「性科学のコラボレーション」をテーマに
第19回日本性科学学会が開催される
第19回日本性科学学会が,さる10月9日に,川野雅資会長(三重県立看護大教授)のもと,「性科学のコラボレーション」をメインテーマに三重県津市の同県立看護大学で開催された。なお,川野氏は看護職として初めて同学会の会長を務めた。
多面的に考える性科学

また,一般演題は「性衝動が過換気症状を起こした身体表現性障害の一例」(亀田総合病院 塚田攻氏),「看護における性相談の実際」(銀杏学園短大 坂哉繁子氏)など9題が報告。さらに,市民公開講座として「子どもの成長・発達と性」(座長=同県立看護大学長 前原澄子氏,講師=あすなろ学園長 清水将之氏)が開催された。
コラボレーションに重要な情報・協力・信頼
川野氏は,「性科学のコラボレーション」と題した会長講演で,小学生の頃から覗き癖がある養護学に通う高校1年校生と家族へのカウンセリングの実例をあげ,カウンセラー,専門医(脳神経医),担任教員,地域の警察官との情報交換・協働から,性的問題が減少していったことを報告。その上で,多職種専門家のコラボレーションを成功させるための基本的な要件として,(1)相互の信頼と尊重,(2)協働する関係の確立,(3)個人の役割を明らかにする,(4)専門領域の視点を維持する,(5)肯定的経験,(6)高い教育,(7)臨床能力の準備性,(8)専門的熟達をあげた。また,「情報・協力・信頼が,専門的知識と技術を持つ同職種,他職種間のコラボレーションには重要な要素」と述べ,具体的に(1)縦の関係ではなく横の関係,(2)プライマリケアを提供する場では,ヘルスケアチーム全員が専門技術を持つ,(3)患者ケアのためのチームであることの3点をを指摘した。なお,パールセッションの内容は本紙4面に掲載する。