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細胞診セルフアセスメント 第2版

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細胞検査士資格認定試験の傾向を踏まえ、細胞像問題、筆記問題の受験対策本として一次試験範囲のすべてを網羅。細胞検査士、細胞診専門医、細胞診専門歯科医の生涯学習としても最適な1冊。細胞像問題には新たに3段階の難易度を示し、読者の習熟度を考慮。子宮頸部のカラースライド写真には、液状処理細胞診(LBC)の問題も含めている。
編集 坂本 穆彦 / 古田 則行
発行 2020年06月判型:B5頁:320
ISBN 978-4-260-04196-6
定価 8,250円 (本体7,500円+税)

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第2版の序

 本書は細胞診に関する一般的な知識や細胞像の判定能力の自己評価(セルフアセスメント)を目的として作られています。このたび,初版(1998年)・増補版(2008年)刊行以降の新知見も取り入れて改訂を行いました。本書がこれまでと同様に,『細胞診を学ぶ人のために』(医学書院刊/現在,第6版)の姉妹編であるという位置づけに変わりありません。
 今回の改訂ポイントは,①推定診断名や設問内容(細胞像問題,細胞診学科問題ともに)を最新のものに更新した,②細胞像問題をすべて新しい症例に入れ替えて問題数を増やし,カラー写真をより見やすいきれいなものにした,③細胞像問題の各症例に難易度を示した,という点で,結果的に大幅な内容の見直しとなっています。
 細胞診に用いられる推定診断名は,組織診断名です。学問や医療の進展にともない,組織分類の変更はどの領域でも繰り返されています。例えば,細胞診の検体数で最も多い子宮頸部領域では,子宮頸部ベセスダシステムとして提唱された内容が,そのままWHO組織分類(2014年),子宮頸癌取扱い規約[第4版](2017年)に最も推奨される組織診断名として採用されました。これにもとづき,本書では設問および解説をベセスダシステムの記述に変更しています。同様の配慮は各領域の記載でも行っています。
 本書の構成がカラー写真による細胞所見の読み方と判定を求める細胞像問題と,細胞診にかかわる一般的な知識に関する学科問題に大別されているのは従来通りです。細胞像問題の写真は旧版のものを転用せず,すべてがん研有明病院の症例を,同一の装置で撮影した写真を使用しています。そのため,写真の仕上がりはこれまで以上に統一のとれたものとなりました。
 設問は5者択一形式にしました。細胞像問題には3段階の難易度を示しました。難易度の高い症例(☆☆☆)は,稀な例あるいは判定の難しい例です。まずは難易度の低い症例(☆),あるいは中等度の症例(☆)に挑戦し,これらをマスターしていって下さい。
 液状処理細胞診(LBC)の有用性が叫ばれて久しいにもかかわらず,医療の場での普及は保険点数の壁のため思うように普及していません。このような事情を鑑み,本書でのLBC標本は子宮頸部を中心に限定的な扱いにいたしました。
 本書の刊行にあたり,医学書院医学書籍編集部の大野智志氏,制作部の川口純子氏には多大なお骨折りをいただきました。著者を代表して心より感謝申しあげます。
 前版同様,本書が細胞診の資格試験を目指す方々にとっても,中堅・ベテランの方々にとっても,自らの到達点のチェックのために広く受け入れられ,御利用いただけることを願っております。

 2020年5月
 坂本穆彦
 古田則行

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I 細胞像問題
 1 婦人科
  a 子宮頸部
  b 子宮体部
  c 卵巣
  d 絨毛性疾患
  e 外陰
 2 呼吸器
  a 肺・非腫瘍
  b 肺・腫瘍
  c 縦隔
 3 消化器
  a 唾液腺
  b 口腔・咽頭・扁桃
  c 食道
  d 胃
  e 大腸
  f 膵臓
  g 胆囊・胆管
  h 肝臓
 4 泌尿器・尿
  a 腎・副腎
  b 尿
 5 乳腺
 6 甲状腺
 7 リンパ節
 8 体腔液・胸腹壁
 9 骨軟部
  a 骨・関節
  b 軟部
 10 脳・中枢神経
 11 皮膚・その他

II 細胞診学科問題
 1 総論
 2 技術
 3 婦人科
 4 呼吸器
 5 消化器
 6 尿・泌尿器
 7 乳腺・甲状腺
 8 体腔液
 9 その他

索引

Column
 従来法(CP)と液状処理法(LBP)
 核・細胞質比(N/C比)

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問題集としても解説書としてもお薦めの一冊
書評者: 矢納 研二 (鈴鹿中央総合病院産婦人科部長/日本臨床細胞学会編集委員会委員長)
 細胞診標本中の細胞は,細胞個々の特徴から,その細胞の組織診断を推定し,良悪性も判断する必要があります。そのため,検鏡する初めから,組織標本とは異なるスタンスで顕微鏡に向かう必要があります。いうならば,細胞診は,その標本の中だけのフィールドで,添えられた臨床情報と,自身の経験に裏付けられたスキルで,「よく似た」細胞所見の中から,そのわずかな差異を見出し,判定を行う真剣勝負と言えるかもしれません。

 このスキルを身につけるために1990年に出版されたのが,『細胞診を学ぶ人のために』(医学書院)でした。初版は,三重大第二病理学教室教授(出版時)の矢谷隆一先生と,現在の第6版まで関わっておられる坂本穆彦先生の共著で編集されました。矢谷先生は,私が三重大在職中に,直接顕微鏡を間に置いて細胞診の指導をしていただいた恩師ですし,坂本先生も,私ががん研病院在職中,東大でさまざまなご指導,ご鞭撻をいただいた大恩人です。お二人とも,ご高名な病理医であられるとともに,指導医としても第一人者です。その特性が色濃く反映された本書は,多くの愛読者を獲得し,今でも『学ぶ君』との愛称で,細胞診に携わる方々に愛用され続けています。

 その後,姉妹書として『細胞診セルフアセスメント』が1998年10月に出版されました。この本は,問題集形式とされており,自己研鑽にはとても有用です。また,掲載されている写真は,いずれも病態の特徴を示す特徴的な画像ばかりですし,問題の選択肢は,この所見から鑑別されるべき他の疾患名が列挙されています。解答には解説が添えられており,この一冊で自己学習が完結できる内容でした。今回の改訂に当たり,写真と設問は全て新しいものに置き換えられています。また,体裁も刷新され,画像は見開き左側,解説は,「臨床事項」「ポイント」「組織所見」「鑑別診断」という項目が設けられ,見開き右側に記載されるようになりました。これによって,解説書として,よりいっそう使い勝手が良くなりました。さらに,問題集としては,難易度が★マークによって,3段階に区分されています。「細胞診学科問題」も全面改訂されています。これから資格試験を受験される方々にとっては,ぜひ実際の試験の前に,ご覧いただくことをお薦めします。

 今回の改訂では,おのおのの臓器における最新の規約に基づいた組織診断名が記載されています。また,近年,日本でも導入されつつある液状化検体細胞診標本の画像も収録されました。既に資格試験を終えられた細胞検査士にとっても,『細胞診を学ぶ人のために』とともに,生涯学習のために備えておくべき名著であると確信しています。
問題を解くことで自身の判断能力が一目瞭然にわかる
書評者: 庄野 幸恵 (東京都がん検診センター細胞検査士養成所・教務主任)
 2020年6月,『細胞診セルフアセスメント 第2版』が発刊されました。細胞診検査にかかわる誰もが手にしたであろう『細胞診を学ぶ人のために』(医学書院)(通称「学ぶ君」)の姉妹編であり,こちらを参考書とするならば,本書は細胞を判定する能力を自己評価できる実践的な意味を持つ一冊といえます。

 今回,本書はいくつもの改訂がなされています。最初に,部門ごとに色分けされたカラフルな目次とテーマ別に番号と色分けされた中扉が目を引きます。全11項目の中扉をめくると,親しみやすさとともに本題である細胞像問題への期待が高まり,すぐに問題に挑戦したくなるのではないでしょうか。

 細胞像問題は,全て新しい症例に入れ替えられ,婦人科,呼吸器,消化器,泌尿器・尿,乳腺,甲状腺,リンパ節,体腔液・胸腹壁,骨軟部,脳・中枢神経,皮膚・その他に分類され,321症例と大幅に増えています。左側に細胞写真が弱拡大と強拡大で示され,右側に解答があるので画像と解説を照らし合わせながら確認していくことができるので視覚的にも覚えやすいですし,推定診断名や設問内容が最新のものに更新されているため,時代に合った新しい知識を習得できます。解答には,全てに「ポイント」が記載され,症例によって「臨床事項」「組織所見」「鑑別診断」「細胞所見」などが付記されており,端的で明確な説明文は非常にわかりやすいです。

 最も重要な細胞写真は,がん研有明病院の症例を用い,同一装置で撮影された写真のため,撮影条件が統一されており美しいの一言です。書籍中の限られたスペースの写真でも細胞所見を十分に観察できる写真です。また,各問題に難易度が示され難易度の低い順に★,★★,希少例や難易度の高い問題は★★★と3段階に表示されているので,問題を解きながら自身の判定能力が一目瞭然にわかります。間違った問題を繰り返し解き,写真と解説を読むことで理解を深め,ステップアップしていくことを実感できます。

 学科問題は,細胞検査士認定試験に即した出題様式に改訂され,各分野から五者択一と一択問題を組み合わせた形で合計120問が出題されています。解説は,誤っている個所に的を絞った構成で詳細な説明が記され,問題を解きながら知識を習得できるようになっています。

 巻末の索引はシンプルですが,分野ごとに調べることができ知りたい疾患名または診断名について書かれている解答ページへと導かれるため,参照が容易で気に入っています。

 本書は坂本穆彦先生,古田則行先生の細胞診へのこだわりを随所に感じます。細胞検査士をめざす人達はもちろん,中堅・ベテランの細胞検査士の方々におかれましても,常に傍らに置いていただき,活用できる「頼りになる一冊」だと確信しています。

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