作業療法評価学 第4版
作業療法に必須の「評価」をこの一冊で。待望の動画付きで改訂。
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作業療法を実践するうえで、対象者の「評価」は欠かせない。本書は、評価の基礎知識や、身体・高次脳・精神・発達・高齢期といった作業療法の全領域に共通する評価法から、各領域特有の評価法に至るまで、理論を交えて解説する。また、本シリーズの各領域の巻を併せて読むことで、評価と治療の結びつきについてより深く学ぶこともできる。第4版では、付録動画もWeb収載した。学生も臨床の作業療法士も必携の1冊。
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第4版 序
このたび,「作業療法評価学」の第4版が発刊されることとなった.2005年に初版が出版されてから20年近くの年月が経ったことを思うと,この間に作業療法士として巣立ち,現在は臨床や地域などの第一線で活躍されている方々の数の多さと,そのための知識と技術の基盤づくりに多少なりとも貢献できたことに感懐を覚える.
さて,昨今の作業療法士をめぐる環境は,明暗の両面がはっきりしてきているように思う.まず,明るい面については,地域によって若干の差があるとはいえ,依然として,求人すなわち需要が底堅いという点が挙げられる.これは,高齢者の増加に伴って,医療や介護など社会保障制度における作業療法の対象者も増加傾向にあるという人口学的な要因と,理学療法士に比べて,専門とする領域が広いため,活躍できる場も多いというまさに作業療法らしさのメリット,そして期待によるものであろう.逆に暗い面については,作業療法士の特徴や良さというものがみえにくくなってきたという点を指摘しておきたい.精神科を除く医療の現場では,診療報酬の項目から作業療法という名称が消え,「リハビリテーション料」として一括表記されることになって久しい.そして,卒業生の多くが就職する回復期リハビリテーション病棟などでは,理学療法士が病棟で更衣動作やトイレ動作などADLの練習を行う場面も増えてきた.そのため,今後は作業療法士が得意とする評価や治療をこれまで以上に洗練させ,その特徴と長所をアピールしていく必要があると考えている.さらにもう1点,作業療法の成果を示すエビデンスが理学療法に比べて圧倒的に少ないという点も指摘しておかざるを得ない.作業療法もれっきとした医療行為であり,それを実施することで報酬を受けている以上,対象者に何らかの効果をもたらし,それを目に見える形で示しておく必要があるのだが,この点が理学療法に比べて弱いのである.これら暗い面として指摘した内容については,本書を手に取っているみなさんが作業療法士になった暁には,ぜひ,前向きに取り組んでいただきたいと願っている.
前置きが長くなったが,第4版の内容について,簡単に紹介していきたい.みなさんはまず本書の分厚さに驚いたかもしれない.これは初版の紙面がすでに672頁だったことと比較しても決して増えているわけではないのだが,作業療法士になるために必要な知識がこれだけたくさんあるということを真正面から受け止めてほしい.対象者のことを理解し,治療を計画するための準備はこれらの内容を修得してはじめて可能になるということの裏返しでもある.そして,このような紙面の分量がおおよそ変わらない一方で,第4版では新たに40余りの評価法が加えられた.医学は日進月歩で発展していく学問領域であるから,新たな評価法を取り入れていくことは必然なのである.追加した評価法の中には現在活躍している先輩たちが知らない評価法も含まれているため,最新の内容を修得できるというメリットをみなさんが最初に享受できることにもなる.そして最後に,これが一番の変更点かもしれないが,第4版ではいくつかの評価法に動画のコンテンツが加わった.われわれが学生だった頃は,文字ばかりのモノクロの教科書で勉強したことを思い起こせば,本書のような最新のコンテンツを備えたテキストはみなさんに各種評価法のより深い理解をもたらしてくれることであろう.この意味では,作業療法士を目指す環境はこれ以上なく整ってきたとも言え,ぜひ,そのメリットをふんだんに活用していただきたい.
最後に,本書をまとめたわれわれの思いをお伝えしておこう.おそらくこれは初版を担当された先輩方から受け継いできていることのようにも思うが,それは,病気や障害を抱えた対象者を支えたいという「夢」を共有できる1人でも多くの仲間を育てたいというものである.しかしそれは単純なものではなく,強い志と深い知識・正しい技術を伴って,という条件を付けた切なる思いである.決して平たんではない作業療法士になるまでの道程において,本書が時に喉を潤す水のように,そして時に疲労した脚を支える杖のような役割を果たせることを願って,このわれわれからの思いを本書の中に発見してくれたなら,これ以上の喜びはない.
2023年12月
執筆者を代表して
編者一同
目次
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I 評価学の基礎
GIO,SBO,修得チェックリスト
1 作業療法と評価
2 再評価と作業療法の効果判定
3 記録・報告の意義と特徴
II 領域共通の評価法
1 面接法・観察法
GIO,SBO,修得チェックリスト
2 意識の評価およびバイタルサインの測定,臨床検査値の読み方
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3 形態計測
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4 関節可動域測定
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5 筋力検査
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6 感覚・知覚検査
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7 筋緊張検査
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8 反射検査
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9 姿勢反射検査・バランス機能検査
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10 協調性検査
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11 脳神経検査
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12 摂食・嚥下機能検査
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13 排泄機能評価
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14 上肢機能検査
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15 日常生活活動の評価
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16 QOL,興味,役割の評価
GIO,SBO,修得チェックリスト
17 対象者中心の評価法
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III 身体機能評価法
1 脳血管疾患の評価
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2 頭部外傷の評価
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3 脊髄損傷の評価
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4 骨折の評価
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5 加齢性関節疾患の評価
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1 肩関節周囲炎
2 変形性股関節症
3 変形性膝関節症
6 関節リウマチおよびその類縁疾患の評価
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1 関節リウマチ
2 全身性エリテマトーデス
3 多発性筋炎・皮膚筋炎
7 上肢の末梢神経損傷の評価
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8 切断の評価
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9 神経疾患,神経・筋疾患の評価
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10 内部疾患の評価
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IV 高次脳機能評価法
GIO,SBO,修得チェックリスト
V 精神機能評価法
1 精神機能作業療法評価学の基礎
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2 精神機能作業療法における情報収集
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3 精神機能作業療法における観察法と面接法
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4 精神機能作業療法における検査法
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5 集団における評価
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6 精神機能作業療法の実際
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7 疾患別の評価事例
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8 臨床的思考に向けて──対象者を立体的に理解することの重要性
VI 発達過程評価法
1 発達過程作業療法における家族との面接
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2 発達過程作業療法における発達検査の目的と留意点
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3 発達全般を評価する検査
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4 運動機能の評価
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5 感覚統合の評価
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6 視知覚・視覚認知の評価
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7 知能・認知機能の評価
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8 行動の評価
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9 作業遂行・日常生活活動の評価
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10 疾患・障害による評価の選択
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VII 高齢期機能評価法
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VIII 就労の評価
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索引