理学療法ジャーナル Vol.55 No.8
2021年 08月号

ISSN 0915-0552
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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がん治療のリアル

 多職種チームによるがんのリハビリテーションは,理学療法士にとって特別な領域ではなくなっている.外科治療,内科治療,慢性期治療,在宅医療,緩和ケアなど,さまざまなチームに理学療法士は属している.各チームが担当するがんの病態,医学的治療や薬物,副作用,生活条件と活動性などを理学療法士として理解し,適切な理学療法を提供する,その役割が求められる.がんのリハビリテーションに参画する理学療法士にとって,知りたい・知っておくべきがん治療のを「リアル」をまとめた.

がん治療――医師の立場から 小原秀太,他
 がんの状態や患者の状態は千差万別であるため,ガイドラインの記載を参考にしつつも,主治医が,医療チーム内での話し合いやCancer Boardを経て,最終的にはShared Decision Makingなどを用いて患者や患者の家族とともに診断・治療方針を立てていく.またがん患者や家族に対して医療スタッフがそれぞれの専門を活かして積極的に支援することが重要である.

がん治療――患者の立場から 菊井伸栄
 看護師としてがんサバイバーとして,経験者にしかわからないことは多くある.治療副作用などの体験,それらを経験し見えたこと・医療に対し感じたことなどをまとめた.がん患者としての自らを振り返ることで,そのときには見えなかったことや気づかなかったことがたくさんあり,客観的に捉えることができた.

がんの内科的治療における理学療法 由利 真
 がん薬物療法を主体とした内科的治療の種類・効果を理解し,日々のプログラムに反映させる留意点と理学療法の意義・課題を解説した.がんの治療のなかでも免疫チェックポイント阻害薬をはじめ,正常T細胞に遺伝子改変技術を用いて腫瘍細胞の表面抗原を認識するキメラ抗原受容体T細胞を用いたCAR‒T療法は特に注目されている.本稿ではCAR‒T療法を行った患者に対する理学療法についても検討した.

がんに起因する骨の脆弱性に対する理学療法 髙橋雅人
 がんによる骨脆弱性を有していたとしても,リスク管理をしながら最適な動作を指導し,患者が安全・快適に日常生活を送れるようサポートすることがリハビリテーションには求められる.本稿では,骨脆弱性を有する場合の動作方法・介助方法を示し,転移性骨腫瘍や多発性骨髄腫症例の症例を提示しながら理学療法の実際について述べる.

がんロコモに対する理学療法 柳澤卓也
 がんロコモとはがん自体あるいはがんの治療,元々から罹患する運動器疾患によって,骨・関節・筋・神経などの運動器の障害が生じて移動機能が低下した状態を示す.移動機能を主とした身体機能低下を呈しているがんロコモ患者の理学療法を実施する上での評価について触れ,がんロコモ患者に対する理学療法を実施する際の工夫について考察する.

がんサバイバーの理学療法と就労支援 上野順也
 がんサバイバー・がん患者の3分の1は就労世代であり,治療と就労の両立は重要な課題である.本稿ではこれまでの報告に基づいてがん患者の社会復帰を阻む要因を検討するとともに,ゴールを見据えた身体機能へのアプローチ,就労支援につながる理学療法プログラムの留意点と課題を症例を通じ解説する.

がん在宅医療での理学療法――その人らしく,幸せに生ききるために 杉浦将太,他
 近年,5年以上生存するがん症例の割合が増えてきており,がん在宅医療での理学療法のニーズが高まってきている.そこではQOL の向上を目指し,1人ひとりの症例と向き合った個別性の高いアプローチが求められている.そのための1つの評価指標としてSchedule for the Evaluation of Individual Quality of Life(SEIQoL‒DW)を紹介し,その人らしく幸せに生ききるために必要ながん在宅医療での理学療法士の役割をお伝えする.

がん終末期緩和ケアと理学療法
1.チーム医療のなかで理学療法士が担う役割と姿勢 林 邦男
2.患者・家族の希望の把握と変化への柔軟な対応 矢木健太郎

 がん終末期緩和ケアで理学療法を行う機会も増えている.在宅化傾向も踏まえたうえで,チームのなかで理学療法士に求められる役割や心構えを述べるとともに,患者や家族から収集すべき情報,希望把握の際の留意点を解説する.

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価格については医書.jpをご覧ください。

がん治療――医師の立場から
小原秀太,他

がん治療――患者の立場から
菊井伸栄

がんの内科的治療における理学療法
由利 真

がんに起因する骨の脆弱性に対する理学療法
髙橋雅人

がんロコモに対する理学療法
柳澤卓也

がんサバイバーの理学療法と就労支援
上野順也

がん在宅医療での理学療法――その人らしく,幸せに生ききるために
杉浦将太,他

■がん終末期緩和ケアと理学療法
1.チーム医療のなかで理学療法士が担う役割と姿勢
林 邦男

2.患者・家族の希望の把握と変化への柔軟な対応
矢木健太郎


■Close-up 理学療法に活かすモニター技術
慣性センサを用いるウェアラブル歩行分析システムと臨床応用
三宅美博,他

fNIRS
酒井克也

眼球運動モニター
高村優作,他


●とびら
情報の再検討力
安里和也

●再考します 臨床の素朴な疑問・8
「他動的関節可動域運動」はいつまで・どの範囲まで行うか?
脇田正徳

●診療参加型臨床実習・8
診療参加型臨床実習の取り組みの現状と展望
回復期病院
岩崎朋史

回復期病院
津田陽一郎,他

●国試から読み解く・20
歩行観察から装具を調整しよう
藤田裕子

●臨床実習サブノート 診療参加型臨床実習――「ただ見ているだけ」にならないように!・5
パーキンソン病
奥埜博之

●私のターニングポイント
受動的な自分から能動的な自分へ
田多井陽平

●原著
保存療法中の変形性膝関節症患者を対象とした観察に基づく歩行異常性評価の構築に向けた研究――評価の項目特性,因子妥当性,併存的妥当性および検者間信頼性
山科俊輔,他

●ひろば
鍵にまつわる雑感
奈良 勲

●文献抄録
髙橋容子・中村絵美・大石優利亜・中島拓哉

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