NANDA-I看護診断 定義と分類 2024-2026 原書第13版
NANDA-I 看護診断のオフィシャルブック最新版
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NANDAインターナショナルで承認された看護診断を収めたハンドブック。56の新しい看護診断を追加、123の看護診断を改訂。診断の軸構造を大幅に改訂し、各診断に一貫した軸値を割り当てた。診断指標は、MeSHの用語を使用することで、明瞭性・一貫性が高まった。アセスメントから適切な看護診断確定までのプロセスについての解説も充実。臨床でのレファレンスに、また看護診断の学習に役立つナース必携の書。
原書編集 | T.ヘザー・ハードマン / 上鶴 重美 / カミラ・タカオ・ロペス |
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訳 | 上鶴 重美 |
発行 | 2025年02月判型:A5頁:720 |
ISBN | 978-4-260-05712-7 |
定価 | 3,630円 (本体3,300円+税) |
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序文
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序
ここ数年間にわたり,私たちは世界中の看護実践に影響を与える多くの変化を目にしてきました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック後もケアの需要の増加は続いている上に,医療従事者の確保やケアにかかる費用は,依然として大きな懸念事項になっています。テクノロジーの進化と専門性の拡大は,病状だけではすべてを説明できない患者ケアの複雑さの一因にもなっています。また,電子カルテの普及に伴って,人工知能(artificial intelligence;AI)関連の動きも急拡大しています。こうした変化により,看護師は臨床,教育,研究の場で,これまで以上に標準化された言語の開発と使用を検討するようになってきました。実際に,看護アセスメントと看護介入と看護アウトカムをいかにうまくリンクさせ文書化すれば,看護ケアの質と安全性の向上につながるのか,大いに吟味する必要があります。また,医療における看護独自の役割と看護が及ぼす影響を明らかにするための,大規模なデータセットの活用方法についても検討する必要があります。言語を標準化することで,看護の可視性が高まり,医療チーム内のコミュニケーションは改善するでしょう。
本書2024-2026年版(第13版)では,56の新しい診断が追加され,分類には277の看護診断を掲載しています。看護診断の一つ一つは,1人ないし複数のNANDA International(NANDA-I)ボランティアから提案されたものであり,確かなエビデンスに基づいています。新しい診断はそれぞれ,診断開発委員会(Diagnosis Development Committee;DDC)から選ばれた第一査読者によるレビュー,またコンテンツの専門家によるブラインドレビューを経て,出版前には提案者の承認を得た上でレビュー結果に基づき,より洗練させています。また,NANDA-I看護診断の軸と軸の用語も改訂しています。新しい看護診断を本書で発表することで,世界のさまざまな地域で検証研究が活発に行われるようになり,より高いレベルのエビデンスが得られることを願っています。すべての学生と研究者にお願いです。看護診断分類のエビデンスをより強固にするために,看護診断に関連する研究結果を必ずNANDA-Iにご提供ください。
NANDA-I用語集は現在,20以上の言語に翻訳されています。この改訂版でも引き続き,米国国立医学図書館(National Library of Medicine)の医学件名標目表(Medical Subject Headings;MeSH)の標準化された用語を取り入れています。これは診断手がかり用語に標準的な定義を提供するためです。MeSHへの対応付けにより,診断手がかり用語の一貫した理解が促進されると同時に,翻訳者の作業も支援されます。
私たちが,既存の診断の継続的な見直しと洗練を推奨しているのは,最新のエビデンスと実践での気づきを反映させるためです。書籍のサイズを小さく保つために,本書のすべての診断を裏付ける文献は,オンラインの補足サイト(www.thieme.com/nanda-i)で提供しています(文献については,p.xiも参照)。もちろん,新しい看護診断の提案も随時受け付けています。診断の提案やコメントの提出方法については,ウェブサイト(https://nanda.org/connect-engage/committees-task-forces/diagnosis-development/)をご覧ください。また,看護知識と看護診断開発に関する進行中または完了した研究を,オンライン研究レジストリ(https://nanda.org/research-registry/)を通じてぜひ共有してください。このレジストリは,同じ関心分野の共同研究に興味がある方々のためのフォーラムでもあります。
学術パートナーであるBoston CollegeとConnell School of Nursingとの戦略的パートナーシップは6年目を迎えています。Dorothy Jones博士の指揮の下,「知識開発と臨床推論のマージョリー・ゴードンプログラム」はこれまでに,ブラジル,イタリア,ナイジェリア,スペインから研究者を迎えました。研究者たちは,標準化された言語の使用をサポートするエビデンスをそれぞれの国で構築し,私たちとのグローバルな協力関係を強固なものにしてくれています。2023年にBoston Collegeで開催された前回の学術集会は,学術団体としての50周年を記念するものでした。今後の学会,教育の機会,博士号取得後の研究者に対する奨学金など,Boston Collegeとのパートナーシップによって可能になるさまざまな展開に期待しています。Jones博士,Katherine Gregory学部長,Christopher Grillo副学部長には,このパートナーシップを実現するためにいただいたご協力,ご尽力に心から感謝申し上げます。
NANDA-Iのすべてのボランティア,委員会メンバー,委員長,理事会役員の皆さまの時間,献身,尽力,継続的な支援に感謝の意を表したいと思います。またNANDA-Iの会員ではないものの,関係する専門分野の看護診断をレビューして改訂に多くの時間を費やしてくださったコンテンツの専門家の皆さまにも感謝申し上げます。さらに,専務理事T.Heather Herdman博士をはじめとする事務局スタッフの皆さまにも,その尽力と支援に対して称賛の意を表します。
本書に掲載している専門用語のレビューと編集に,卓越したタイミングで尽力してくださったDDCと臨床諮問委員会のメンバーの皆さま,特にDDC委員長であるCamila Takáo Lopes博士のリーダーシップには特別の感謝を捧げます。アジア,ヨーロッパ,南米,北米の代表者がこの重要かつ素晴らしい委員会に所属し,NANDA-Iの主要な使命を達成するための不可欠な原動力となっています。このグループは,豊富な専門知識と知識開発に携わる機会を提供しています。この改訂版における驚くほど綿密なボランティア作業には,深く感銘を受けるとともに,本当に嬉しく感じています。皆さまもきっとそうだと確信しています。
世界中の看護師のために尽力している,この組織の理事長として活動できたことを光栄に思います。私たちの活動が今後どのような方向に進んでいくのか楽しみです。
NANDAインターナショナル理事長
ローラ・ロッシ
Laura Rossi, PhD, RN, FNI
目次
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第1部 NANDAインターナショナル分類:アセスメントと診断
1 看護診断の基本
1.1 診断についての簡単な紹介
1.2 学問としての看護
1.3 看護過程
1.4 看護診断の本質:はじめに
1.5 上鶴の看護実践の3部構造モデル
1.6 看護診断の本質:看護概念の知識
1.7 アセスメント
1.8 診断
1.9 記録作成
1.10 計画/実施
1.11 評価
1.12 看護診断の本質:臨床応用
1.13 文献
2 アセスメントから診断へ
2.1 アセスメントの概要
2.2 看護師はなぜアセスメントをするのか?
2.3 スクリーニングアセスメント
2.4 主観的データの収集
2.5 客観的データの収集
2.6 アセスメントの枠組み
2.7 機能的健康パターンのアセスメント枠組み
2.8 詳細アセスメント
2.9 データ分析
2.10 情報のクラスタリング(パターンの把握)
2.11 看護診断候補(診断仮説)の特定
2.12 看護診断候補の確定/否定
2.13 類似した診断の識別
2.14 診断の優先順位づけ
2.15 要約
2.16 文献
第2部 NANDAインターナショナル分類:構造と診断
3 NANDAインターナショナル看護診断分類
3.1 オントロジー,分類,NANDA-I分類法の概要
3.2 看護知識の体系化
3.3 NANDA-I分類法の活用
3.4 NANDA-Iについて簡単に
3.5 NANDA-I看護診断使用に関する国際的留意事項
3.6 看護診断の開発とNANDA-Iへの提出
3.7 用語解説
3.8 文献
4 NANDAインターナショナルの軸構造
4.1 軸構造の概要
4.2 NANDA-I分類法II:多軸システム
4.3 軸の定義
4.4 今後の検討事項
4.5 文献
5 分類内の診断の順序づけ原則
第3部 NANDAインターナショナル分類:最新情報と今後の提言
6 NANDA-I 2024-2026年版の最新情報
6.1 NANDA-I 2024-2026年版の変更点と改訂箇所の概要
6.2 新たな看護診断
6.3 改訂された看護診断
6.4 看護診断名の変更
6.5 削除された看護診断
6.6 新たな診断と改訂された診断への貢献者
6.7 NANDA-I看護診断:診断手がかり用語の標準化
6.8 文献
7 NANDA-I分類の今後の改良点
7.1 研究の優先順位
7.2 洗練と開発の必要な看護診断
7.3 文献
8 診断提出時のエビデンスレベル判定基準 改訂版
8.1 はじめに
8.2 エビデンスと妥当性理論の関係
8.3 NANDA-I看護診断の妥当性のエビデンスレベル
8.4 文献
第4部 NANDA-I看護診断
領域1 ヘルスプロモーション
領域2 栄養
領域3 排泄と交換
領域4 活動/休息
領域5 知覚/認知
領域6 自己知覚
領域7 役割関係
領域8 セクシュアリティ
領域9 コーピング/ストレス耐性
領域10 生命原理
領域11 安全/防御
領域12 安楽
領域13 成長/発達
索引