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第3113号 2015年2月16日


第31回日本国際賞受賞者発表


 国際科学技術財団は1月29日,第31回日本国際賞の受賞者を発表した。本賞は,全世界の科学技術者を対象とし,独創的で飛躍的な成果を挙げ,科学技術の進歩に大きく寄与し,もって人類の平和と繁栄に著しく貢献したと認められる人物に与えられるもの。毎年,科学技術の動向等を勘案して,2分野が受賞対象分野に指定される。本年は「資源,エネルギー,社会基盤」分野,および「医学,薬学」分野を対象に受賞者が選考された。

写真 左から,フィッシャー氏,フリードマン氏。
 今回,「医学,薬学」分野では,「遺伝子治療の概念の提唱とその臨床応用」を行ったセオドア・フリードマン氏(米カリフォルニア大教授)とアラン・フィッシャー氏(仏コレージュ・ド・フランス教授/イマジン研究所所長)が共同受賞(写真)。近年,難治性・致死性疾患への遺伝子治療の劇的な臨床効果が報告されるようになり,革新的な先端医療として大きな期待を集めているが,両氏はその発展に決定的な役割を果たしたと評価された。

 フリードマン氏は,1972年にいち早く遺伝子治療の概念と研究の進め方を提唱。動物モデルで遺伝子治療の有効性を実証したほか,遺伝子導入用ベクターのコア技術開発に貢献するなど,今日の遺伝子治療研究の道を拓いたと言える。氏の提唱した遺伝子治療の概念を受けて基礎研究は進み,1990年代に入ると臨床研究が開始された。しかしながら,臨床研究では期待していたような結果を得ることはなかなかできなかった。そうした中,世界で初めて遺伝子治療の臨床効果を証明したのがフィッシャー氏だ。氏は,致死的X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)患者のリンパ球そのものではなく,造血幹細胞に正常遺伝子を導入することで,機能的に正常なリンパ球を持続的に産生させることに成功。この研究成果は,世界の研究者に大きな勇気を与え,その後の遺伝子治療の発展に貢献した。

 なお,「資源,エネルギー,社会基盤」分野では,「流域管理の革新的概念の創出と水災害軽減」に貢献した高橋裕氏(東大名誉教授)が受賞。授賞式は4月23日,東京国際フォーラムにて開催される。