医学界新聞

2010.05.10

診療現場にスマートフォンを


会場は通路まで人であふれ,医療関係者の関心の高さが伺えた。
 「iPhone」のシェア拡大を受け,大手キャリアが相次いでスマートフォンを発表。日本では立ち遅れていたスマートフォン市場が活性化してきた。iPhoneの医療系アプリは現在2000を超えており,医療現場での活用においても注目されている。アップルストア銀座店(東京都中央区)では「iPhone in Medicine:診療現場にiPhoneを」と題するセミナーを4月10日に開催。立ち見も出るほどの盛況となった。

 最初に登壇した杉本真樹氏(神戸大)は,日本の医療において解決すべき課題として指導リソースの不足,医療従事者のQOL向上,業務効率の改善などを提示。これら課題を解決するツールとしてスマートフォンが注目されていると述べた。また,ログイン用パスコードの強化や暗号化通信などにより,医療者の業務用途に耐えうるセキュリティが担保されるようになったと報告した。

 その後はアプリの開発者や医療者が製品の紹介や活用例を報告。既に人気商品となっている薬剤添付文書アプリや訪問診療におけるスマートフォンの活用例などのほか,研修医によるスライド投稿プラットフォーム,遠隔画像閲覧システムを用いた急性期脳卒中診療アプリなど今後発売予定のアプリの開発状況も披露され,スマートフォンのポテンシャルを感じさせた。その一方,米国などに比べ日本では院内での携帯電話使用の制限が大きいことが,診療現場におけるスマートフォン活用の課題として指摘された。今後は無線LANエリアの設置のほか,院内での携帯電話使用についても議論を深めていく必要がありそうだ。5月末にはタブレット型端末「iPad」の日本発売も予定されており,ITを活用した医療現場の革新に目が離せない。

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