「病院」の教科書 第2版
組織・機能とマネジメント
病院をめぐる今日の状況・明日への動向を捉え、組織マネジメントの向上を目指す
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病院をめぐる今日の状況・明日への動向を捉え、組織マネジメントの向上を目指すための教科書。今回の改訂では全国の医療機関で実務に携わる方々が執筆に参画し、より現場の実情に即した内容に更新された。医療の進展、法制度の改定による変化はもとより、DXの推進に伴う業務の見直しなど、多様な課題に向き合うための知識の整理にも最適。新任の病院職員から経営層まで必読の書。
編集 | 今中 雄一 |
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発行 | 2023年04月判型:B5頁:344 |
ISBN | 978-4-260-05106-4 |
定価 | 4,950円 (本体4,500円+税) |
更新情報
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- 序文
- 目次
序文
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はじめに
今,医療界は大変厳しい時代の最中にある.なかでも病院医療には多くの人々の支えと努力がいっそう必要となり,病院にかかわる人には,病院医療の全体を把握することがますます求められている.本書は,多機能で複雑で,しかも専門性に隠れて全貌を把握しにくい病院医療の組織・機能とマネジメントを,そしてその裏表を隅々まで体系的に理解したい人のために作られた.すなわち,“病院の運営・経営の向上を目指し病院の組織・機能とマネジメントを体系的に理解するための本”である.
本書は,次のような読者を想定している.
- 病院経営・運営を担う人材,臨床現場の経営・運営にかかわるようになり,より広い視野で病院全体の組織・機能とマネジメントを知りたくなった人材
- 経営・運営を見直す病院長,新任の病院長,院長候補,事務部長,看護部長,その他部門長など
- 医師・看護職・医療技術職・事務職などの中間管理職で病院全体の視点でのマネジメントの必要が出てきた人材
- 経営企画職として,広い視野で病院全体の組織と機能を把握し,いっそう活躍したい人材
- 病院全体の機能の評価や再構築が必要になった人材
などなど.
また,次のような方々にも利用価値がある.
- 病院に新たに勤めるようになった人〔病院の新任者〕
- 他産業で経験を積み,新たに病院医療に就職した即戦力を期待される人〔元企業人〕
- 医療関連産業の方で,仕事上,病院医療を詳しく知る必要を感じている人〔現企業人〕
- 将来の医療人や学生,医療の組織・機能とマネジメントの教科書を探している人〔学生と教員〕
- 医療を利用する視点から,病院のしくみに関心を持つ人〔医療の利用者〕
- 様々な関心により,病院医療について調べている人
本書は,日本医療経営機構医療経営人材育成プログラムの修了者を中心に,各診療科の医師など医療の多様な専門性を有し臨床現場の経験が豊富で,経営・運営に実績のある人材が執筆した.
本書の特色は以下にある.
- 病院における組織・機能とマネジメントの全体を解説し,ポイントを盛り込んだ.
- 医療現場の変革の底に流れる制度政策の現状・動向,診療報酬制度との関係性,医療経営の実践について解説した.
- 今後,ますます医療との関係が深まる介護システムを,連携の観点から説明した.
- 人材,データの視点,そして,プロセス全体をみる視点を盛り込んだ.
- 臨床・経営・運営の経験と実績に基づく具体的な活動例を盛り込んだ.
- 具体的なイメージを掴めるように写真や図表を多用した.
本書を医療への貢献,医療の経営・運営への貢献の足がかりとしていただけると幸いである.
2023年3月
日本医療経営機構 理事
京都大学大学院医学研究科医療経済学分野 教授
今中 雄一
目次
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序論
医療経営のいしずえ:将来を見据えて
緒言
A 質・安全と効率を向上させるシステムの確立と継続改善
B 組織文化の醸成
C 地域全体マネジメントの展開
D データ・情報の活用とDX
E 学習・成長と変革する力
結語
I 医療経営の実践
1 病院長の役割
A 病院長の役割 ~病院長経験者の“生の声”~
B 病院長に求められる能力 ~病院長経験者の“生の声”~
C 病院長となる前に経験・学習しておくとよかったこと ~病院長経験者の“生の声”~
D 最後に
2 経営企画部門の役割
A 病院経営と経営企画部門
B 経営企画部門への期待
C 経営企画部門の業務
D 経営企画部門の編成
E これからの病院経営企画
3 経営品質と質改善のシステム
A 経営品質と質改善のシステム
4 病院建築と病院運営
A 病院建築の進め方
5 地域の人口と医療需要──DPCデータを活用した経営地域分析
A 人口推計と医療需要予測
B 傷病分類別にみた将来医療需要予測
C 疾患別診療状況分析
D MDCポートフォリオ分析
6 医療情報システム
A 医療情報の概要
B 医療情報システムの活用
C 地域における医療情報システム
7 病院DXとこれからの病院経営
A 医療におけるDXの背景
B DX推進の組織体制
C グループチャットによるコミュニケーション変革
D チームの医療体制とチャットの活用
E パーパス経営・自院の指針
8 医療の原価計算
A 原価計算の目的
B 医療の原価計算の視点
C 患者志向型機能基準原価計算
D 医療の原価計算の活用例
9 医療マーケティング
A 医療機関におけるマーケティング
B マーケティング・ミックス
C 集患戦略
D サービス・マーケティング
10 人材確保と人材活用
A 人材確保
B 人材育成
C 医師の採用経路
D 新医師臨床研修制度と新専門医制度
11 働き方改革とブランディング
A 医師の働き方改革への基本的対応
B 病院での具体的な方策例
C 病院のブランディング戦略
12 地域医療構想と病院経営戦略
A 地域医療構想
B 医師の働き方改革
C 病院経営戦略立案
13 病院経営における自治体との関わり
A 病院経営と自治体行政の課題
B 病院,自治体を取り巻く外部環境
C 病院の持つ強み弱み・自治体の持つ強み弱み
D 病院再編の事例から
14 地方独立行政法人化の病院運営
A 地方独立行政法人化の進め方
B 地方独立行政法人化における課題と取り組み
II 病院の組織と機能
1 診療とケア提供のプロセス
A 入院
B 看護ケア
C 検査
D 投薬
E 手術
F リハビリテーション
G 退院
H 終末期
I 看取り
J 写真で見る外来ケアプロセス
2 医療現場の専門職
A 医学・歯学・薬学の専門職
B 看護・保健・救急の専門職
C 医療技術の専門職
D 社会支援の専門職
E 事務の専門職
F 介護の専門職
G 人事考課と給与体系
3 看護部門
A 看護部の役割
B 看護部の機能
C 看護部の業務内容
4 病棟
A 病棟看護師の業務
B 看護師以外の病棟のスタッフ
C 病棟の関連法規
D 病棟の診療報酬
E 病棟の種別
F 今後の病棟運営
5 手術治療部門
A 手術治療部門の業務内容
B 手術治療部門のスタッフ
C 手術治療部門の設備と設計
D 手術治療部門の診療報酬
6 集中治療部門
A 集中治療室とは
B 施設と設備
C スタッフ
D 患者管理
E 関連業務
F その他のユニット
G まとめ
7 薬剤部門
A 質・安全と効率を向上させる薬剤システムの確立
B 薬剤部門の組織文化
C 地域連携と薬薬連携
D 薬剤部門の人材育成
E 関連する診療報酬・施設基準
8 放射線科・放射線部門
A 放射線科・放射線部門の業務内容
B 放射線科・放射線部門のスタッフ
C 放射線科・放射線部門と他診療科との連携
D 放射線科・放射線部門の診療報酬
E 放射線科・放射線部門の新しい動き・課題
9 臨床検査部門
A 臨床検査と病院
B 臨床検査の特徴と流れ
C 生理検査
D 収支
E 臨床検査 院内 or 外注
F ブランチとは
G 主な臨床検査の種別とそれに応じた検査室
H 技師のキャリアデザイン
I 夜間の検査体制
J 働き方改革,タスクシフト
K 臨床検査の質の保証
L 外部認証
10 リハビリテーション部門
A 概念と対象疾患
B 提供される治療
C 構成要員
D リハビリテーションの流れ
11 栄養管理・給食部門
A 栄養管理・給食部門の業務内容
B 栄養管理・給食部門のスタッフ
C これからの栄養管理・給食部門の役割
12 臨床工学部門
A 臨床工学部門の役割
B 臨床工学部門と病院運営
13 地域医療連携部門
A 前方連携・後方連携
B 地域医療連携部門の業務内容
C 地域医療連携部門のスタッフ
D 医療機関の機能分化
E 地域医療支援病院
F 地域連携クリニカルパス
G 相談対応
14 MSWの役割
A MSWの役割
B MSWと病院運営
C 経済的保護,生活困窮者への対応
D 地域の組織や専門職との連携
15 事務部門
A 事務部門の業務内容
B 事務部門のスタッフ
C 事務局の人材育成
16 救急部門
A 救急医療体制とは
B 初期救急医療機関
C 第二次救急医療機関
D 第三次救急医療機関
E 救急外来から入院・転棟
F 2020年診療報酬改定
G 救急の問題点
17 がん診療の実際
A がんの現状と理解
B がん診療の取り組み
C がん診療の課題
D 地域とがん診療
18 緩和ケア診療の実際
A 緩和ケアとは
B 緩和ケア診療の取り組み
C 緩和ケアをめぐる経営
19 在宅医療の実際
A 在宅医療の取り組み
B 在宅医療の課題
C これからの地域と在宅医療
20 高齢者医療の実際
A 高齢者医療の実際
B 高齢者医療の課題
C これからの地域と高齢者医療
21 新生児におけるトータルケア
A わが国の周産期医療における課題
B 成育基本法
C 新生児集中治療部門の施設設備と診療報酬
D まとめ
22 循環器診療と医療体制
A 循環器領域の医療の実際
B 循環器内科診療の特色
C 心臓血管外科診療の特色
D 心不全パンデミック
E 循環器領域の医療における課題
F 循環器診療の将来像
G まとめ
23 脳血管領域の診療と医療体制
A 脳血管領域の医療体制
B 脳血管外科の役割
C 脳血管領域における課題
24 精神科医療と病院運営
A 精神科医療の制度・政策
B 精神科と病院運営
III 病院経営と制度・政策
1 医療の制度と経営
A 医療機関の経営に求められていること
B わが国の医療の特徴
C 医療と経営の実践
2 診療報酬
A 診療報酬の機能と特徴
B 診療報酬請求の流れ
C 診療報酬の改定
D 2022年度診療報酬改定
3 診療情報管理
A 診療情報
B 診療情報管理と運用
C 診療報酬との結びつき
D 医療の可視化と情報公開
E 情報化の社会要請と健康関連データ統合の重要性
4 DPC(診断群分類)
A 診断群分類策定と包括支払制度の目的と意義
B DPCの構造
C DPCを用いた診療パフォーマンスの把握
D さらなるDPCの発展
5 関連法規
A 医療に関連するルール(法規)の概要
B 医療安全のための仕組みづくり・医療の質向上に関連する法規
C 医療計画制度(医療法第30条の4~第30条の11)
D 病院管理者として知っておくべき法規(インフォームド・コンセント等)
E 医療保険制度の概要
F 健康保険法等の一部改正法の概要
6 医療安全管理
A 医療安全対策の必要性・重要性
B わが国における医療安全に向けた施策
C 医療安全に向けた取り組みの実際
D まとめ
7 リスク管理と危機管理
A 危機管理の必要性
B 情報対策
C 災害対策
D ビジネスリスク対策
8 感染制御
A 感染制御とは?
B 感染対策はエビデンスの積み重ね
C ICTのチームとしての構成と活動
D 感染対策委員会
E 職員への教育・研修
F サーベイランス
G JANIS
H 環境および施設面
I 感染制御のマネジメント上の特徴
J 地域連携
K 新興感染症へ対応,備え
L 感染制御における診療報酬
M まとめ
IV 介護システムなどとの連携
1 関連施設と機能
A 訪問看護
B 訪問リハビリテーション
C 通所リハビリテーション(デイケア)
D 在宅介護支援センター(老人介護支援センター)
E 介護老人保健施設(老健)
F 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
G 介護医療院
2 介護保険制度
A 制度のしくみと介護サービス
B 医療介護連携や地域内の組織間連携
C 介護予防
D 地域包括支援センター
E 地域包括ケアシステム
索引