看護の統合と実践[2]
医療安全 第5版

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  • 看護技術を臨床で活用するにあたって不可欠な「安全」の視点から、必ず配慮しなければならないポイントを整理したテキストです。
  • まず看護事故の構造を学び、そうした事故を未然に防ぐための基本的な考え方を示しています。つづいてその考え方にそって、診療の補助業務(注射・輸血・内服与薬・経管栄養)、療養上の世話業務(転倒転落・誤嚥・異食の防止など)それぞれにおける事故防止の具体的な方策を整理しています。
  • ミスを誘発しやすい多重課題の特徴と対応、タイムプレッシャーや業務途中の中断、さまざまな場面でみられる患者間違いなどを横断的に整理し、エラーを防ぐポイントを示しています。また、職業感染や放射線被曝など、看護師自身の安全にかかわる業務上のリスクと対応についても簡潔に整理しています。新人看護師に求められる医療安全の具体的な知識を系統的に理解することができます。
  • 第5版では「地域における在宅療養者の安全」を新設しました。訪問看護師が行う医療行為における事故防止や、服薬支援と薬剤の管理、家庭内の転倒・転落・火災事故の防止などについて、実際に事故が起きた状況から事故を防ぐ方法を学びます。
  • 『医療安全ワークブック』を副教材として併用することで、学生に意識されにくいものの、知っておかないと臨床で重大な結果をまねきかねない必須知識の定着が促されます。
  • 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座-専門分野
川村 治子
発行 2023年01月判型:B5頁:288
ISBN 978-4-260-05036-4
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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    2023.04.06

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はしがき

第5版に寄せて
 わが国で医療安全への取り組みが始まったのは1999年のことです。この年,高度な医療を提供する病院で確認ミスによる重大事故が相ついで発生し,医療事故が社会問題化したことがきっかけでした。厚生労働省はすみやかに医療安全対策検討会議を立ち上げ,今後のわが国の医療安全対策の指針ともいうべき報告書「医療安全推進総合対策」を取りまとめました。この報告書では,重要な4つの対策分野の1つに医療安全の教育研修をあげ,卒前の医療安全教育においては,医療行為,医薬品,医療器具,患者に存在する危険を認識する能力を個々の医療者がもつことの重要性,および医療安全の観点から「してはならないこと」と「するべきこと」,そしてその根拠・理由も含めて教育する必要性を指摘しています。本書の初版はそうした指摘にそって,2005年に看護基礎教育での医療安全教育に資する目的でまとめたものです。そのもとになったのは,著者が厚生労働科学研究費補助金により行った看護のヒヤリ・ハット1万事例の研究です。1万事例は,全国約200病院の看護部が協力して提供してくださったものです。
 本書の特徴は,まず,総論として看護業務を事故の視点で医療行為との関連で診療の補助と療養上の世話の2種,さらに診療の補助では,医療行為への看護師のかかわり方で3群,療養上の世話では事故発生時の看護師の介入の有無で2群,計5群,つまり2種5群に整理し,看護事故を構造化したことです。そして,この看護事故の構造分類に基づき,「してはならないこと」と「するべきこと」という2つの事故防止の視点で,看護事故防止の考え方を整理したことです。看護師は他の医療職と異なり,特性と形態を異にする多様な業務を担当しています。この業務の多様さが,看護事故の多様さに反映され,事故の発生要因とその防止についての理解を困難にしていると考えたからです。
 次に,各論として,診療の補助では注射,輸血,内服与薬など6種の事故を取り上げ,業務のどこでどのような間違いがなぜおきるのか,また,療養上の世話では,転倒や誤嚥など4種の事故を取り上げ,介助方法や療養環境のどこに事故の危険があるかを具体的に示しました。さらに,業務領域をこえて共通するコミュニケーションの問題や新人独特の危険な認知行動特性,エラー発生を助長する多重課題やタイムプレッシャーなどがどのように間違いを誘発させるかも具体的に示しました。これらはすべて,ヒヤリ・ハット1万事例の事実をもとにしたものです。確認・注意するといった抽象的な事故防止ではなく,業務や患者,療養環境に存在する危険を具体的に認識することこそが事故防止に役だつと考えたからです。
 今回の第5版でのおもな改訂点は,新たに第6章に「地域における在宅療養者の安全」を加えたことです。国・自治体は団塊の世代の全員が後期高齢者に移行する2025年をめどに,地域包括ケアシステムの構築を進めています。在宅療養者の医療を支え,医療と介護をつなぐ重要な役割を果たす訪問看護師の活動を想定して,在宅療養者への安全な医療・看護ケアの提供と家庭での事故防止のために取り上げました。そのほかでは,第7章の「看護師の労働安全衛生上の事故防止」に,腰痛や新興感染症,訪問看護での暴力についても追加しました。第5版を入院患者の医療安全のみならず,在宅療養者の安全のためにも役だてていただければと思います。
 今回,幾度かの新型コロナウイルス感染拡大による制約を受け,改訂作業も順調にはいきませんでした。現在,社会は「ウィズコロナ」の新たな日常に向かって進んでいますが,思いおこすと,看護師は,この未曾有の健康危機にしなやかに適応し,組織内の感染管理,入院感染者の診療・看護,在宅療養者への訪問看護,宿泊療養者の病状観察や地域のワクチン接種の支援など,強い責任感で大きな役割を果たしてきました。看護学生の皆さんにも,コロナ禍でさまざまな困難があったと思いますが,気概をもって看護師の道を進んでほしいと願っています。

 2022年10月
 川村治子

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序章 医療安全を学ぶことの大切さ
  A 人はなぜ間違いをおかすのか
  B 医療安全を学ぶことの意義
  C 看護師の責任の重さと安全努力の責務
  D 本書の構成

第1章 事故防止の考え方を学ぶ
  A 医療事故と看護業務
  B 看護事故の構造
  C 看護事故防止の考え方

第2章 診療の補助の事故防止
 I 患者に投与する業務における事故防止
  A 注射業務と事故防止
  B 輸液ポンプ・シリンジポンプの事故防止
  C 輸血業務と事故防止
  D 内服与薬業務と事故防止
  E 経管栄養業務と事故防止
 II 継続中の危険な医療行為の観察・管理における事故防止
  A チューブ管理と事故防止

第3章 療養上の世話の事故防止
  A 転倒・転落事故防止
  B 摂食中の窒息・誤嚥事故防止
  C 異食事故防止
  D 入浴中の事故防止

第4章 業務領域をこえて共通する間違いと発生要因
  A 業務領域をこえて共通する患者間違い
  B 間違いを誘発する負荷状況
  C 新人特有の危険な思い込みと行動パターン

第5章 医療安全とコミュニケーション
  A チーム医療におけるコミュニケーションの重要性
  B 安全な医療・看護のための医療職間のコミュニケーション
  C 安全な医療・看護のための患者・家族とのコミュニケーション

第6章 地域における在宅療養者の安全
  A 訪問看護師が行う医療行為における事故防止
  B 気管切開下陽圧換気療法と在宅酸素療法での安全
  C 服薬支援と薬剤の管理
  D 家庭内の転倒・転落と火災・熱傷・ガスもれ事故防止

第7章 看護師の労働安全衛生上の事故防止
  A 職業感染
  B 抗がん剤の曝露
  C 放射線被曝
  D ラテックスアレルギー
  E 腰痛
  F 病院および訪問看護での暴力

第8章 組織的な安全管理体制への取り組み
  A 組織としての医療安全対策
  B システムとしての事故防止の具体例
  C 重大事故発生時の医療チームおよび組織の対応

第9章 医療安全対策の国内外の潮流
  A わが国の医療安全対策の潮流
  B 国外の医療安全対策の潮流と国際的連携
  C 産業界から学ぶ――ヒューマンファクターズの取り入れ

参考文献
研究報告書
索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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