黒田裕子の
看護研究 Step by Step 第6版

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今日の看護研究に求められる知識の全体像を、研究指導の経験豊富な著者が語りかけるように解説! 一見「高度」と思われる内容であっても、著者自らの体験や研究指導のなかで遭遇した事例をふんだんに用いながら解説しているため、実際のイメージをもちながら理解できる点が本書の特徴。近年の急速な看護研究の進歩を反映し、質的研究、研究デザイン、研究計画、研究倫理、新しい研究など最新の動向が示され、記述もさらに充実。

黒田 裕子
発行 2023年02月判型:B5頁:392
ISBN 978-4-260-05265-8
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

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第6版の序

 2017年11月に株式会社医学書院から第5版を出版させていただいてから約5年が経ちました.2022年7月の時点で,看護系大学数は295校,大学院の修士課程数は200校に迫り,博士課程数は100校を優に超えています.この10年間で著しく増加しました.また臨床の多様な現場では,専門看護師や認定看護師が高度な実践を先導し,専門看護師総数は3,616名に,認定看護師総数は22,000名を超えています.
 このような背景を受け,看護教育や臨床のさまざまな実践の場における看護研究のニードも年々高まっており,現在膨大な数の看護研究が行われている現状にあります.

 本書は,1997年に初版を発刊以来,約25年の長きにわたって,実に多くの読者に活用していただきました.改版にあたっては,不十分な箇所はありますが,できる限り最新の内容へと刷新するように心がけてきました.第6版で新たに取り入れた内容の概要を紹介しておきます.

第1章「エビデンスに基づく看護実践をめざす看護研究」
 随所にある定義等の引用を,最新版であるGray, J.R., & Grove, S.K.(2021).『Burns & Grove’s the practice of nursing research; appraisal, synthesis, and generation of evidence(9th ed.)』へと内容を刷新しました.また,研究エビデンスを統合するために使用されるプロセスの表,エビデンス・レベルの図,EBPのモデル図をGray & Grove(2021)を参照し刷新しました.
第3章「看護研究における倫理」
 国際看護師協会(International Council of Nurses,以下ICN)の「ICN看護師の倫理綱領」の2021年版小冊子には,ICN看護師の倫理綱領の基本領域別の適用方法,ICN看護師の倫理綱領の活用方法などが収められていることを紹介しました.さらに,2021年3月に公表された日本看護協会の「看護職の倫理綱領」から看護職の倫理綱領の16項目を紹介しました.
第4章「研究にとって欠かせない文献検索と文献検討」
 最新の医中誌Webへと内容を刷新しました.さらに,文献検討の実際の2つの例証を最新の内容へと刷新しました.これに伴って,「文献検討」の結果をまとめておくための実際例の2つの表も刷新しました.
第5章「看護研究の方法を理解しよう」
 最新版のGray & Grove(2021)から量的な研究方法と質的な研究方法の特徴の表を刷新しました.
第6章「量的なアプローチの研究デザイン」
 量的なアプローチの研究デザインを考えるうえで有用なフローチャートの図をGrove, Burns, & Gray/黒田,中木,逸見(2013/2015)を参照して修正し,これに伴って本文も修正しました.さらに量的記述的デザインのアルゴリズムの図は削除しました.
第7章「多様な量的なアプローチの研究方法をみてみよう!」
 無作為化比較試験の研究例証を2つの新しい研究例証へと刷新しました.
第13章「研究計画書を作成する」
 研究助成団体の例証の表を刷新しました.
第15章「量的なアプローチの研究を科学的な視点でクリティークする」
 新しい研究論文を対象として,Grove, Burns, & Gray/黒田,中木,逸見(2013/2015)
の量的研究のための批判的評価プロセスのステップII:研究の長所と短所を決定することのガイドラインを用いて,クリティークを行いました.
第16章「質的なアプローチの研究を科学的な視点でクリティークする」
 新しい研究論文を対象として,Grove, Burns, & Gray/黒田,中木,逸見(2013/2015)の質的研究のための批判的評価ガイドラインを用いて,クリティークを行いました.
第17章「新しい看護研究の動向」
 最新版であるPolit & Beck(2021)『Nursing research; generating and assessing evidence for nursing practice(11th ed.)』およびGray & Grove(2021)とそれぞれの前版の目次を表に提示し対照化しました.さらに,両書籍の最新版で新たに追加されている内容を解説しました.
付表
 2010年代を新しく加えました.

 今後も確実に増え続ける看護研究のために,読者の皆さまのご指摘やご助言を得ながら,今後ともにさらなる充実を図っていく所存です.本書の内容に不十分な部分があるとすればすべて筆者の責任です.しかしながら,本書は看護専修学校,短大および大学の看護学生,大学院生,現場のナースなどを含め,多様な方々に活用していただけるように努めました.
 最後に,医学書院看護出版部の北原拓也氏と南部拓也氏には,たいへん丁寧で粘り強い編集によって全体的な用語の統一や最新情報の取り入れなどにご尽力いただいたおかげで,また,第5版からのデザイン一新によって,第6版は一層読みやすくわかりやすい内容になっていると思います.この場を借りて感謝いたします.

 2022年11月吉日
 黒田 裕子

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第6版の序
初版の序

第1章 エビデンスに基づく看護実践をめざす看護研究
  近代看護の起こりから現代に至る看護研究の発展と看護実践とのつながり
  EBNおよびEBNPと看護研究の関係
  看護の研究って,何だろうか?

第2章 看護実践のなかから生まれる《研究疑問》
  それは《研究》によって明らかにしなければならないような《疑問》だろうか
   ――研究疑問になりうるものとそうでないもの
  研究に取りかかろうと考えたとき――看護の知識体系と看護研究の関係
  研究テーマを明確にするまでのプロセスを踏んでみよう
  研究テーマ絞り込みの実際例から――ナースQの場合
  研究テーマの絞り込みプロセスを検討する
  研究テーマの絞り込みで混乱してしまったナースQの場合
  《研究》では1つひとつを科学的に探究する
  研究対象にすべきこと,そして業務改善すべきこと
  研究テーマの絞り込みで陥りやすい問題
  研究テーマの絞り込み――研究プロセスの最初の大きな一歩
  研究プロセス全体の時間的な流れ

第3章 看護研究における倫理
  研究を行ううえで配慮すべき倫理的な側面の問題
  インフォームド・コンセント――研究対象者の自由と意思の尊重,そのための情報提供
  個人情報の保護,プライバシーの尊重
  基本的な倫理原則
  その他の倫理的な諸問題の対応
  看護研究を行う理由についてのナースのモラル
  研究指導者としてのモラル――研究指導者が研究者になってしまう危険
  おわりに

第4章 研究にとって欠かせない文献検索と文献検討
  文献検索と文献検討――それってなぜ必要?
  文献って何?
  一次文献と二次文献
  インターネットでデータベースを使いこなす
  文献検索するときのスキルって何?
  もう一度,研究にとっての文献の必要性を考える
  いざ,文献検討を実践しよう!

第5章 看護研究の方法を理解しよう
  研究デザイン
  看護研究にとってのパラダイムと方法
  量的な研究と質的な研究の特徴
  量的研究と質的研究で使用される中心的な用語の比較
  量的研究と質的研究のプロセスの大まかな流れ
  量的研究と質的研究の厳密性(rigor)の違い

第6章 量的なアプローチの研究デザイン
  量的アプローチの研究デザインを考える
  《相関デザイン》は「介入なし」「2変数以上が存在する」
  《準-実験研究》と《実験研究》

第7章 多様な量的なアプローチの研究方法をみてみよう!
  実験研究
  非-実験的な研究

第8章 量的なデータの分析を試みる
  分析のためのデータ処理と入力
  質問紙のモデルを使って分析を行う前に……
  分析:まず実施するべき“記述統計量”――1つひとつの変数の分析
  対象者のデータから――母集団と標本
  分析:この研究の目的である2つ以上の変数同士の分析――“推測統計量”へ
  正しい統計処理と適切なデータ入力のために

第9章 データ収集の方法としての質問紙法
  質問紙によるデータの収集
  質問紙法によって得られるデータの分析とは?
  データ収集を実施する前に知っておくべきこと

第10章 質問紙を自分で作成する
  研究例の紹介――筆者の研究から
  質問紙を開発する場合,開発しない場合の手続き
  質問紙の作成――病気をもちながらの生活管理の場合

第11章 質的なアプローチの研究方法
  質的なアプローチの研究とは……
  質的な看護研究はどのように今日まで発展してきたか
  どのような場合に,質的なアプローチの研究のタイプを選択するか
  量的研究プロセスとの違い
  質的研究の特徴
  質的研究における“比較(comparison)”
  質的研究における“研究の場(setting)”と“時間枠(timeframe)”
  質的研究におけるサンプリング
  質的研究におけるサンプルサイズ
  質的研究におけるデータ収集
  データ収集においてフィールドで出くわす問題
  質的研究のデータ収集方法としての自己報告データ
  面接によって質的なデータを収集する
  参加観察法によって質的なデータを収集する

第12章 多様な質的なアプローチの研究方法をみてみよう!
  事例研究(ケース・スタディ)
  どのような動機で事例研究に取りかかるか
  事例研究はどのようなステップをたどるか
  グラウンデッド・セオリー法
  エスノグラフィ
  現象学的アプローチ

第13章 研究計画書を作成する
  研究計画書を作成する意義
  研究テーマを書く!
  研究動機と研究目的を書く
  研究しようとする問題の背景を書く
  研究の意義を書く
  研究方法を考える
  役割分担を考える
  研究経費を考える
  研究計画書の作成例

第14章 研究論文としてまとめる
  論文とは
  論文の全体構成を考える
  論文の各部分を構成するうえで大切なこと
  結果をまとめるとき
  考察をまとめるとき
  さまざまな約束事

第15章 量的なアプローチの研究を科学的な視点でクリティークする
  研究のクリティークとは……
  看護研究のクリティークの目的と知的クリティーク
  看護研究の知的なクリティークの対象
  量的な研究アプローチの研究論文に対する知的なクリティークの具体的な方法
  論文例1

第16章 質的なアプローチの研究を科学的な視点でクリティークする
  論文例2

第17章 新しい看護研究の動向
  トランスレーショナル・リサーチ(Translational Research)
  ミックスドメソッド・リサーチ(Mixed Methods Research)
  メタ-アナリシス(meta-analysis)
  メタ-シンセシス(meta-synthesis)

APPENDIX 付表
INDEX 索引
著者略歴

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