上に高まっている.認知症に関する知識が広がり,診断・治療の選択肢が増えたからこそ,それらを一人ひとりの生活のなかでどのように生かしていくかが,改めて問われているともいえる.
本書の初版から今日までの間にも,認知症をめぐる知識や制度,診療・ケアのあり方は大きく変化してきた.第3版では,これまでの版で培われてきた内容を礎としつつ,新たに策定された『認知症疾患診療ガイドライン2026』の内容を踏まえ,最新の知見と認知症を取り巻く環境の変化を反映し,全体にわたって内容をアップデートした.これまで本書を活用してくださった方々には,従来の良さを引き継ぎながら新しい時代の認知症診療に対応する一冊として,また初めて本書を手に取る方々には,認知症を幅広く理解するための手引きとして活用していただければ幸いである.
本書が読者の方々に活用され,認知症の診療や介護などの現場で役立てられ,認知症診療がさらに発展していくことを期待する.
2026年9月
編者を代表して 中島健二
目次
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第1章 認知症診療の基本
進歩する認知症診療
1 認知症とは
2 認知症領域で使用される用語の歴史的変遷
3 認知症の疫学
4 認知症の医療経済分析
第2章 認知症の症候
認知症の症候について
1 中核症状(認知機能障害)
A 記憶障害・見当識障害
B 失語・失行・失認
C 視空間認知障害
D 遂行機能障害
2 BPSD
A 幻覚・妄想
B 誤認妄想
C 徘徊
D 不穏・興奮
E 不眠,過眠,睡眠-覚醒リズムの異常
F 抑うつ状態・アパシー
3 せん妄
第3章 認知症の診断
認知症診断のポイント
1 診断の流れ
2 問診
3 評価尺度
4 診察
A 神経学的診察
B 精神医学的診察
5 鑑別診断
6 画像診断
7 その他各種検査
第4章 認知症の危険因子と予防
認知症は予防できるのか
1 認知症と危険因子との関係
A 高血圧と認知症の関係
B 糖尿病と認知症の関係
C 脂質異常症と認知症の関係
D 肥満やその他の生活習慣病と認知症の関係
E 運動習慣と認知症の関係
F 教育歴と認知症の関係
G 食事,飲酒,喫煙,薬剤・サプリメントと認知症の関係
H 社会参加・余暇活動と認知症の関係
第5章 認知症の治療と管理
1 認知症治療の基本的な姿勢,流れ
2 BPSDへの対応
A 精神症状:幻覚・妄想,焦燥・不安
B 精神症状:うつとアパシー
C 精神症状:睡眠障害
D 行動障害:多動,興奮,暴力
E 行動障害:徘徊・脱抑制
3 せん妄への対応
4 非薬物療法
A 認知リハビリテーションのエビデンス
B 現実見当識訓練法
C 回想法
D デイサービス・デイケア
E 音楽療法
F 作業療法
G 光療法
H 多因子介入
I 家族への接し方,および本人への接し方(パーソン・センタード・ケア)
第6章 認知症の合併症・併存症管理と終末期の対応
認知症における合併症の予防と対策・終末期医療の基本
1 高齢者における合併症の予防と対応
A 脳血管障害
B 摂食・嚥下障害,誤嚥性肺炎
C 失禁と便秘
D 脱水症,浮腫
E 運動障害,パーキンソニズム
F 不随意運動
G 痙攣発作
H フレイル・サルコペニア
I 転倒・骨折と寝たきり
J 低栄養と褥瘡
K 周術期への対応
L 入院関連障害
2 終末期の対応と課題
A 口腔健康管理
B 胃瘻,経管栄養
C 尊厳死
第7章 認知症をめぐるその他の諸問題,地域連携,支援
認知症をめぐる諸問題について
1 社会資源の活用(介護保険制度を中心に)
2 地域連携のあり方(地域包括支援センターを中心に)
3 地域医療が果たすべき役割
A 医療連携システム
B かかりつけ医,認知症サポート医,認知症専門医の役割
C 認知症疾患医療センター
D 身体合併症対策の医療連携
4 介護負担と介護者支援:介護者への情報提供を中心に
5 法律的諸問題
A 自動車の運転
B 刑事・民事
C 銃刀法
第8章 軽度認知障害
軽度認知障害の臨床のポイント
A 臨床で必要となる基本事項
B 疫学
C 臨床症状
D 検査
E 診断(鑑別診断)
F 治療・効果判定・リハビリテーション
G 経過・予後
H 患者・家族・看護師・メディカルスタッフへの指導・アドバイス
第9章 アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症の臨床のポイント
A 臨床で必要となる基本事項
B 疫学
C 臨床症状
D 検査
E 診断(鑑別診断)
F 治療・効果判定・リハビリテーション
G 経過・予後
H 患者・家族・看護師・メディカルスタッフへの指導・アドバイス
第10章 レヴィ小体型認知症(PDDも含む)
レヴィ小体型認知症の臨床のポイント
A 臨床で必要となる基本事項
B 疫学
C 臨床症状
D 検査
E 診断と鑑別診断
F 治療・効果判定・リハビリテーション
G 経過・予後
H 患者・家族・看護師・メディカルスタッフへの指導・アドバイス
第11章 前頭側頭葉変性症とその他の変性性認知症疾患
前頭側頭葉変性症の臨床のポイント
1 前頭側頭葉変性症
A 臨床で必要となる基本事項
B 疫学
C 臨床症状
D 検査
E 診断(鑑別診断)
F 治療・リハビリテーション
G 経過・予後
H 患者・家族・看護師・メディカルスタッフへの指導・アドバイス
進行性核上性麻痺の臨床のポイント
2 進行性核上性麻痺
A 臨床で必要となる基本事項
B 疫学
C 臨床症状
D 検査
E 診断(鑑別診断)
F 治療・判定効果・リハビリテーション
G 経過・予後
H 患者・家族・看護師・メディカルスタッフへの指導・アドバイス
大脳皮質基底核変性症の臨床のポイント
3 大脳皮質基底核変性症
A 臨床で必要となる基本事項
B 疫学
C 臨床症状
D 検査
E 診断(鑑別診断)
F 治療・効果判定・リハビリテーション
G 経過・予後
H 患者・家族・看護師・メディカルスタッフへの指導・アドバイス
4 嗜銀顆粒性認知症
5 神経原線維変化型老年期認知症と原発性年齢関連タウオパチー
6 石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病
7 ハンチントン病
第12章 血管性認知症
血管性認知症の臨床のポイント
1 概念と分類
2 血管性認知障害
3 混合型認知症
4 白質病変
5 Cerebral microbleedsと認知症
6 脳小血管病の概念
7 血管性認知症の臨床症状
8 血管性認知症の診断基準
9 血管性認知症の画像診断と検査所見
10 脳小血管病と遺伝子異常
11 予防と治療
第13章 その他の認知症疾患
1 内科疾患
2 クロイツフェルト-ヤコブ病などプリオン病
3 特発性正常圧水頭症
4 脳外科疾患に伴う認知症
索引




