医学書院

検索
HOME書籍・電子メディア > 書籍詳細

プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系


(第3版)

監訳:坂井 建雄/松村 讓兒

  • 判型 A4変
  • 頁 628
  • 発行 2017年01月
  • 定価 12,960円 (本体12,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02534-8
さらに洗練された解剖学アトラスの最高峰。プロメテウスの進化は止まらない
大好評のプロメテウス解剖学アトラス、解剖学総論/運動器系が待望の改訂。美麗なイラストに的確な解説文を組み合わせた従来の良さ・強みを残したまま、図版の配置や解説文の推敲を重ね、さらなるわかりやすさを追求している。医師・医学生にとどまらず、すべての医療職の方々から支持される理由は、手に取れば自ずと理解されるだろう。さらに洗練された解剖学アトラスの最高峰。プロメテウスの進化は止まらない。
*「プロメテウス/PROMETHEUS/プロメテウス解剖学」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文
第3版 訳者序第4版 序-プロメテウスとともに進む

第3版 訳者序
 『プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版』をここにお届けする.原書の初版は,ドイツ語原書として2004年から2006年にかけて全3巻として出版され,熟練した画家...
第3版 訳者序第4版 序-プロメテウスとともに進む

第3版 訳者序
 『プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版』をここにお届けする.原書の初版は,ドイツ語原書として2004年から2006年にかけて全3巻として出版され,熟練した画家の筆による精細な原画の数々にコンピューターによる画像処理を駆使して実現した,実在感と清潔感を合わせもつ高品質の解剖図は,世界中に大きな衝撃を与えた.日本語版としては2007年から2009年にかけて出版され,わが国の読者に広く迎えられたことは,訳者の大きな喜びとするところである.

 特に第1巻は四肢を中心として運動器に重点をおいたこれまでにない解剖学書として,注目を集めている.さらに内容においても,単に運動器の解剖を記述と図解により提示するだけでなく,運動機能に関する解説がきわめて充実している.医学生および臨床医だけでなく,理学療法士・作業療法士などリハビリテーションに携わる医療職の人たちからも大きな関心を集め,教科書や参考書として広く利用していただいている.

 すぐれた解剖図は解剖学書の生命線であり,まさに解剖図の革新が新しい解剖学書を作り出してきたと言える.近代解剖学の出発点と目されるヴェサリウスの『ファブリカ』は,精緻な芸術的な木版画により生命を与えられ,17世紀から18世紀にかけての銅版画による繊細な表現は,ビドローやアルビヌスによる傑出した解剖図譜を生み出してきた.19世紀の木口木版画によりもたらされた解剖図と本文を一体化した編集は,解剖学書に新たな生命を吹き込み,20世紀の写真製版の技術は,解剖図の新たな表現に無限ともいえる可能性を生み出してきた.『プロメテウス解剖学アトラス』の解剖図は,人間の手で描かれたものでありながら,人工のわざとらしさを感じさせない,まさに人智を尽くして自然を再現した21世紀という時代が生み出した解剖図の最高傑作である.

 原書の第2版は2007年から2009年に出版され,日本語訳は2011年から2015年に出版された.本書第3版は,2014年に出版された原書第4版の翻訳である.第1巻については,初版で542頁であったものが,第2版では大きく内容を増やして599頁になり,今回の第3版ではさらに充実して612頁という大冊になっている.運動器の機能解剖学と臨床解剖学における近年の目覚ましい研究の進歩を取り込むとともに,医学生に必要な事項を読者にわかりやすい形で提供するというコンセプトはさらに強化されている.『プロメテウス解剖学アトラス』は,これまでの解剖学書にないすぐれた特徴を有している.見開き構成の中で視認性に優れた解剖図と文字情報を伝えるテキストをバランスよく有機的に配置すること,系統解剖学や臨床解剖学といった伝統的な枠組みに依拠せず学習内容の重要度に応じて内容を選択したことなど,まさに新しい視点からの解剖学が実現されている.第3版においてもこれらの特徴をよりよく生かす改訂がなされている.

 本書「解剖学総論/運動器系」の翻訳にあたっては,初版ではドイツ語版の他に英語版を参照することができた.これは翻訳を効率的に行うにあたっては有利な事情であったが,ドイツ語版と英語版の食い違いも少なからずあり,ドイツ系の解剖学と英語系の解剖学が異なる伝統を有することも,改めて知らされることとなった.第2版以降では対応する最新の英語版が刊行されていないために,もっぱらドイツ語版に依拠することとなった.翻訳にあたっては,ドイツ語の専門家の協力を得て改訂部分について重点的に各訳者が訳稿を作成し,最終的な確認と調整を監訳者が行った.訳語については,原則として日本解剖学会監修 『解剖学用語 改訂13版』 に準じるとともに,初版および第2版との整合性を可能な限り重視した.日本語訳にあたっては瑕疵のないように最善の努力をしたつもりではあるが,至らぬところは監訳者の責である.

 訳者を代表して 坂井建雄,松村讓兒
 2016年10月1日


第4版 序-プロメテウスとともに進む
 解剖学は,実習室での最初の瞬間からわくわくさせられる科目である.われわれ著者を魅了してやまない,しかし同時に圧倒的な量の事実と向き合うことを余儀なくされる.この医学の基盤となる膨大な量の事実を,読者諸氏にできるだけわかりやすく,見やすく提供したいと考え,本書プロメテウスを上梓した.

 このためプロメテウスでは,知識量にあわせて学習単元を区分し,必要な場合は必ず解剖学から踏み出して臨床との関連付けを行っている.読者諸氏が目指す医学の最終目標は,臨床に他ならないからである.逆に,臨床の現場からは解剖学にとって常に重要なヒントがもたらされる.このように解剖学と臨床は相互に刺激し合い,補足し合っている.

 前十字靱帯断裂を例にとって考えると,このことがよくわかる.二重束再建術を実施するためには,前十字靱帯の2本の線維束の解剖学的な考察を欠かすことはできない.これは今回,プロメテウスの第4版に追加された,臨床にとって重要な情報の一例に過ぎない.

 鼡径ヘルニアの内視鏡視下手術を行えるようになりたいと考えている人にとって,非常に重要な概念が“triangle of doom”と“triangle of pain”である.鼡径部の腹膜前腔の構造をよく知らなければ,メッシュを固定し,ヘルニアを確実に,持続的に治療することはできない.これらの新しい概念も本改訂版に追加され,図解された.前十字靱帯断裂と鼡径ヘルニアはともに,とりわけ頻度の高い疾患像であるだけに重要である.

 同じように頻度の高い,強剛母趾や外反母趾といった前足部と母趾の領域の変性疾患についても,図と文による説明を追加した.これと関連して,特にBad Schwartau(バート・シュワルタウ)の足外科医Dr. Kai-Hinrich Olmsに,バクスター神経や関節包張筋について非常に多くの示唆を賜った.感謝を申し上げる.

 プロメテウスの第4版にはさらに,他の成書には見つけることのできない情報が含まれている.頸椎回旋全体の70%の起点となる,脊椎の最も重要な正中環軸関節が,初めて組織学的に詳しく考察されたのである.その結果,関節の前部は加齢によりほぼ常に変性変化を来しており,ほとんどの場合に軟骨の損傷が示されることが明らかになった.また圧迫に対して強力な靱帯が必要とされるまさにその領域で,環椎横靱帯が線維軟骨を有することも非常に印象的である.

 最後の重要なお知らせとして,この新版には解剖の際に最初に認知される器官,すなわち皮膚が新たな単元として取り上げられることになった.

 読者諸氏からのプロメテウスへの貴重なご意見やご指摘に対し,変わらぬ感謝の気持ちを申し上げる.今後もわれわれとプロメテウスに建設的な批判を賜りたい.
 それがプロメテウスの生命線である.

 読者諸氏の成功を祈念する.

 Michael Schünke, Erik Schulte, Udo Schumacher, Markus Voll, Karl Wesker
 Kiel, Mainz, Hamburg, München, Berlinにて
 2014年8月
書 評
  • 現場の教員と学生の悩みを汲み取って作られたアトラス
    書評者:尾﨑 紀之(金沢大教授・機能解剖学)

     解剖学の教育が難しい理由の一つは,予備知識の全くない学生に(最初に学ぶ専門科目),2次元である教科書やスライドを用いながら,3次元である人体の構造をイメージさせ,難しい漢字(他の分野ではおそらく一生,書いたり読んだりしない)や英語で書かれた名称(解剖学用語)を,大量に(8,400語以上,臨床現場で...
    現場の教員と学生の悩みを汲み取って作られたアトラス
    書評者:尾﨑 紀之(金沢大教授・機能解剖学)

     解剖学の教育が難しい理由の一つは,予備知識の全くない学生に(最初に学ぶ専門科目),2次元である教科書やスライドを用いながら,3次元である人体の構造をイメージさせ,難しい漢字(他の分野ではおそらく一生,書いたり読んだりしない)や英語で書かれた名称(解剖学用語)を,大量に(8,400語以上,臨床現場ではまだ全然足りない),しかも短時間(解剖学の講義実習時間はどんどん減っている)で身につけさせることだと思う。そのために一番有効なのは,解剖実習であるが,それをいかに実りあるものにするか,解剖学の教員は頭を悩ます。学生は「圧倒的な量の事実」を前に,途方に暮れる。解剖学は精巧で神秘的な私たちの体を自らの手で学ぶ興奮に満ちた学問であるのに。そしてそれらの学生が高学年に上がると,臨床の先生方から「解剖学の勉強が足りない」と暖かい叱咤激励を頂く。

     解剖学の教育が難しい二つ目の理由は,臨床を知らない学生に,その意義に基づいて教えることだと思う。

     『プロメテウス解剖学アトラス』は,現場の教員と学生の悩みを汲み取って作られた。美しいイラストは,人体を立体的にしっかりと再現している。初学者にとって理解が難しい,構造と構造の境界や重なり,前後関係を『プロメテウス解剖学アトラス』は正確に描画しつつ,必要なところはしっかりと強調している。また,さまざまな角度からのあるいは深さのイラストが充実している。人体の理解のために模式図は有効で,学生はそれで理解をする(した気になる)けれど,次にその模式図と実物との解離に悩む。『プロメテウス解剖学アトラス』の清潔感と実在感のあるイラストは模式図と実物との橋渡しをしてくれる。学生は,見たことのない言葉(解剖学用語)で書かれている解剖書を外国語のように読むが,『プロメテウス解剖学アトラス』では,図に書いてあることすべてが本文で説明されている。そして索引が充実している。さらに,その構造の理解がなぜ必要なのか,臨床医学との関連に基づいて説明してくれる。これほどの初学者目線が可能になったのは,学生の優れた学習環境を作るという目標の下,解剖学の基礎的理解と臨床上の意義という視点で本書が作られているからだろう。この構想は見事に成功した。

     本書はドイツ語で書かれた原著第4版の日本語版だが,生き生きとした文体が魅力的である。監訳者,訳者の方々が,それぞれの分野に詳しい日本を代表する解剖学者だからであろう。優れた本書ではあるが,著者も訳者もこれが解剖学アトラスの完成形とは考えてはおられまい。技術の進歩はわれわれの予想をはるかに超えており,解剖学アトラスの形も変わっていく。本書のさらなる発展が楽しみである。『プロメテウス解剖学アトラス』は,医学生,リハビリテーションやコメディカルの学生,そして医療関係者にとって心強い味方である。
  • 系統解剖学を網羅する局所解剖学アトラス
    書評者:弦本 敏行(長崎大大学院教授・肉眼解剖学)

     『プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系』待望の第3版が出版された。本書は『胸部/腹部・骨盤部』『頭頸部/神経解剖』から構成される全3巻のうちの第1巻である。肉眼解剖学に携わる者がプロメテウス解剖学アトラスという言葉を聞いたとき,まず思い浮かぶのは,上質な紙面上に並ぶイラストの圧倒的な美...
    系統解剖学を網羅する局所解剖学アトラス
    書評者:弦本 敏行(長崎大大学院教授・肉眼解剖学)

     『プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系』待望の第3版が出版された。本書は『胸部/腹部・骨盤部』『頭頸部/神経解剖』から構成される全3巻のうちの第1巻である。肉眼解剖学に携わる者がプロメテウス解剖学アトラスという言葉を聞いたとき,まず思い浮かぶのは,上質な紙面上に並ぶイラストの圧倒的な美しさであろう。実際,見開き2ページごとに絶妙な余白を伴って配置された各イラストの統一感は,本書を手に取った者に清潔感さえ抱かせる。帯上に踊る「この美しさが最上の理解を生む」というコピーが,おそらく本書の出版に携わった全ての人の気持ちを代弁している。

     近頃新たに出版される解剖学の教科書および解剖学アトラスのほとんど全ては,局所解剖学の視点から構成・執筆されたものであろう。すなわち,多くの成書は解剖学という学問を人体の部位ごとに解説するものであるが,肉眼解剖学を臨床医学に直結した実践的な学問として捉えるとき,これは避けては通れない手法であろう。例えば,医学書の金字塔として現在なお版を重ねている“Gray’s Anatomy”(Elsevier, 41th, 2015)でさえ,発刊以来,骨学,筋学,神経学,脈管学,内臓学など系統的に解説がなされていたが,2005年に刊行された第38版以降は局所解剖学の解説書として内容の構成が変更されている。しかしながら,例えばこれから肉眼解剖学という高い山を極めようとする初学者にとっては,この学問をまず系統的に理解するほうが,より平坦な道程であることは明らかである。

     このような中,本書の構成を細部にわたって検証するとき,本書の本質が,構成するイラストの上質感だけではないことが初めて理解される。本アトラス全3巻の構成内容からは,この第1巻が運動器系に関する局所解剖学の理解をめざす意図で作成されたことが明らかである。しかし,その目次を見ると,この書籍が意図するところが容易に認識される。本書は,体幹,上肢および下肢のそれぞれを解説する各論において,骨・関節・靱帯,筋:機能による区分,筋:局所解剖,神経と脈管:形態と位置,神経と脈管:局所解剖,の順序で系統的な解説がなされるという統一感ある構成になっている。運動器系の解剖学をまず系統的に学びたいという場合は,例えば,骨,関節,靱帯のページを横断的に学習することが容易である。このような点は目立った特徴ではないが,肉眼解剖学の知識習得のための最良の方法として考え尽くされた構成内容であると言えるであろう。

     最近はPCなどで利用可能な,高い精度を持った高機能な3D人体アトラスも数多く入手可能である。しかし,それらと比較しても本書に並ぶ上質かつ簡潔な図譜がもたらす教材としてのクオリティは全く引けを取らない。むしろ,ある局面に関して,考え尽くされた方向から的確に切り取った説得力あるイラストで示すことによって,それを利用する者にとって必要十分な情報が提供される。見開き2ページの中に,各図に関連した解剖学的知識および臨床的必要事項を幅広く網羅した記載から得られる圧倒的な情報を提供する本アトラスは,初学者にとっても,あるいは実際の臨床家にとっても得難い一冊であろう。
目 次
解剖学総論
 1 系統発生と個体発生
 2 人体の概観
 3 体表解剖,目印,基準線
 4 骨,骨の連結
 5 筋
 6 血管
 7 リンパ系とリンパ節
 8 神経解剖学総論

体幹
 1 骨,関節,靱帯
 2 筋:機能による区分
 3 筋:局所解剖
 4 神経と脈管:形態と位置
 5 神経と脈管:局所解剖

上肢
 1 骨,関節,靱帯
 2 筋:機能による区分
 3 筋:局所解剖
 4 神経と脈管:形態と位置
 5 神経と脈管:局所解剖

下肢
 1 骨,関節,靱帯
 2 筋:機能による区分
 3 筋:局所解剖
 4 神経と脈管:形態と位置
 5 神経と脈管:局所解剖

付録
 文献
 索引