皮膚血管炎 第2版

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Chapel Hillコンセンサス国際会議2012では、主に全身性血管炎の命名法と定義に関して抜本的な変更がなされた。それに合わせて血管炎の分類基準や診療ガイドラインにも大きな変化がもたらされている。このたびの改訂では、皮膚血管炎疾患の命名、用語、定義について、D-CHCCに則して改変した。初版で豊富に掲載した臨床写真および病理組織写真についても、さらなる充実を図った。

川名 誠司 / 陳 科榮
発行 2022年10月判型:B5頁:504
ISBN 978-4-260-04779-1
定価 18,700円 (本体17,000円+税)

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第2版の序

 皮膚は血管炎の好発臓器の1つであり,皮膚病変から得られる情報は全身性血管炎の病態を知るうえで大変重要です.また皮膚は眼で直接観察でき,皮膚生検によって病理組織所見を容易に確認できるという,血管炎診断上の利点をもっています.
 本書のコンセプトは,読者があたかも実際の患者さんを前にして,皮膚血管炎を視診と病理組織診断によって診断・治療する体験ができることです.それゆえに,可能な限り多数の臨床写真と病理組織写真を掲載する方針をとり,初版の刊行以来皮膚血管炎の教書として,皮膚科はもとより内科(リウマチ科,腎臓内科),病理診断科の先生方から高い評価を得てきました.
 しかし,その後9年が経過し,血管炎を取り巻く環境は大きく変化しています.特に,「Chapel Hill会議による血管炎の命名と定義」は大幅に改訂され,これによって全身性血管炎の疾患概念がより明確になり,さらに血管炎の分類基準,診療ガイドライン,新規治療の開発に反映されました.それに加えて皮膚科領域では,「皮膚血管炎の命名と定義」が欧・米・日の皮膚科医によって新規に策定され,これまで曖昧であった皮膚血管炎の疾患概念に重要な変更が加えられました.
 以上の経緯を踏まえ,初版の内容を一新し,ほぼすべての血管炎疾患を網羅した第2版として刊行する運びとなりました.本書が血管炎診療に携わるすべての先生方のお役に立てれば,これに勝る喜びはありません

 2022年10月
 川名誠司,陳 科榮

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総論
第1章 血管炎における皮膚血管の解剖図・名称・分布
  1 皮膚血管の解剖図および血液の流れ
  2 血管の種類および構造
  3 皮膚血管の分布および口径
第2章 動静脈鑑別のポイント
  1 真皮小血管における細動脈と細静脈の判別方法
  2 真皮下層から皮下組織における筋性小動静脈の判別方法
第3章 皮膚血管炎の概念,分類および特徴
  1 概念
  2 皮膚血管炎の分類
   A 原発性と随伴性による分類
   B 主体となる炎症性細胞浸潤による血管炎の分類
   C 侵される血管レベルによる皮膚血管炎の分類
  3 皮膚血管炎の特徴
第4章 皮膚血管炎の命名と定義
  1 皮膚血管炎の命名法が作成された経緯
  2 D-CHCCの概要
  3 皮膚血管系
  4 皮膚血管炎の命名と疾患定義
   A 大型血管炎にみられる皮膚血管炎
   B 中型血管炎にみられる皮膚血管炎
   C 小型血管炎にみられる皮膚血管炎
   D 多様な血管を侵す血管炎にみられる皮膚血管炎
   E 皮膚の単一臓器血管炎にみられる皮膚血管炎
   F 全身性疾患関連血管炎にみられる皮膚血管炎
   G 推定病因を有する血管炎にみられる皮膚血管炎
   H 一次性血管炎として合意に達していない疾患
   I 独立した血管炎としての基準を満たさない病変
第5章 血管炎の病因論
  1 皮膚血管炎とは
  2 血管炎の発症機序
   A 血管内皮細胞の機能
   B 白血球-血管内皮細胞の相互作用
   C 惹起因子からみた血管炎の分類
   D ICが関与する血管炎
   E ANCAが関与する血管炎
   F AECAによる血管傷害
   G 自己反応性T細胞による血管傷害
   H 血管炎の外的(環境)要因
   I 血管炎発症の遺伝的要因
   J サイトカインと血管炎
第6章 皮膚血管炎へのアプローチ
  1 皮膚血管炎の診断・治療の流れ
  2 血管炎症候をとらえる
   A 全身症状,筋/関節症状
   B 皮膚の血管炎症候
   C 血管炎の罹患血管レベル
  3 問診と身体所見
  4 皮膚生検
   A 皮膚血管炎の病理組織所見
   B 蛍光抗体直接法(DIF)
  5 血管炎の検査
   A 血液・尿検査,その他
  6 臓器病変の検索
   A 画像検査
   B 生理機能検査
   C 臓器の生検
   D 臓器別検査項目
   E 経過中の感染症検査
  7 血管炎の確定診断
   A 皮膚小血管炎の診断
   B 皮膚小動脈炎の診断
   C 皮膚小静脈炎の診断
   D 血管炎類似疾患の鑑別
  8 治療
   A 全身性血管炎の治療
   B 皮膚限局性血管炎の治療
第7章 皮膚血管炎の病理組織学的診断
  1 皮膚生検のポイント
   A 生検部位の選択
   B 生検の深さおよび道具の選択
   C 生検のタイミング
  2 病理組織診断の基本原則
  3 皮膚小血管(細動脈,細静脈,毛細血管)の血管炎診断基準
  4 真皮皮下境界部から皮下組織における動静脈の血管炎診断基準
  5 病理診断の落とし穴
第8章 What is your diagnosis? 動脈炎? それとも静脈炎?

各論
第9章 一次性血管炎
  1 皮膚IgM/IgG免疫複合体性血管炎
  2 IgA血管炎
  3 蕁麻疹様血管炎
  4 クリオグロブリン血症性血管炎
  5 顕微鏡的多発血管炎
  6 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
  7 多発血管炎性肉芽腫症
  8 結節性多発動脈炎
  9 皮膚動脈炎
  10 巨細胞性動脈炎
  11 若年性側頭動脈炎
  12 Behçet病における皮膚血管炎
  13 Cogan症候群
  14 浅在性血栓性静脈炎
  15 持久性隆起性紅斑
  16 Bazin硬結性紅斑
  17 サルコイド血管炎
第10章 二次性血管炎
  1 感染関連血管炎
  2 薬剤関連ANCA関連血管炎
  3 薬剤関連免疫複合体血管炎
  4 膠原病に伴う皮膚血管炎
  5 腫瘍随伴性皮膚血管炎
第11章 血管炎類似疾患
 Ⅰ 出血性血管病変
  1 止血機構の障害
   A 血小板異常
    a. 免疫性血小板減少症
    b. 二次性(続発性)血小板減少性紫斑病
    c. 血小板機能異常
   B 血液凝固・線溶系異常
    a. 血友病
    b. von Willebrand病
    c. その他の後天性凝固因子異常
  2 血管壁の破壊,機能低下
   A 血管に対する毒性
    a. 病原微生物,毒性物質
   B 血清・血漿蛋白異常
    a. 高ガンマグロブリン血症性紫斑
    b. 全身性アミロイドーシスによる紫斑
   C 血管あるいは支持組織の脆弱化
    a. 老人性紫斑およびステロイド紫斑
    b. 壊血病
   D 原因不明
    a. 単純性紫斑
    b. 慢性色素性紫斑
 Ⅱ 閉塞性血管病変
  1 血栓・塞栓形成
   A 感染
    a. 電撃性紫斑
    b. 敗血症性血管症
    c. 感染性心内膜炎による血栓・塞栓形成
   B 血栓症
    a. 播種性(汎発性)血管内凝固症候群
    b. 血栓性血小板減少性紫斑病
    c. 本態性血小板血症,essential thrombocytosis
    d. リベドイド血管症/炎
    e. 抗リン脂質抗体症候群
    f. アンチトロンビン欠損症,プロテインC欠損症,プロテインS欠損症
    g. 好酸球増多症候群
    h. 悪性萎縮性丘疹症
   C 塞栓症
    a. コレステロール結晶塞栓症
   D 異常血清蛋白の血管内凝集
    a. 単クローン性(Ⅰ型)クリオグロブリン血症
  2 血管壁の肥厚
   A 血管壁の石灰化
    a. カルシフィラキシス
   B 血管内膜の細胞線維性増殖
    a. Buerger病
    b. 閉塞性動脈硬化症
    c. 膠原病の血管閉塞

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