医学界新聞

 

後輩・患者指導に役立つコーチング

医学書院看護学セミナーの話題から


 第131回医学書院看護学セミナー「ナースのためのコーチング活用術」が,さる10月26日,徳島市のホテルクレメントで行われた。講師の柳澤厚生氏(杏林大学保健学部臨床内科教授)は,もともと循環器内科の専門医だが,「コーチング」と出会い,そのスキルが医療従事者にも活用できるのではないかと考えたという(講師インタビューを本紙2602号に既報)。講演は,聴衆との双方向のコミュニケーションを常に意識した内容で,ユーモアたっぷりの語り口とアイデアに富んだパフォーマンスに,会場を埋めた300人を超える聴衆は,何度も大きな笑い声をあげた。

「あなたならどうする?」の一言が新人ナースを成長させる

 コーチングとは,「すべての答えは相手が持っていることを前提として,相手の自発的な行動を促すコミュニケーションの技術」である。コーチングの4つの基本スキルは「質問する」「傾聴する」「承認する」「提案する」である。柳澤氏は自身の家族の例などわかりやすい事例を多用し,コーチングの効用について丁寧に解説した。会場には看護管理者が多かったが,新人ナースの質問への対応として,常に指示命令をするのではなく,「あなたならどうする?」の一言が大切であると説いた。コーチングは相手が自ら考え,行動し,成長することを促す。

知っておきたい4つのタイプ

 コーチングは相手のタイプに合わせて変える必要がある。柳澤氏はまず「自分のコミュニケーションスタイルを知るタイプ分けシート」で20の質問をして,聴衆を(1)「親分肌」のコントローラータイプ,(2)「楽しい人」であるプロモータータイプ,(3)「いい人」であるサポータータイプ,(4)「クールな人」であるアナライザータイプの4つに分けた。その後,それぞれのタイプの特徴を有名人やアニメの登場人物を例に説明し,そのタイプの部下あるいは後輩,そして患者さんへの対応方法について「禁じ手」を含めて詳しく述べた。

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