第20回日本医薬品情報学会開催
2017.07.31
第20回日本医薬品情報学会開催
望月眞弓大会長 |
添付文書記載要領改定を,行政,企業,医療現場はどう見るか
医療用医薬品添付文書は医薬品医療機器等法に規定された製品説明書で,医師・歯科医師・薬剤師に向けた情報提供文書として製薬企業が作成する。現行の形式は1997年の通知を元にしているが,「原則禁忌」「慎重投与」などを廃止し,「特定の背景を有する患者に関する注意」が新設されるなどの通知が2017年6月に発出され,2019年4月より5年間をかけて新様式に移行する。
初めに登壇した大久保貴之氏(厚労省)は厚労科研「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究」にて,全国の医師,薬剤師に行った調査を紹介。医師,薬剤師とも「原則禁忌」について,「禁忌と同等」と考える人が約半数に対し,「慎重投与または併用注意と同等」との回答が約4割となった。このような結果も踏まえ,より適切な情報提供のために改定に至ったという。
続いて服部洋子氏(日薬連/第一三共)は,新記載要領適用後の添付文書記載方法について,現在製造販売されている医薬品を例示しながら解説した。「原則禁忌」や「慎重投与」など,今回廃止される項目の記述の多くは,新設の「特定の背景を有する患者に関する注意」に記載される。慎重投与などを含む使用上の注意にはこれまで項目間に重複した記載があったことから,新項目に統合する上で,最終的に患者の利益になるよう関係者が新記載要領をよく理解する必要があると訴えた。
東大病院薬剤部の大野能之氏は,新記載要領における「相互作用」「薬物動態」「臨床成績」の項目の記載について,より具体的な記載を求めた。これらの項目は臨床において,投与の可否や用量調節を判断する上で重要である。さらに,医薬品情報を使う側のリテラシーの重要性にも言及し,「医療関係者が添付文書を一つの情報源として活用し,患者の視点から医薬品の適正使用に努める必要がある」と締めた。
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