こどもの整形外科疾患の診かた 第2版
診断・治療から患者家族への説明まで
好評の小児整形外科診療本、新たに24疾患を加えたコンプリート版が誕生!
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一般整形外科医や若手医師、研修医が日常外来で遭遇する小児の整形外科疾患の診かたについて、患者家族からよく寄せられる質問に対する模範回答例をはじめ、専門医への受け渡しのタイミングを含めた診断・治療の流れを初学者向けにわかりやすく解説して好評を得た書籍の改訂版。今版では、初版の40疾患を最新の情報へとアップデートしているのに加え、さらに幅広い疾患に対応できるよう、全体で64もの小児の整形外科疾患を取り上げている。
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- 序文
- 目次
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序文
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第2版の序
このたび,2011年に第1版(初版)を出版した『こどもの整形外科疾患の診かた─診断・治療から患者家族への説明まで』の改訂第2版を刊行することとなりました.初版では日常診療の場で比較的多く見られる疾患を中心に,患者本人・家族からの疑問に対する説明をはじめとして,一般整形外科医から小児整形外科医に紹介するタイミング,各疾患の概要,診断,治療について解説し,最後に最近の話題としてup to dateな情報を提供しました.
第2版では,これらの形式を踏襲しつつ,対象疾患を40から64へと増やしました.これは,初版をご利用いただいた先生方から,もう少し疾患の種類を広げてほしいとの意見が寄せられたからです.特に,一般整形外科の先生で小児整形外科に興味を持たれている先生方や小児整形外科をこれからライフワークとしていきたい若手の先生方からの強い要望がありました.また,初版に挙げた疾患の中には,この10年で治療概念,診断,治療に大きな変化を生じたものもあり,今回はこれらの詳細についても述べました.また,最近の話題では,遺伝子関連の情報についても触れました.
専門医制度における専門医は,「それぞれの診療領域において,安全で標準的医療を提供でき,患者から信頼される医師であること」とされています.整形外科専門医を目指す若手医師においては,標準的医療提供のために小児整形外科研修は必須となります.また,昨年4月から保険適用となった「小児運動器疾患指導管理料」の算定にあたっても,基本的な小児整形外科の知識は必須です.今回の改訂第2版が,これらを達成するための指針となることを心から願っています.
初版の序文に,本書がいつしか仲間の先生方からMihran O. Tachdjian著の教科書“Tachdjian's Pediatric Orthopedics”(日本ではタヒジャンと呼ばれる)を捩って「亀ジャン」と呼ばれていることを紹介しました.その際,近い将来,より進化・発展した「亀ジャン 2nd edition」の刊行を目標とすることを謳いました.今回,これが実現できたことは大きな喜びであり,ひとえに各疾患を担当していただいた先生方,並びに医学書院編集担当の方々のご協力とご努力によるものと深く感謝申し上げます.
2019年4月
千葉こどもとおとなの整形外科
亀ヶ谷真琴
このたび,2011年に第1版(初版)を出版した『こどもの整形外科疾患の診かた─診断・治療から患者家族への説明まで』の改訂第2版を刊行することとなりました.初版では日常診療の場で比較的多く見られる疾患を中心に,患者本人・家族からの疑問に対する説明をはじめとして,一般整形外科医から小児整形外科医に紹介するタイミング,各疾患の概要,診断,治療について解説し,最後に最近の話題としてup to dateな情報を提供しました.
第2版では,これらの形式を踏襲しつつ,対象疾患を40から64へと増やしました.これは,初版をご利用いただいた先生方から,もう少し疾患の種類を広げてほしいとの意見が寄せられたからです.特に,一般整形外科の先生で小児整形外科に興味を持たれている先生方や小児整形外科をこれからライフワークとしていきたい若手の先生方からの強い要望がありました.また,初版に挙げた疾患の中には,この10年で治療概念,診断,治療に大きな変化を生じたものもあり,今回はこれらの詳細についても述べました.また,最近の話題では,遺伝子関連の情報についても触れました.
専門医制度における専門医は,「それぞれの診療領域において,安全で標準的医療を提供でき,患者から信頼される医師であること」とされています.整形外科専門医を目指す若手医師においては,標準的医療提供のために小児整形外科研修は必須となります.また,昨年4月から保険適用となった「小児運動器疾患指導管理料」の算定にあたっても,基本的な小児整形外科の知識は必須です.今回の改訂第2版が,これらを達成するための指針となることを心から願っています.
初版の序文に,本書がいつしか仲間の先生方からMihran O. Tachdjian著の教科書“Tachdjian's Pediatric Orthopedics”(日本ではタヒジャンと呼ばれる)を捩って「亀ジャン」と呼ばれていることを紹介しました.その際,近い将来,より進化・発展した「亀ジャン 2nd edition」の刊行を目標とすることを謳いました.今回,これが実現できたことは大きな喜びであり,ひとえに各疾患を担当していただいた先生方,並びに医学書院編集担当の方々のご協力とご努力によるものと深く感謝申し上げます.
2019年4月
千葉こどもとおとなの整形外科
亀ヶ谷真琴
目次
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こどもを診るために―小児整形外科概論
A 下肢にみられる疾患
1 先天性内反足
2 発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)
3 ペルテス病
4 先天性膝関節脱臼
5 単純性股関節炎
6 先天性下肢奇形(脚長差)
7 大腿骨頭すべり症
8 外反扁平足
9 特発性つま先歩行
10 化膿性股関節炎
11 片側肥大症(脚長差)
12 先天性下腿偽関節症
13 反張膝
14 先天性内転足
15 下肢骨髄炎(特に急性骨髄炎)
16 足根骨癒合症
17 脚長不等症(片側肥大症,先天奇形以外)
18 ブラント病
B 上肢にみられる疾患
19 先天性上肢障害(上肢奇形)
20 上腕骨顆上骨折
21 上腕骨外側顆骨折
22 モンテジア骨折(陳旧例を含む)
23 肘内障
24 分娩麻痺
25 橈・尺骨癒合症
26 強剛母指,先天性握り母指症,スプレンゲル変形
C 体幹にみられる疾患
27 筋性斜頚
28 環軸関節回旋位固定(外傷性斜頚,炎症性斜頚)
29 脊柱側弯症
30 腰椎分離症
31 上位頚椎不安定症
32 胸郭不全症候群
33 漏斗胸,鳩胸
D スポーツ障害
34 オスグッド・シュラッター病
35 疲労骨折
36 半月板損傷
37 野球肘,野球肩
38 離断性骨軟骨炎
39 骨盤剥離骨折(上前腸骨棘,下前腸骨棘,坐骨結節),筋腱付着部炎
E 成長に伴う問題
40 成長痛
41 内股歩行
42 生理的O・X脚
43 骨端症
F 腫瘍性疾患
44 骨嚢腫(単純性骨嚢腫)
45 類骨骨腫
46 好酸球性肉芽腫(ランゲルハンス細胞組織球症)
47 骨肉腫
48 ユーイング肉腫
49 線維性骨異形成
50 片肢性骨端異形成症(DEH)
51 多発性外骨腫
52 オリエール病
G 全身性疾患
53 骨形成不全症
54 多発性関節拘縮症
55 シャルコー・マリー・トゥース病
56 脳性麻痺
57 二分脊椎
58 軟骨無形成症
59 被虐待児症候群(身体的虐待)
60 若年性特発性関節炎
61 骨代謝性疾患(くる病)
62 ダウン症候群
63 血友病
64 血液腫瘍(小児白血病,リンパ腫)
索引
A 下肢にみられる疾患
1 先天性内反足
2 発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)
3 ペルテス病
4 先天性膝関節脱臼
5 単純性股関節炎
6 先天性下肢奇形(脚長差)
7 大腿骨頭すべり症
8 外反扁平足
9 特発性つま先歩行
10 化膿性股関節炎
11 片側肥大症(脚長差)
12 先天性下腿偽関節症
13 反張膝
14 先天性内転足
15 下肢骨髄炎(特に急性骨髄炎)
16 足根骨癒合症
17 脚長不等症(片側肥大症,先天奇形以外)
18 ブラント病
B 上肢にみられる疾患
19 先天性上肢障害(上肢奇形)
20 上腕骨顆上骨折
21 上腕骨外側顆骨折
22 モンテジア骨折(陳旧例を含む)
23 肘内障
24 分娩麻痺
25 橈・尺骨癒合症
26 強剛母指,先天性握り母指症,スプレンゲル変形
C 体幹にみられる疾患
27 筋性斜頚
28 環軸関節回旋位固定(外傷性斜頚,炎症性斜頚)
29 脊柱側弯症
30 腰椎分離症
31 上位頚椎不安定症
32 胸郭不全症候群
33 漏斗胸,鳩胸
D スポーツ障害
34 オスグッド・シュラッター病
35 疲労骨折
36 半月板損傷
37 野球肘,野球肩
38 離断性骨軟骨炎
39 骨盤剥離骨折(上前腸骨棘,下前腸骨棘,坐骨結節),筋腱付着部炎
E 成長に伴う問題
40 成長痛
41 内股歩行
42 生理的O・X脚
43 骨端症
F 腫瘍性疾患
44 骨嚢腫(単純性骨嚢腫)
45 類骨骨腫
46 好酸球性肉芽腫(ランゲルハンス細胞組織球症)
47 骨肉腫
48 ユーイング肉腫
49 線維性骨異形成
50 片肢性骨端異形成症(DEH)
51 多発性外骨腫
52 オリエール病
G 全身性疾患
53 骨形成不全症
54 多発性関節拘縮症
55 シャルコー・マリー・トゥース病
56 脳性麻痺
57 二分脊椎
58 軟骨無形成症
59 被虐待児症候群(身体的虐待)
60 若年性特発性関節炎
61 骨代謝性疾患(くる病)
62 ダウン症候群
63 血友病
64 血液腫瘍(小児白血病,リンパ腫)
索引
書評
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研修医からエキスパートまで幅広く読める実践的解説書
書評者: 高山 真一郎 (日本心身障害児協会島田療育センター副院長)
本書は,2011年に出版された初版の大幅改訂版で,千葉こどもとおとなの整形外科院長の亀ヶ谷真琴先生をリーダーとする千葉大小児整形外科グループおよび千葉県こども病院で研鑽を積まれた37名の専門家が分担執筆した小児整形外科疾患・外傷の実践的解説書である。
本書は小児整形外科の疾患を,下肢・上肢・体幹・スポーツ障害・成長に伴う問題・腫瘍性疾患・全身性疾患に分類し,それぞれについて患者家族からの質問と回答,診察上の留意点,専門医へ紹介するタイミング,解説(疾患概念,診断,治療)が述べられている。質問項目は,実際に千葉県こども病院の相談室に寄せられた内容に基づいているとのことだが,整形外科医からみても疑問に感じること,知りたい項目がピックアップされている。さらに最近の話題や参考文献も紹介されている。
整形外科=Orthopaedicの語源は“小児の身体変形を予防し矯正する技術”という意味で,小児整形外科は整形外科学の源といえる領域である。日本整形外科学会の研修プログラムでも,小児整形外科は必修単位として義務づけられているが,出生数の減少や,大学が主体となる卒後研修制度では指導者も不足し,実践に即した小児整形外科の研修を行うことは容易でない。
小児整形外科は,古典的な三大疾患(先天性股関節脱臼,先天性内反足,筋性斜頚)のイメージが定着していて,外傷・脊椎・腫瘍・手外科などは従来重要視されていなかったが,スポーツ・骨系統疾患なども含め整形外科のほとんどの分野にかかわるものである。そのため,一人の専門家や単一の施設でその全てをカバーすることは不可能であるが,本書は日本小児整形外科学会編集の『小児整形外科テキスト』(メジカルビュー社,2016)に匹敵する項目が取り上げられ,千葉大小児整形外科グループの力量に感心する次第である。
本書は,小児整形外科の基本を学んでほしい研修医や,専門医をめざす整形外科医だけでなく,各疾患ともに専門家へ紹介するタイミングが記載されており,一般病院勤務医や開業医にとっても有益な情報を与えてくれる。さらに最近の話題という項目には,それぞれの分担執筆者の個性が感じられ,小児整形外科のエキスパートも興味を持って読める内容となっている。初版の40疾患から64疾患にボリュームアップしたことで若干重複する内容もあるが,小児整形外科の全領域が網羅されており,小児整形外科のテキストとして自信を持って推奨できる。
小児整形外科の診断遅延や誤診断を防ぐ一助となる書
書評者: 服部 義 (あいち小児保健医療総合センターセンター長)
日本の少子高齢化が止まりません。厚労省の統計によれば2018年の出生数は91万8397人,合計特殊出生率は1.42で出生数,出生率とも3年連続の減少となっています。こどもが少なくなれば,当然こどもの整形外科疾患患者も少なくなり,全国で小児整形外科疾患を診る機会がますます少なくなってきています。
そのような状況の中,日本小児整形外科学会が行った発育性股関節形成不全(DDH)全国多施設調査では,2年間の乳幼児未整復脱臼例1295人中,199人(15%)が1歳以上の診断遅延例で,また3歳以上まで診断されなかったこどもたちが36人いて,調査するとそのほとんどが乳児健診を受けており,さらにその中には医療機関を受診していたにもかかわらず診断されていなかったこどもたちも多くいました。DDHのみならず,こどもの整形外科疾患の見逃しや誤診断は,こどもや家族に与える影響は大きく,時にはその後のこどもの人生に大きな負担をかけることにもなります。
このような診断遅延や誤診断を防ぐべく,一般整形外科医の小児疾患診察の手助けとなる一冊として,2011年に出版された本書の初版は,整形外科外来に常備しておくべき成書として,大いに役立ってきました。その後8年が経過し,待望の第2版がこの度出版されました。初版と同じく編集は亀ヶ谷真琴先生,編集協力は西須孝先生の千葉県こども病院の師弟コンビであり,そのもとに,日本にとどまらず世界の小児整形外科のメッカともいえる千葉県の小児整形外科グループの先生方が著者に名前を連ねています。対象疾患は初版の40疾患から64疾患に増えており,また文献に基づいた最近の知見も追加提供されています。特に本書が有用となるのは整形外科外来にこども・家族が来院し,その診断・治療方針に不安を感じたときであり,本書をひもとけば,たちどころにそのさまざまな不安が解消されます。まず疾患別に患者家族からよくある質問が羅列され,その回答,診療上の留意点,さらに専門医に紹介するタイミング,疾患の解説・治療法まで親切に記載されています。まさしく整形外科外来に置いておくべき座右の書と言っていいと思います。小児整形外科の英文でのバイブル的成書“Tachdjian's Pediatric Orthopaedics”(いわゆるタヒジャン)に対して編者自らが名づけた「亀ジャン」と呼ばれる本書が,日本におけるバイブル的小児整形外科の成書になり,少なくなりつつある小児整形外科疾患の基本知識の啓発に役立ち,疾患を持つこどもたちの診断遅延や誤診断が多少でも減れば,小児整形外科医にとり幸甚この上ないことと思います。
書評者: 高山 真一郎 (日本心身障害児協会島田療育センター副院長)
本書は,2011年に出版された初版の大幅改訂版で,千葉こどもとおとなの整形外科院長の亀ヶ谷真琴先生をリーダーとする千葉大小児整形外科グループおよび千葉県こども病院で研鑽を積まれた37名の専門家が分担執筆した小児整形外科疾患・外傷の実践的解説書である。
本書は小児整形外科の疾患を,下肢・上肢・体幹・スポーツ障害・成長に伴う問題・腫瘍性疾患・全身性疾患に分類し,それぞれについて患者家族からの質問と回答,診察上の留意点,専門医へ紹介するタイミング,解説(疾患概念,診断,治療)が述べられている。質問項目は,実際に千葉県こども病院の相談室に寄せられた内容に基づいているとのことだが,整形外科医からみても疑問に感じること,知りたい項目がピックアップされている。さらに最近の話題や参考文献も紹介されている。
整形外科=Orthopaedicの語源は“小児の身体変形を予防し矯正する技術”という意味で,小児整形外科は整形外科学の源といえる領域である。日本整形外科学会の研修プログラムでも,小児整形外科は必修単位として義務づけられているが,出生数の減少や,大学が主体となる卒後研修制度では指導者も不足し,実践に即した小児整形外科の研修を行うことは容易でない。
小児整形外科は,古典的な三大疾患(先天性股関節脱臼,先天性内反足,筋性斜頚)のイメージが定着していて,外傷・脊椎・腫瘍・手外科などは従来重要視されていなかったが,スポーツ・骨系統疾患なども含め整形外科のほとんどの分野にかかわるものである。そのため,一人の専門家や単一の施設でその全てをカバーすることは不可能であるが,本書は日本小児整形外科学会編集の『小児整形外科テキスト』(メジカルビュー社,2016)に匹敵する項目が取り上げられ,千葉大小児整形外科グループの力量に感心する次第である。
本書は,小児整形外科の基本を学んでほしい研修医や,専門医をめざす整形外科医だけでなく,各疾患ともに専門家へ紹介するタイミングが記載されており,一般病院勤務医や開業医にとっても有益な情報を与えてくれる。さらに最近の話題という項目には,それぞれの分担執筆者の個性が感じられ,小児整形外科のエキスパートも興味を持って読める内容となっている。初版の40疾患から64疾患にボリュームアップしたことで若干重複する内容もあるが,小児整形外科の全領域が網羅されており,小児整形外科のテキストとして自信を持って推奨できる。
小児整形外科の診断遅延や誤診断を防ぐ一助となる書
書評者: 服部 義 (あいち小児保健医療総合センターセンター長)
日本の少子高齢化が止まりません。厚労省の統計によれば2018年の出生数は91万8397人,合計特殊出生率は1.42で出生数,出生率とも3年連続の減少となっています。こどもが少なくなれば,当然こどもの整形外科疾患患者も少なくなり,全国で小児整形外科疾患を診る機会がますます少なくなってきています。
そのような状況の中,日本小児整形外科学会が行った発育性股関節形成不全(DDH)全国多施設調査では,2年間の乳幼児未整復脱臼例1295人中,199人(15%)が1歳以上の診断遅延例で,また3歳以上まで診断されなかったこどもたちが36人いて,調査するとそのほとんどが乳児健診を受けており,さらにその中には医療機関を受診していたにもかかわらず診断されていなかったこどもたちも多くいました。DDHのみならず,こどもの整形外科疾患の見逃しや誤診断は,こどもや家族に与える影響は大きく,時にはその後のこどもの人生に大きな負担をかけることにもなります。
このような診断遅延や誤診断を防ぐべく,一般整形外科医の小児疾患診察の手助けとなる一冊として,2011年に出版された本書の初版は,整形外科外来に常備しておくべき成書として,大いに役立ってきました。その後8年が経過し,待望の第2版がこの度出版されました。初版と同じく編集は亀ヶ谷真琴先生,編集協力は西須孝先生の千葉県こども病院の師弟コンビであり,そのもとに,日本にとどまらず世界の小児整形外科のメッカともいえる千葉県の小児整形外科グループの先生方が著者に名前を連ねています。対象疾患は初版の40疾患から64疾患に増えており,また文献に基づいた最近の知見も追加提供されています。特に本書が有用となるのは整形外科外来にこども・家族が来院し,その診断・治療方針に不安を感じたときであり,本書をひもとけば,たちどころにそのさまざまな不安が解消されます。まず疾患別に患者家族からよくある質問が羅列され,その回答,診療上の留意点,さらに専門医に紹介するタイミング,疾患の解説・治療法まで親切に記載されています。まさしく整形外科外来に置いておくべき座右の書と言っていいと思います。小児整形外科の英文でのバイブル的成書“Tachdjian's Pediatric Orthopaedics”(いわゆるタヒジャン)に対して編者自らが名づけた「亀ジャン」と呼ばれる本書が,日本におけるバイブル的小児整形外科の成書になり,少なくなりつつある小児整形外科疾患の基本知識の啓発に役立ち,疾患を持つこどもたちの診断遅延や誤診断が多少でも減れば,小児整形外科医にとり幸甚この上ないことと思います。
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