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異常値の出るメカニズム 第8版

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検査値が異常になるメカニズムの理解に焦点をあてた臨床検査の教科書。日常診療で広く使われる検査や、患者に負担の少ない検査から得られる医療情報を資源として病態の実情をとらえ、診療に活かす方策に到達するための知識と考え方を提供する。第8版では全体を再点検し、基本的検査と二次的検査の線引きを排し順序や解説量でメリハリをつけ、ページを増量した。医学生、研修医、臨床検査技師、生涯学習を続ける医療関係職向け。

編集 山田 俊幸 / 本田 孝行 / 小谷 和彦
発行 2024年03月判型:B5頁:352
ISBN 978-4-260-05385-3
定価 6,820円 (本体6,200円+税)

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第8版 序

 本書の初版編者である河合忠博士が臨床検査医学の教育手法として実践したものにRCPC(reversed clinico-pathological conference)がある.簡単に説明すると,症例の病態を解析する際に,実臨床では臨床検査に先立って行われる問診,診察などから得られる情報をあえてマスクし,基本的な臨床検査データのみを提示して,病態を推理させ,追加すべき検査を提案させるものである.個々の臨床検査項目への理解度が深まる優れた教育手法である.
 筆者もこれを学生教育に取り入れているが,よく経験することに,「ALTが少し高いので肝障害を疑います」と答える学生が少なからず存在する.これには2つのことをこちらから問い返す.肝障害という表現は適切なのか(何の障害なのか),1つの検査で肝障害と直接的に言っていいのか,である.「ALTは肝細胞内に比較的多く存在するので,肝細胞のダメージが疑われる,ただし肝細胞以外にも存在するので,他の逸脱酵素も参考にして考えると…」などと答えてくれるとこちらとしては嬉しくなる.肝細胞の細胞質に存在するALTが肝細胞膜の障害によって血中に逸脱することで血清活性が高くなる,というメカニズムの理解があってこその回答である.実臨床はスピードが求められるので,ALT=肝障害との判断で進めることになろうが,メカニズムの理解があるかないかでは,診療の深みが違ってくると思われる.
 本書は,検査値が異常になるメカニズムに焦点をあてた臨床検査の教科書である.有難いことに多くの支持を得て,5年ごとに改訂を重ね,今回は第8版をお届けする.
 第7版では,スタイルの変更を行ったが,今版では全体的に見直し,例えば基本的検査と二次的検査を明確に分けていたものを,今版ではその線引きを排し,順序やボリュームでアクセントをつけた.また前版では,それまでページ数が増加する一方であったためスリム化を行ったが,スリム過ぎるとのご意見をいただいたため,今版は記載を厚くした部分があり,全体として前版よりややページ増になっている.これらの改変が歓迎されることを期待したいが,内容に関するご意見は次版の参考にさせていただきたく,ぜひお願いしたい.
 前版から本書には「KAWAI's LABORATORY MEDICINE」と副題をつけている.引き続き臨床検査医学を学ぶ医学科,検査技術科の学生はもとより,多くの医療関係者に愛用していただけたら幸いである.

 2024年3月
 編者を代表して 山田俊幸

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1章 末梢血液一般検査
 1 総論
 2 全血球算定(CBC)
 3 赤血球
 4 赤血球沈降速度(赤沈)
 5 赤血球酵素検査
 6 赤血球浸透圧抵抗試験
 7 白血球
 8 フローサイトメトリー(表面マーカー検査)
 9 骨髄像

2章 血栓止血検査
 1 総論
 2 血小板検査
 3 プロトロンビン時間(PT)
 4 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
 5 フィブリノゲン
 6 フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)
 7 凝固系検査
 8 線溶系検査

3章 含窒素成分,生体色素の検査
 1 総論
 2 含窒素成分の検査
 3 尿素窒素(尿素)
 4 クレアチニン
 5 尿酸
 6 アンモニア
 7 血清ビリルビン

4章 血漿蛋白の検査
 1 総論
 2 血清総蛋白
 3 アルブミン
 4 血清蛋白分画
 5 C反応性蛋白(CRP)と炎症マーカー
 6 免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM)定量
 7 M蛋白関連検査
 8 クリオグロブリン
 9 β2-ミクログロブリン
 10 栄養指標蛋白
 11 KL-6
 12 可溶性IL-2レセプター
 13 フェリチン

5章 酵素検査
 1 総論
 2 ASTとALT
 3 乳酸脱水素酵素(LD)
 4 アルカリホスファターゼ(ALP)
 5 γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GT)
 6 クレアチンキナーゼ(CK)
 7 アミラーゼ(AMY)
 8 コリンエステラーゼ(ChE)
 9 リパーゼ
 10 アイソザイム検査
 11 心筋傷害マーカー
 12 心筋ストレスマーカー:BNPとANP
 13 肝線維化マーカー

6章 糖代謝関連検査
 1 総論
 2 血糖と経口糖負荷試験
 3 ヘモグロビンA1c(HbA1c)
 4 インスリンとCペプチド
 5 HbA1c以外の糖尿病コントロールマーカー
 6 糖尿病関連自己抗体検査
 7 糖尿病の合併症関連検査
 8 糖代謝産物とその他の糖
 9 グルカゴンと負荷試験

7章 脂質代謝関連検査
 1 総論
 2 総コレステロールとLDLコレステロール
 3 トリグリセライド
 4 HDLコレステロール
 5 アポ蛋白
 6 リポ蛋白関連検査
 7 リポ蛋白代謝の主要酵素群
 8 血中脂肪酸分画

8章 電解質
 1 総論
 2 ナトリウム(Na)とクロル(Cl)
 3 カリウム(K)
 4 カルシウム(Ca)
 5 無機リン(P)
 6 マグネシウム(Mg)

9章 酸塩基平衡
 1 総論
 2 酸塩基平衡異常
 3 酸塩基平衡検査データの読み方
 4 動脈血液ガス測定
 5 動脈血酸素分圧(PaO2

10章 免疫・アレルギー検査
 1 総論
 2 関節リウマチの検査(RF,ACPA,MMP-3)
 3 抗核抗体
 4 補体
 5 輸血検査
 6 IgEとアレルゲン特異的IgE抗体
 7 各種自己抗体の検査
 8 抗赤血球抗体
 9 寒冷凝集素
 10 Donath-Landsteiner抗体
 11 細胞性免疫の検査

11章 腫瘍マーカー検査
 1 総論
 2 CEA
 3 AFP
 4 PSA
 5 CA19-9
 6 その他の主な腫瘍マーカー

12章 ホルモン検査
 1 総論
 2 視床下部・下垂体ホルモン
 3 甲状腺刺激ホルモンと甲状腺ホルモン
 4 副腎皮質刺激ホルモン,副腎皮質ホルモン(コルチゾール)
 5 成長ホルモン
 6 プロラクチン
 7 性腺刺激ホルモン,性(腺)ホルモン
 8 抗利尿ホルモン
 9 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン
 10 カテコールアミン
 11 ナトリウム利尿ペプチド
 12 副甲状腺ホルモン

13章 尿・便・分泌液検査
 1 総論
 2 尿の観察
 3 尿比重と尿浸透圧
 4 尿pH(尿水素イオン濃度)
 5 尿潜血と血尿
 6 尿蛋白総論
 7 尿中蛋白定量
 8 尿糖(尿グルコース)
 9 尿ケトン体
 10 尿胆汁色素
 11 尿亜硝酸塩と白血球反応
 12 尿沈渣(尿中有形成分測定を含む)
 13 尿電解質
 14 尿アミノ酸
 15 尿妊娠反応検査(尿排卵予知検査を含む)
 16 便潜血検査
 17 糞便の寄生虫・原虫

14章 穿刺液・髄液検査
 1 総論
 2 漿液検査
 3 髄液検査
 4 関節液検査

15章 感染症の検査
 1 総論
 2 細菌感染症
 3 真菌感染症
 4 ウイルス感染症

16章 遺伝子検査
 1 総論
 2 核酸増幅検査
 3 染色体検査(in situ ハイブリダイゼーション検査を含む)

17章 検査値を適切に利用するために
 1 検査値の基礎
 2 検査値に影響を与える因子
 3 試料採取と取り扱いによる影響

本書で使用した主な略語
和文索引
欧文索引

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