医学書院

検索
HOME週刊医学界新聞 > 第3350号 2019年12月09日



第3350号 2019年12月9日


【視点】

救急医療の裾野を広げるSMAQの取り組み

村岡 健太(日本救急医学会 学生・研修医部会(SMAQ)代表/昭和大学藤が丘病院臨床研修薬剤師)


 2019年4月,日本救急医学会に「学生・研修医部会」が立ち上がりました。Student and resident Medical Alliance for QQの略で「SMAQ」という愛称で活動を行っています。この組織は,「救急医療に興味のある学生・研修医に能力向上の場を提供すること」を理念に置き,学生・研修医がニーズに合ったイベント等を自ら発案し,日本救急医学会の「学生・研修医部会運用特別委員会 」(以下,特別委員会)の医師がその活動をサポートする体制です。

 そもそもこの部会の設置以前は,特別委員会が日本救急医学会総会における「学生・研修医セッション」の運営,「全国医学生CPR選手権大会(現:BLS選手権大会)」や「臨床研修医・医学生のための救急セミナー」の開催など,学生や研修医に向けたイベント運営を担ってきました。

 こうした活動は順調に進んでいたものの,より多くの参加者を募ることができるような発展的継続を見据えた活動を行うには「学生や研修医たちのニーズをさらに取り入れるべきでは」との声が学会内で上がりました。そこで,2018年4月,救急系部活動を主導した経験を有する学生や研修医を集めてワーキンググループを結成し,アンケート調査やビデオ会議によるヒアリングなど,1年間に及ぶニーズ調査を行い,SMAQの立ち上げに至りました。

学生・研修医の能力向上をサポートする

 SMAQは,救急系部活動を統括する組織として活動するのではありません。具体的には,部活間,大学間の連携をスムーズに行うための支援や,学生や研修医のみではできない実臨床に沿った勉強会の開催などを,学会所属の救急医と共に企画・運営する組織です。すでに一部地域では,今夏に特別委員会の医師と協同したセミナーを開催し,多くの学生・研修医が参加しました。また,救急系部活動がない大学の学生や全国の研修医といった個人にも門戸を開き,勉強会やイベントに参加する機会を提供するなど,「能力向上の場」を幅広く提供することを目的としています。

学生・研修医・学会それぞれにメリット

 SMAQを通じて,さまざまな形で救急医とのコネクションを作れるようになったことが,最大の利点ではありますが,その他にも既存の形式では実現できないさまざまなメリットがこの組織にはあります。

 まず,学生にとっては,彼らの満足感を引き出すことができると考えています。私見ではありますが,救急系部活動で活動する学生は自らの学びを他に還元する思いが強く,一方的に享受するよりも他大学の仲間や救急医と共に新たなものを創り上げようとする人材が多いと感じており,SMAQがそのハブとなるはずです。他方,研修医は自らの研修先以外の医師とつながることができ,多様なロールモデルの中から自分に合ったキャリアパスを見つけることができます。

 日本救急医学会としては,救急医を志す若手の育成が念頭にはあるものの,もしSMAQ在籍者が将来他領域に進んだとしても,救急の考え方や診療の流れを理解する「良き理解者」を増やせる点は,救急医療の裾野を広げることにもつながります。こうした3者のWIN-WIN-WINの関係がSMAQを誕生させました。

 詳細は,学会運営の特設サイト「救急医をめざす君へ」やSMAQのFacebookアカウントをご覧ください。読者の皆さんが救急の世界をのぞき,「良き理解者」への一歩を踏み出していただければ大変うれしく思います。


むらおか・けんた氏
2019年昭和大薬学部卒。学生時代は同大で救急医療研究部副代表や全国医学生CPR選手権大会(当時)で主将を務める。18年に学生・研修医部会設立ワーキンググループにて統括役に就任し,2019年より代表。SMAQへのご質問は,smaq.drive◎gmail.comでお受けしています。
(メールを送る際,◎は@に置き換えてください)