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第3183号 2016年7月18日


第21回日本緩和医療学会開催


 第21回日本緩和医療学会学術大会(大会長=京府医大・細川豊史氏)が6月17~18日,「あなたらしさに寄り添って――“愛と思いやり……そしてユーモア……”」をテーマに,国立京都国際会館,他(京都市左京区)にて開催された。

疾患の特徴から,意思決定支援の在り方を考える

細川豊史大会長
 シンポジウム「非がん疾患における意思決定支援の問題点」(座長=北里大・荻野美恵子氏,いきいき在宅クリニック・横江由理子氏)では,緩和ケアに従事する医療者が,非がん疾患の患者や家族にかかわる際のポイントについて議論された。

 初めに登壇した看護師の高田弥寿子氏(国循)は,集中治療領域における心不全患者の意思決定支援について発表した。循環器疾患の「病みの軌跡」は,急性増悪を繰り返しながら最期は急速に悪化して亡くなる特徴があるため,ACP(Advance Care Planning)のタイミングが難しいとされる。また,急変により家族に悲嘆反応が生じることもある。そこで氏は,慢性心不全の場合は患者・家族と共に医療者が,「入院のたび」に将来のケア目標を再評価し,患者の望む人生を支えること([PMID: 22392529])が大切だと強調した。

 在宅の観点から心不全患者の緩和ケア推進について述べたのは看護師の多留ちえみ氏(神戸大大学院)。在宅療養の患者の生活背景はさまざまであり,状況によっては病院と自宅を行き来しての治療も必要になる。患者が自分の病態を理解した意思決定を可能にするには,在宅でも意思決定支援に継続的にかかわれる人材が求められると語った。その上で氏は,「心不全にも,緩和ケア診療加算の適応が必要」との見解を示した。

 続いて登壇した看護師の長江弘子氏(東女医大)は,エンド・オブ・ライフケアの概念に基づくプロセスとして,認知症患者の意思表明支援をモデル化する試みを紹介した。氏は,「ACPは心身状態の悪化や病状変化を前提にさまざまな局面で繰り返し行われるもの」と位置付け,病状変化に合わせて意思表明支援を継続していく必要性を図示。意思表明支援の特徴を時間軸で把握することによって,ケアプランとして計画的かつ意図的に意思表明支援を進めることができると期待を述べた。

 1945年の透析医療の開発により,臨床倫理の分野も進展したと言われる。その歴史を踏まえ,患者・家族への意思決定支援をいかに広げるかについて語ったのは医師の三浦靖彦氏(慈恵医大柏病院)。腎不全患者の医療選択の例から,“自分自身の物語”を自分で考え,自分の言葉で書く「エンディングノート」の活用や,終末期の不安を取り除くACPの周知を進めることが,患者の意思決定を支援する上で有用と述べた。

 総合討論では,「“日本人は決められない”と言われるがどう意思決定を支えるか」との荻野氏の問いに,シンポジストからは「患者に対する病状理解の促進」や,「情報提供をする医療者側のリテラシー向上が必要」との意見が挙がった。