医学書院

検索
HOME週刊医学界新聞 > 第3136号 2015年08月03日



第3136号 2015年8月3日


第16回日本言語聴覚学会開催


 第16回日本言語聴覚学会が,6月26-27日,遠藤佳子会長(宮城県言語聴覚士会会長/東北大学病院)のもと,仙台国際センター(宮城県仙台市)で開催された。「臨床力を鍛える。――言語聴覚療法の発展と開発」をテーマに開催された今回,全国から約1900人の言語聴覚士が集い,各会場で白熱の議論を交わした。

自発話に着目すれば,患者への理解が深まる

遠藤佳子会長
 障害の鑑別,発現機序の推測,用いるべき訓練手技の選択を行うためには,一人ひとりの患者と向き合い,自発話を適切に評価することが欠かせない。近年,レディーメードの検査・評価ツールが充実してきたが,臨床家にとって最も必要なのは患者の発話特徴を見抜くこと,患者とよく話すことである――。こうしたコンセプトのもとに企画されたシンポジウム「話せばわかる――自発話から見えてくる障害メカニズム」(座長=武蔵野大大学院・小嶋知幸氏)では,失語症,運動障害性構音障害,音声障害などの領域のスペシャリストが,疾患・障害に見られる自発話の特徴を解説し,患者一人ひとりの理解を深めるためのヒントを紹介した。

 失語症者の特徴を概説した田中春美氏(関西電力病院)は,観察を行う言語聴覚士に求められるものにも言及。自発話から必要な情報を引き出していくためには,共に歩みたいと思ってもらえる専門性と人間性,患者の応答に素早く反応できる知識,患者の応答を左右できる技術が必要であると訴えた。運動障害性構音障害については,櫻庭ゆかり氏(仙台医療福祉専門学校)が発言した。氏は,自発話を聞いたときの聴覚印象としての違和感をとらえる感性が大切と指摘。その上で,「先人が作り上げた評価項目は,標準化に耐えた最も洗練された観察ポイント」とし,評価項目の意義をあらためて認識し,使いこなすように会場へ呼び掛けた。

 城本修氏(県立広島大)からは,音声障害に対して求められる臨床能力が語られた。音声障害の臨床では,問診をとりながら患者の声を聴き,その声から嗄声の程度を聴覚的に判断する聴覚心理的評価を行う必要がある。氏は,主訴,問診,聴覚心理検査によって「約70%の疾患の診断が可能である」と主張。一方で熟練度により,精度にばらつきが生じやすいことから,問診中,聴覚心理的評価できちんと患者の声を聞き取る能力を鍛え,音声障害の診断に高い再現性を保つための努力が求められると述べた。最後に,船山道隆氏(足利赤十字病院)は,神経疾患・精神疾患は自発話から障害のメカニズムが推測できることが少なくないとし,高次脳機能障害,認知機能の障害により特異な発話が出ることを解説した。さらに氏は,患者の内面が最も表れるのは発話であると強調し,患者の自発話に注目する重要性を語った。