使ってみた!標準解剖学
書評
2017.11.13
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使ってみた!『標準解剖学』
2017年,35巻を数える「標準教科書シリーズ」に『標準解剖学』が新登場しました。「用語が膨大で覚えられない」「位置関係が複雑で理解できない」など,医学部「最初の壁」とも言われる解剖学。その解剖学を,楽しく効率よく学ぶために作られた本書,医学生の皆さんはどこに使いやすさを感じたのでしょうか?
効率よく学びたい人も,
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工夫されたイラストが理解を助ける
山﨑 舞さん(阪大3年)
ポイントをおさえたイラストは,解剖を行った経験があるなしにかかわらず,おおいに理解を助けるでしょう。
例えば20ページの関節の図。7つの関節すべてについて,実際の骨における配置とシェーマが描かれています。コンパクトにまとめられていて,とても見やすいです。 イラストに加え,詳しく解説された本文とわかりやすくまとめられた表があるので,解剖に関しては,これ1冊で十分な知識が得られると思います。
全体像がわかる構成マップ
前川 かくさん(京大3年)
使いやすい理由の1つは,構成マップです。先に全体像をイメージしてから読み進めることができるので,途中で迷子にならずにすみます。
もう1つは,発生学・組織学・生理学に関するコラムです。「なぜそのような形態をしているのか」「他の構造とどう関連しているか」など,人体構造に機能的な意味が加わり,知識が有機的に身についてきます。進化のコラムでは,比較解剖学の知識が得られて視野が広がりました。
筋の作用まで表にまとまっている!
森 裕也さん(秋田大3年)
筋の起始・停止・神経支配だけでなく,作用も表にまとめられているので,単に筋の位置と名称を暗記するのではなく,“どういった動作のときにどう働いているか”をあわせて理解することができます。
また,解剖学の難点として,神経の走行(特に頸部)があります。というのも神経が,脳や脊髄を出て,どこを通って,どの筋に入っていくのかを覚えるのは非常に大変だからです。各神経の支配筋はどの書籍にも書かれていますが,途中の走行が記載されているものはなかなかありません。
本書には,途中の走行が丁寧に記載されており,見分けづらい神経の走行を理解するうえでとても助かっています。
各筋の複雑な走行がわかりやすい
平瀨 純貴さん(筑波大3年)
今まさに解剖学を学ぶ医学生にとっては,各筋の走行を1本の線で示したイラストがよかったです。手首周囲の筋,腰と大腿骨をつなぐ筋などは非常に複雑です。これを1本の線で描くことで,すっきりと理解できました。
すでに臨床系に進んだ私にとっては,「Clinical scope」の胸部X線の読影方法や眼底写真が役立ちます。臨床医学に進んだ医学生にとって,最も厄介なものの1つが読影です。本書では,解剖学を復習しつつ検査画像を確認することができます。基礎医学にも臨床医学にも役立つ1冊です。
臨床に関連したコラムが充実!
池尻 達紀さん(京大6年)
専門課程の入り口である「解剖学」の教科書として,医学生の関心を十分に引きつけ,なおかつわかりやすい内容です。臨床医学に対してはやる気持ちを抱く1,2年生(私もそうでした)にとっては,「Clinical scope」のコラムを拾い読みするのも楽しい作業となるでしょう。
文章は,端的にまとまっている一方で,6年生の立場からも読み応えのある内容でした。特に第1章「解剖学総論」が秀逸です。解剖学の全体像を,多角的・網羅的かつシンプルに学ぶことができます。
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