マンガで学ぶ!
がんのキホン

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「がんはどうして生じるの?」「がんの定義って?」「がんは遺伝する?」「標準治療よりも“スゴい治療”があるの?」「がん検診ってどれくらい意味があるの?」――患者さんからこれらの質問を受けたときに、皆さんは自信をもって説明できるでしょうか? 私たちにとって最も身近な病気の1つであるがん。医療者が知っておきたいその基本知識を60のトピックスにまとめ、マンガや図表とともにとことんわかりやすく学べる1冊!

近藤 慎太郎
発行 2023年03月判型:A5頁:240
ISBN 978-4-260-05110-1
定価 2,420円 (本体2,200円+税)

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はじめに

 本書を手に取っていただき、ありがとうございます。医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。
 自らのクリニックや総合病院などで診療を行うとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広く、わかりやすく解説することをライフワークにしています。著書には、『がんで助かる人、助からない人専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』(旬報社)、『医者がマンガで教える日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』(日経BP社)、『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ!最先端医療が命を守る』(さくら舎)、『ほんとは怖い健康診断のC・D判定医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』(日経BP社)などがあります。

 さて、本書は、「かんかん!看護師のためのwebマガジン by 医学書院」(igs-kankan.com)というウェブサイトで連載した記事を再構成して、一冊にまとめたものになります。
 テーマは、私たちにとって、もっとも身近な病気の1つである、「がん」です。
 がんは、多くの人が関心をもっている病気なので、その情報は世の中に溢れています。みなさん、さまざまな情報に日常的に触れているでしょうから、「がんについてはもうよく知っているよ」と思う人もいるかもしれません。
 しかし、本当にそうでしょうか。

 「がんという病気を定義する特徴は?」
 「日本人にはどのがんが多いのか?」
 「どうしてがんが生じるのか?」
 「がんは遺伝するのか?」
 「がん検診にはどれくらい意味(エビデンス)があるのか?」
 「標準治療より優れた“VIP用の治療”があるのか?」……

 あらためて問われてみると、明確な説明ができなかったり、答えにくかったりするのではないでしょうか。

 がんはとても身近な病気で、現在の日本人の死因ではダントツの1位になっています。実に日本人の2人に1人以上は、がんを発症するのです。
 みなさん自身や家族、周囲の人も合わせると、おそらく避けては通れない病気でしょう。本書では、そのがんについて、マンガと図表を使い、できるだけわかりやすく解説するよう努めました。上記の疑問も含めて、がんについてこれだけ多くのトピックスをわかりやすくまとめた本は、まずないだろうと自負しています。
 連載していたウェブサイト「かんかん!」は主に看護師を対象としていますが、本書の場合、看護師に限らず、医師や技師、学生であっても、それぞれの立場で役に立つ有益な知識を身につけることができます。さらには、医療従事者ではない一般の人であっても、必ず何らかの学び、気づきを得られるものと確信しています。
 ぜひみなさんに、楽しみながら学んでいただければ幸いです。

 2023年1月
 近藤慎太郎

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はじめに
本書の登場人物紹介

PART1 がんのデータを見る
 1 死亡率から捉える、がんで死ぬということ
 2 「治りやすい」がんと「治りにくい」がん
 3 がんの年齢調整死亡率とは
 4 実はがん死は減っている?
 5 がんが生命を奪う3つの特徴
 6 がんは「どこ」で生まれるか

PART2 がんの原因を知る
 7 遺伝子の異常が体内にがん細胞をつくる
 8 エピジェネティクスというもう1つの問題
 9 がんは遺伝するのか?
 10 生活習慣も発がんの原因だった!
 11 感染症による発がんを防ぐ
 12 肝炎ウイルスに注意
 13 B型肝炎ウイルス(HBV)の悩ましさ
 14 子宮頸がんとワクチンをめぐる問題
 15 がんのできにくい臓器は?
 16 臓器の「暗黒大陸」小腸とがん

PART3 がんを見つける
 17 がんで生じる症状には何がある?
 18 がん検診という二次予防の砦
 19 がん検診でどれくらい死亡率は下がるのか
 20 がん検診にはデメリットもある
 21 「過剰診断」はなぜ起きるのか
 22 がん検診で注意すべき4つのバイアス
 23 肺がん検診の盲点とは
 24 胃がん検診はバリウム派? 胃カメラ派?
 25 ピロリ菌除菌のメリット、デメリット
 26 ピロリ菌感染率と胃がん検診
 27 なぜ大腸がん検診は敬遠されがちなのか?
 28 大腸ポリープという前がん病変
 29 乳がん検診の盲点とは
 30 子宮頸がんをとりまくさまざまな問題
 31 子宮頸がん検診とHPV検査
 32 前立腺がん検診は死亡率を減少させるのか
 33 腫瘍マーカーによるがん検診は可能か
 34 全身のがんを検索するPET検査の実力とは
 35 PET検査の盲点とは
 36 発がんに関わる放射線と被ばく
 37 被ばくの悪影響とは
 38 医療被ばくの発がんリスクとは
 39 意外と知らないCTとMRIの使い分け
 40 確定診断に必要な病理検査とは

PART4 がんを治療する
 41 治療方法の選択基準
 42 さまざまな治療を組み合わせる集学的治療
 43 インフォームドコンセントという大切なステップ
 44 セカンドオピニオンとドクターショッピング
 45 がんの外科療法
 46 外科療法のさまざまな選択肢
 47 がんの薬物療法
 48 プレシジョン・メディスンとは
 49 薬の費用対効果評価とは
 50 がんの黒幕は、がん幹細胞
 51 がんの放射線治療
 52 さらに進化し続ける放射線治療
 53 がんの免疫療法
 54 がんの緩和ケア
 55 精神的苦痛への緩和ケア
 56 がんの治療効果を判定する

PART5 がんの終末期に取り組む
 57 がんの在宅医療と地域包括ケアシステム
 58 医療の効率化を目指す「地域医療構想」とは
 59 平穏な最期のためのアドバンス・ケア・プランニング(ACP)
 60 医療者が、がん患者のためにできること

あとがき
索引

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