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新任期保健師でもできる!
おもしろ健康教育のつくり方

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新任期保健師が担うことの多い健康教育。どうすれば、参加者に「参加してためになった、おもしろかった」と感じてもらえるのか? それを考え抜いたのが、「おもしろ健康教育」。新任期保健師の小林君が先輩の長原さんの指導を受けながら、さまざまな課題を乗り越えて健康教育に取り組むというストーリーを軸に、「おもしろ健康教育」の実践方法やポイントを解説。小林君の成長とともに、「おもしろ健康教育」のつくり方が学べる!

伊藤 純子 / 高橋 佐和子
発行 2024年02月判型:B5頁:136
ISBN 978-4-260-05352-5
定価 2,420円 (本体2,200円+税)

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  • 目次
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はじめに──健康教育に自信が持てない新人さんのために
 健康教育の楽しさを知って欲しい
   ようこそ,「おもしろ健康教育®」の世界へ
   おもけんの自己紹介
   先輩たちに認めてもらえる「いい健康教育」とは
   保健師に向いていないのではなく,「今はまだ」できないだけ
 「おもしろ健康教育®」を学ぼう
   おもしろくない健康教育は「時間泥棒」です
   「おもしろ健康教育®」の工夫が本書にも
   ストーリーと登場人物のご紹介
 「おもしろ健康教育®」を学んでいく上でのポイント

第1章 先輩からダメ出しされました──「何を伝えたいのか,分からないよ?」
 記憶に残りやすいように,組み立てよう
   「おもしろい健康教育=お笑いコント」ではありません
   「理論」と「感情」の2方向から攻める! 精緻化見込みモデルとは
   理屈で攻める!(論理的関与)
   気持ちに訴える(感情的関与)
 健康教育にふさわしい保健師の態度とは
   健康教育にもぜひ取り入れたいマインド「顧客志向」
   参加者の様子をモニターしタイムリーに期待に応えよう
 アイデアを引き出す理論・モデルを味方につける
   オンリーワンの解決策の発見を後押し「アイデア創出技法」
   アイデアを出すための科学的アプローチ「創造工学」
   創造のためのテクニックにはどんな種類があるの?
   発散技法
   収束技法
   発散と収束に分けて会議を進めてみよう!

第2章 健康教育の組み立て方が,分かりません!
 参加者と保健師,お互いが満足な目標設定を
   思いがメガ盛り
   内容を絞り込まないと消化不良で終わっちゃいます
   やっぱり優先順位が大事
   優先順位がつけられないのはリサーチが足りないから
 事業の必要性が伝わる評価のコツ
   あなたは普段の評価に納得していますか?
   健康教育の効果は,どう評価する?
   参加者の学習体験を評価してみよう
 分かりやすいと言ってもらえる組み立てにする
   「おもしろい健康教育のレシピ」を使ってみよう
   精緻化見込みモデル活用のためのポイント
 参加者を呼び込むチラシを作る
   テンプレどおりに作ってない?
   基本はやっぱり「目的を絞る」こと!
   「6W2H」を分かりやすく示して参加者を安心させよう
   イメージを伝えるには画像が強い!
   普段から画像を撮って残しておこう

第3章 緊張して,うまく話せません!
 自分に自信を持たせて
   緊張は突然に
   「失敗してはいけない」の呪いを自分に掛けるのはやめよう
   保健師自身が自己効力感を高める
 聞きやすく魅力的な話し方をする
   話す力も日々のトレーニングで鍛えよう
   話トレのポイント

第4章 せっかく作った媒体を見てもらえません!
 内容がスッと頭に入る媒体にしよう
   対象者の視点で媒体作りを見直そう
   グッとくるパワーポイントのための基本テクニック
 思わず二度見する媒体にする
   聞いて理解できることはごくわずか。視覚・聴覚ルートで伝えよう
   「文章を読ませるスライド」はダメ
   センスに自信がなかったらプロをまねしてしまおう
   センスの良い画像の貼り方のコツは「余白をなくす」
   既存のスライドテンプレートから離れてみる

第5章 会場の静けさが,こわいです!
 健康教育にも大事な「ライブ感!」
   アーティスト気分で「コール・アンド・レスポンス」!
   モテる人が使ってる?「ミラーリング効果」
   対象者が主役になる場面をつくろう
   クイズや話し合いで,当事者意識を高めよう
   ネットワーキング,チームビルディングの視点を持とう
 会場の緊張感をうまくほぐす
   アイスブレイクとは?
   アイスブレイクその1 「持ち物と自分を紹介しよう」
   アイスブレイクその2 「つなげろ! バースデーチェーン」
   アイスブレイクその3 「空飛ぶリングUFO」
   アイスブレイクその4 「ドキドキ! タイマー爆弾しりとり」
   アイスブレイクその5 「もしもし指体操」
   アイスブレイク成功の鍵は保健師自身
 健康教育を進めやすい会場設営
   会場設営の工夫で場の雰囲気が変わる
   会場設営の種類と特徴
 グループワークがはずむコツ
   意見が出しやすい場とは?
   ブレインストーミング・カードでアイデアを出してみよう!
   アイデア出しはどんな場面で活用できる?

第6章 健康教育にも新しい波が押し寄せています!
 オンライン講座も面白く
   オンライン健康教育のスキルも身につけよう
   対面とオンライン,それぞれの強みと弱点を知ろう
   オンライン健康教育に活用できるツール
   オンライン開催の特徴は?
   事前準備編 見栄えも大事な要素
   実施中 画面に綺麗に映ると,自信を持って話せる!
 健康教育の達人は流行に敏感
   できる保健師はアンテナが高い……健康教育もね!

おわりに 健康教育はみんなで楽しくするもの
 自分自身が楽しいと思える健康教育をしよう!
   試行錯誤が腕を磨いていく
   仲間と一緒に支え合いながら「楽しく!」進んでいこう

索引

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心の通う健康教育のエッセンスとアイデアが詰まっている素敵な教本
書評者:河村 洋子(産業医科大学産業保健学部安全衛生マネジメント学教授)

 「健康教育」と言うと、情報提供する一方向的な印象があるが、実はそうでない。参加者には健康教育を通じて、自分にとって必要な情報を認識し、落とし込み、活用できるところまでたどり着いてもらいたい。しかし、現代社会でこの目標を達成するのは、容易なことではない。というのは、日々接する情報の量が多く、情報処理を常に行わなければならない生活は多忙感を高めるため、人々はよほど自分にとって意味のある情報でない限り、真剣に向き合うことをしないからである。したがって、健康教育の機会が単なる「情報提供」の場になってしまうと、この目標を達成するのは難しくなる。
 それに対して本書は、「面白い、楽しい、ためになった『経験』の場を参加者に提供する」という打開策を極めて実践的に、かつ要点を押さえて説明してくれる。本書が素敵(!)な点はたくさんあるが、誌面の都合で2つに絞ってお伝えしたい。

▶向き合い方まで教えてくれるのが、素敵
 第3章「緊張して、うまく話せません!」は、とても重要なことを教えてくれる。特に「失敗してはいけない」の呪いを自分にかけるのはやめること、「緊張してます!」と宣言することは、私自身も経験上、有効であると実感している。「緊張している」自分をさらすことで、参加者との距離感が縮まり、関係性が良くなったら、「失敗しないこと」ではなく、そもそもの「目的」に立ち返って、参加者と過ごす空間と時間をより心地よく、意味あるものにすることに注力できるようになる。このことを私は経験を通して実感してきたが、経験の浅い保健師の方々には、とにかく本書の教えを「そうなんだ!」と思って、実践してほしいと思う。

▶参加者の視点を大事にすることが原則なのが、素敵
 第2章「健康教育の組み立て方が、分かりません!」にある「参加者と保健師、お互いが満足な目標設定を」という項目は、その本質を示している。保健師は「専門家」として参加者にとって大事なことが「分かっている」かもしれないが、実際に参加者自身がどう認識している/するかは本人の話を聞かないと分からない。一方、保健師としては知っておいてほしい、つまり「自分ごと」にしてほしい内容もあるので、「分かりやすいと言ってもらえる組み立てにする」ことが重要である。この章は、マーケティングの考え方のように、参加者のニーズに応じた「健康教育」のつくり方を教えてくれる。
 本書には、実践現場で即活用できるアイデアが「ギュウギュウ」に詰まっている。また、各章は「お悩みの声」を基に展開されているので、手元に置いておけば悩んだときにすぐに役立つ。本書を参考に「面白い、楽しい、ためになった」と参加者が語ってやまない健康教育を、ぜひ多くの保健師の方々に企画し、実践していってほしいと思う。

(「保健師ジャーナル」 Vol.80 No.4 掲載)

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