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胃と腸アトラスⅠ 上部消化管 第3版

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上部消化管で見られるあらゆる疾患を臓器別に網羅し、臨床と病理、それぞれの美麗な画像を対比して示すカラーアトラスの決定版。第2版発行以降の画像の進化や疾患概念の変更に対応した全面改訂で、全項目の執筆者と画像を刷新した。

編集 「胃と腸」編集委員会
編集委員 蔵原 晃一 / 長浜 隆司 / 小田 丈二 / 竹内 学 / 八尾 隆史 / 海崎 泰治 / 二村 聡
発行 2025年10月判型:A4頁:420
ISBN 978-4-260-05432-4
定価 19,800円 (本体18,000円+税)

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第3版 序

 この度,『胃と腸アトラスI 上部消化管』第3版を発刊する運びとなった.『胃と腸アトラス』は,本邦の消化管形態診断学を集成し消化管診断に従事する医師や研究者の臨床に役立てることを目的として「胃と腸」編集委員会で企画・編集され,初版が2001年9月に上梓された.全領域の消化管疾患を網羅し,各疾患の美麗なX線・内視鏡画像と病理組織像が収載された当時としては前例のない症例集であった.その後の消化管診断の発展を背景に初版から13年後の2014年4月,第2版が刊行され,内容の大幅なアップデートが図られた.『胃と腸アトラス』初版・第2版は,病変の肉眼所見の成り立ちを組織学的構築から説明する点で一貫しており,消化管形態診断学のバイブルとして,また,消化管診断の座右の書として,国内外の消化管専門医に支持されてきた.
 『胃と腸アトラス』初版刊行から24年,第2版刊行から11年が経過し,この間,消化管診断学は目覚ましい進化を遂げた.その中心には内視鏡における診断技術の進歩がある.その中心には内視鏡における診断技術の進歩がある.以前は肉眼的観察と通常内視鏡による形態評価を中心とした診断が主流であったが,現在では画像強調内視鏡(image-enhanced endoscopy:IEE)と拡大内視鏡の発展により,粘膜表層の微細構造や毛細血管パターンまでリアルタイムに可視化することが可能となった.特に上部消化管領域では,NBI (Narrow Band Imaging)やLCI(Linked Color Imaging)などのIEEが広く普及し,早期胃癌,咽頭・食道癌,Barrett腺癌の拾い上げ診断,質的診断において不可欠なツールとなった.内視鏡は病変の存在を確認する段階から構造の異常を精緻に評価し疾患の本質に迫る次元へと進化した.「マクロからミクロへ」という内視鏡診断の質的転換は,単なる技術革新ではなく診療戦略そのものの再構築を促している.
 一方,消化管の病理組織診断も著しい進歩を遂げ,診断精度の向上が飛躍的に進んでいる.HE染色に基づく形態評価に加え,免疫組織染色による細胞形質の解析や分子生物学的手法の活用は形態診断を超え,病変の成り立ちや発生機序そのものを探るプロセスへと診断学を深化させつつある.
 加えて上部消化管疾患を取り巻く疾患構造そのものも近年大きく変化た.特にH.pylori 感染率の低下に伴う「ポストピロリ時代」の到来は上部消化管疾患の疫学と臨床像に新たなパラダイムをもたらした.胃十二指腸潰瘍や胃癌(特に腸型形質)は減少傾向,逆流性食道炎やBarrett食道・腺癌は増加傾向となった.また,胃では除菌後の萎縮性胃炎の増加,胃型形質の胃癌の相対的増加や自己免疫性胃炎,NHPH胃炎の増加傾向が指摘され,十二指腸では腺腫・癌の報告が増加するなど上部消化管疾患は多様化,複雑化しつつある.疾患構造の変化を的確に捉え,進歩する診断技術を適切に活用することが求められている.
 『胃と腸アトラスI 上部消化管』第3版では,こうした診断技術の進化と疾患構造の変容をふまえ,内視鏡画像と病理組織像の連関を重視しながら,臨床現場で即応可能な実践的アトラスを目指した.読者により実践的かつ現代的な診断アプローチを提供する構成とするため,第2版までの臨床画像と病理組織像を対比するスタイルを踏襲しながら,各疾患に関して可能な限りIEE画像・拡大内視鏡画像を含めた最新の臨床画像を提示し病理組織像と対比すること,病理組織像には必要に応じて免疫組織化学染色像を多く含むこととした.さらに,疾患によってはX線造影検査やCT画像/PET-CT画像を適宜追加した.また,収載する上部消化管疾患を全面的に見直し,細胞形質による分類を項目に盛り込んだほか,従来稀少とされてきた疾患も取り上げるなど内容の充実を図った結果,咽頭10項目,食道65項目,胃80項目,十二指腸45項目の計200項目となり,初版(83項目)の約2.5倍の疾患を収載することとなった.
 消化管診断学は「マクロからミクロへ」,そして「構造から機能へ」と,診断の軸を多層化・高精細化させながら発展を続けている.早期胃癌研究会を母体として創刊された「胃と腸」誌は本年発刊60年を迎えた.本アトラスは「胃と腸」誌の現時点での集大成であり,最新の臨床画像からなる図譜集として消化管形態診断学の最先端を反映している.本アトラスが,内視鏡医,病理医をはじめとするすべての医療従事者にとって,日々の診療と研究の羅針盤となり,進化し続ける消化管診断学を実践的に支える一助となることを願ってやまない.
 本書の刊行にあたり良質な症例を集載するため,「胃と腸」編集委員および早期胃癌研究会運営委員の方々には全面的なご協力をいただいたことに深謝申し上げる.また,終始ご支援いただいた医学書院医学書籍編集部大橋尚彦氏に御礼申し上げる.

 2025年9月
 「I 上部消化管」編集委員
 蔵原晃一 長浜隆司 小田丈二 竹内学
 八尾隆史 海崎泰治 二村聡

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咽頭
 1 脈管異常
   1 Osler-Weber-Rendu症候群
 2 炎症
   1 口腔内アフタ
   2 咽頭カンジダ症
 3 腫瘍・腫瘍様病変
  1 上皮性腫瘍・腫瘍様病変
   1 咽頭扁平上皮癌
   2 乳頭腫
   3 glycogenic acanthosis
  2 非上皮性腫瘍・腫瘍様病変
   1 咽頭血管腫
   2 下咽頭脂肪腫
   3 MALTリンパ腫
 4 その他の咽頭病変
   1 メラノーシス

食道
 1 解剖学的異常
   1 先天性食道狭窄症
   2 異所性胃粘膜
   3 異所性皮脂腺
   4 食道憩室
   5 食道壁内偽憩室症
   6 食道裂孔ヘルニア
   7 Barrett食道(SSBE)
   8 Barrett食道(LSBE)
 2 機能障害
   1 アカラシア
   2 びまん性食道痙攣
 3 脈管異常
   1 食道静脈瘤
 4 炎症
  1 感染性
   1 食道カンジダ症
   2 単純ヘルペス食道炎
   3 サイトメガロウイルス食道炎
  2 薬剤性
   1 薬剤性食道炎
  3 自己免疫疾患,全身性疾患
   1 全身性強皮症
   2 Crohn病
   3 Behçet病
   4 天疱瘡
   5 類天疱瘡
  4 その他の炎症性疾患
   1 逆流性食道炎
   2 好酸球性食道炎
   3 急性壊死性食道炎
   4 腐食性食道炎
 5 腫瘍・腫瘍様病変
  1 上皮性腫瘍・腫瘍様病変
   1 epidermization(類表皮化生)
   2 乳頭腫
   3 食道導管腺腫
   4 線維血管性ポリープ(fibrovascular polyp)
   5 glycogenic acanthosis
   6 炎症性食道胃ポリープ
   7 扁平上皮内腫瘍
   8 扁平上皮癌(表在癌)① EP/LPM癌
   9 扁平上皮癌(表在癌)② MM/SM1癌
   10 扁平上皮癌(表在癌)③ SM2癌
   11 扁平上皮癌(進行癌)
   12 verrucous carcinoma
   13 類基底細胞(扁平上皮)癌
   14 癌肉腫
   15 食道胃接合部癌
   16 SSBE由来腺癌
   17 LSBE由来腺癌
   18 異所性胃粘膜由来腺癌
   19 腺扁平上皮癌
   20 粘表皮癌
   21 腺様囊胞癌
   22 カルチノイド腫瘍(NET)
   23 内分泌細胞癌(NEC)
  2 非上皮性腫瘍・腫瘍様病変
   1 平滑筋腫
   2 平滑筋肉腫
   3 神経鞘腫
   4 顆粒細胞腫
   5 血管腫
   6 リンパ管腫
   7 化膿性肉芽腫(分葉状毛細血管腫)
   8 黄色腫
   9 脂肪腫
   10 脂肪肉腫
   11 悪性黒色腫
   12 転移性食道腫瘍
   13 MALTリンパ腫
   14 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
   15 GIST
  3 ポリポーシス症候群の食道病変
   1 Cowden症候群
 6 その他の食道病変
   1 メラノーシス
   2 Mallory-Weiss症候群


 1 解剖学的異常
   1 胃重複症
   2 胃憩室
 2 脈管異常
   1 Osler-Weber-Rendu症候群
   2 DAVE,GAVE
   3 門脈圧亢進症性胃症
   4 胃静脈瘤
   5 Dieulafoy病変
 3 炎症
  1 感染性(ヘリコバクター)
   1 萎縮性胃炎
   2 皺襞腫大型胃炎
   3 鳥肌胃炎
   4 NHPH胃炎
  2 感染性(ヘリコバクター以外)
   1 胃蜂窩織炎
   2 胃梅毒
   3 胃結核
   4 胃カンジダ症
   5 アニサキス症
   6 サイトメガロウイルス胃炎
  3 薬剤性
   1 NSAIDs起因性胃病変
   2 PPI関連胃病変
   3 炭酸ランタン沈着症
   4 irAE胃炎
  4 自己免疫疾患,全身性疾患
   1 自己免疫性胃炎
   2 IgA血管炎
   3 Crohn病
   4 IgG4関連疾患
   5 アミロイドーシス
   6 胃サルコイドーシス
   7 里吉症候群
   8 移植片対宿主病(GVHD)
  5 その他の炎症性疾患
   1 胃潰瘍
   2 急性胃粘膜病変
   3 collagenous gastritis
   4 好酸球性胃炎
   5 gastritis cystica polyposa(GCP)
   6 残胃炎
 4 腫瘍・腫瘍様病変
  1 上皮性腫瘍・腫瘍様病変
   1 過形成性ポリープ
   2 胃底腺ポリープ
   3 腸型腺腫
   4 胃型腺腫
   5 乳頭腺癌
   6 胃型(分化型)癌
   7 腸型(分化型)癌
   8 印環細胞癌
   9 低分化腺癌・非充実型
   10 低分化腺癌・充実型
   11 粘液癌
   12 カルチノイド腫瘍(NET)
   13 内分泌細胞癌(NEC)
   14 リンパ球浸潤癌
   15 胎児消化管類似癌/肝様腺癌
   16 胃底腺型胃癌
   17 胃腺扁平上皮癌/扁平上皮癌
   18 未分化癌
   19 HP除菌後胃癌
   20 遺伝性胃癌
  2 非上皮性腫瘍・腫瘍様病変
   1 粘膜下異所性胃腺
   2 異所性膵
   3 血管腫
   4 青色ゴムまり様母斑症候群
   5 グロームス腫瘍
   6 脂肪腫
   7 炎症性類線維ポリープ(IFP)
   8 Kaposi肉腫
   9 平滑筋腫
   10 神経鞘腫
   11 顆粒細胞腫
   12 転移性腫瘍
   13 MALTリンパ腫
   14 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
   15 マントル細胞リンパ腫
   16 濾胞性リンパ腫
   17 成人T細胞白血病/リンパ腫
   18 慢性活動性EBウイルス感染症
   19 リンパ腫様胃症
   20 GIST
  3 ポリポーシス症候群の胃病変
   1 家族性大腸腺腫症
   2 Peutz-Jeghers症候群
   3 Cronkhite-Canada症候群
   4 若年性ポリポーシス症候群
   5 Cowden症候群

十二指腸
 1 解剖学的異常
   1 十二指腸重複症
   2 先天性十二指腸膜様狭窄症
   3 上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)
 2 脈管異常
   1 Osler-Weber-Rendu症候群
   2 動静脈奇形
   3 リンパ管拡張症
 3 炎症
  1 感染性
   1 非結核性抗酸菌症
   2 Whipple病
   3 糞線虫症
   4 ランブル鞭毛虫症
  2 自己免疫疾患,全身性疾患
   1 全身性強皮症
   2 IgA血管炎
   3 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
   4 結節性多発動脈炎
   5 潰瘍性大腸炎
   6 Crohn病
   7 アミロイドーシス
   8 移植片対宿主病(GVHD)
  3 その他の炎症性疾患
   1 十二指腸潰瘍
   2 セリアック病
 4 腫瘍・腫瘍様病変
  1 上皮性腫瘍・腫瘍様病変
   1 腸型腺腫
   2 腸型腺癌
   3 胃型腺腫・腺癌
   4 カルチノイド腫瘍(NET)
   5 内分泌細胞癌(NEC)
   6 胃腺窩上皮型過形成性ポリープ
   7 Brunner腺過形成
   8 異所性胃粘膜
   9 Peutz-Jeghersポリープ
  2 非上皮性腫瘍・腫瘍様病変
   1 異所性膵
   2 青色ゴムまり様母斑症候群
   3 リンパ管腫
   4 脂肪腫
   5 gangliocytic paraganglioma
   6 他臓器原発の悪性腫瘍の十二指腸転移・直接浸潤
   7 濾胞性リンパ腫
   8 MALTリンパ腫
   9 マントル細胞リンパ腫
   10 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
   11 形質細胞腫
   12 成人T細胞白血病/リンパ腫
  3 ポリポーシス症候群の十二指腸病変
   1 家族性大腸腺腫症
   2 Peutz-Jeghers症候群(PJS)
   3 Cronkhite-Canada症候群
   4 Cowden症候群

索引

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