医学界新聞

2008.04.21

 千葉大・訪問看護学び直しプログラム


 2040年には年間166万人の多死社会を迎えると予測されるなか,訪問看護師の量および質的な確保が急務だ。離職中の潜在看護職の訪問看護師としての再教育・活用の方策についても検討が重ねられているが,自己のフィジカルアセスメント能力や最新の看護技術などに自信が持てず,復職や再就職をためらう看護職も多いという。

 このようななか,千葉大大学院では吉本照子教授(地域看護システム管理学)を事業担当者に,訪問看護師として再就職したい看護職を対象とした最新の在宅看護の知識・技術とその基盤を補強するためのプログラムを立案。文部科学省で昨年度からスタートした「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」の委託事業として選定され,本年10月から12月まで開講の予定だ。

 プログラムの総学習時間は360時間。受講者の離職期間や教育履歴によって系統的に構成された3コースが用意される。具体的にはフィジカルアセスメントや最新の医療機器の取り扱い方に加え,神経内科や緩和ケア病棟における病院実習,訪問看護ステーション実習など,実践型カリキュラムが展開される。

 さる3月8日には,幕張メッセ(千葉市)においてプログラムの周知を目的にシンポジウムが開催され,看護の有資格者を中心に全国から367名もの参加者が集まった。

 第1部では,伊藤雅治氏(全国社会保険協会連合会),川村佐和子氏(青森県立保健大)らが政策や教育資源の観点から訪問看護を取り巻く問題点を指摘。第2部では千葉県内で在宅医療を支える和田忠志氏(あおぞら診療所),佐野袈裟美氏(千葉県訪問看護ステーション連絡協議会)らが,在宅の現場における訪問看護の役割について考察を行った。終了後の参加者アンケートからは「学習機会を得たい」「現場の課題解決の方策を見いだしたい」などの声が聴かれた。

 訪問看護師を対象とする支援教育は十分ではないといわれるが,本プログラムは復職やスキルアップに向けた貴重な学習機会となるだろう。現在,受講生を募集中(定員25名)。詳細は以下のウェブサイトを参照のこと。

URL=http://www.n.chiba-u.jp/manabi/

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