理学療法ジャーナル Vol.56 No.12
2022年 12月号

ISSN 0915-0552
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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特集 脊椎圧迫骨折に対する理学療法の工夫

 脊椎圧迫骨折は理学療法士が遭遇する機会の多い疾患の一つである.また,脊椎圧迫骨折は要介護状態を引き起こしやすい疾患であり,再発も多い.これらの特徴から,理学療法では再発を起こさないように工夫しながら,日常生活活動の改善や身体活動量の増加を図る.脊椎圧迫骨折に対する理学療法士のかかわりは,患者の生活の質の向上に加えて,要介護状態の高齢者が増えることによる社会保障費の増加に対しても,重要な役割を果たしていると言える.本特集では,脊椎圧迫骨折のいわゆるゴールドスタンダードな内容ではなく,病期や外科的処置後などさまざまな場面における理学療法の「工夫」について解説する.

脊椎圧迫骨折の疾患概要と疫学 木村鷹介
 近年,高齢化の影響で脊椎圧迫骨折患者は増加している.脊椎圧迫骨折は疼痛や姿勢異常などを引き起こし,日常生活活動能力を低下させるため,要介護状態を招く.脊椎圧迫骨折後の理学療法では,早期離床を促しつつも損傷椎体の圧潰進行を防ぐ必要があるため,適切な情報収集および病態把握に基づいたリスク管理が求められる.また,適切なゴール設定やプログラム立案を行うためには的確な予後予測が不可欠である.

脊椎圧迫骨折後の臥床期における理学療法の工夫 森川大貴,他
 脊椎圧迫骨折により日常生活に支障が生じる場合は入院加療となる.入院後,コルセットが完成するまでの期間は安静臥床になることが多い.この時期では,診療記録と画像所見をもとにした予後予測と,疼痛と機能評価に基づいた個別性の高い理学療法を実施する.理学療法では骨折部のリスクを十分に考慮した,離床期へのスムーズな移行が重要となる.

脊椎圧迫骨折後の離床期における理学療法の工夫 岡安 健
 脊椎圧迫骨折は高齢者に発生する代表的な骨折の一つであり,疼痛の出現を機序として動作能力の低下を引き起こすことが知られている.特に疼痛が強くみられる離床期の理学療法においては装具療法,薬物療法に加えて,疼痛を抑制するための工夫を凝らした動作指導を行うことが重要である.また,離床期の理学療法プログラムにおいては骨折部に過度な負荷が及ばないように配慮しながら廃用症候群予防目的での練習を展開していく必要がある.

脊椎圧迫骨折後の回復期における理学療法の工夫 中村 学
 回復期リハビリテーションでは,脊椎圧迫骨折後の保存療法としてリハビリテーションに従事する機会が多い.また,入院のきっかけとなった疾患が脊椎圧迫骨折ではない症例でも,合併症として脊椎圧迫骨折を有する場合もみられる.身体活動量の増加に伴い,骨折箇所にストレスがかからないよう動作指導が必須である.また,転倒リスクを評価し,在宅で転倒しないための環境設定の提言までが回復期リハビリテーションにおける理学療法士の役割である.

脊椎圧迫骨折術後の理学療法の工夫――BKP術後 葉 清規
 経皮的椎体形成術(balloon kyphoplasty:BKP)は,その有効性が報告されている.一方,長期経過において腰痛の再燃,脊椎アライメント不良を呈する症例が存在する.BKP術後理学療法の目標は,日常生活における脊椎への剪断力や圧縮力などのメカニカルストレスを軽減させるため,姿勢・移動動作における脊椎アライメントを改善・維持することだと考える.よって,motor control(運動制御)向上を目的とした運動療法が不可欠である.

脊椎圧迫骨折術後の理学療法の工夫――外傷性後彎症術後 大坂祐樹
 脊椎圧迫骨折受傷後に生じる外傷性後彎症に対する脊柱矯正固定術は,ADLやQOL改善に有効である.しかし,多椎間の固定を伴う手術であるため,術後は腰椎の不撓性が生じ,特に体幹の屈曲を伴うADL動作に制限が生じやすい.本稿では,脊柱矯正固定術後の急性期の理学療法および腰椎不撓性によるADL制限の改善に向けた介入方法やADL指導上の工夫について述べる.

続発性骨折を予防するための理学療法の工夫――ホームエクササイズの指導 西田直弥
 脊椎圧迫骨折患者は動作パターンが減少し,努力性を伴った身体運動となっている.そのため,ホームエクササイズを処方してもターゲットとしている筋とは異なり,二関節筋などの使用しやすい筋群を活動させてエクササイズを実施してしまう症例を経験する.これではホームエクササイズが逆効果となる可能性が高い.そのため,代償動作を少なくした環境を設定し,エクササイズを実施する必要がある.本稿では,脊椎圧迫骨折患者の陥りやすい姿勢とそれに対するホームエクササイズの工夫を紹介する.

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特集 脊椎圧迫骨折に対する理学療法の工夫

エディトリアル 脊椎圧迫骨折に対する理学療法の工夫
古谷英孝

脊椎圧迫骨折の疾患概要と疫学
木村鷹介

脊椎圧迫骨折後の臥床期における理学療法の工夫
森川大貴,他

脊椎圧迫骨折後の離床期における理学療法の工夫
岡安 健

脊椎圧迫骨折後の回復期における理学療法の工夫
中村 学

脊椎圧迫骨折術後の理学療法の工夫――BKP術後
葉 清規

脊椎圧迫骨折術後の理学療法の工夫――外傷性後彎症術後
大坂祐樹

続発性骨折を予防するための理学療法の工夫――ホームエクササイズの指導
西田直弥


■Close-up 取り組もう 末梢性顔面神経麻痺
末梢性顔面神経麻痺の診断と治療
古川孝俊

末梢性顔面神経麻痺に対する実践的理学療法
森嶋直人


●とびら
「裸のリーダー様」にならないために
谷内幸喜

●画像評価――何を読み取る? どう活かす? 最終回
集中治療室でのモニタリング
西原浩真,他

●理学療法のスタート――こうやってみよう,こう考えていこう 最終回
・モチベーションへの支援
・共感とは? ラポールの構築とは?
三宅貴志

●臨床実習サブノート
退院後から振り返るゴール設定――推論を事実と照合して学ぶ 7
在宅復帰 車椅子
髙原 剛

●報告
透析患者の転倒危険因子に着目した運動機能と注意機能の特徴
柿原稔永,他

●紹介
令和2年7月豪雨における熊本JRATの初動対応
田中康則,他

●ひろば
理学療法士の特性を問う
中村壮大,他

映画「MINAMATA―ミナマタ―」
山下雅代

●My Current Favorite 9
スポーツ選手に生じる協調運動障害「イップス」
青山敏之

●私のターニングポイント
他分野の研究者との出会い
西川裕一

●新型コロナウイルス感染症――現場からの報告
広島中央リハビリテーション病院におけるスタッフ配置の工夫
藤谷友介

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