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マンモグラフィガイドライン 第4版

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現在、乳房の画像診断には様々なモダリティが利用できるが、マンモグラフィが乳房画像診断の基本であることには変わりない。このたびの改訂では「比較読影」、「トモシンセシス」、「超音波検査との総合判定」の章が新たに加わり、画像も全体として大幅に増加した。また病理の章も、病理から画像への対応がより分かりやすく理解できるよう改訂されている。

編集 (公社)日本医学放射線学会/ (公社)日本放射線技術学会
発行 2021年04月判型:A4頁:144
ISBN 978-4-260-04622-0
定価 4,400円 (本体4,000円+税)

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第4版の序

 1999年6月に『マンモグラフィガイドライン』の初版が刊行されてから21年が経過しました。現在マンモグラフィは超音波検査と並んで,乳がん検診あるいは乳がんの精密検査になくてはならないものであることが認識されてきています。
 ただ,撮影して読影すればがんが見つかると考える時代は過去のものになり,撮影技術,読影技術が高度な精度で検査されてこそ,マンモグラフィは乳がん診療の武器となるということが一般にも周知されてきたことは,日本乳がん検診精度管理中央機構が主催して頻繁に行われる講習会や制度管理試験などで示されてきた絶え間ないご努力が大きく寄与していると考えます。
 乳がん診療も新しい概念や治療法の革新など大きく環境が変わってきております。今回の第4版は7年ぶりの改訂となりますが,この間に網羅すべきことが記載され,また第3版増補版ではやや曖昧であったことがわかりやすく改訂されています。例えば,病理の章では,新しいサブタイプの概念の紹介,読影方法の章ではカテゴリー分類の検診用と診療用との使い分け,新しい章立てとして,海外のカテゴリー分類との比較,比較読影法の詳述,トモシンセシスの説明,超音波検査との総合的評価のやり方など,さまざまなご要望に対応できている内容と考えます。また,技術面では,国際レベルを保ちつつ,日本医学放射線学会,日本放射線技術学会,日本画像医療システム工業会のコンセンサスを得た内容が反映されています。
 今回の改訂会議は,コロナ禍の中,すべてオンラインで行われ,作成内容もwebで共有して,作成されていくという新しい形式にならざるを得ませんでしたが,角田博子先生のリーダシップの下,素晴らしい内容に仕上がっております。また,作成委員の方々の献身的なご努力のもとに完成したことを申し添えたいと思います。
 本書が,現在の乳がん診療に即したものとして大いに利用され,正しい精度管理や,精度の高い読影の継続に,中心的役割を果たしていくものと期待しています。

 2021年3月
 日本医学放射線学会
 担当理事 村山 貞之


第4版の序

 2014年4月に『マンモグラフィガイドライン 第3版増補版』が発刊されてから,診断においても治療においても乳癌診療を取り巻く環境は大きく変化しているなか,改訂しなければという思いを抱きつつ,7年が経過してしまいました。今回,第4版を出版できますことに,まず感謝申し上げたいと思います。
 2020年はまさに新型コロナウィルスにより,診療においても,学会研究会などにおいても,そして日常生活にも大きな変化がもたらされた年でした。院内外を問わず,会議はことごとくオンラインを活用する方向になりました。今回の改訂に際しても,立ち上げから出版の大詰めまで,改訂委員会から細かな連絡まで,すべての会議がオンラインで行われました。最初は不安もありましたが,委員もオンラインの会議に慣れ,結局一度も直接顔を合わせることなく,改訂版を出版できることとなりました。
 今回,マンモグラフィの技術的な部分や読影用語などについては,第3版増補版をバージョンアップし,画像を入れ替え,より皆様のお役に立てる内容になっているものと思います。病理の章では,『乳癌取扱い規約 第18版』で新しく変更になった部分に合致する形で変更を行いました。そして,病理から画像への対応がよりわかりやすいものになったと思っております。カテゴリーについては,日本のカテゴリーとヨーロッパおよび米国のカテゴリーについて参考の章を作成しました。さらに新しく作成,追加したのは,比較読影,トモシンセシス,超音波検査との総合判定の章です。検診においても診療においても比較読影は極めて重要です。今まで比較読影についての記述が不十分であり,もっと充実したものにしたいと考えておりました。トモシンセシスは次第に普及しつつある技術です。トモシンセシスを考慮したカテゴリーの変更についても検討したかったところではありますが,まだコンセンサスが得られていないと考えました。次の改訂の課題となるでしょう。総合判定については別のマニュアルがすでに出版されているのですが,日常,マンモグラフィを読影する際には超音波との総合的な判断が必須であることから,マンモグラフィ側からみた内容を新しく参考として作成することにしました。被ばくの問題に関しては,より実用的な記述となっています。日本医学放射線学会の放射線安全管理委員会にもお力をお借りし,監修いただきました。
 現在,乳房の画像診断にさまざまなモダリティを利用することが可能となってきています。しかし,マンモグラフィが乳房画像診断の基本であることに変わりはなく,撮影を理解し,深く掘り下げて読影することが極めて重要です。このガイドラインを利用いただき,検診に,日常診療にお役に立てていただけるとしたら幸いです。
 最後になりましたが,委員の方々および毎回ご指導いただいた村山貞之委員長および担当理事に心からの敬意と感謝を表します。またオンラインの準備をはじめ,サポートいただいた日本医学放射線学会事務局の大森啓嗣氏,出版まで何回もチェックを重ね,お手数をおかけしたにもかかわらず快くお付き合いくださった医学書院の大橋尚彦氏に御礼申し上げます。

 2021年3月
 マンモグラフィガイドライン改訂委員会委員
 角田 博子

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第1章 マンモグラフィシステム
  1 構成
  2 性能

第2章 撮影法
  1 撮影情報の表示
  2 読影環境
  3 乳房の圧迫
  4 ポジショニング
  5 標準撮影法
  6 撮影時における既往歴の記載
  7 追加撮影法
  8 ステレオ撮影,ステレオガイド下吸引式組織生検

第3章 乳房の解剖と正常像
  1 マンモグラフィにおける乳房の解剖と正常像
  2 年齢による変化
  3 乳腺の組織学的構造

第4章 病理
  1 WHO分類と乳癌取扱い規約分類
  2 乳腺疾患の病理
  3 サブタイプ

第5章 マンモグラム読影の基本
  1 フィルムマンモグラフィの読影(ハードコピー診断)時の読影環境
  2 モニタによるマンモグラフィの読影(ソフトコピー診断)

第6章 マンモグラム所見用語
 A 腫瘤
  1 形状
  2 境界および辺縁
  3 濃度
 B 石灰化
  1 明らかな良性石灰化
  2 良悪性の鑑別を必要とする石灰化
 C その他の所見
  1 乳腺組織の所見
  2 皮膚所見
  3 リンパ節の所見

第7章 所見の記載
 A 検診用報告書
  1 画像の評価
  2 乳房の構成に関する記載
  3 所見の記載
  4 部位の記載
  5 検診マンモグラフィカテゴリー(検診MGカテゴリー)判定
  6 検診マンモグラム所見用紙の例①
  7 検診マンモグラム所見用紙の例②
 B 診療用報告書
  1 画像の評価
  2 乳房の構成に関する記載
  3 所見の記載
  4 部位の記載
  5 診断の記載
  6 診断マンモグラフィカテゴリー(診断MGカテゴリー)判定
  7 診断マンモグラムの読影所見記載例
 参考:日本および海外におけるカテゴリー判定について
  1 日本におけるカテゴリー判定
  2 マンモグラフィに関する欧米のガイドライン

第8章 マンモグラムの読影の実際
  1 腫瘤
  2 石灰化
  3 その他の所見
  4 その他,読影時に考慮すべき点

第9章 比較読影(経時的比較読影)
  1 比較する期間
  2 所見別比較,判定の考えかた

第10章 トモシンセシス
  1 トモシンセシスについて
  2 トモシンセシス画像の特徴
  3 トモシンセシスの読影方法
  4 トモシンセシスの所見別活用方法
 参考:マンモグラフィと超音波検査の総合的な考えかた
  1 マンモグラフィと超音波検査の総合的な考えかた
  2 乳がん検診における総合判定
  3 乳がん診療における総合判定

第11章 画像評価
  1 ファントム画像評価(視覚評価とデジタル評価)
  2 臨床画像評価
  3 総合評価

第12章 精度保証
  1 精度管理システム
  2 受入試験と品質管理
  3 乳がん検診車
  4 放射線科医を始めとしたマンモグラフィ読影医の役割と責任

第13章 マンモグラフィにおける被ばくの知識と管理
  1 背景
  2 マンモグラフィの利益と不利益
  3 医療被ばくについての考えかた
  4 わが国の乳がん検診の方式とマンモグラフィ被ばくのリスク
  5 放射線の安全利用と医療被ばくの最適化
  6 結論

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