標準小児外科学 第8版

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出生前診断、臓器移植、内視鏡下手術など小児外科学の進展を反映した改訂第8版。医学部学生から小児外科専門医まで幅広いニーズに応えるスタンダードテキスト。各領域のエキスパートが小児外科学の広範な知見をポイントを押さえて解説する。子どもの命を守り、健やかな成育を支えるスペシャリストとして座右に備えておきたい一冊。


 

『標準医学シリーズ 医学書院eテキスト版』は「基礎セット」「臨床セット」「基礎+臨床セット」のいずれかをお選びいただくセット商品です。
各セットは、該当する領域のタイトルをセットにしたもので、すべての標準シリーズがセットになっているわけではございません。

 

シリーズ 標準医学
監修 上野 滋
編集 仁尾 正記 / 奥山 宏臣 / 田尻 達郎
発行 2022年03月判型:B5頁:452
ISBN 978-4-260-04796-8
定価 8,800円 (本体8,000円+税)

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第8版 序

 標準小児外科学は1985年に初版が上梓され,その後改訂を重ねて,今回第8版の刊行に至りました.改訂のたびに,すべての章において記載内容を見直し,最新の知見・動向を踏まえてアップデートを行ってまいりました.鈴木宏志先生,横山穣太郎先生,岡田正先生の編集による初版に比べますとページ数は大幅に増大しておりますが,初版の序文に記された本書のコンセプトは連綿と継承されております.
 第8版の監修・編集体制としては,第7版編集の上野滋先生は監修に,新たに田尻達郎先生が編集に就任しました.また,今回の改訂では,全執筆者39名中16名が新規に執筆を担当し,新規執筆者の章の大部分は書き下ろしとなっておりますが,章レベルの目次構成は前版から大きな変更がありません.これは版を重ね教科書としての熟成度が高まったことを意味していると考えております.重要なポイントを赤の下線で示すことや,発展的な内容を「NOTE」として補足することなども第7版を引き継いでおります.小児外科専門医を目指す医師にとって有用であることや,できるだけ医師国家試験出題基準に則って記載されていることもこれまでと同様です.
 日本小児外科学会の創設(1964年)をもって,わが国における本格的な小児外科診療の開始時期ととらえると,それから60年近くが経過しております.わが国の小児外科は欧米より50年ほど遅れて始まったといわれ,以来,多くの先人たちによって,小児外科疾患をもつ患者を救うための必死の努力が続けられてきました.その成果として,わが国の小児外科診療は急速に発展して,その治療成績は欧米に匹敵するものとなり,領域によってはさらに凌駕するまでになって現在に至っております.診療が目指すレベルについても,救命第一の時代から,より低侵襲な外科治療手技の採用や長期的な機能温存ならびにQOLの維持・向上といった面が重要視されるようになってきました.
 小児外科領域の治療成績の向上とともに,小児期に手術を受けたのちに成長して成人期を迎える患者が年々増加しておりますが,その中には何らかの身体的あるいは心理社会的な問題を抱える例も少なくありません.このような背景から,小児期から成人期への移行期の医療,いわゆるトランジションの重要性に注目が集まっており,そこにおける小児外科医のかかわりについても盛んに議論されております.この問題に関しては,疾患ごとに異なった特徴や経過を有することや,地域や施設で医療の提供体制に差があることなど,さまざまな要因が絡み合い,解決は必ずしも容易ではありません.
 また,わが国が直面する深刻な問題に少子化がありますが,これは小児医療にもさまざまな影響を及ぼしつつあります.小児外科における端的な例として手術数の減少が挙げられます.少子高齢化の傾向はさらに続くことが予測されており,この流れが小児外科診療の発展の遅れや患者の不利益につながらないようにするには,小児外科医の技術水準の維持向上のための効率的なトレーニングなどを含めたいろいろな工夫が必要となります.特に小児外科領域においては難治性希少疾患が頻繁に取り扱われ,すべての患者に高レベルで均一な小児外科医療を提供しつつ,質の高い専門医を育成するためには,今までにも増して症例を集約する体制が必要となるかもしれません.また,それらの患者をそれぞれの地域で適切にフォローアップしつつ必要な医療を提供する,いわば医療の均てん化や標準化のための施設および人員の配置への配慮も重要です.国の医療政策や自治体の取り組みなどにもかかわる大きな問題ですが,小児外科医が積極的にかかわることで初めて解決への道が開かれるものと思われます.
 小児外科学が急速な進歩・発展を続け,また小児医療をめぐる新たな課題が発生する中にあって,小児外科医は,周産期から移行期までの幅広い年齢層にわたって,胸・腹部を中心とした諸臓器の疾患をみる総合外科医としての主要な役割を担わなくてはなりません.小児外科医としてのキャリアのどの時点においても,疾患概念を正しく理解し,最新の診断・治療法を把握することは重要であり,医学生,小児外科を志望する若手医師から専門医・指導医まで,本書を傍に置いて小児外科学の学習や指導に役立てていただければ幸いです.

 2022年1月
 編者

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第1章 小児外科概論
第2章 手術前後の管理
 小児外科診療に必要な事項
 手術と感染
 輸血と血液浄化療法
第3章 小児の麻酔と周術期の呼吸管理
第4章 外科的基本手技とその適応
第5章 出生前診断
第6章 内視鏡外科手術
第7章 脳・脊髄
第8章 顔面・頸部
第9章 気道・肺・胸壁
 先天性気道疾患
 囊胞性肺疾患
 胸壁疾患
 乳腺疾患
第10章 心・大血管
第11章 食道
第12章 横隔膜
第13章 胃・十二指腸
第14章 小腸・大腸
第15章 消化管閉鎖症・狭窄症
第16章 消化管重複症
第17章 直腸・肛門
第18章 肝・胆・膵
第19章 脾・門脈
第20章 腹壁・臍および鼠径部
第21章 泌尿器・生殖器
第22章 小児腫瘍
第23章 外傷・異物
第24章 結合体
第25章 移植

付録

和文索引
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