特集 回復期リハビリテーション病棟 これからの役割と戦略
ISSN | 0915-0552 |
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定価 | 1,980円 (本体1,800円+税) |
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EOI : essences of the issue
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特集 回復期リハビリテーション病棟 これからの役割と戦略
回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)は,急性期と生活期の中間に位置し,積極的かつ集中的リハビリテーションの提供によりADL向上と住み慣れた地域において少しでも長く自立した社会参加できることを目的に,多職種が協働して取り組むための病棟である.2025年の医療需要推計に基づいた地域医療構想,地域包括ケアシステムの推進により,今後,回復期病棟にはどのような役割が期待されるのか.回復期病棟の第一線でご活躍されている先生方に現在取り組まれている事例をご紹介いただき,今後の回復期病棟の役割と戦略を検討するにあたっての一助としたい.
回復期リハビリテーション病棟の変遷とこれからの役割 村永信吾
回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)は,「リハビリテーション前置主義」を理念に2000年に制度化された.急性期病院から早期に患者を受け入れ,集中的リハビリテーションによるADL向上と自立した在宅復帰や社会参加をめざす.地域医療計画や地域医療構想による回復期医療機能の量的整備に加え,診療報酬改定での質的向上が進められている.本稿では,これら制度変遷と回復期病棟への期待と役割について概観する.
回復期リハビリテーション病棟におけるチームビルディング 後藤伸介
リハビリテーション医療はチームアプローチであり,回復期リハビリテーション病棟の質向上にはチームビルディングが重要となる.チーム機能の個人要素にはマインドセット,専門性の発揮と役割分担,スキルの発揮,そして組織要素には業務の共同化,コミュニケーション,運営マネジメントがある.これらを効果的に高めるには,個人の個性や健康状態を踏まえて,チームや部門の組織環境の整備と教育を行い,適切な実務経験による学習が必要である.
歩行自立に向けた多職種連携の取り組み 星野高志,他
入院中の歩行自立判定には多職種連携が必須である.当院では療法士(理学療法士,作業療法士)による客観的評価(歩行速度,認知,バランス)と歩行関連動作の観察評価,および病棟スタッフによる実生活場面での観察評価を経て,最終的に医師を含む多職種で自立を判定している.より安全な自立判定には,プロセスの構築,多職種連携とともに,スタッフの成長が不可欠である.本稿では当院におけるプロセス導入から定着までの過程を紹介する.
回復期リハビリテーション病棟における活動性向上のための工夫 福江 亮
回復期リハビリテーション病棟の入院患者に対し,効果的・効率的に患者の活動を高めていくためには多職種が密に連携していくこと,患者とスタッフが病棟生活における目標を共有し「できるADL」を「しているADL」にスムーズに定着させることが重要である.そして,高まった活動性を退院後も維持できるように退院後の生活を含めたアプローチを入院早期から検討し,退院後の課題や目標を生活期に引き継ぐことが重要な役割である.
回復期リハビリテーション病棟における栄養管理とリハビリテーションの連携 高芝 潤
回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)の診療体系がアウトカム評価へ変化するなか,低栄養の問題はADL回復や自宅復帰,さらには摂食嚥下機能に伴うQOLまで多岐にわたり影響を及ぼす.また,これらの解決には運動療法に加えて栄養障害に対し同時並行に介入することが推奨される.これには多職種がチームで戦略的にかかわる回復期病棟が最も適した場所である.
回復期リハビリテーション病棟における心臓リハビリテーション連携 山本智史,他
回復期リハビリテーション病棟における集中的な心臓リハビリテーションは心不全パンデミック下において有用である可能性が高いものの,現状ではエビデンスが構築されているとは言いがたい.ガイドラインでも課題となっている「安全性」と「質」の両方を担保するためには,急性期から生活期を踏まえたシームレスなリスク管理・運動療法・退院支援が重要である.
回復期リハビリテーション病棟におけるロボティクスおよびテクノエイドセンターの役割 佐藤義文
近年のリハビリテーションでは,運動機能促通や麻痺などの機能・能力改善に特化したロボットが臨床使用されており,機能補助・機能促通目的にさまざまな疾病に利用されている.ロボティクスリハビリテーションは,患者の機能・能力を有意に改善させる可能性がある.また今後,再生医療領域での需要も高まると予想される.回復期リハビリテーション機能として退院支援も重要で,生活復帰援助にテクノエイドセンターも一翼を担っている.
回復期リハビリテーション病棟での就労支援と自動車運転再開に向けた取り組みと課題 廣澤全紀,他
回復期リハビリテーション病棟へ入院する患者の目標は,復職や新規就労,自動車運転再開など,退院後の生活を見据えて多岐にわたる.本稿では,就労支援と自動車運転再開にかかわる関連制度についてまとめ,筆者らの臨床経験を中心に理学療法士の役割について記載した.この分野における理学療法士の役割は確立されておらず,リハビリテーションに携わるチームの一員として,理学療法士の専門性を発揮することが期待される.
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特集 回復期リハビリテーション病棟 これからの役割と戦略
回復期リハビリテーション病棟の変遷とこれからの役割
村永信吾
回復期リハビリテーション病棟におけるチームビルディング
後藤伸介
歩行自立に向けた多職種連携の取り組み
星野高志,他
回復期リハビリテーション病棟における活動性向上のための工夫
福江 亮
回復期リハビリテーション病棟における栄養管理とリハビリテーションの連携
高芝 潤
回復期リハビリテーション病棟における心臓リハビリテーション連携
山本智史,他
回復期リハビリテーション病棟におけるロボティクスおよびテクノエイドセンターの役割
佐藤義文
回復期リハビリテーション病棟での就労支援と自動車運転再開に向けた取り組みと課題
廣澤全紀,他
■Close-up MCID
MCIDとは何か
宇田和晃
脳血管障害と機能評価指標におけるMCID
熊谷謙一
回復期リハビリテーション病棟における運動器疾患と脳血管疾患のMCIDの比較
中口拓真
●とびら
多業種とともに成長する
西村英亮
●画像評価――何を読み取る? どう活かす? 11
急性心不全
西原浩真,他
●理学療法のスタート――こうやってみよう,こう考えていこう 11
・現実的な目標を立てるために行う情報整理のポイント
・患者さんの暮らしや文化――理学療法士世代とのギャップ
三宅貴志
●臨床実習サブノート
退院後から振り返るゴール設定――推論を事実と照合して学ぶ 6
在宅復帰 車椅子自立
二瓶健司
●原著
歩行動作の時間的・空間的パラメータと膝関節の力学的負荷,加速度関連指標との相互関係
松田友秋,他
●報告
臨床実習指導における2:1モデルの成否に対し実習生同士の関係性が及ぼす影響――スクリプト化された協同を用いた指導方法の実践報告
髙木武蔵
●ひろば
理学療法学者の存在意義
奈良 勲,他
対象者と共同的に理学療法を展開するためにマイクロアグレッションを自覚する
喜多一馬,他
●私のターニングポイント
日々の無力感と焦燥感の先に
小口和弘
●My Current Favorite 8
農業にかかわるなかで再考した「食の重要性」
粂原由梨