医学界新聞

 

日本赤十字看護大学が
米・コロラド大学と交流協定を調印


 さる3月14日,日本赤十字看護大学(以下,日赤看護大)において,同看護大とアメリカのコロラド大学看護学部(University of Colorado health Sciences Center School of Nursing)が姉妹校となる調印式が行なわれた。調印式には,コロラド大からP.H.Walker学部長が出席し,日赤看護大の樋口康子学長と調印書を交換,学術と教育の交流をより一層発展させるべく固い握手が交わされた。
 この日は,日赤看護大および大学院の卒業・修了式にあたり,同式典では,Walker氏から祝辞をいただいた。また翌日は,日本赤十字本社を視察の後,日赤看護大の教員・学生との交流会が行なわれた。看護教育カリキュラム開発に関する講演と合わせ,お茶を飲みながらのなごやかな雰囲気の中で,授業展開方法や研究活動の協力,進め方などについて,意見および情報の交換がなされた。

調印に至る経緯

 日赤看護大は,カリキュラムの特色の1つとして「国際看護学」を打ち出しており,昨(1999)年には,国際看護学の授業の一環としてアメリカのコロラド州デンバーにあるコロラド大看護学部で研修を行なった。また,当大の国際交流委員会が任をとって,教員・学生の海外研修,国際貢献の具体化,国際交流に関する講演会などを企画・運営してきた。他方,コロラド大は,教育・研究において異文化や文化研究を重視する伝統を持ち,特にタイ,中国,韓国などのアジア圏の看護大学と積極的に交流してきた実績を有している。
 このような背景のもと,昨年のコロラド大における研修の際,Walker氏から引率の稲岡文昭学部長(本年4月より日赤広島看護大学長として就任)に対し,姉妹校調印の提案がされた。日赤看護大は,教授会において審議を重ね,これを受け入れることを決定し,国際交流委員会が中心となって準備を進め調印に至った。

調印の内容と今後の交流

 調印書にうたわれている交流の内容は,(1)教員および研究者の交換,(2)学生の交換,(3)共同研究および学術集会の実施,(4)学術文書,出版物,情報の交換である。
 樋口学長は調印式の折に,「国際化の時代にあって,看護学もますます国際化の促進を図っていくことは大事なことである。本学は今年開学15周年を迎え,日本赤十字看護学会の発足(参照)も予定している。このような時期に海外の看護大学と交流協定を結ぶことができ,本当に喜ばしい。本学は規模こそ小さいが,コロラド大の期待に添っていくことができると確信している」と語った。
 また,Walker氏も,「日赤看護大の手厚いもてなしと対応に感謝している。数日の滞在から,改めてその文化の中に入り込んでこそ,学び得ることが大きいことを実感した。帰国したら,さっそく調印内容を具体的にしていく」と,感謝と両校の交流に関する抱負を述べた。
 なお,両校の交流としては,この秋に当大学の地域看護学の教員が海外研修として,コロラド大の地域・老人看護学のコースに参加し,同コース担当の教授による在宅ケア研究にも加わることが決まっている。さらに,国際看護学演習の受け入れプログラムの充実など,今まで以上のサポートが約束されており,今後の両校にとっての発展が期待されるところである。
(文責=日赤看護大・教授 福島道子)