感染症レジデントマニュアル 第3版
これぞ感染症診療のアートとサイエンス!
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感染症診療の基本と最新知見を凝縮した大好評マニュアル、待望の改訂第3版。診療の基本姿勢から疾患各論、原因菌の特徴、抗菌薬選択の考え方までを、最新のエビデンスと豊富な臨床経験の両輪で解説する。グラム染色アトラス、そして身体診察のポイントなど臨床で役立つtipsをまとめた「Memo」もさらに充実。感染症を診る医師にとって最良のパートナーとなる一冊。
| シリーズ | レジデントマニュアル |
|---|---|
| 編集 | 藤本 卓司 / 伊東 直哉 / 寺田 教彦 |
| 発行 | 2025年12月判型:B6変頁:600 |
| ISBN | 978-4-260-05780-6 |
| 定価 | 5,500円 (本体5,000円+税) |
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序文
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第3版の序
初版の発行から21年の月日が流れました。感染症診療のこの約20年をふりかえると,新しい検査方法,新規の薬剤など,いくつも進歩が見られますが,本当に重要な感染症診療の “幹” の部分は何一つ変わっていないと感じます。すなわち,詳細な病歴聴取と身体診察を行って,感染症を発症した臓器を特定し,原因微生物を予想する,その上で適切な検体を得て,グラム染色を行い,ほかの検査の結果も踏まえつつ論理的に薬剤を選択して治療するという一連の流れです。検索エンジンやAIの発達により,目の前の症例から適切なキーワードを抽出することにより,より早く診断や治療に結び付くことも増えたかもしれません。また核酸増幅検査や質量分析器の普及により原因微生物が少し早く同定される進歩もみられました。しかし,感染症診療のアートとも言える診療の根幹は驚くほど変わっていないと思います。
この第3版では,第2版までと同様に,グラム染色のカラーアトラスを巻頭に載せています。写真を増やして,基本10パターン,応用編30項目です。また実際の場面での具体的な方法とコツを本文(第6章)に記しました。グラム染色の魅力は,ほんの10分で簡単かつ迅速に行えること,主要な原因微生物を推測できること,治療の効果判定に使えること,などがまず挙がりますが,実はそれ以上に,純粋に「絵として美しいこと」にあります。読者のみなさんには,ぜひ自分で染める習慣を身に付けていただきたいと思います。きっと顕微鏡のレンズを通して目に映る美しいミクロの世界に魅了されます。
身体診察についても多く記載しました。先人たちが作り上げた身体診察の体系は本当に素晴らしいと思います。感染症診療においても,たくさんの役立つ項目がありますから,読者の皆さんには,それらを1つでも多く習得して実臨床で活かす楽しさをぜひ知っていただきたいと思います。
抗菌薬の選択については,できるだけ狭域スペクトラムの薬剤を選択する初版からのスタンスを堅持しました。耐性菌が増えた現在であるからこそ,可能なかぎり狭域スペクトラムの薬剤を選択する姿勢が求められます。
最後に,この第3版の発行にあたり,その源となる初版の刊行に至るまでの道のりへと導いていただいた沖縄県立中部病院の宮城征四郎先生,喜舎場朝和先生,平良恵貴氏(細菌検査室),初版の執筆を医学書院に推薦していただいた青木眞先生,感染症診療と総合内科領域のさまざまな場面で,私たちのみならず,日本中の多くのジェネラリスト,感染症医が薫陶を賜った松村理司先生に心より感謝を申し上げます。
2025年10月10日
藤本卓司
伊東直哉
寺田教彦
目次
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第3版の序
初版の推薦の序
初版の序
口絵 グラム染色アトラス
グラム染色の手順・鏡検の方法
1 感染症診療にたずさわる前に──医療関連感染予防の基本
2 感染症診療のための基本的アプローチ
3 抗菌薬の選択と投与法についての考え方
4 抗菌薬をいつ変更するか
5 抗菌薬をいつ終了するか
6 グラム染色・鏡検の方法
7 抗酸菌染色・鏡検の方法
8 グラム染色と培養の結果が一致しないとき
9 検体の保存法・血液培養の採取法
10 各種感染症
1.中枢神経系感染症
髄膜炎/脳膿瘍
2.呼吸器感染症
かぜ症候群/急性咽頭炎/急性中耳炎/急性副鼻腔炎/
急性喉頭蓋炎/急性気管支炎/インフルエンザ/
市中肺炎/院内肺炎/人工呼吸器関連肺炎/
高齢者の肺炎/胸水と膿胸/慢性閉塞性肺疾患の急性増悪
3.循環器感染症
感染性心内膜炎/心外膜炎/
血管内カテーテル関連感染症/
ペースメーカー,埋め込み型中心静脈ポートの感染症
4.尿路感染症
単純性膀胱炎/急性腎盂腎炎/急性巣状細菌性腎炎/
カテーテル関連尿路感染症/無症候性細菌尿/
妊婦の尿路感染症/男性の尿路感染症/
腎膿瘍,腎周囲膿瘍/気腫性腎盂腎炎
5.消化器感染症
感染性下痢症/急性虫垂炎/憩室炎/腹膜炎/肝膿瘍/
胆道系感染症/急性膵炎
6.皮膚・軟部組織感染症
蜂窩織炎と丹毒/化膿性筋炎/壊死性軟部組織感染症/
ガス壊疽/糖尿病の足病変/トキシック・ショック症候群
7.骨・関節の感染症
骨髄炎/急性硬膜外膿瘍/腸腰筋膿瘍/化膿性関節炎/
人工関節の感染症
8.性感染症
尿道炎または子宮頸管炎を主徴とする疾患/腟炎/
陰部潰瘍をきたす疾患/尖圭コンジローマ
9.発熱性好中球減少症
10.手術部位感染症
11.結核/非結核性抗酸菌症
I.結核
肺結核/結核性胸膜炎/喉頭結核/リンパ節結核/
粟粒結核/結核性髄膜炎,脳結核/結核性心外膜炎/
結核性腹膜炎/腸結核骨結核/尿路結核/
潜在性結核感染症
II.非結核性抗酸菌症
12.真菌感染症
カンジダ感染症/アスペルギルス感染症/
クリプトコッカス感染症/接合菌症
13.HIV感染症
14.COVID-19
15.渡航感染症
マラリア/デング熱/チクングニア熱/
ジカウイルス感染症/その他
16.野外活動に関連する感染症
ツツガムシ病/日本紅斑熱/
重症熱性血小板減少症候群/レプトスピラ症
11 主な原因菌と第1選択薬
Staphylococcus aureus/
coagulase-negative staphylococci(CNS)/
Streptococcus spp./Streptococcus pneumoniae/
Enterococcus spp./
嫌気性グラム陽性球菌群 Gram-positive anaerobic cocci/
Corynebacterium spp./Clostridium spp./
Moraxella catarrhalis/Neisseria gonorrhoeae/
Acinetobacter spp./Haemophilus influenzae/
Escherichia coli/Proteus mirabilis/
Proteus vulgaris/Klebsiella pneumoniae/
Klebsiella oxytoca/Klebsiella aerogenes/
Enterobacter spp./Citrobacter spp./Serratia spp./
Salmonella spp./Campylobacter spp./
Pseudomonas aeruginosa/
Stenotrophomonas maltophilia/Bacteroides spp.
12 抗菌薬
天然ペニシリン/半合成ペニシリン(アミノペニシリン)/
半合成ペニシリンとβラクタマーゼ阻害剤との合剤/
抗緑膿菌用ペニシリン/超広域ペニシリン/
経口ペニシリン/第1世代セファロスポリン/
第2世代セファロスポリン/第3世代セファロスポリン/
第4世代セファロスポリン/
セファロスポリンとβラクタマーゼ阻害剤との合剤/
経口セファロスポリン/シデロフォアセファロスポリン/
モノバクタム/カルバペネム/アミノグリコシド/
マクロライド/テトラサイクリン/コリスチン/
グリシルサイクリン/クリンダマイシン/
ホスホマイシン/グリコペプチド/オキサゾリジノン/
環状リポペプチド/ST合剤/メトロニダゾール/
キノロン/抗結核薬/非結核性抗酸菌症で使用する薬剤
13 抗真菌薬
ポリエン/ピリミジン/アゾール/キャンディン/
atovaquone(アトバコン)/
14 抗ウイルス薬
抗HSV(単純ヘルペスウイルス)・抗VZV(水痘・帯状疱疹ウイルス)薬/
抗サイトメガロウイルス薬/
抗インフルエンザウイルス薬/抗COVID-19(新型コロナウイルス)薬
15 腎機能障害時における薬剤投与量の調節
16 妊娠および授乳中の抗菌薬投与
17 抗菌薬適正使用プログラム
付録 抗微生物薬 略語→一般名 早見表
索引
Memo
βラクタム薬の長時間あるいは持続投与
培養途中の情報
質量分析法
inoculum effect
グラム染色は“波打ち際”で見る!
グラム染色が米国で廃れた理由 “CLIA88”
好気性菌と嫌気性菌
緑膿菌は嫌気条件でも生きている~硝酸呼吸~
jolt accentuation
耳と眼底の診察
耳鏡
肺の聴診法
喀痰が得られないときの方策
カルバペネムの “落とし穴”
エンピリック治療
de-escalationか? narrow downか?
Skoda's zone
egophony(山羊音)
打診の方法
聴打診法
subpulmonary patternの胸水
胸腔内へのウロキナーゼ投与
crico-sternum
呼吸不全の診かた
心雑音の聴き方
HACEK
菌血症の3分類
感染性心内膜炎(IE)でのアミノグリコシド
奇脈
頸静脈圧(JVP)
心膜摩擦音:3つのphase
S.aureusによる菌血症
尿のグラム染色
105CFU/mlとは?
肋骨脊椎角(CVA)叩打痛
男性の尿路感染症と直腸診
“3日のルール”
比較的徐脈
溶血性尿毒症症候群(HUS)
芽胞とアルコール抵抗性
急性虫垂炎の身体診察
Carnett's徴候
Murphy徴候
Cullen徴候,Turner徴候
P2亢進
S. aureusに対する抗菌薬の選択
buffy coatのグラム染色
糖尿病患者の足の診察
骨髄炎に対する内服治療
腸腰筋の解剖
PIDの身体診察
ドレーンの早期抜去
待機的大腸手術における術前機械的腸管処置+経口抗菌薬
結核の“既感染の再燃”
結核治療における多剤併用療法の理由
高分解能CT(HRCT)による陰影パターン
Candida血症の菌種別比率とFLCZ(フルコナゾール)耐性
眼窩尖端症候群
気管支喘息? と考えたとき,ABPA+α
ペニシリナーゼの確認:zone-edge試験,blaZ遺伝子PCR検査
D-テスト(CLDM:「S」,EM:「R」の場合)
ワルファリンと抗菌薬・抗真菌薬の相互作用




