助産診断・技術学Ⅱ 第6版
[3]新生児期・乳幼児期
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①新生児ケアをトータルに学習できます
新生児のアセスメントとケア、家族、家庭生活を含めたフォローアップまで、臨床に必要な新生児ケアを丁寧に解説しました。
②助産師に求められる乳幼児ケアを解説
最新の助産師国家試験出題基準に対応し、乳幼児ケアの記述を充実させました。現場で求められる乳幼児ケアに焦点をあてた解説で、助産師に必要な乳幼児ケアを効率的に学習できます。
③現場に即した内容と最新の知識
「低出生体重児・早産児のケア」や「新生児仮死と新生児蘇生法(NCPR)」など、現場で重要とされている内容を重点的に解説しています。
*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
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2023.02.21
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序文
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序
助産師をめぐる動向
近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し高度生殖補助医療は日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題も多様化・深刻化し,児童虐待相談件数の高どまり,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害,在日外国人の母子保健,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用など,母子や性と生殖に関する多くの課題が山積している。
このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3 年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とした。
わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省報告書),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
助産師教育の充実をはかるために,保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。さらに,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正により,助産師教育の単位数総計は23単位から28単位に増加した(2011年4月)。指定規則の改正に伴い,助産師に要求される実践能力として,①助産師における倫理的課題に対応する能力,②マタニティケア能力,③性と生殖のケア能力,④専門的自律能力が示され,今後より強化されるべき助産師の役割と機能も具体的に挙げられている。
改訂の趣旨
改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第6版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師をめぐる動向で記述したような状況にも対応できる助産師を養成することを目ざすことにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
今回改訂する助産診断・技術学は,妊娠・分娩・産褥各期における女性と新生児・乳幼児の身体的・心理的・社会的状態について,助産師として正常・異常を判断できるよう,対象によりよい援助を提供するための基礎的実践能力が身につくようにまとめた。
本巻([3]新生児期・乳幼児期)では,正常経過にある新生児・乳幼児,正常経過逸脱状態にある新生児・乳幼児,低出生体重児・早産児のアセスメントとケアをまとめた。疾患の診断や治療法,新生児蘇生法についても詳細を記述した。また,正常経過にある新生児については退院後4か月目までの乳児についても記述するなど,2022(令和4)年度から適用となる新しい保健師助産師看護師学校養成所指定規則,看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインも視野に入れた構成とした。
執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第6版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。
2020年11月
編者ら
目次
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第1章 新生児・乳幼児ケアの基本
A 助産ケアにおける新生児・乳幼児の位置づけ
1 助産師の定義における新生児・乳幼児のケア
2 新生児・乳幼児ケアの基本的姿勢
B 児の成長・発達と助産ケア
1 新生児・乳幼児の分類
2 発達段階に応じた助産ケアのポイント
第2章 新生児のアセスメントとケア
A 新生児の適応生理と成長・発達
1 呼吸器系の適応
2 循環器系の適応
3 体温の調節
4 肝機能の適応
5 消化器系の適応
6 水分・電解質バランスと腎機能の適応
7 免疫系の適応
8 行動と感覚器系の適応
B 正常経過逸脱状態にある新生児の診断
1 呼吸障害
2 チアノーゼ
3 嘔吐と腹部膨満
4 吐血・下血
5 痙攣
6 麻痺
7 発熱と低体温
8 心雑音
9 なんとなく元気がない
C 新生児仮死と新生児蘇生法(NCPR)
1 新生児仮死の病態・評価方法・治療
2 新生児蘇生の実際
D 出生後24時間以内の新生児のアセスメントとケア
1 出生前に行う新生児の状態の予測と準備
2 出生直後の胎外環境適応状態の評価と支援
3 異常の早期発見と支援
4 成長・発達の評価と支援
E 早期新生児(生後7日目まで)のアセスメントとケア
1 胎外環境適応状態の評価と支援
2 成長・発達の評価と支援
3 異常の早期発見と支援
F 退院から4か月目までの新生児・乳児のアセスメントとケア
1 胎外環境適応状態の評価と支援
2 成長・発達の評価と支援
3 養育環境の評価と支援
第3章 乳幼児のアセスメントとケア
A 乳幼児の成長・発達
1 身体的成長・発達
2 心理・社会的発達
3 成長・発達に影響する要因
B 乳幼児のアセスメントとケア
1 身体的成長・発達の評価と支援
2 心理・社会的発達の評価と支援
3 成長・発達に影響する要因の評価と支援
第4章 新生児のおもな疾患とケア
A おもな治療
1 呼吸管理
2 光線療法
3 経管栄養
4 輸液管理
B 新生児のおもな疾患の病態・診断・治療
1 呼吸障害を引きおこす疾患
2 先天性心疾患
3 血液疾患
4 嘔吐と腹部膨満を引きおこす疾患
5 吐血や下血を引きおこす疾患
6 内分泌疾患
7 痙攣を引きおこす疾患
8 新生児眼疾患
9 外表奇形
10 染色体異常
11 感染症
C 治療を受ける新生児のアセスメントとケア
1 早期発見を目的とした評価と支援
2 治療を必要とする新生児の評価と支援
3 治療を受ける新生児の家族の評価と支援
第5章 低出生体重児・早産児のケア
A 低出生体重児・早産児の特徴と疾患
1 低出生体重児・早産児の分類
2 低出生体重児・早産児の特徴
3 低出生体重児・早産児のおもな疾患の病態・診断・治療
4 低出生体重児・早産児の予後・経過
B 低出生体重児・早産児のアセスメントとケア
1 身体的成長・発達の評価と支援
2 情緒的成長・発達の評価と支援(ディベロップメンタルケア)
第6章 乳幼児のおもな疾患とケア
A 乳幼児のおもな疾患の病態・診断・治療
1 感染症
2 アレルギー疾患
3 乳幼児突然死症候群
4 被虐待児症候群
5 発育性股関節形成不全
6 発達障害
B 正常経過逸脱状態にある乳幼児のアセスメントとケア
1 感染症
2 アレルギー疾患
3 乳幼児突然死症候群
4 被虐待児症候群
5 発達障害
索引
正誤表
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
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2023.02.21