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医療安全ワークブック 第5版

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看護教育のなかでは抜け落ちてしまいやすいものの、知らないと患者に重大な結果をまねきかねない必須の医療安全知識を厳選して解説。着実に進む医療安全対策をふまえて記述を見直すとともに、抗がん薬の事故対策や、胃瘻、人工呼吸器、心電図モニターの管理などを追加し、今日の状況に即した内容にアップデート! 薬剤・機器の写真も最新のものを掲載した。根拠からわかりやすく解説する医療安全の定本第5版。

川村 治子
発行 2024年03月判型:B5頁:244
ISBN 978-4-260-05340-2
定価 3,190円 (本体2,900円+税)

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第5版出版によせて

 このたび念願の第5版を発行することができました。2004年の初版から20年,おかげさまで本書はこれまで,多くの看護学生,臨床の看護師および教育担当者のみなさんに活用していただきました。この場をお借りして,心から御礼を申し上げます。

 本書の初版は,看護師の実際のヒヤリ・ハット(インシデント)の事例をもとに,若年看護師がおかしやすい間違いや遭遇しやすいトラブル・事故に的をしぼって,“どこで,どのような間違い等が,なぜ起き,どう防ぐのか”を具体的に学んでもらう目的で出版しました。事例は1999~2002年に厚生労働省の科学研究費補助金による研究で収集した,全国約200の急性期病院の看護部からいただいた1万事例です。

 本書は4つのUNITで構成されています。最も大きなウェートを占めるUNIT1は,注射や与薬などの診療の補助業務に潜在する間違いや事故の危険をQ&A形式で学ぶものです。UNIT2では注射業務や酸素吸入で必要となる計算とその考え方を学びます。UNIT3ではシーンのイラストを用いて,転倒・転落,摂食中の窒息・誤嚥などの事故防止で必要なリスク感性を養います。そして,UNIT4では漫画形式のイラストで患者・家族とのコミュニケーションのあり方を学びます。いずれのUNITも読者参加型の形式をとっています。
 初版以来の新人看護師に必要な基本的な危険知識に加えて,医療の進歩や患者の高齢化の中で注目すべき事故や新たな事故,さらに製薬・医療機器企業の医療安全の取り組みを反映して変化したものなどを,版を重ねる中で織り込んできました。参考にした資料は,(公財)医療機能評価機構が発出した医療安全情報や年4回刊行の医療事故情報収集等事業の報告書,(独)医薬品医療機器総合機構のPMDA医療安全情報,(公財)テクノエイド協会の調査報告書や事例集などです。

 今回の改訂でのおもな加筆内容は,UNIT1では,医師の抗がん薬投与量の指示間違いにつながる体重・身長測定と電子カルテ入力間違い,インスリンや経口糖尿病薬に関連する事故,PTPシートの誤飲,そのほか胃瘻カテーテルや膀胱留置カテーテル,浣腸,心電図モニター関連の事故を加筆しました。UNIT2では,計算問題を刷新しました。UNIT3では,3シーンを新しいものに入れ替え,ベッド柵や離床センサー,ベッドの昇降リモコンなどが関連する事故,車椅子走行中のトラブルや事故を取り上げました。UNIT4は,内容に変更はありませんが,親近感をもっていただけるようイラストを刷新しました。UNIT3と4はグループワークなどで活用していただければと思っています。第5版も,看護師の卒前・卒後の医療安全教育に少しでもお役に立てば幸いです。

 2023年12月
 川村治子

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第5版出版によせて
初版はじめに

UNIT 1 知らねばならない“危険”の知識
■注射
 SECTION 1 医師の指示を正しく読み取る
       2 間違いがおこりやすい緊急時の口頭指示の指示受け
       3 誤りやすい書き写し,転記ミスに注意
       4 注射の指示変更の際のミスに注意
       5 アンプル・バイアルのラベル情報を正しく読み取る
       6 似た名称・外形の注射薬,同名で注射薬以外の薬剤との間違いに注意
       7 さまざまな単位の注射薬,指示薬剤量の液量換算
       8 薬剤は1規格とは限らない! 規格間違いに注意
       9 2つの薬理作用,さまざまな剤形があるキシロカイン
       10 同名で末尾の番号やアルファベットが異なる輸液剤の間違い
       11 間違いがおこりやすく,重大な結果になりやすいインスリン
       12 カリウム製剤はワンショット静注厳禁
       13 カテコールアミンの投与方法,投与速度に要注意
       14 点滴準備作業の中断,再開時のミスを防ぐ工夫を
       15 患者間違いの防止
       16 ワンショット静注時は投与速度にも注意
       17 さまざまな投与経路の注射薬,投与経路の間違いを防止
       18 正しく使おう三方活栓
       19 静脈穿刺時の神経損傷と静脈留置針による圧迫創傷に注意
       20 中心静脈ラインの接続部の外れで大出血
       21 点滴中の皮下もれによる組織傷害に注意
       22 自然落下の点滴の遅れ,滴下を速める行為にひそむ危険
■ポンプ
 SECTION 1 輸液ポンプを正しく取り扱う
       2 シリンジポンプ事故の防止
       3 急速・過量注入の輸液ポンプ事故──フリーフローに注意
       4 三方活栓開放忘れで閉塞アラーム! いきなり開放は厳禁
       5 複数のポンプ使用時の取り違えに注意
■与薬
 SECTION 1 内服薬処方箋を正しく読み取る
       2 名称・外形が類似した内服薬や外用薬に注意
       3 喘息患者への解熱鎮痛薬・抗炎症薬に注意
       4 経口血糖降下薬の与薬間違いに注意
       5 内服与薬エラーがおこりやすい薬剤や状況
       6 高齢患者のPTPシートの誤飲
■輸血
 SECTION 1 最悪の医療事故,血液型不適合輸血
       2 採血ミスによる血液型不適合輸血
       3 血液製剤の取り違えによる血液型不適合輸血
       4 患者間違いによる血液型不適合輸血
       5 不適合輸血の早期発見のための観察と対応
       6 血液製剤によって異なる保存方法と有効期限
■経管栄養
 SECTION 1 経鼻胃管の挿入と留置における事故防止
       2 胃瘻カテーテル交換時の腹腔内誤挿入事故防止
■チューブの管理
 SECTION 1 チューブ留置患者への対応の原則
       2 中心静脈カテーテル留置中のトラブル防止
       3 人工呼吸器装着患者の気管チューブの抜け,呼吸回路の接続部の外れ
       4 胸腔ドレナージの管理や取り扱い上の注意
       5 膀胱留置カテーテルの事故・トラブルの防止
■検査
 SECTION 1 採血の間違いやトラブル防止
       2 生体検査に関する事故やトラブルの防止
       3 検査移送・検査中の事故やトラブルの防止
       4 MRI検査の事故防止
■酸素
 SECTION 1 酸素ボンベの取り扱いの間違い防止
       2 慢性呼吸不全患者への酸素過量投与の危険
■その他
 SECTION 1 ME機器による感電事故の防止
       2 心電図モニタの送・受信の間違い防止

UNIT 2 看護業務に必要な計算ドリル
 PART 1 ウォーミングアップ
  STEP 1 質量の単位を理解する
       2 容量の単位(液量の単位)を理解する
 PART 2 指示薬物量を液量(mL)に換算して取り出す
  STEP 1 液状注射薬の指示量を液量に換算して取り出す
       2 粉状注射薬の指示量を液量に換算して取り出す
       3 小児用量を希釈して取り出す
 PART 3 投与速度(流量,滴数)の計算
  STEP 1 輸液セット別に滴数を計算する
       2 輸液セットの変更により滴数を変更する
       3 輸液ポンプへの変更で滴数から時間流量を計算する
       4 指示から滴数,流量を計算する
       5 投与量,投与速度指示から流量を計算する
 PART 4 酸素ボンベの残量,使用可能時間を計算する
  STEP 1 酸素ボンベの残圧から残量を計算する
       2 残圧と酸素吸入量からボンベ使用可能時間を計算する

UNIT 3 リスクセンストレーニング
 SCENE 1 夜間のベッドサイドにおける危険
      2 ベッド柵に関する危険
      3 摂食嚥下障害患者への食事介助中の危険
      4 ベッドから車椅子への移乗介助中の危険
      5 車椅子での移動介助中の危険
      6 小児のベッドからの転落の危険
      7 入浴中の患者の転倒・溺水・熱傷の危険
      8 検査台からの転落の危険
      9 排泄介助中の危険

UNIT 4 コミュニケーショントレーニング
 SCENE 1 末期がんの妻への処置を求める夫と看護師の会話
      2 抗がん薬投与中の夫の悪化を心配する妻と看護師の会話
      3 乳幼児を連れた面会家族と看護師の会話
      4 排泄ケアで訪室した看護師と患者の会話
      5 退院を翌日に控えた高齢患者と看護師の会話
      6 急死した患者の家族と看護師の会話
      7 内視鏡検査に関する外来看護師と患者の会話
      8 ベッドサイドでの排泄を求める看護師と進行がん患者の会話

文献
UNIT1 解答と解説
UNIT2 解答と解説
あとがき
索引

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