看護サービス管理 第5版
看護管理学を多角的に学べる書
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本書は、看護サービスの管理を組織マネジメントだけでなく、経済や政策などさまざまな角度からとらえている。さらに、看護サービスの場も病棟のみならず地域(在宅)も含めた広い視野でとらえている。つまり、看護管理学を多角的に学べるようになっている。今回の改訂では、抽象的な理論を具体的に理解できるよう事例を示したり、読者が自ら学べるよう問いを設定したり、知識を身につけられるよう工夫されている。
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- 目次
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序文
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第5版の序
本書は,看護サービス管理を看護専門職が取り組む1つの独立した専門分野として確立させ,看護管理というものについての学術的かつ実践的な展望を広げ,常に動いていく社会のなかで,看護活動を正当に位置づけるための枠組みを提供することをねらいにしています.1998年に初版が発刊されて以降,時代の変化に合わせて改訂を重ねてきました.
2013年の第4版では,看護活動の内部の変化に目を向けた見直しがなされ,組織デザイン,在宅看護,医療現場におけるコミュニケーションなどが新たに加えられました.第4版発刊から5年が経過した今回の改訂にあたっては,社会全般や社会保障制度改革等に伴って生じている保健医療福祉分野のさまざまな変化に適応するために,最新の理論や情報に基づき内容を大幅に加筆しました.
本書は,利用する主な対象者として,現場の看護管理者,あるいは将来看護管理者をめざしている看護師をはじめ,看護学士課程の学生や大学院生を想定しています.看護管理学を学ぶための教科書として,学生にとっても教員にとっても使いやすくなるように,各章の冒頭に「Learning Objectives」を提示し,どのようなことを理解し,どのような行動がとれるようになるかを明示しました.
昨今の教科書は初等,中等,高等問わず,また洋の東西を問わず,フルカラーのものが増えてきました.4色刷りの教科書に慣れた学生が増えていることから,また,本書には図表が多く提示されており,それらをより見やすくするために,これまでの2色刷りから4色刷りに変えています.
また,初版から本書の骨子を作ってこられ,2015年に逝去された故中西睦子先生が,生前,次の改訂の際に検討してほしいという内容を残されており,それを踏まえて以下の2点を各章に組み込みました.
1つ目に,本書の内容には関連する諸理論を積極的に採用していますが,抽象的な説明だけでは学習者がイメージしにくいため,具体的な事例を加えました.看護管理学は,「静的」な学問ではなく,これらを用いてどのように活動するかという「動的」な学問でもあります.理論と身近な具体例とを何度か読むことで,仕事の場面で知識や理論がどのように活用されているかを知り,理解を深めることができるようになると思います.
2つ目に,学習者が単に知識を得るだけでなく,能動的に学習し「考える力」を高めることができるよう,要所要所に「Think for yourself」という問いを設定しました.問いには「考えてみよう」といった本書の内容を思考することを促すだけでなく,「調べてみよう」「分析してみよう」といった学習行動を促すものもあります.それらの問いに挑戦することにより,本書の内容を漠然と理解するだけでなく,自ら学び思考を深めることで知識を身につけるとともに,それらの知識を活用して問題の解決に取り組むマネジメント力を高めることができるでしょう.
私たちは,過去の積み重ねの上に立っていますが,未来は不確実なものです.マネジメントにおいても,未来を考えて意思決定を行う局面に多く接しています.その時々の状況において現象の背後にある本質を見極め行動する能力や,新たな解決策を創造し行動する能力が求められている現在において,これらの問いは学習者が深く学び考え抜く力を育てる助けとなるでしょう.
第5版では,上記のようなさまざまな工夫を凝らし,いっそうの内容の充実をはかりました.本書を手にするすべての人々にとって,看護管理学を興味深く学ぶことのできる教材となれば幸いです.
最後に,「たゆまず構想力を鍛えて,よりよい未来を創りあげよ!」と,看護管理学を学ぶ者たちを鼓舞し続けてくださった故中西睦子先生に心からの感謝を捧げます.
2018年11月1日
小池智子 松浦正子
本書は,看護サービス管理を看護専門職が取り組む1つの独立した専門分野として確立させ,看護管理というものについての学術的かつ実践的な展望を広げ,常に動いていく社会のなかで,看護活動を正当に位置づけるための枠組みを提供することをねらいにしています.1998年に初版が発刊されて以降,時代の変化に合わせて改訂を重ねてきました.
2013年の第4版では,看護活動の内部の変化に目を向けた見直しがなされ,組織デザイン,在宅看護,医療現場におけるコミュニケーションなどが新たに加えられました.第4版発刊から5年が経過した今回の改訂にあたっては,社会全般や社会保障制度改革等に伴って生じている保健医療福祉分野のさまざまな変化に適応するために,最新の理論や情報に基づき内容を大幅に加筆しました.
本書は,利用する主な対象者として,現場の看護管理者,あるいは将来看護管理者をめざしている看護師をはじめ,看護学士課程の学生や大学院生を想定しています.看護管理学を学ぶための教科書として,学生にとっても教員にとっても使いやすくなるように,各章の冒頭に「Learning Objectives」を提示し,どのようなことを理解し,どのような行動がとれるようになるかを明示しました.
昨今の教科書は初等,中等,高等問わず,また洋の東西を問わず,フルカラーのものが増えてきました.4色刷りの教科書に慣れた学生が増えていることから,また,本書には図表が多く提示されており,それらをより見やすくするために,これまでの2色刷りから4色刷りに変えています.
また,初版から本書の骨子を作ってこられ,2015年に逝去された故中西睦子先生が,生前,次の改訂の際に検討してほしいという内容を残されており,それを踏まえて以下の2点を各章に組み込みました.
1つ目に,本書の内容には関連する諸理論を積極的に採用していますが,抽象的な説明だけでは学習者がイメージしにくいため,具体的な事例を加えました.看護管理学は,「静的」な学問ではなく,これらを用いてどのように活動するかという「動的」な学問でもあります.理論と身近な具体例とを何度か読むことで,仕事の場面で知識や理論がどのように活用されているかを知り,理解を深めることができるようになると思います.
2つ目に,学習者が単に知識を得るだけでなく,能動的に学習し「考える力」を高めることができるよう,要所要所に「Think for yourself」という問いを設定しました.問いには「考えてみよう」といった本書の内容を思考することを促すだけでなく,「調べてみよう」「分析してみよう」といった学習行動を促すものもあります.それらの問いに挑戦することにより,本書の内容を漠然と理解するだけでなく,自ら学び思考を深めることで知識を身につけるとともに,それらの知識を活用して問題の解決に取り組むマネジメント力を高めることができるでしょう.
私たちは,過去の積み重ねの上に立っていますが,未来は不確実なものです.マネジメントにおいても,未来を考えて意思決定を行う局面に多く接しています.その時々の状況において現象の背後にある本質を見極め行動する能力や,新たな解決策を創造し行動する能力が求められている現在において,これらの問いは学習者が深く学び考え抜く力を育てる助けとなるでしょう.
第5版では,上記のようなさまざまな工夫を凝らし,いっそうの内容の充実をはかりました.本書を手にするすべての人々にとって,看護管理学を興味深く学ぶことのできる教材となれば幸いです.
最後に,「たゆまず構想力を鍛えて,よりよい未来を創りあげよ!」と,看護管理学を学ぶ者たちを鼓舞し続けてくださった故中西睦子先生に心からの感謝を捧げます.
2018年11月1日
小池智子 松浦正子
目次
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第1章 看護サービス管理とは何か
看護サービス管理とは
1 なぜサービスか
2 ヒト・モノ・カネ・情報という資源
3 組織と管理の一般的概念
4 看護サービス管理の対象
看護をサービスとしてとらえることの意味
1 コンシューマリズムの流れ
2 貨幣経済社会システムからみた看護
3 サービスの消費者としての患者とサービスの質
医療費と看護サービス
1 サービス対価としての医療とその動き
2 質的ニーズの増大は医療費抑制を招く
3 看護経済学の可能性
生産性の高い看護提供システムの構築
1 システムアプローチ
2 情報システムがもたらす空間的・時間的効率性
3 最終的には看護職自身に還元されるシステム
第2章 看護サービス管理の基礎
リーダーシップ・マネジメント
1 リーダーとは
2 リーダーシップ能力
3 リーダーシップスタイル
4 状況別リーダーシップ
モチベーション(動機づけ)
1 マズローの欲求体系理論
2 ハーツバーグの二要因理論
3 強化理論
4 期待理論
5 公平理論
組織の仕組みと機能
1 人間行動の環境としての組織
2 医療における組織
3 組織構造
管理論(さまざまな管理モデル)
1 管理論の歴史的変遷
2 仕事に対する姿勢
3 マネジメント論
4 管理職のアセスメント
組織コミュニケーション
1 組織とは
2 コミュニケーションとは
組織コミュニケーション能力
1 組織コミュニケーション能力の定義
2 組織コミュニケーション能力の考え方
3 組織コミュニケーション能力の向上
看護管理に必要な組織コミュニケーション能力
1 組織コミュニケーションにおける管理者の役割
2 看護管理者に求められる組織コミュニケーションの知識
3 看護管理者に求められる組織コミュニケーション行動
第3章 看護サービス管理の要素とプロセス
看護サービス管理の諸要素
1 マネジメントとは
2 管理者の仕事
3 サービスとは
看護サービス管理のプロセス
1 アセスメント
2 プラニング
3 組織化
4 行動化
5 統制
第4章 日本の医療と介護サービス提供システム
医療経済の仕組み
1 増嵩する国民医療費
2 医療経済をミクロで考える
介護保険制度と看護サービス提供
1 看護職にとって身近になった介護保険制度
2 介護保険制度,介護保険法,介護報酬とは
3 介護保険制度の仕組み
4 介護保険制度の利用手続き
5 介護サービスの種類
6 居宅介護支援/介護支援専門員(ケアマネジャー)とは
7 介護サービス提供における看護配置基準
8 医療保険と介護保険の違い
9 看護サービス管理者に求められるもの
在宅看護におけるマネジメント
1 在宅看護が看護マネジメントにとって重要であるわけ
2 在宅看護の基本的な考え方
看護サービス提供システムの現状と課題
1 看護市場(マーケティング)
2 トランジショナル・ケア
組織デザインとしてのチーム医療
1 限りある人的資源の活用
2 「チームワーク」の質を高める
3 チーム医療の推進
4 チームの組織デザイン
5 「協力の科学」としての医療
6 チーム医療を促進する組織文化の醸成
第5章 看護行政の仕組みと看護政策
看護行政の仕組み
1 看護行政の組織と機能
2 看護政策の展開
政策決定過程と看護職の参画
1 わが国の立法の成立過程
2 診療報酬改定の過程
3 政策決定過程への参加
第6章 看護サービスの質保証
病院機能評価の考え方と仕組み
1 病院機能評価の沿革
2 病院機能評価の仕組み
医療機能評価機構が掲げている課題と評価の視点
1 地域医療の質向上に寄与するためには
2 医療の質改善を促進させるための組織への支援
3 医療の質改善を促進させるための教育
4 評価の視点とその対応方法
看護部門の自己評価
1 看護部理念・目標から評価項目を読み解く
2 サービスの視点からの質評価
3 看護実践と評価
4 トータル・クオリティ・マネジメント(TQM)
患者満足
1 患者満足度に関する研究の始まり
2 患者満足度が注目されてきた背景
3 患者満足度調査
4 医療に求められるサービス
5 患者満足度に影響する要因
看護師の職務満足
1 職務満足に関する研究の背景
2 職務満足はなぜ必要か
第7章 看護サービス管理におけるリスクマネジメント
医療現場のリスクマネジメント
1 リスクマネジメントとは―その歴史とわが国の医療現場への導入
2 システムとしての安全をめざす医療のリスクマネジメント
リスクマネジメントからみた看護事故防止の考え方
1 2群の看護事故における危険要因の主たる所在の違い
2 療養上の世話における事故の防止
3 診療の補助における事故の防止
ヒヤリハット事例(インシデント)のリスクマネジメントへの活用
1 個々事例の分析と活用
2 多数事例の分析と活用
リスクマネジメントにおける看護部門の役割
看護師の労働安全衛生とリスクマネジメント
1 職業感染
2 抗がん剤の曝露
3 放射線の曝露
4 消毒剤グルタルアルデヒドの曝露
5 ラテックスアレルギー
6 患者・家族からの暴力
7 職業性腰痛
8 パワーハラスメント
個人と組織のレジリエンスを高める
第8章 看護と情報管理のシステム
看護サービスの提供と情報管理
1 看護サービス提供のプロセス
2 スタッフナースに必要な情報
3 看護管理者に必要な情報
看護を支援する情報システムの実際
1 求められている看護サービス
2 診療支援システム
3 看護ケアを支援するシステム
4 看護管理を支援するシステム
看護情報システムの課題と展望
1 電子カルテと看護
2 看護実践のための分類基準(標準化の事例)
3 臨床で用いる看護実践用語の標準化
4 臨床看護知識の構造化と再利用
第9章 看護キャリア開発
専門職としての展望
1 専門職とは
2 看護の専門職化(プロフェッショナリゼーション)
3 看護の専門分化
4 専門分化の統合
キャリア開発の方策
1 キャリア開発に関連する用語の整理
2 組織におけるキャリア開発の位置づけ
3 キャリア開発モデル
4 生涯発達の視点
新人看護師教育―プリセプター制度
1 プリセプター制度の歴史
2 わが国のプリセプター制度の特徴
3 プリセプターの役割
4 プリセプター制度をめぐる混乱
5 クリニカルラダーの活用
現任教育におけるキャリア開発―見えにくい看護の知の見える化の方法
1 看護師という道を選択した者としてキャリア開発するという自覚
2 キャリア開発(学習)の2つの方法
3 理論と実践の統合,統合体としての身体(達人レベルの熟達)をもつ専門職
4 認識の発展を促す方法
5 学び続けていく個人として,チームとして,組織として,そして社会とともに
第10章 看護倫理と看護サービス管理
看護職の体験する倫理的ジレンマ
1 看護職のジレンマの特質
2 複雑になった倫理的判断基準
看護サービス管理の場に生じる倫理的問題
1 看護管理者の体験する倫理的ジレンマ
2 管理の場に生じる倫理的問題の例
看護サービス管理の倫理原則と看護管理者の役割
1 看護管理者の役割
2 看護管理者の倫理原則
看護倫理を実現するシステムづくりと組織文化の創造
1 看護倫理教育
2 システムづくり
第11章 看護サービス管理における教育と研究
看護サービス管理における教育
1 看護サービス管理の基礎教育
2 看護管理者の育成と大学院教育
3 看護情報の電子化は研究と教育をどのように変えてきたか
4 ケース・メソッドによる看護管理者教育
看護サービス管理における研究
1 看護サービス管理研究の動向と課題
2 研究成果の看護サービス管理への応用―データを生かす
索引
看護サービス管理とは
1 なぜサービスか
2 ヒト・モノ・カネ・情報という資源
3 組織と管理の一般的概念
4 看護サービス管理の対象
看護をサービスとしてとらえることの意味
1 コンシューマリズムの流れ
2 貨幣経済社会システムからみた看護
3 サービスの消費者としての患者とサービスの質
医療費と看護サービス
1 サービス対価としての医療とその動き
2 質的ニーズの増大は医療費抑制を招く
3 看護経済学の可能性
生産性の高い看護提供システムの構築
1 システムアプローチ
2 情報システムがもたらす空間的・時間的効率性
3 最終的には看護職自身に還元されるシステム
第2章 看護サービス管理の基礎
リーダーシップ・マネジメント
1 リーダーとは
2 リーダーシップ能力
3 リーダーシップスタイル
4 状況別リーダーシップ
モチベーション(動機づけ)
1 マズローの欲求体系理論
2 ハーツバーグの二要因理論
3 強化理論
4 期待理論
5 公平理論
組織の仕組みと機能
1 人間行動の環境としての組織
2 医療における組織
3 組織構造
管理論(さまざまな管理モデル)
1 管理論の歴史的変遷
2 仕事に対する姿勢
3 マネジメント論
4 管理職のアセスメント
組織コミュニケーション
1 組織とは
2 コミュニケーションとは
組織コミュニケーション能力
1 組織コミュニケーション能力の定義
2 組織コミュニケーション能力の考え方
3 組織コミュニケーション能力の向上
看護管理に必要な組織コミュニケーション能力
1 組織コミュニケーションにおける管理者の役割
2 看護管理者に求められる組織コミュニケーションの知識
3 看護管理者に求められる組織コミュニケーション行動
第3章 看護サービス管理の要素とプロセス
看護サービス管理の諸要素
1 マネジメントとは
2 管理者の仕事
3 サービスとは
看護サービス管理のプロセス
1 アセスメント
2 プラニング
3 組織化
4 行動化
5 統制
第4章 日本の医療と介護サービス提供システム
医療経済の仕組み
1 増嵩する国民医療費
2 医療経済をミクロで考える
介護保険制度と看護サービス提供
1 看護職にとって身近になった介護保険制度
2 介護保険制度,介護保険法,介護報酬とは
3 介護保険制度の仕組み
4 介護保険制度の利用手続き
5 介護サービスの種類
6 居宅介護支援/介護支援専門員(ケアマネジャー)とは
7 介護サービス提供における看護配置基準
8 医療保険と介護保険の違い
9 看護サービス管理者に求められるもの
在宅看護におけるマネジメント
1 在宅看護が看護マネジメントにとって重要であるわけ
2 在宅看護の基本的な考え方
看護サービス提供システムの現状と課題
1 看護市場(マーケティング)
2 トランジショナル・ケア
組織デザインとしてのチーム医療
1 限りある人的資源の活用
2 「チームワーク」の質を高める
3 チーム医療の推進
4 チームの組織デザイン
5 「協力の科学」としての医療
6 チーム医療を促進する組織文化の醸成
第5章 看護行政の仕組みと看護政策
看護行政の仕組み
1 看護行政の組織と機能
2 看護政策の展開
政策決定過程と看護職の参画
1 わが国の立法の成立過程
2 診療報酬改定の過程
3 政策決定過程への参加
第6章 看護サービスの質保証
病院機能評価の考え方と仕組み
1 病院機能評価の沿革
2 病院機能評価の仕組み
医療機能評価機構が掲げている課題と評価の視点
1 地域医療の質向上に寄与するためには
2 医療の質改善を促進させるための組織への支援
3 医療の質改善を促進させるための教育
4 評価の視点とその対応方法
看護部門の自己評価
1 看護部理念・目標から評価項目を読み解く
2 サービスの視点からの質評価
3 看護実践と評価
4 トータル・クオリティ・マネジメント(TQM)
患者満足
1 患者満足度に関する研究の始まり
2 患者満足度が注目されてきた背景
3 患者満足度調査
4 医療に求められるサービス
5 患者満足度に影響する要因
看護師の職務満足
1 職務満足に関する研究の背景
2 職務満足はなぜ必要か
第7章 看護サービス管理におけるリスクマネジメント
医療現場のリスクマネジメント
1 リスクマネジメントとは―その歴史とわが国の医療現場への導入
2 システムとしての安全をめざす医療のリスクマネジメント
リスクマネジメントからみた看護事故防止の考え方
1 2群の看護事故における危険要因の主たる所在の違い
2 療養上の世話における事故の防止
3 診療の補助における事故の防止
ヒヤリハット事例(インシデント)のリスクマネジメントへの活用
1 個々事例の分析と活用
2 多数事例の分析と活用
リスクマネジメントにおける看護部門の役割
看護師の労働安全衛生とリスクマネジメント
1 職業感染
2 抗がん剤の曝露
3 放射線の曝露
4 消毒剤グルタルアルデヒドの曝露
5 ラテックスアレルギー
6 患者・家族からの暴力
7 職業性腰痛
8 パワーハラスメント
個人と組織のレジリエンスを高める
第8章 看護と情報管理のシステム
看護サービスの提供と情報管理
1 看護サービス提供のプロセス
2 スタッフナースに必要な情報
3 看護管理者に必要な情報
看護を支援する情報システムの実際
1 求められている看護サービス
2 診療支援システム
3 看護ケアを支援するシステム
4 看護管理を支援するシステム
看護情報システムの課題と展望
1 電子カルテと看護
2 看護実践のための分類基準(標準化の事例)
3 臨床で用いる看護実践用語の標準化
4 臨床看護知識の構造化と再利用
第9章 看護キャリア開発
専門職としての展望
1 専門職とは
2 看護の専門職化(プロフェッショナリゼーション)
3 看護の専門分化
4 専門分化の統合
キャリア開発の方策
1 キャリア開発に関連する用語の整理
2 組織におけるキャリア開発の位置づけ
3 キャリア開発モデル
4 生涯発達の視点
新人看護師教育―プリセプター制度
1 プリセプター制度の歴史
2 わが国のプリセプター制度の特徴
3 プリセプターの役割
4 プリセプター制度をめぐる混乱
5 クリニカルラダーの活用
現任教育におけるキャリア開発―見えにくい看護の知の見える化の方法
1 看護師という道を選択した者としてキャリア開発するという自覚
2 キャリア開発(学習)の2つの方法
3 理論と実践の統合,統合体としての身体(達人レベルの熟達)をもつ専門職
4 認識の発展を促す方法
5 学び続けていく個人として,チームとして,組織として,そして社会とともに
第10章 看護倫理と看護サービス管理
看護職の体験する倫理的ジレンマ
1 看護職のジレンマの特質
2 複雑になった倫理的判断基準
看護サービス管理の場に生じる倫理的問題
1 看護管理者の体験する倫理的ジレンマ
2 管理の場に生じる倫理的問題の例
看護サービス管理の倫理原則と看護管理者の役割
1 看護管理者の役割
2 看護管理者の倫理原則
看護倫理を実現するシステムづくりと組織文化の創造
1 看護倫理教育
2 システムづくり
第11章 看護サービス管理における教育と研究
看護サービス管理における教育
1 看護サービス管理の基礎教育
2 看護管理者の育成と大学院教育
3 看護情報の電子化は研究と教育をどのように変えてきたか
4 ケース・メソッドによる看護管理者教育
看護サービス管理における研究
1 看護サービス管理研究の動向と課題
2 研究成果の看護サービス管理への応用―データを生かす
索引
書評
開く
定番のテキストだからこそ長く学べる
書評者: 青山 ヒフミ (甲南女大教授・看護管理学)
看護管理学を学ぶためのテキストとして,定番になっている『看護サービス管理』の第5版が発行されたのをご存じだろうか。明るい水色の表紙で,今までのものとずいぶん感じが違っている。
20年余り前,1998年に初版が出たとき,『看護サービス管理』というタイトルの斬新さに驚いた記憶がある。なぜサービスという語を,わざわざ看護管理の間に挿入するのか。その疑問に関連し,本書の骨子を作られた故中西睦子先生は,こう述べておられる。「本書のねらいは,看護サービス管理を看護専門職が取り組む1つの独立した専門分野として確立させ,看護管理というものについての展望を広げ,看護活動をつねに動いていく社会のなかで正当に位置づけるための枠組みを提供することである」。中西先生のねらいというか,読みは正しく先を見通していたと思える。本書は,看護管理を学ぶさまざまな立場の人々に受け入れられ,版を重ね現在の第5版に至っている。
今回改訂された第5版で,全面的に書き直された「第9章 看護キャリア開発」の現任教育の項を特に紹介したい。タイトルは「現任教育におけるキャリア開発―見えにくい看護の知の見える化の方法」(担当:陣田泰子氏)である。看護の基本的原理である「看護は実践の科学である。実践は認識に導かれる」という,後半の意外に認識されていないフレーズから,実践を導く認識の重要性を述べ,その広がりと深まりを促す方法「看護経験の概念化」について詳細に言及している。また,臨床の中で継続して行うことができる概念化の一つの方法として,ストーリー法が紹介され,個人,チーム,実践共同体の各段階での実践と,現任教育としての活用の可能性を述べている。
初版以来,本書を看護管理学の授業や研修時のテキスト,参考書として活用しているが,その際,実際に使うのは内容の一部だけである。ただ,そのときの受講生に伝えるのは,今後看護管理に関し,わからない用語・理論が出てきたとき,あいまいな知識を確かめたいときに,辞書のように読み,確かめる使い方をしてほしいと。
若いころ上司から言われた言葉で,今も折にふれ思い出す言葉がある。「仕事はあなたを支えてくれます。学ぶことはあなたの仕事を支えてくれます」。良書もあなたの仕事を支えてくれます。
書評者: 青山 ヒフミ (甲南女大教授・看護管理学)
看護管理学を学ぶためのテキストとして,定番になっている『看護サービス管理』の第5版が発行されたのをご存じだろうか。明るい水色の表紙で,今までのものとずいぶん感じが違っている。
20年余り前,1998年に初版が出たとき,『看護サービス管理』というタイトルの斬新さに驚いた記憶がある。なぜサービスという語を,わざわざ看護管理の間に挿入するのか。その疑問に関連し,本書の骨子を作られた故中西睦子先生は,こう述べておられる。「本書のねらいは,看護サービス管理を看護専門職が取り組む1つの独立した専門分野として確立させ,看護管理というものについての展望を広げ,看護活動をつねに動いていく社会のなかで正当に位置づけるための枠組みを提供することである」。中西先生のねらいというか,読みは正しく先を見通していたと思える。本書は,看護管理を学ぶさまざまな立場の人々に受け入れられ,版を重ね現在の第5版に至っている。
今回改訂された第5版で,全面的に書き直された「第9章 看護キャリア開発」の現任教育の項を特に紹介したい。タイトルは「現任教育におけるキャリア開発―見えにくい看護の知の見える化の方法」(担当:陣田泰子氏)である。看護の基本的原理である「看護は実践の科学である。実践は認識に導かれる」という,後半の意外に認識されていないフレーズから,実践を導く認識の重要性を述べ,その広がりと深まりを促す方法「看護経験の概念化」について詳細に言及している。また,臨床の中で継続して行うことができる概念化の一つの方法として,ストーリー法が紹介され,個人,チーム,実践共同体の各段階での実践と,現任教育としての活用の可能性を述べている。
初版以来,本書を看護管理学の授業や研修時のテキスト,参考書として活用しているが,その際,実際に使うのは内容の一部だけである。ただ,そのときの受講生に伝えるのは,今後看護管理に関し,わからない用語・理論が出てきたとき,あいまいな知識を確かめたいときに,辞書のように読み,確かめる使い方をしてほしいと。
若いころ上司から言われた言葉で,今も折にふれ思い出す言葉がある。「仕事はあなたを支えてくれます。学ぶことはあなたの仕事を支えてくれます」。良書もあなたの仕事を支えてくれます。