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感染症まるごとスタートダッシュ
感染症トライアングルと抗菌薬マップで全体像を一気につかむ

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「微生物×抗菌薬×感染臓器」の関係を、「感染症トライアングル」と「抗菌薬マップ」で“見える化”! 初学者にとって手強く感じる感染症の全体像を直観的に理解できる一冊。どんな微生物が存在し、それに対応する抗菌薬は何かという感染症の基本からスタートし、臓器ごとに感染症を起こしやすい微生物が違うのはなぜ? その臓器に到達しやすい抗菌薬は何? といった実臨床に直結する思考までをわかりやすく解説。

編集 中西 雅樹
発行 2026年01月判型:B5頁:240
ISBN 978-4-260-06282-4
定価 3,960円 (本体3,600円+税)

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はじめに

 皆さん,こんにちは.京都岡本記念病院・感染症科の中西です.私はこれまで長きにわたり研修医教育に携わってきました.前作『抗菌薬選択トレーニング』は多くの方にご活用いただき,薬剤感受性検査を臨床に活かす力を養う一助となったと思います.しかし一方で,「内容がやや難しい」「初学者にはとっつきにくい」との声も少なくありませんでした.そこで本書では,感染症をこれから学びたい,あるいは苦手意識を払拭したいという医療従事者,特に入職2~3年目までの若手の先生方を主な対象として企画しました.
 感染症診療は医療従事者にとって避けて通れない領域でありながら,微生物名は横文字が多く,抗菌薬は一般名と商品名の区別も煩雑,検査は「塗抹? 培養? 遺伝子?」と混乱しがちです.そのため「感染症は難しい」と感じる方が多いのも事実です.しかし,思い出してください.受験期に覚えた大量の英単語や化学式のほうが,むしろ複雑だったのではないでしょうか.工夫して「接頭語や接尾語から意味を推測する」「関連づけて記憶する」などの“コツ”を見つけて学んできたはずです.感染症の勉強も同じで,ルールや比較の視点をもてば理解は飛躍的に進みます.
 そこで本書では,専門的すぎる内容を思い切って削り,初学者がぜひ知っておいてほしい要点に絞りました.そして感染症診療のポケットマニュアルではなく,「感染症を面白いと思えるきっかけ」を提供することを目指しています.診断プロセスそのものに深入りするのではなく,診断がついた症例に対して「どんな病態が起こっているのか」「どうマネジメントするのか」に重点を置きました.まずは上級医が診断した疾患や処方した抗菌薬を,論理的に理解する手助けになればと考えています.
 理解の軸として,本書では「感染症トライアングル」と「抗菌薬マップ」を導入しました.感染症を学ぶとき,微生物・抗菌薬・臓器という3つの要素の関係性を常に念頭に置くことが大切です.診断時に感染臓器が特定できなくても,血液培養から得られた微生物情報を起点に臓器を推測するなど,三者のつながりを立体的に考えることで診療がクリアに見えてきます.これが「感染症トライアングル」です.一方で抗菌薬に関しては,立体構造よりも横並びで比較するほうがわかりやすいため,「抗菌薬マップ」を作成しました.地図を思い浮かべるように,抗菌薬の位置関係を頭に描けるようになると,実臨床で抗菌薬を自在に想起できるようになります.
 また本書に関わった執筆陣は「感染症の文化を富士山のすそ野のように全国に拡げたい」という熱い気持ちの持ち主たちで,これまでにもファイザー社の医学教育助成支援を受けて実施した「e-learningとライブ講義を組み合わせた多施設AST支援」を通じて,福島,東京,京都,香川の数多くの施設に教育と支援を行ってきました(2025年3月で終了).その中で特に有用だった内容を盛り込み,若手医師だけでなく,薬剤師・臨床検査技師・看護師など多職種にも役立つ構成にしています.
 感染症診療は,最初はハードルが高く見えても,一定の理解に達すると一気に面白くなります.本書を通じて理解が深まれば,次に手にする感染症の専門書は驚くほどすらすらと読めるはずです.ぜひ本書を入り口として,診療や抗菌薬適正使用活動に活かしてください.
 最後に,皆さんへこの言葉を贈ります.

「感染症診療は感覚ではなく論理だ!」

 その論理の面白さに触れながら,日々の診療の力にしていただければ幸いです.

 本書を作成するにあたり多大なるご尽力を賜りました医学書院の小藤崇広氏に心より感謝申し上げます.

 2025年11月
 中西雅樹

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第I章 感染症診療の原則

第II章 最重要微生物
 本章の構成
 1 黄色ブドウ球菌
 2 コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)
 3 腸球菌
 4 肺炎球菌
 5 溶血性レンサ球菌
 6 セレウス菌
 7 大腸菌
 8 肺炎桿菌
 9 プロテウス属菌
 10 インフルエンザ桿菌(ヘモフィルス菌)
 11 モラクセラ・カタラーリス
 12 セラチア菌(霊菌)
 13 緑膿菌
 14 アシネトバクター属菌
 15 エンテロバクター属菌
 16 シトロバクター属菌
 17 クロストリジウム属菌
 18 ディフィシル菌(CD)
 19 バクテロイデス属菌
 20 カンジダ属菌
 21 アスペルギルス属菌
 22 クリプトコックス属菌
 23 肺炎マイコプラズマ
 24 レジオネラ属菌

第III章 最重要抗菌薬
 0 抗菌薬を学ぶ前に
 1 ペニシリン系抗菌薬
 2 セフェム系抗菌薬
 3 カルバペネム系抗菌薬
 4 モノバクタム系抗菌薬
 5 キノロン系抗菌薬
 6 ST合剤
 7 クリンダマイシン(CLDM)
 8 メトロニダゾール(MNZ)
 9 アミノグリコシド系抗菌薬
 10 マクロライド系抗菌薬
 11 テトラサイクリン系抗菌薬
 12 抗MRSA薬
 13 抗真菌薬
 14 抗菌薬使い分けのまとめ

第IV章 臓器別感染症
 本章の構成
 1 中枢神経感染症(細菌性髄膜炎)
 2 上気道感染症(咽頭扁桃炎)
 3 下気道感染症(市中肺炎)
 4 下気道感染症(院内肺炎)
 5 感染性心内膜炎(自己弁)
 6 胆道感染症(胆管炎)
 7 腸管感染症(虫垂炎)
 8 腸管感染症(CDI)
 9 尿路感染症(複雑性腎盂腎炎)
 10 尿路感染症(前立腺炎)
 11 皮膚軟部組織感染症
 12 化膿性椎体炎
 13 性感染症(クラミジア尿道炎)
 14 カテーテル関連血流感染症(CRBSI)

第V章 微生物検査
 1 微生物検査の流れ──プロローグ
 2 グラム染色──感染の現場を確認し,容疑者を絞り込む
 3 培養検査──容疑者の実体をとらえる
 4 同定検査──容疑者の身元を特定する
 5 薬剤感受性検査──犯人の攻略法を調べ逮捕する
 6 遺伝子検査
 7 抗原・抗体検査
 8 薬剤感受性検査の1管差
 9 外注検査の問題提起

感染症トライアングル一覧
抗菌薬マップ一覧
索引

column
 感染予防対策と抗菌薬適正使用
 微生物検査のおもしろさ
 AST活動で薬剤師のできること
 地域病院における抗菌薬適正使用──認定看護師としての挑戦と連携の輪
 研修医,感染症を学ぶ
 バイオアベイラビリティ
 SBT/ABPCはアシネトバクター感染症に効くの?
 抗C. difficile 薬とプロバイオティクス製剤の併用は有効か?
 抗菌薬と飲酒
 VCM散
 VCMかTEICか
 誤嚥性肺炎の治療の変遷
 黄色ブドウ球菌とペニシリン系抗菌薬
 経験的治療(empiric therapy)と標的治療(definitive therapy)
 検査技師のひとりごと──夢の全自動

感染対策一口メモ(菊地圭介)
 MRSAの感染対策は?
 知らぬ間に拡がるVRE
 リネンの汚染に要注意
 ESBL産生菌の感染対策は?
 洗面台の赤色の正体は?
 院内感染の代表菌
 流水と石鹸による手洗いが必須
 カテーテル感染には要注意
 ほこりの中に潜んでいる
 給湯設備は大丈夫?

感染症「あるある」劇場
 ①「経口スイッチの誤解」
 ②「菌が北斗●拳」
 ③「ESBLって何?」
 ④「溶けるか,溶けないか,それが問題だ」
 ⑤「それ,重症の定義どこいった?」
 ⑥「そのMRSA,ただの住人です」
 ⑦「CTRX落としたけど,落ち着けなかった話」
 ⑧「HIVスクリーニングに焦るな」
 ⑨「ほかがゴミのようだ!」
 ⑩「IGRA陽性でパニクる前に」
 ⑪「表皮ブドウ球菌,なめたらあかん」
 ⑫「オグサワ?」
 ⑬「それ,採血のタイミングです」
 ⑭「DAPの微調整,無理ゲー説」

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