実践 マタニティ診断 第6版
妊娠期から産後4か月までの対象をどのように観察し診断するのかがわかる書
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本書は、マタニティ診断の定義、看護診断や医学診断との違いを説明した後、妊産褥婦と新生児・乳児をどのようにとらえてどのような診断を行うのかを示している。さらに、事例を通して、問診や観察によって対象者を記録・分析し、診断をして、ケア計画を立案する過程を丁寧に示している。助産に限らず、妊産褥婦や新生児・乳児を対象にしたケアを考えるうえでも参考にしていただけるだろう。
| 編集 | 日本助産診断実践学会 |
|---|---|
| 発行 | 2026年01月判型:B5頁:312 |
| ISBN | 978-4-260-06263-3 |
| 定価 | 4,290円 (本体3,900円+税) |
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序文
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第6版 序
『マタニティ診断ガイドブック』の改訂に伴い,本書も改訂いたしました。今回の改訂のポイントは,妊産褥婦の役割の診断名を追加したこと,分娩期の健康生活診断において特に出産育児行動の診断名を加筆修正したこと,産褥期と産後期の経過診断に「精神的状態」の診断名を加えたことなどがありますが,最も大きなポイントは,産後期に母と児の診断名をまとめていたものを,児の診断名を独立させ,乳児期を新設したことです。これは昨今,産後の母親のメンタルヘルスが重要になってきていることから母親の心身の状態をしっかりとらえつつ,乳児をみる視点を強化することがねらいでした。現在,産後ケアを提供する施設が増加し,助産師が産後1か月以降の母児に接する機会が増えています。今後は病院施設内で妊娠や分娩だけでなく,産後1か月以降の母児をケアするようになっていくと予想されます。なお,乳児の診断名もマタニティ診断の一環として,産後ケアを提供する施設で働く助産師や専門医の意見もいただきながら検討を重ね,事例としては生後2か月の母児を挙げておりますが,産後ケアにおける実践が積み重なるにつれ,さらに検討が必要になるかと思われます。
もう1つ,昨今の変化として,麻酔分娩(無痛・和通分娩)が急速に増加しており,多くの施設が取り入れています。それを踏まえて,本書の分娩期において,麻酔分娩の事例を提示することを考えました。しかし,その方法は施設によりさまざまなとらえ方がなされている一方,妊婦は痛くないお産ということで時として十分な検討を経ないまま選択している現状があります。麻酔分娩時の助産ケアでは,産婦の主体性を大切にしながら,痛みをなくすだけでなく,母親になること,「産む」ということを産婦にどのように体験してもらえばよいのかも考える必要があり,本書で事例として掲載するまでに十分な検討が必要と判断しました。次回の改訂時には,麻酔分娩時の助産過程の展開についても加筆できるように研鑽して参りたいと思います。
本書は,診断名のつけ方,根拠となる資料,そして,診断名から具体的な事例をもとに助産過程の展開をわかりやすく説明しています。助産師が妊産褥婦を的確にとらえてマタニティ診断を確実に行うためには,どのような情報を得る必要があるのか,必要な情報をどこから入手できるのか,得られた情報から根拠をもってどのように判断するのかなどを知っておく必要があります。そのため,本書は診断だけではなく,その手前の情報収集から,情報の分析,診断,さらにケア計画立案までを丁寧に助産師の思考過程を提示し,初心者でも診断過程をたどり,必要なケアを導きだすことができるよう編纂しております。
本書が初心者である学生の学びを深めることはもとより,臨床での事例検討会などで活用されることを願っています。
2025年11月
執筆代表
日本助産診断実践学会理事長 齋藤益子
目次
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第1章 マタニティ診断概論
I マタニティ診断の理解のために
1.マタニティ診断とは
1)マタニティ・サイクル
2)看護診断のタイプとマタニティ診断
2.看護診断と助産診断
1)診断
2)看護診断
3)助産診断
4)産科学的診断とマタニティ診断
5)医学診断と看護診断における共通診断と共同診断の違い
II マタニティ診断のプロセス
1.看護過程と助産過程(マタニティ診断過程)
2.マタニティ診断の診断・実践過程
1)課題・問題の把握(アセスメント)
2)診断名の決定までのプロセス
3.共同診断について
4.共通診断における臨床推論の活用
III マタニティ診断の診断類型
1.看護診断分類におけるマタニティ診断の位置づけ
2.診断類型開発の経緯
3.マタニティ診断の分類(診断類型)
1)経過診断の診断類型
2)健康生活診断の診断類型
IV マタニティ診断の診断名
1.看護診断の構成要素
2.診断名とその表現
3.診断指標
V マタニティ診断とケアの実践・評価
1.診断とケア
2.実践評価
VI 今後の課題と展望
1.課題
2.展望
第2章 妊娠期のマタニティ診断
I 妊娠期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 妊娠期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
3)経過診断に必要な情報
4)健康生活診断に必要な情報
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 妊娠の確定
類型2 分娩予定日・妊娠時期
類型3 妊娠経過
類型4 母体の状態
類型5 胎児の状態
類型6 胎児付属物の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 基本的生活行動
類型2 精神・心理的生活行動
類型3 社会的生活行動
類型4 出産育児行動
III 事例にみる妊娠期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
▪ 順調な経過をたどっている初妊婦(妊娠20週0日)のマタニティ診断とケア計画
▪ 要経過観察・要支援と診断した初妊婦(妊娠34週0日)のマタニティ診断とケア計画
第3章 分娩期のマタニティ診断
I 分娩期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 分娩期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
3)経過診断に必要な情報
4)健康生活診断に必要な情報
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 分娩時期
類型2 分娩開始
類型3 分娩経過
類型4 分娩3要素
類型5 分娩機転(回旋)
類型6 母体の状態
類型7 胎児の状態
類型8 分娩予測
類型9 分娩直後の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 基本的生活行動
類型2 精神・心理的生活行動
類型3 社会的生活行動
類型4 出産育児行動
III 事例にみる分娩期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
▪ 分娩開始5時間後のマタニティ診断とケア計画(正常な経過時)
▪ 陣痛が弱くなった時点のマタニティ診断とケア計画
▪ 陣痛再来から分娩終了までの状態と分娩終了直後のマタニティ診断とケア計画
第4章 産褥期のマタニティ診断
I 産褥期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 産褥期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
3)経過診断に必要な情報
4)健康生活診断に必要な情報
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 産褥日数
類型2 母体の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 基本的生活行動
類型2 精神・心理的生活行動
類型3 社会的生活行動
類型4 出産育児行動
III 事例にみる産褥期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
▪ 順調な経過をたどっている褥婦(産褥3日目)のマタニティ診断とケア計画
▪ 要支援と診断した産褥期(産後2週間)のマタニティ診断とケア計画
第5章 新生児期のマタニティ診断
I 新生児期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 新生児期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 児の日齢
類型2 出生直後の状態
類型3 早期新生児の状態
類型4 新生児の経過
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 養護
類型2 環境
III 事例にみる新生児期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
▪ 良好な経過をたどっている新生児の出生直後のマタニティ診断とケア計画
▪ 乳頭吸着がうまくいかず要支援の診断となった新生児(日齢2日)のマタニティ診断とケア計画
▪ 生理的変化で要経過観察(黄疸)となった新生児(日齢3日)のマタニティ診断とケア計画
第6章 産後期のマタニティ診断
I 産後期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 産後期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
3)経過診断に必要な情報
4)健康生活診断に必要な情報
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 産後の時期
類型2 母体の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 基本的生活行動
類型2 精神・心理的生活行動
類型3 社会的生活行動
類型4 育児行動
III 事例にみる産後期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
▪ 要支援と診断した産後期(産後2か月)のマタニティ診断とケア計画
第7章 乳児期のマタニティ診断
I 乳児期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 乳児期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 児の月齢
類型2 児の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 養護
類型2 環境
III 事例にみる乳児期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.計画診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
▪ 要支援と診断した乳児期(生後2か月)のマタニティ診断とケア計画
索引




