ヨコハマシステム準拠 子宮内膜細胞診アトラス 第2版
日本臨床細胞学会/細胞診ガイドライン準拠、国際的に標準化された細胞診アトラス
もっと見る
国際的に標準化されたベセスダスタイルの記述式報告様式となるヨコハマシステムThe Yokohama System(TYS)は、3つのステップからなるシンプルな細胞診判定様式により、正常内膜から悪性腫瘍に至る段階的な診断が可能となっている。定評ある直接塗抹標本、液状化検体細胞診(LBC)標本による精度の高い細胞像はもちろん、組織像、免疫染色像も豊富に掲載している。項目毎に背景/定義/診断基準を明記。
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 序文
- 目次
序文
開く
第2版の序
子宮内膜細胞診は,子宮体癌高危険群を対象とした子宮体癌スクリーニングの手法として日本で頻用されている.外来診療の現場では,子宮内膜組織診による精密検査の必要性を判断するための重要な低侵襲検査法として重用される.したがって,その診断精度と精度管理は重要な課題である.
こうした中,全身26領域の細胞診をまとめた『細胞診ガイドライン』(日本臨床細胞学会編)が順次出版された.このガイドラインは,日本における細胞診の標準的報告様式として,判定基準や実用的な精度管理の基礎となることが期待された.
一方,世界的に見ると,細胞診の種々の領域で報告様式の標準化と精度管理の深化が目覚ましく進んだ.子宮内膜細胞診においては,日本発の「記述式子宮内膜細胞診報告様式」が,ほぼそのままの形で「子宮内膜細胞診報告様式ヨコハマシステム」としてまとめられ,国際的にも標準的な報告様式として提案された.
今回の改訂版では,初版の「記述式子宮内膜細胞診報告様式」のアトラス部分を継承しつつ,用語については国際的に提案された「子宮内膜細胞診報告様式ヨコハマシステム」に準拠して統一的に記載された.本書によって診断判定することで,そのまま国際的な「The Yokohama System(TYS)」の判定として通用するものとなっている.本書初版の特徴であった,子宮内膜細胞診結果報告の各項目ごとに「背景」「定義」「診断基準」が明記されたアトラスである点は,そのまま継承されている.特に結果報告項目ごとの具体的「細胞診判定基準」は,子宮頸部細胞診報告様式であるベセスダシステムにおいても明示されている「細胞診判定基準」と同じように活用でき,従来の書にはない特徴となっている点も同様である.
近年,従来の直接塗抹法による子宮内膜細胞診に代わって,液状化検体細胞診(liquid based cytology:LBC)による子宮内膜細胞診(子宮内膜LBC法)の研究が世界的に進み,特に日本では子宮内膜LBC法が急速に拡がりつつある.子宮内膜LBC法は従来の直接塗抹法にはない多くの利点(再現性が高い,不適正が少ない,臨床医の負担が少ない,など)を有し,今後も世界的普及が期待される.本書では,子宮内膜LBC法による細胞写真が数多く掲載され,解説されている.
「子宮内膜細胞診報告様式ヨコハマシステム」は,簡潔,明瞭な記載方式により,臨床的取扱いの助けになることを目指している.本書で用いている項目や結果報告の用語は,2022年初頭にSpringer-Nature社から出版された「The Yokohama System(TYS)」の解説書や『細胞診ガイドライン』に完全に準拠しているので,そのまま臨床医に報告内容と推奨される臨床的取扱いを伝達することが可能である.歴史的にみて,子宮内膜細胞診の報告様式や用語は,国や施設によっても大きな違いがあり,そのことが時には混乱を招いたり,あるいは多施設間でのデータの共有や精度管理を妨げてきた面がある.
本書が「子宮内膜細胞診報告様式ヨコハマシステム」の標準的アトラスとして,子宮内膜細胞診の診断判定に携わる人々にとっての座右の書として活用されることを願う.また臨床の場では,「子宮内膜細胞診報告様式ヨコハマシステム」の結果報告に沿った標準的な臨床的取扱いの選択基準として大きな力を発揮することを期待する.
2022年6月
総編集 平井康夫
目次
開く
イントロダクション
①国際的に標準化された子宮内膜細胞診報告様式への希求
②子宮内膜細胞診報告様式ヨコハマシステムについての補遺
③子宮内膜細胞診の歴史的背景と展望
Ⅰ 診断用語と報告様式の概略
①子宮内膜細胞診の報告
②従来から用いられてきた子宮内膜細胞診報告様式
③国際的に標準化された子宮内膜細胞診報告様式ヨコハマシステム
④将来の子宮内膜細胞診報告様式と子宮内膜細胞診
Ⅱ 子宮内膜細胞診検体採取法の実際
①子宮内膜細胞の採取器具
②子宮内膜細胞の採取法(エンドブラシとBD SurePathTMの固定液を使用する場合)
③子宮内膜細胞の固定法
④子宮内膜細胞診の適応と禁忌と挿入困難例への対応
⑤子宮内膜細胞診の欠点と利点
Ⅲ 標本の種類による判定法
①直接塗抹標本での判定法
②液状化検体細胞診(LBC)標本での判定法
Ⅳ 標本の適否
Ⅴ 記述式細胞診結果報告
TYS 1 陰性/悪性腫瘍および前駆病変ではない
増殖期内膜
分泌期内膜
月経期内膜
萎縮内膜
炎症に伴う変化
医原性変化(IUD,TAM,MPA による)
アリアス-ステラ反応
子宮内膜腺・間質破綻
TYS 2/TYS 4 子宮内膜異型細胞
TYS 式子宮内膜細胞診判定様式における「ATEC」の役割
TYS 式子宮内膜細胞診判定様式における「ATEC」の臨床管理
TYS 3 異型を伴わない子宮内膜増殖症
TYS 5 子宮内膜異型増殖症/類内膜上皮内腫瘍
EAH/EIN の分子生物学的な特徴
TYS 6 悪性腫瘍
類内膜癌
漿液性子宮内膜上皮内癌
漿液性癌
明細胞癌
混合癌
上皮性・間葉性混合腫瘍
子宮外悪性腫瘍
Memo
記述式細胞診報告様式について
BD SurePathTM/標本作製時の細胞固定時間
子宮内膜異型細胞(ATEC)の画像に関する補足説明
Osaki Study Group(OSG)(大崎内膜細胞診研究会)
大崎内膜細胞診研究会メンバー
索引