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これで解決!みんなの臨床研究・論文作成

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「リサーチクエスチョンの立て方は?」「プロトコールには何を書くの?」「論文はどう書くの?」「英語が苦手でも大丈夫?」「査読者は何をみているの?」など、臨床研究・論文作成にまつわる数々の疑問が解決。Original Article 40本、論文査読100本以上! 臨床で研究・論文作成を続ける著者がまとめた至極の手引書。

辻本 哲郎
発行 2021年10月判型:A5頁:196
ISBN 978-4-260-04778-4
定価 3,960円 (本体3,600円+税)

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  • 序文
  • 目次
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はじめに

 臨床研究が必要なことは日本でも理解されつつありますが,実際に臨床研究ができるか,論文が書けるか,と聞かれて「はい」と返答できる医療者は少ないのではないでしょうか。臨床現場で働く医療者の中で,私はFirst Authorとして書いた論文数が50本近いので比較的多いほうだと思います。そして今では,数多くのジャーナルのReviewerも務めています。もちろん研究によっては何年もかかるものもあり,論文の数が多いほうが優れているというつもりは全くありません。しかし,ある程度研究をして論文を書き,そしてReviewerとして研究を評価している経験から,臨床研究の始め方や論文作成の点でお役に立てることがあるように思います。
 私が最初から難なく研究したり論文を書いたりすることができたかというと,そうではありません。研究をどう始めたらいいか,論文はどこに何を書けばいいか,TableとFigureをどう作成するか,英語や統計解析はどうすればいいかなど,わからなかったことを挙げればきりがありません。とにかく本当に何もできませんでした。最初は試行錯誤の連続で,かなり苦労しました。日本で臨床をやりながら臨床研究をすること自体かなり大変ですし,うまく効率よく作業しないと挫折します。実際にうまくいっていない人や場面もたくさん見てきました。
 日本でも研究をして論文を書いたことがある人はそれなりにいますが,大学院にいるときや海外に留学しているときにだけ多くのサポートを受けて研究し,論文を書いたという人が圧倒的に多いように思います。指導する立場になっても,結局指導することができない人も多く,環境に恵まれた一部の医療者だけが臨床研究をすることができ,論文を書けるという状況が続いています。さらに,そもそも研究の仕方や論文の書き方を知らない方が非常に多いように思います。私もそうでしたが,大学や臨床の現場で教えられる機会はほとんどありません。どうしても臨床研究や論文作成は遠い存在になりがちです。
 そのような背景の中で,臨床現場で働くすべての医療者に向けて臨床研究や論文作成のための本を書く機会をいただきました。類書は多数ありますが,臨床研究とはどういうものかという漠然とした内容や研究姿勢,概念などはわかっても,研究をするためには何が必要なのか,論文を書くためには実際にどうすればいいのか,投稿やその後の改訂作業はどうすればいいのかなど,具体的に記載した本はあまりないように思います。そこで,自分の経験を生かし,多忙な日々を送っている医療者が臨床研究を行い,論文を作成するうえで有用なものになるよう本書を作成しました。全く何もできなかったからこそ皆様にお伝えできる内容があると思います。はじめて研究をして論文作成に取り組んだ当時の自分を意識し,可能なかぎりわかりやすく,具体的な記述を心がけました。臨床研究や論文作成のハードルが下がり,日本から世界に向けて多くの研究が発信されることを期待しています。本書が皆様の臨床研究・論文作成の一助になれば幸いです。

 2021年8月
 辻本哲郎

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はじめに

第1章 臨床研究をしよう
 1 臨床研究はなぜ必要なのか?
 2 臨床研究の流れ
 3 まずは観察研究から始めよう
 4 観察研究にはどんな研究があるか?
 5 リサーチクエスチョンを考える
 6 徹底的な論文検索と研究の具体化
 7 誰と研究するか?
 8 統計解析に対する恐怖を克服しよう
 9 対象と収集する項目
 10 プロトコールの作成と倫理審査委員会での承認
 11 データを入力,解析する
 12 学会発表へ

第2章 論文を作成しよう
 1 英語ができないと英語論文は書けないのか?
 2 どのジャーナルに投稿する?
 3 論文を投稿する際に必要な提出物
 4 毎日少しでも論文作成に向き合おう
 5 Reviewerの視点をあらかじめ知っておく
 6 どこから書き始める?
 7 Resultsを作成しよう――その1
 8 Resultsを作成しよう――その2
 9 Methodsを作成しよう
 10 Discussionを作成しよう
 11 Introductionを作成しよう
 12 Abstractを作成しよう
 13 Referencesを作成しよう
 14 Acknowledgementとその他の部分を作成しよう
 15 Title Pageを作成しよう
 16 Cover Letterを作成しよう
 17 英文校正,最終チェックをしよう

第3章 論文を投稿しよう
 1 投稿からが戦いの始まり
 2 投稿後の流れ
 3 リジェクトされても気落ちせずに
 4 リビジョンをものにしろ
 5 アクセプトとその後

おわりに
索引

コラム
 1 「エビデンスがない」の落とし穴
 2 研究を始めるきっかけ
 3 はじめての研究は特別なもの
 4 研究代表者,研究分担者,研究協力者
 5 Original ArticleとLetterの違い
 6 交絡因子とは
 7 従属変数と独立変数
 8 データベースの有用性
 9 P値はいる? いらない?
 10 剽窃(plagiarism)について
 11 ハゲタカジャーナルに注意せよ
 12 みんな大好きインパクトファクター
 13 知っておいてほしい小技①
 14 知っておいてほしい小技②
 15 研究できる人,論文を書ける人の特徴
 16 無理しすぎにご用心
 17 そうだ! 社会人大学院に行こう
 18 STROBEって何?
 19 研究費の獲得
 20 製薬企業が関与した論文
 21 なかなか返事が返ってこない
 22 クラリネットをこわしちゃった
 23 最速のリジェクト
 24 継続の秘訣は満足しないこと?

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頼れる研究メンターを座右に置いておける一冊
書評者:家 研也(聖マリアンナ医大川崎市立多摩病院准教授・総合診療内科)

 臨床研究や論文執筆に取り組む上で,避けて通れない「壁」がある。この壁はさまざまな場面で,姿かたちを変えて繰り返し出没してわれわれの心を折ろうとする。私自身,研究に取り組み始めた当初から,数えきれない壁を経験した。研究テーマ探し,文献検索,研究計画書作成,データ収集,統計解析,論文の書き方,投稿先探し,rejectに心が折れる経験,意地悪な査読の対処,そもそも忙しくて研究が進まない! など,多岐にわたる。思い返すと,それらの場面で壁を乗り越える手助けを常に誰かがしてくれた。それは指導医・メンターに限らず,仲間,後輩,時に書籍であったりもした。このように,初心者が臨床研究を論文化するまでは手取り足取りの指導が必要な場面だらけである。

 本書は臨床医でありながら50編近くの原著論文を筆頭著者として世に送り出し,さらに多くの後輩の研究を指導してきた辻本哲郎先生による,気持ちがいいまでの「実践の書」である。臨床研究デザインや統計解析,論文作成に関する本は多数存在するが,本書の特徴を端的に表すと「身近で面倒見の良い先輩」である。研究初心者がつまずく壁一つひとつについて,具体的にステップを示してくれる。特にコラムが秀逸で,臨床研究の現場のリアルがそこにある。臨床現場の一隅で隙間時間に取り組む研究の場で,面倒見の良い先輩が失敗談やコツを共有し,曖昧だった概念の理解を助け,次に何をしたら良いか具体的に示してくれる,そんな頼れる先輩を常に座右に置いておけるような一冊である。

 本書のもう一つの(おそらく目立たない)特長は,第1章「臨床研究をしよう」で扱われる臨床研究をする上で押さえるべき基本情報の洗練度合いにある。研究デザインごとの要点や交絡因子とは?,リサーチクエスチョンの作り方など,サラリと記載されすぐに読める。ところが,中身は極めてガチである。ガチをわかりやすく伝える,これは誰でもできることではない。私自身,海外の公衆衛生大学院でそれなりの労力を割いて統計学や疫学を習得したため,皆さんには本書のお得感を強調しておきたい。

 本書は,研究に取り組みたい/取り組んでいるが研究計画が具体化できない,次に何をすれば良いかわからない,すぐ相談できる指導者がつかまらない,といった医療者に特にお薦めできる。さらに,研究指導の実践に悩む全ての指導者にとっても,指導ポイントや研究指導全体の流れを盗む意味でお薦めである。本書を座右に,臨床研究や論文作成の楽しみを味わうことのできる医療者が一人でも増えることを期待している。


論文作成・論文採択の秘訣を学べる
書評者:後藤 温(横市大大学院教授・研究デザイン学)

 本書の著者・辻本哲郎先生は,私が国際医療研究センターに勤めていた頃の同僚で,『Diabetes Care』『Hypertension』をはじめとする,一流誌に多数の論文を発表し続けている臨床研究のトップランナーの一人です。

 どうすれば,辻本先生のようにハイペースで,かつインパクトのある論文を執筆できるのか,いつかこっそり教えていただきたいと思っておりました。本書は,臨床研究の論文作成を究めた辻本先生による秘伝の書となっており,論文を書くためのイロハと,良い雑誌に採択されるための秘訣がちりばめられています。

 さらに,論文作成の方法だけではなく,
・リサーチクエスチョンは最重要かつ最難関
・徹底的な論文検索が不十分だと,最終的に論文にすることが困難
・PECOを意識した研究の具体化が重要
・新規性,臨床的重要性,実現可能性を考慮する
など,臨床研究を進めるための勘所も書かれていて,これから臨床研究を始める方にオススメの一冊です。

 大学院教員の立場としては,本書を読んで,大学院に通わずに論文作成できる研究者が増えてしまいそうで困ってしまいます。臨床研究の論文を書きたいと思っている臨床医や医療職の方々は,この本を読んで,ぜひ臨床研究を始めてみてはいかがでしょうか?

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