理学療法ジャーナル Vol.56 No.9
2022年 09月号

ISSN 0915-0552
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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運動イメージ――科学的根拠に基づく臨床実践をめざして

 臨床において,運動イメージが理学療法と併用される機会は多い.しかしながら,運動イメージを用いた理学療法が経験則のみに基づいて臨床場面で使用されている例も少なくない.Evidence‒based physicaltherapy(EBPT)という概念のもと,運動イメージを用いた理学療法のエビデンスを構築・強化するためには,運動イメージに関する知識をリアルタイムでアップデートしていく必要がある.そこで本特集では,理学療法の視点から運動イメージ研究の最前線について解説することで,EBPTに基づく運動イメージの臨床応用を加速させるための一助としたい.

運動イメージと理学療法 菅田陽怜
 理学療法を行う際に運動イメージを併用することが効果的であることは臨床的に広く知られている.近年では,運動イメージの効果に関するシステマティックレビューも増えてきており,エビデンスが日々蓄積されている.本稿では,運動イメージの臨床応用を加速させるために,運動イメージに関する研究の歴史や運動イメージトレーニングを規定する因子,さらに理学療法との併用で得られる効果について,疾患を交えて概説する.

運動イメージ能力の客観的評価法 森内剛史,他
 運動イメージは心的な行為であるため,対象者が正しく運動イメージできたかを可視化することは難しい.そのため,運動イメージの確からしさを担保するため,対象者の運動イメージ能力や,課題に対する運動イメージ中の鮮明度について評価することが重要である.本稿では,運動イメージ評価について紹介するとともに,自験データをもとに,運動イメージを臨床応用するための戦略を評価の観点から提言したい.

運動イメージ能力の加齢による変化 野嶌一平,他
 運動イメージの臨床応用の可能性は多くの先行研究により示されている.一方で高齢者に対する効果およびその生理学的機序については不明な点が多く,臨床での利用は制限されている.本稿では,理学療法介入のツールとしての運動イメージについて,高齢者に対する効果を整理するとともに,今後の臨床応用の可能性および必要となる研究の方向性について私見を述べる.

運動イメージの発達特性 儀間裕貴,他
 子どもの運動イメージの発達特性と,運動障害や発達障害を有する児における運動イメージの特異性について,先行研究に基づいて解説する.子どもは運動イメージの発達期にある.リハビリテーション・理学療法としてその発達支援を行ううえでは,明示的/暗黙的,一人称的/三人称的な運動イメージの特性を適切に評価してかかわる必要がある.

運動イメージにかかわる脳内機構 酒井克也
 運動イメージは運動実行と類似した脳活動が生じるという報告から,近年研究がさかんに行われており,さまざまな脳領域が活動することが報告されている.本稿では,運動イメージ時に活動する脳領域を整理し,運動イメージの種類によって脳活動領域が異なることや,運動実行,運動観察,運動錯覚との差異について解説する.

運動イメージと脊髄機能 文野住文,他
 運動イメージは特別な機器を必要とせず,時間や場所を問わずに実施できることから,随意運動が困難な患者にも運動療法の一環として応用が可能である.運動機能の改善には中枢のみならず脊髄神経機能の賦活が重要である.この背景から,運動イメージと脊髄神経機能をテーマにF波を用いて検討が行われてきた.本稿では,運動イメージと脊髄神経機能に関する先行研究を紹介し,得られた知見をもとに運動イメージの臨床応用について述べる.

運動イメージと電気刺激療法の併用による脳卒中患者への治療アプローチ 髙橋容子,他
 脳卒中患者において,運動イメージ練習は機能回復や動作能力改善を目的として実施される.近年,運動イメージ練習の効果を高めるために,運動イメージと,末梢神経や筋に対する電気刺激を併用する治療が試みられている.本稿では,脳卒中患者における運動イメージと電気刺激の併用の臨床効果と,それを裏づける神経学的メカニズムについて,近年報告された研究の知見を紹介する.

運動イメージを利用した歩行トレーニング 北地 雄,他
 本稿では脳卒中者に対する運動イメージを利用した歩行トレーニングの臨床実践に必要な基礎知識を概説する.その後,実際の症例における具体的な使用例を提示する.歩行運動イメージトレーニングのエビデンス,評価,実践方法(時期や頻度),注意点などを,明日の臨床に役立つよう解説する.

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特集 運動イメージ――科学的根拠に基づく臨床実践をめざして


運動イメージと理学療法
菅田陽怜

運動イメージ能力の客観的評価法
森内剛史,他

運動イメージ能力の加齢による変化
野嶌一平,他

運動イメージの発達特性
儀間裕貴,他

運動イメージにかかわる脳内機構
酒井克也

運動イメージと脊髄機能
文野住文,他

運動イメージと電気刺激療法の併用による脳卒中患者への治療アプローチ
髙橋容子,他

運動イメージを利用した歩行トレーニング
北地 雄,他


■Close-up 神経筋疾患update――症例に学ぶ
神経筋疾患の疼痛へのアプローチ
篠原佑太,他

神経筋疾患の呼吸へのアプローチ――侵襲的人工呼吸療法管理の筋萎縮性側索硬化症患者における側臥位でのmechanical insufflation-exsufflation実施例
芝﨑伸彦

神経筋疾患への歩行アプローチ
古関一則


●とびら
古来よりもつ生体機能に思いを馳せる
椿 淳裕

●画像評価――何を読み取る? どう活かす? 9
間質性肺炎(特発性肺線維症)
有薗信一,他

●理学療法のスタート――こうやってみよう,こう考えていこう 9
・先輩理学療法士から学ぶお喋り・説明・指示タイミングのテクニック
・「大丈夫」,「がんばります」――患者さんの遠慮や疲労に配慮するには
岩﨑武史

●臨床実習サブノート 
退院後から振り返るゴール設定――推論を事実と照合して学ぶ 4
在宅復帰 歩行自立
那須高志

●報告
超音波画像を用いた末梢動脈疾患における下肢骨格筋の組成と6分間歩行距離との関連
湯口 聡,他

●症例報告
理学療法と適切なフットウェア使用が有効であった多発性糖尿病性足潰瘍の1例
平井 勝,他

縫工筋と内側広筋間における伏在神経膝蓋下枝の絞扼性神経障害が疑われた1症例――超音波診断装置を用いた病態解釈
吉井太希,他

●ひろば
言語学と理学療法(学・士)
奈良 勲,他

●私のターニングポイント
「本当にやりたいこと」を大切に
島田雅史

●My Current Favorite 6
アプリケーションによる情報収集とタスク管理
庄司 寛

●臨床のコツ・私の裏ワザ
肩こりに関係する筋肉に対するセルフケアのコツ
上田泰久

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