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頭痛の診療ガイドライン2021

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頭痛診療のバイブル『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』が8年ぶりの改訂。二次性頭痛についてのCQが加わり、頭痛に携わる医療者のニーズにさらに幅広く対応。

監修 日本神経学会 / 日本頭痛学会 / 日本神経治療学会
編集 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会
発行 2021年10月判型:B5頁:512
ISBN 978-4-260-04698-5
定価 5,940円 (本体5,400円+税)

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『頭痛の診療ガイドライン2021』の発行について

 日本神経学会では,2001年に柳澤信夫理事長の提唱に基づき,理事会で主要な神経疾患について治療ガイドラインを作成することが決定され,2002年に「慢性頭痛」「パーキンソン病」「てんかん」「筋萎縮性側索硬化症」「痴呆性疾患」「脳血管障害」の6疾患についての「治療ガイドライン2002」を発行しました.また日本頭痛学会では,慢性頭痛診療のレベル向上,標準化,および専門医のみでなくプライマリ・ケア医への普及を目的に,2006年に『慢性頭痛の診療ガイドライン』を作成・発行しました.
 その後,日本神経学会では「治療ガイドライン2002」の発行から時間が経過し,新しい知見も著しく増加したため,2008年の理事会で改訂を行うことを決定し,さらにそれ以降も関連学会と協力してガイドラインごとに作成委員会を設置して順次改訂や新規作成に取り組んできました.現在では18のガイドラインを書籍やホームページで公表しています.ガイドラインは,当初「治療ガイドライン」として作成されていましたが,2010年に改訂版として公表した「てんかん」「認知症疾患」「多発性硬化症」「パーキンソン病」のガイドラインからは,検査・診断を含めた「診療ガイドライン」として作成・公表されるようになりました.
 慢性頭痛に関するガイドラインは,2006年以降では,薬物治療を中心としたエビデンスの集積を背景に,日本神経治療学会および日本脳神経外科学会の協力を得て,日本神経学会・日本頭痛学会の共同監修により,『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』が作成され公表されました.
 今回のガイドラインは,2013年版の改訂版で,日本神経学会,日本頭痛学会および日本神経治療学会の共同監修とし,脳神経外科学会を協力学会としてガイドライン作成委員会を構成して,作業を進めて,『頭痛の診療ガイドライン2021』として公表するに至ったものです.
 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会の委員長,委員,システマティックレビュー委員,評価・調整委員,協力委員は,毎年日本神経学会代表理事に利益相反自己申告書を提出し,日本神経学会利益相反委員会が審査し,重大な利益相反が生じないようマネジメントを行うとともに,その申告状況については本書で公表することにしました.
 本ガイドラインの改訂・作成は従来同様,根拠に基づく医療(evidence-based medicine:EBM)の考え方に従い,「Minds 診療ガイドライン作成の手引き」2014年版に準拠して作成されました(これまでに2014年版準拠は「多発性硬化症・視神経脊髄炎」「パーキンソン病」「てんかん」の診療ガイドラインなどがあります).2014年版では患者やメディカルスタッフもクリニカルクエスチョン作成に参加するGRADEシステムの導入を推奨しており,GRADEシステムは新しいガイドラインの一部にも導入されています.
 診療ガイドラインは,臨床医が適切かつ妥当な診療を行うための臨床的判断を支援する目的で,現時点の医学的知見に基づいて作成されたものです.個々の患者さんの診療はすべての臨床データをもとに,主治医によって個別の決定がなされるべきものであり,診療ガイドラインは医師の裁量を拘束するものではありません,診療ガイドラインはすべての患者に適応される性質のものではなく,患者さんの状態を正確に把握したうえで,それぞれの治療の現場で参考にされるために作成されたものです
 頭痛の診療も日進月歩で発展しており,今後も定期的な改訂が必要となります.本ガイドラインを各関係学会員の皆様に活用していただき,さらには学会員の皆様からのフィードバックをいただくことにより,診療ガイドラインの内容はよりよいものになっていきます.本ガイドラインが,皆様の日常診療の一助になることを期待しますとともに,次なる改訂に向けてご意見とご評価をお待ちしております.

 2021年9月吉日
 日本神経学会 代表理事 戸田達史
 日本頭痛学会 代表理事 平田幸一
 日本神経治療学会 理事長 桑原 聡
 日本神経学会 ガイドライン統括委員会 委員長 青木正志


わが国における頭痛の診療ガイドラインのこれまで
 1988年,国際頭痛学会が“The International Classification of Headache Disorders”を発表したことによって,世界共通の頭痛診断基準が用いられるようになり,頭痛研究の基盤ができた.それに応じて,わが国でも日本頭痛学会,日本神経学会が中心となって慢性頭痛の研究がすすみ,2002年には日本神経学会治療ガイドラインの1つとして,「慢性頭痛治療ガイドライン2002」が出版された.続いて2004年,国際頭痛学会は“The International Classification of Headache Disorders;2nd Edition(ICHD-2)”を発表した.これに応じて,慢性頭痛の診療ガイドライン作成における研究班(主任研究者:坂井文彦)が結成され,2006年には『慢性頭痛の診療ガイドライン』(編集:日本頭痛学会)が出版された.また,2007年にはICHD-2を日本語に訳した『国際頭痛分類 第2版 新訂増補日本語版』(訳:日本頭痛学会・国際頭痛分類普及委員会)が出版された.
 その後,日本における頭痛診療の変化に応じて,『慢性頭痛の診療ガイドライン』(2006年)を改訂する必要が生じた.2011年には,日本頭痛学会と日本神経学会が中心となり,さらに日本神経治療学会,日本脳神経外科学会も加わって,改訂作業が進められた.その結果,『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』が完成した.この第3版では,第2版同様に8つの章に分けて解説した.
 なお,この『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』はすべてを英訳し,2015年に“Clinical Practice Guideline for Chronic Headache 2013”として,日本神経学会および日本頭痛学会のホームページに提示している.その主要な部分は,日本神経学会の英文誌“Neurology and Clinical Neuroscience”〔2019;7(5):231-259〕に掲載されている.

2018年からの新たな「頭痛診療ガイドライン」への取り組み
 2018年,国際頭痛学会は“The International Classification of Headache Disorders;3rd Edition(ICHD-3)”を発表し,日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会では,同年11月にその日本語訳を『国際頭痛分類 第3版』(訳:日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会)として出版した.
 一方,国際的には,抗CGRP抗体および抗CGRP受容体抗体による片頭痛の治療に関して2014年以降多くの成果が発表され,米国では2018年から同抗体による治療が行われるようになった.このような世界的な流れを受けて,2018年の日本頭痛学会において,次のガイドラインの作成を始めるべきとの意見が強まり,今回のガイドライン作成委員会が発足することになった.今回は,日本神経学会,日本頭痛学会,日本神経治療学会が監修し,日本脳神経外科学会が協力学会として加わることになり,委員の構成が決まった.翌2019年2月24日には大多数の委員が参加し,はじめてのガイドライン作成委員会の会議が行われた.この会議で,今回のガイドラインには二次性頭痛の項目も含めること,前回の遺伝子に関する章は「I.頭痛一般」の中に含めることを決め,各CQの担当者も決めた.また,前回のガイドラインの4つの付録CQは本文内に含めることも決まった.このガイドラインは以下の8つの章からなる.

I.頭痛一般 27 CQ
II.片頭痛(1.診断・疫学・病態・誘発因子・疾患予後 15 CQ,2.急性期治療 14 CQ,3.予防療法 18 CQ)
III.緊張型頭痛 8 CQ
IV.三叉神経・自律神経性頭痛(TACs) 11 CQ
V.その他の一次性頭痛 7 CQ
VI.薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH) 3 CQ
VII.小児・思春期の頭痛 8 CQ
VIII.二次性頭痛 21 CQ

 その後の委員会にて,1つのCQにおいてGRADE方式を採用することを決めた.II-2-3「トリプタンはNSAIDs,エルゴタミンよりも有用か」はGRADE方式にて作成するため,外部委員として南郷栄秀氏に,医師以外のメンバーとして田畑かおり氏(看護師),加藤美恵氏(薬剤師),木田千裕氏(患者代表)に加わっていただき,会議を行った.
 科学的根拠の検索には従来と同様,系統だった手法を用い,PubMed,Cochrane Library,医中誌Web,その他を利用して検索し,重要な論文はできるだけ漏れないように心掛けた.その結果を統合してそれぞれのCQに対する推奨グレード(強い推奨or弱い推奨),およびエビデンスの確実性〔A(高)or B(中)or C(低)〕を作成した.今回作成されたCQは,すべてDropboxに入れ,すべての委員が随時みられるようにして作業を進めた.2019年10月に,ガイドライン委員会が開催され,大多数の委員が参加してお互いに進行具合を確認した.2020年になり新型コロナウイルスの蔓延に伴って集会が制限されたため,Webを利用したオンラインによるブラッシュアップ会議を繰り返し行い,すべてのCQのブラッシュアップが2021年2月には終了した.その後,評価・調整委員にコメントを求め,続いてパブリックコメントも募集した.多くのコメントに対して,コアメンバーによる編集会議で検討を重ね,著者校正を経て完成した次第である.多くのコメントを寄せて下さった皆様には,ここに感謝の意を表したい.

本ガイドラインの特徴
 本ガイドラインは前回の『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』をもとに,最新の情報を加え,頭痛診療の国際標準的な考え方を示した.特に,二次性頭痛の項目を加えたこと,本年からわが国でも使用可能となった抗CGRP抗体および抗CGRP受容体抗体による片頭痛の治療を紹介できたことが,本ガイドラインの特徴である.「慢性頭痛治療ガイドライン2002」を初版とすれば,2006年版が第2版,2013年版が第3版,そして本ガイドラインはわが国の「頭痛診療ガイドライン」の第4版といえる.今回は二次性頭痛も含めたため,タイトルも従来の「慢性頭痛」から「頭痛」に変更した.頭痛の診療に当たる医師が効率的かつ標準的治療を行う上で必須の資料となれば幸いである.
 この診療ガイドラインは,各医師が治療法を決定するうえでの参考となるように,個々の治療薬や非薬物療法の現状における評価を示したもので,決して画一的な治療法を示したものではない.
 最後に多くの委員の努力の賜物といえる本書が出版される運びとなり,関係各位に感謝の意を表したい.

 2021年9月吉日
 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会を代表して
 荒木信夫
 竹島多賀夫

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「頭痛の診療ガイドライン」作成委員,外部委員,評価・調整委員一覧および協力学会
『頭痛の診療ガイドライン2021』の発行について

COI開示

I 頭痛一般
  CQ I-1 頭痛はどのように分類し診断するか
  CQ I-2 一次性頭痛と二次性頭痛はどう鑑別するか
  CQ I-3 救命救急室(ER)での頭痛診断はどのように行うか
  CQ I-4 プライマリケア医および歯科医は頭痛医療にどう取り組むか
  CQ I-5 頭痛外来,頭痛専門医は必要か
  CQ I-6 病診連携は一次性頭痛診療に有用か
  CQ I-7 頭痛診療においてアルゴリズムをどのように使用するか
  CQ I-8 頭痛による個人へのインパクトを知るにはどうするか
  CQ I-9 頭痛診療において問診票,質問票,スクリーナーをどう利用するか
  CQ I-10 頭痛ダイアリーは有用か
  CQ I-11 どのような一次性頭痛を治療すべきか
  CQ I-12 一次性頭痛の入院治療の対象と治療法はどのようなものがあるか
  CQ I-13 OTC医薬品による頭痛治療をどのように指導するか
  CQ I-14 頭痛診療において漢方薬は有効か
  CQ I-15 頭痛診療において薬物療法以外にどのような治療法があるか
  CQ I-16 認知行動療法は一次性頭痛の治療に有効か
  CQ I-17 一次性頭痛は不安・抑うつと共存するか
  CQ I-18 起立性低血圧やPOTSによる頭痛はどのように診断し対処・治療するか
  CQ I-19 産業医,脳ドック医は頭痛にどう対処すればよいか
  CQ I-20 学校医は頭痛を訴える学童・生徒にどう対処すればよいか
  CQ I-21 頭痛診療における患者教育,医師-患者関係では,どのような点に留意するか
  CQ I-22 頭痛診療においてチーム医療は有用か
  CQ I-23 頭痛診療における画像診断はどのように行うか
  CQ I-24 頭痛診療において遠隔医療は有用か
  CQ I-25 片頭痛には遺伝要因があるか
  CQ I-26 片頭痛の遺伝子診断はできるか
  CQ I-27 群発頭痛,緊張型頭痛には遺伝要因があるか

II 片頭痛
 1.診断・疫学・病態・誘発因子・疾患予後
  CQ II-1-1 片頭痛はどのように分類・診断するか
  CQ II-1-2 わが国における片頭痛の有病率はどの程度か
  CQ II-1-3 片頭痛の病態,メカニズムはどのように考えられているか
  CQ II-1-4 片頭痛の前兆にはどのようなものがあるか
  CQ II-1-5 片頭痛発作時には局所脳血流はどのように変化するか
  CQ II-1-6 片頭痛の誘発因子・増悪因子にはどのようなものがあるか
  CQ II-1-7 片頭痛の自然史および予後はどうか
  CQ II-1-8 片頭痛患者の健康寿命の阻害,QOLの阻害はどの程度か
  CQ II-1-9 片頭痛による経済的損失はどのように評価するか
  CQ II-1-10 片頭痛のcomorbid disorders(共存症)にはどのようなものがあるか
  CQ II-1-11 片頭痛とてんかんの関係はどのように考えられているか
  CQ II-1-12 慢性片頭痛とはどのような疾患か
  CQ II-1-13 片頭痛は脳梗塞の危険因子か
  CQ II-1-14 片頭痛患者における低用量経口避妊薬の使用は安全か
  CQ II-1-15 片頭痛と卵円孔開存の関連,経皮的卵円孔開存閉鎖術はどのように考えられているか.経皮的卵円孔開存閉鎖術は有効か
 2.急性期治療
  CQ II-2-1 片頭痛の急性期治療には,どのような方法があり,どのように使用するか
  CQ II-2-2 片頭痛の急性期治療のゴールはどのように設定し,実施するか
  CQ II-2-3(GRADE) 片頭痛の急性期治療薬として,トリプタンは非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)よりも有用か
  CQ II-2-4 トリプタンはどのタイミングで使用すべきか
  CQ II-2-5 複数のトリプタンをどう使い分けるか
  CQ II-2-6 非経口トリプタンはどのような片頭痛患者に対して,どのように使用すべきか
  CQ II-2-7 スマトリプタン在宅自己注射は,どのような患者に,どう使用するか(適応,副作用,禁忌)
  CQ II-2-8 片麻痺性片頭痛の急性期にトリプタンは有効か
  CQ II-2-9 アセトアミノフェン,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は片頭痛治療に有効か
  CQ II-2-10 急性期治療において制吐薬は有用か
  CQ II-2-11 その他の片頭痛の急性期治療薬にはどのようなものがあるか
  CQ II-2-12 片頭痛重症発作,発作重積の急性期治療はどのように行うか
  CQ II-2-13 妊娠中,授乳中の片頭痛はどのように治療(急性期・予防)するか
  CQ II-2-14 月経時片頭痛はどのように診断し治療するか
 3.予防療法
  CQ II-3-1 どのような患者に予防療法が必要か
  CQ II-3-2 片頭痛の予防療法にはどのような薬剤があるか
  CQ II-3-3 片頭痛予防療法のゴールはどのように設定し,実施するか
  CQ II-3-4 複数の予防療法をどのように使い分けるか
  CQ II-3-5 予防療法はいつまで続ける必要があるか
  CQ II-3-6 β遮断薬(プロプラノロール)は片頭痛の予防に有効か
  CQ II-3-7 Ca拮抗薬(ロメリジン)は片頭痛の予防に有効か
  CQ II-3-8 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(リシノプリル),アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)(カンデサルタン)は片頭痛の予防に有効か
  CQ II-3-9 抗てんかん薬は片頭痛の予防に有効か
  CQ II-3-10 抗うつ薬(アミトリプチリン)は片頭痛の予防に有効か
  CQ II-3-11 抗うつ薬(SSRI/SNRI)とトリプタンの併用は可能か
  CQ II-3-12 マグネシウム,ビタミンB2(リボフラビン),コエンザイムQ10,ナツシロギク,鎮痛薬は片頭痛の予防に有効か
  CQ II-3-13 片頭痛のその他の予防療法は有効か
  CQ II-3-14 CGRP関連薬剤(CGRP受容体拮抗薬,抗CGRP抗体,抗CGRP受容体抗体)は片頭痛の予防に有効か
  CQ II-3-15 ボツリヌス毒素は片頭痛の予防に有効か
  CQ II-3-16 典型的前兆のみで頭痛を伴わないものはどのように診断し治療するか
  CQ II-3-17 慢性片頭痛はどのように治療するか
  CQ II-3-18 片頭痛治療においてニューロモデュレーションは有用か

III 緊張型頭痛
  CQ III-1 緊張型頭痛はどのように分類・診断するか
  CQ III-2 わが国における緊張型頭痛の有病率はどの程度か.誘発・増悪因子にはどのようなものがあるか
  CQ III-3 緊張型頭痛の病態はどのように理解されているか
  CQ III-4 緊張型頭痛の治療はどのように行うか
  CQ III-5 緊張型頭痛の急性期治療にはどのような種類があり,どのように使用するか
  CQ III-6 緊張型頭痛の予防療法はどのように行うか
  CQ III-7 緊張型頭痛の治療法には薬物療法以外にどのようなものがあるか
  CQ III-8 ボツリヌス毒素は緊張型頭痛の予防に有効か

IV 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
  CQ IV-1 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)にはどのような分類・病型があるか
  CQ IV-2 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)はどのように診断するか
  CQ IV-3 群発頭痛にはどの程度の患者が存在するか.危険因子,増悪因子にはどのようなものが存在し,患者の予後はどうか
  CQ IV-4 群発頭痛の病態はどのように理解されているか
  CQ IV-5 群発頭痛患者の健康寿命の阻害,QOLの阻害はどの程度か
  CQ IV-6 群発頭痛急性期(発作期)治療薬にはどのような種類があり,どの程度有効か
  CQ IV-7 群発頭痛の在宅酸素療法はどのように実施するか
  CQ IV-8 群発頭痛発作期の予防療法にはどのような薬剤があり,どの程度有効か
  CQ IV-9 発作性片側頭痛治療薬にはどのような種類があり,どの程度有効か
  CQ IV-10 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNHA)(SUNCTおよびSUNA)の治療薬にはどのような種類があり,どの程度有効か
  CQ IV-11 持続性片側頭痛はどのように診断し治療するか

V その他の一次性頭痛
  CQ V-1 片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛以外の一次性頭痛にはどのようなものがあるか
  CQ V-2 一次性咳嗽性頭痛,一次性運動時頭痛,一次性穿刺様頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ V-3 性行為に伴う一次性頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ V-4 睡眠時頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ V-5 一次性雷鳴頭痛はどのように診断するか
  CQ V-6 新規発症持続性連日性頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ V-7 慢性連日性頭痛はどのように診断するか

VI 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH)
  CQ VI-1 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH)はどのように診断するか
  CQ VI-2 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH)の患者はどれくらいいるか
  CQ VI-3 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH)の治療法と予後はどうか

VII 小児・思春期の頭痛
  CQ VII-1 小児・思春期にはどのような頭痛が多いか
  CQ VII-2 小児・思春期の片頭痛はどのように診断するか
  CQ VII-3 小児・思春期の二次性頭痛にはどのようなものが多いか
  CQ VII-4 小児・思春期の片頭痛非薬物療法にはどのような種類があり,どの程度有効か
  CQ VII-5 小児・思春期の片頭痛急性期治療薬,予防薬にはどのような種類があり,どの程度有効か
  CQ VII-6 小児・思春期学童に慢性連日性頭痛はどのくらいあるか,また,その診断と治療はどのように進めるか
  CQ VII-7 不登校・不規則登校を伴う頭痛はどのような頭痛か,どう対処すればよいか
  CQ VII-8 片頭痛に関連する周期性症候群はどのくらいあるか,また,その診断と治療はどのように進めるか

VIII 二次性頭痛
  CQ VIII-1 二次性頭痛にはどのようなものがあり,どのように診断するか
  CQ VIII-2 頭頸部外傷後の頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-3 虚血性脳卒中による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-4 非外傷性頭蓋内出血(くも膜下出血を含む)による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-5 脳動脈解離による頭痛・頸部痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-6 脳静脈血栓症による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-7 可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)はどのように診断するか
  CQ VIII-8 動脈炎による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-9 遺伝性血管異常症による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-10 下垂体卒中による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-11 頭蓋内圧亢進性頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-12 低髄液圧による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-13 脳腫瘍による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-14 感染症による頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-15 高山性頭痛と潜水時頭痛にはどのような特徴があるか,またどのように対処するか
  CQ VIII-16 睡眠時無呼吸性頭痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-17 高血圧性頭痛にはどのような特徴があるか,またどのように対処するか
  CQ VIII-18 眼疾患,耳疾患,鼻・副鼻腔疾患,歯・顎・頸部構成組織の障害による頭痛はどのように治療するか
  CQ VIII-19 精神疾患による頭痛はどのように診断するか
  CQ VIII-20 三叉神経痛はどのように診断し治療するか
  CQ VIII-21 有痛性三叉神経ニューロパチー,その他の顔面痛はどのように診断し治療するか

数字・欧文索引
和文索引

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内容豊富なCQが診療現場で大きな力を発揮!
書評者:竹内 勤(慶大名誉教授)

 頭痛の診療ガイドラインは,2002年に「慢性頭痛治療ガイドライン2002」として初版が発刊されて以来,わが国の頭痛診療の標準化に大きな役割を果たしてきた。今回,2013年の改訂版『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』から大幅な改訂がなされ,また,タイトルも『頭痛の診療ガイドライン2021』として関連学会が共同監修したもので,まさに頭痛診療を全て網羅した大作である。これを主導した先生方のご努力は大変なものであったと思うが,その御功績に盛大なる拍手をお送りしたい。

 今回のガイドラインは,『Minds診療ガイドライン作成の手引き』2014年版に準拠して作成され,一部のクリニカルクエスチョン(CQ)では患者さんやメディカルスタッフが参加するGRADEシステムが導入された。また,二次性頭痛の項目が新たに加えられ,この数年間で飛躍的な進歩を見せた抗CGRP抗体や抗CGRP受容体抗体などによる最新治療までも触れられている。最新の手法を取り入れ,最新のエビデンスに基づいて,頭痛診療の広範な領域を包含し,丁寧なCQによって構成された,素晴らしい診療ガイドラインである。

 驚いたのは,そのCQの内容の豊富さである。通常のガイドラインであれば,診断,評価,治療などが中心に構成されるところであるが,本ガイドラインにおいては,疫学,病態,医療体制,患者指導など,まさに診療の現場で患者さんやその家族から投げかけられる疑問に答える内容となっている。各CQに対して,推奨は,太線内に簡潔にまとめられ,その背景・目的と,解説・エビデンスに続き,検索式・参考にした2次資料が掲載されている。興味のある読者はエビデンス構築の基となった資料に容易にアクセスでき,大変便利で統一された紙面である。さらに,本文473ページにも及ぶ大部であるが,巻末には,英文と和文の索引があり,目的とする項目に素早くたどり着ける工夫がなされており,診療現場で大きな力を発揮すると思われる。同時に,医学教育的な価値も大変高く,頭痛の専門診療のみならず,幅広い分野の日常診療,医師以外のメディカルスタッフや行政の場など,さまざまな場面で本書を活用していただければ幸いである。

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