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トワイクロス先生の緩和ケア処方薬 第2版
薬効・薬理と薬の使い方

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原書は“Palliative Care Formulary 5th edition”(2014年)。ロバート・トワイクロス博士(オックスフォード大学緩和ケア学講座初代教授)の編纂による緩和ケア界の必携書。最新のエビデンスに基づいて改訂された。緩和ケア薬を網羅した薬剤情報集と基本知識(オピオイド効力換算比、終末期の薬の投与法、薬物間相互作用など)の二部構成。新章「かゆみの治療薬」なども追加された。
編集 Robert Twycross / Andrew Wilcock / Paul Howard
監訳 武田 文和 / 鈴木 勉
発行 2017年06月判型:A5頁:928
ISBN 978-4-260-03031-1
定価 6,050円 (本体5,500円+税)
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監訳者序原書まえがき

監訳者序
 本書“Palliative Care Formulary Fifth edition(PCF5)”は,『トワイクロス先生の がん患者の症状マネジメント 第2版』(2010年,初版2003年,医学書院)の姉妹書であり,British Medical Journalが最大の称賛を与えている“PCF5”の日本語版である.日本語版第2版を刊行するにあたり,邦題を『がん緩和ケア処方薬』から『緩和ケア処方薬』に改めた.
 トワイクロス先生はオックスフォード大学の緩和ケア講座の初代主任教授であった.長年にわたり真摯な臨床経験に基づく緩和ケアの最新知識を世界各地に普及させることに尽力され,名著『末期癌患者の診療マニュアル』(翻訳版は医学書院から1987年刊行)は,わが国初のアカデミックな緩和ケア実践書となった.この書は日本の多くの緩和ケア実践医療者を啓発し,さらに『トワイクロス先生のがん患者の症状マネジメント』は,わが国のがん緩和ケアの向上に貢献するとトワイクロス先生自身が来日時に武田に手渡され,わが国の緩和ケアに関心のある医師,看護師,薬剤師などが協力して翻訳に携わった.
 オックスフォード大学卒業後のトワイクロス先生は神経内科医の道を歩まれ,その真摯に取り組む姿勢が近代ホスピス運動の創始者Dame Cicely Saundersの目に留まり,St. Christopher’s Hospice付属研究所長に招かれ,がんの痛みとオピオイド鎮痛薬の臨床研究に深くかかわった.オックスフォードに戻ると,ブロンプトンカクテルに含まれるコカインに意義がないこと,4時間ごとのモルヒネ経口投与法の確立,モルヒネ徐放錠の着想提案を行った(現在ではMSコンチン®錠として世界各国で好評).人間性のある患者対応にも深い関心を持ち,WHO方式がん疼痛救済プログラムのFounding member, WHO方式がん疼痛治療法の作成委員を務めた.トワイクロス先生はオックスフォードのSir Michael Sobell Houseの責任者にもなり,その付属International Schoolでは,日本を含む世界各地の医療職を招いて緩和ケア担当職に育成し,そして母校の緩和ケア講座の初代教授に就任した.トワイクロス先生が示す緩和ケアへの熱心な取り組み,人間愛に満ちた患者対応は世界各地の医療に良き影響を与えてきた.“PCF”は3~5年ごとに改訂が行われており,その間の新しい知識も熱心に総ざらいし,本改訂版を執筆したのである.
 読者の皆様は,本書および姉妹書が示す科学に基づき,かつ人間愛に満ちた医療の実践を心掛け,各医療機関,各診療科の長も,自分の管理下の医療実践に役立ててガバナンスに力を入れていただきたいと,翻訳者一同は願っている.

 2017年4月
 翻訳者を代表して 武田文和,鈴木 勉


原書まえがき
 このたびPalliative Care Formulary(PCF)の最新版を出版する運びとなった.本書は主にイギリスを対象として作られたものであり,翻訳版としてドイツ語版および日本語版がある(www.palliativedrugs.comを参照).
 対象とする読者は,緩和ケアに携わる医師,看護師,薬剤師としている.イギリスにおける緩和ケアの上級研修医にはPCFが主要なテキストとなっている.
 また,がんセンターやがんネットワークにおける緩和ケアサービス専門家に緩和ケアのために中核となる医薬品の処方集を持たせ,NHSのがん診療基準資格を満たすために本書を用いている地域もイギリスにはある.さらにNICE(イギリス国立医療技術評価機構)のClinical Knowledge Summaries(CKS)ガイドラインなど多くの公的な医療関係資料で引用されている.
 本書は主としてがん患者への適用を前提として執筆されたものであるが,他のいくつかの致死的な疾患,例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)やうっ血性心不全,腎不全,パーキンソン病などに特化した項目も含んでいる.
 PCFには多数の“早わかり臨床ガイド”と“早わかり処方ガイド”を掲載している.実践で使いやすくするため,各ガイドは原則として2頁程度でまとめ,参考文献を付けていない.これについては読者の方々の意見をいただきたいと思う.またウェブサイトにはわれわれのガイド以外も掲示し,無償で提供している(問い合わせ先:hq@palliativedrugs.com).
 この種の書籍の執筆にあたっては,多くの仲間から援助と助言を受けるものである.臨床家の仲間と,特に調査やSyringe Driver Survey Databaseの構築に尽力していただいたpalliativedrugs.comのコミュニティ参加者に深く感謝する.
 今版で助言をいただいたVictoria Barnett氏,Claudia Bausewein氏,James Beattie氏,Christopher Blick氏,Ronald Elin氏,Bethany Foster氏,Philippa Hawley氏,Sue Hollingsworth氏,Aleksandra Kotlinska-Lemieszek氏,Louise Lynch氏,Mary Mihalyo氏,Eva Murphy氏,Renee Page氏,Russell Portenoy氏,Constanze Remi氏,Jan Rémi氏,John Shuster氏,Nigel Sykes氏と製薬業界における医薬品情報担当者に感謝する.
 編集作業にあたったSarah Keeling氏(出版コーディネート),John Shaw氏(原稿整理の補助),Karen Isaac氏(秘書)の多大なる支援に感謝したい.

 Robert Twycross
 Andrew Wilcock
 Paul Howard
 編集長
 2014年7月

(訳:荒井 幸子)

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原著まえがき
PCF5における主な改訂点
PCFの作成方法
本書を最大限に活用するために
承認適応外および未承認医薬品の使用について
薬剤名について
省略語

I編 薬剤情報
 1 消化管系
   制酸薬
    アルギン酸製剤/ジメチコン
   抗ムスカリン薬
    グリコピロニウム/ブチルスコポラミン臭化物/スコポラミン臭化水素酸塩/
    プロパンテリン
   蠕動促進薬
   ヒスタミンH2受容体拮抗薬
   ミソプロストール
   プロトンポンプ阻害薬
   ロペラミド
   緩下薬
    オオバコ種子殻(シリアム)ハスク/刺激性緩下薬/ドクセートナトリウム/
    ラクツロース/マクロゴール(ポリエチレングリコール)/マグネシウム塩/
    便秘のための直腸内投与用の緩下薬製剤
   痔疾に用いる薬
   パンクレアチン
  [早わかり処方ガイド]
   死前喘鳴のマネジメント
   オピオイド鎮痛薬で誘発される便秘
   対麻痺と四肢麻痺における腸管のマネジメント
 2 心臓血管系
   フロセミド
   スピロノラクトン
   局所麻酔薬の全身投与
   *クロニジン
   硝酸グリセリン(ニトログリセリン)
   ニフェジピン
   抗凝固薬
    低分子ヘパリン
   止血薬
  [早わかり臨床ガイド]
   ヘパリン誘発性血小板減少症(HIT)
 3 呼吸器系
   気管支拡張薬
    イプラトロピウム臭化物/チオトロピウム/サルブタモール/
    長時間作用型β2刺激薬(LABA)吸入剤/テオフィリン
   コルチコステロイド吸入剤
   酸素
   咳の治療薬
    粘液溶解薬/鎮咳薬
 4 中枢神経系
   向精神薬
   ベンゾジアゼピン系薬
    ジアゼパム/ミダゾラム/クロナゼパム/ロラゼパム
   メラトニン
   抗精神病薬
    ハロペリドール/プロクロルペラジン/レボメプロマジン/
    オランザピン/リスペリドン/クエチアピン
   抗うつ薬
    アミトリプチリン/ノルトリプチリン/選択的セロトニン再取り込み阻害薬/
    *ベンラファキシン/デュロキセチン/ミルタザピン/トラゾドン
   *精神刺激薬
   制吐薬
    メトクロプラミド/ドンペリドン/抗ヒスタミン性抗ムスカリン性制吐薬/
    5HT3受容体拮抗薬
   抗てんかん薬
    ガバペンチンとプレガバリン/カルバマゼピン/オクスカルバゼピン/
    バルプロ酸/レベチラセタム/フェノバルビタール
  [早わかり処方ガイド]
   抑うつ
   悪心・嘔吐のマネジメント
 5 鎮痛薬
   鎮痛薬の使用原則
   鎮痛補助薬
   アセトアミノフェン(パラセタモール)
   非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
    セレコキシブ/ジクロフェナクナトリウム/フルルビプロフェン/
    イブプロフェン/ナプロキセン/ナブメトン
   弱オピオイド鎮痛薬
    コデインリン酸塩/ジヒドロコデイン酒石酸塩/トラマドール
   強オピオイド鎮痛薬
    モルヒネ/ブプレノルフィン/フェンタニル/経粘膜吸収性フェンタニル製剤/
    ヒドロモルフォン/*メサドン/オキシコドン/タペンタドール
   オピオイド拮抗薬
  [早わかり処方ガイド]
   手術・医療処置関連の痛みのマネジメント
   ブプレノルフィン貼付剤の使用法
   フェンタニル貼付剤の使用法
   がん患者の痛みに対するメサドンの使用法
 6 感染症
   緩和ケアにおける抗菌薬
   口腔・咽頭のカンジダ症
   メトロニダゾール
   尿路感染症
   四肢のリンパ浮腫における蜂窩織炎
   クロストリジウム・ディフィシル感染症
   ヘリコバクター・ピロリによる胃炎
  [早わかり処方ガイド]
   リンパ浮腫における蜂窩織炎
 7 内分泌系と免疫系
   ビスホスホネート
   コルチコステロイドの全身投与
   デメクロサイクリン
   デスモプレシン
   糖尿病治療薬
   *オクトレオチド
   プロゲストゲン(黄体ホルモン薬)
   ダナゾール
   *サリドマイド
 8 尿路系
   タムスロシン
   オキシブチニン
   メテナミン馬尿酸塩
   クランベリージュース
   カテーテル閉塞解除液
   尿の変色
 9 栄養と血液
   貧血
    硫酸鉄
   アスコルビン酸(ビタミンC)
   フィトメナジオン(ビタミンK1
   カリウム
   マグネシウム
   亜鉛
 10 筋・骨格および関節疾患
   効果持続性コルチコステロイド注射剤
   引赤薬およびその他の外用剤
   骨格筋弛緩薬
    バクロフェン/ダントロレンナトリウム/チザニジン
 11 耳・鼻・咽喉
   口腔洗浄薬
   人工唾液
   ピロカルピン
   口内炎・口腔内潰瘍治療薬
   耳垢水
 12 皮膚
   皮膚軟化薬
   局所塗布用のかゆみ止め薬(鎮痒薬)
   皮膚保護薬
 13 麻酔薬
   *ケタミン
   *プロポフォール

II編 基本知識
 14 緩和ケアにおける処方ガイダンス
 15 オピオイド鎮痛薬の効力換算比
 16 死が差し迫った病期の薬物療法
 17 オピオイド依存症の患者における手術後の痛みのマネジメント
 18 鎮痛薬と自動車の運転適性
 19 持続皮下注入法
 20 脊髄鎮痛法
 21 嚥下困難な患者への薬の投与・経腸栄養チューブによる薬の投与
 22 ネブライザーによる薬の投与
 23 緩和ケアにおけるQT間隔の延長
 24 薬物反応性の変動
 25 薬による運動障害
 26 アナフィラキシー
 27 かゆみの治療薬
 28 経口栄養サプリメント

索引

* 専門家のみ使用する薬剤)

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安全で最適な方法で緩和ケアの薬を使うための必携書
書評者: 本家 好文 (広島県緩和ケア支援センター・センター長)
 本書は“Palliative Care Formulary 5th Edition(PCF5)”の日本語版である。日本語版は初版が2013年3月に『トワイクロス先生のがん緩和ケア処方薬』として発刊され,4年余り経過した2017年6月に第2版が発刊された。第2版ではタイトルを『がん緩和ケア処方薬』から『緩和ケア処方薬』に変更している。緩和ケアががんに限らず「非がん」にも広がりを見せる時代の流れに添ったものであり,改訂版ではCOPDやうっ血性心不全などに関する内容も盛り込まれている。

 初版と比較して総ページ数が928ページと約25%増えている。第I編「薬剤情報」では,緩和ケア領域で問題となることが多い項目には,「早わかり処方ガイド」というコラムで解説を加えて理解しやすいように工夫されている。

 また第II編「基本知識」では80%近くページ数が増やされ,「死が差し迫った病期の薬物療法」「嚥下困難な患者への薬の投与」「薬物反応性の変動」「かゆみの治療薬」「経口栄養サプリメント」といった緩和ケアに関連の深い項目が新たに追加されて,より充実した内容となっている。

 筆頭編者であるRobert Twycross先生が在籍していたOxford Sir Michael Sobell Houseは,WHO指定研究協力センターとして世界各国の医師や看護師が緩和ケアを学ぶ機会を提供してきた。20年ほど前にInternational School for Cancer Care, Course on Palliative Cancer Careに参加して,Twycross先生から直接指導を受け,その人間愛と科学的根拠に基づいた実践の重要性に触れたことは,今でも貴重な財産である。その研修で最初に手渡された書籍が“Symptom Management in Advanced Cancer”と“British National Formulary(BNF)”の2冊だった。

 “Symptom Management in Advanced Cancer”は,既に邦題『トワイクロス先生のがん患者の症状マネジメント』として,2003年11月に第1版,2010年9月には第2版が発行されている。症状マネジメントに必要な知識だけでなく,緩和ケアに従事する医療者としての「態度」や「心構え」についても記載されているバイブル的な書籍である。そこにみられる患者・家族に配慮した実践は,今版の『緩和ケア処方薬』にも反映されている。

 また当時第31版であったBNFは,その後も年に2~3回更新され続け,現在は第69版が発行されている。『緩和ケア処方薬』はBNFの中から緩和ケアに関連の深い薬剤や薬理学に関する幅広い情報で構成されている。そうした信頼できる情報に基づいて実践するための指針が本書には示されており,安全で最適な方法で薬剤を使う手助けとなっている。

 Twycross先生の『がん患者の症状マネジメント』と,この『緩和ケア処方薬』の2冊は姉妹書であり,これらをそれぞれ臨床の現場で,いつでも手に取って確認できるようにしておくと,良質な緩和ケアを提供するために有用である。
豊富な薬剤情報,臨床応用性の高い知識
書評者: 木平 健治 (日本病院薬剤師会・会長)
 WHO(世界保健機構)は2002年,「緩和ケアとは,生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して,痛みやその他の身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題を早期に発見し,的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって,苦しみを予防し,和らげることで,クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである」と定義しています(日本ホスピス緩和ケア協会による訳)。

 緩和ケアは,学際的なアプローチで患者とその家族のQOLを改善することですが,中でも肉体的・心理的苦痛の緩和には薬物療法が鍵ともなっており,医師・薬剤師を中心に提供・管理される薬物療法において,専門職として薬剤師の果たす役割は非常に大きいものがあります。

 本書は,WHOのがん疼痛治療法の作成責任者などを務めた世界的権威者であるロバート・トワイクロス博士らの編集による“Palliative Care Formulary 5th Edition”の訳書です。2013年に日本語の初版が刊行され,薬剤師はもちろん,医師,看護師にも好評であり,そのニーズにも後押しされ第2版として刊行されたものです。

 本書は,2部構成となっています。第Ⅰ編「薬剤情報」では鎮痛薬のみならず,患者のQOLに関与する症状への対応を考慮し,消化器症状,呼吸器症状など苦痛な症状を緩和するために必要な薬剤に関して,適応,禁忌,薬理作用,相互作用,副作用等々,医薬品の適正使用に必要な情報を含めて幅広く解説されています。また,第Ⅱ編「基本知識」では,緩和ケアに必須の知識・技能についてまとめてあり,臨床において極めて応用性の高い内容となっています。そしてこの内容と構成が,他に類を見ない本書の特色ともなっております。

 本書の書名は『緩和ケア処方薬』ですが,第Ⅰ編の内容の豊富さおよび第Ⅱ編の応用性の高さから,緩和ケアに携わる薬剤師はもちろんのこと,一般の薬剤師もぜひ手元においておかれることを推奨したい一冊です。
 〔初出:『月刊薬事』第59巻15号,p.127,2017〕
最先端の緩和ケアに関する処方薬集
書評者: 山本 信夫 (日本薬剤師会会長)
 本書は,緩和ケアに関する世界的泰斗であるトワイクロス博士の手によって編集され,わが国の緩和医療にかかわる医師・薬剤師などから,その完訳が待たれていた書籍の一つである。

 症状別に緩和医療処方薬の実際について,薬剤師には馴染みやすい薬効・薬理,相互作用や投与量などにかかわる記載がされている。また,緩和医療処方薬の知識ばかりでなく,まだわが国では馴染みの薄い緩和医療の発展形についても言及されている。
 加えて,緩和ケアを必要とする患者に対する薬物治療を効果的に進めていく過程で,薬剤師として知っておかなくてはならないさまざまな基礎的知識も記載されており,現場で緩和医療に携わる薬剤師が直面する悩みを的確に解決できる手掛かりが満載されている。医療機関・開局を問わず緩和ケアに取り組む薬剤師としては,ぜひとも手元に置いておきたい書籍である。
 その一方で,医薬品に関する基礎的な知識は言うまでもないが,取り扱う医薬品の添付文書などを熟読するなどして,薬剤師が十分な知識を事前に持って本書をひもとかないと,医薬品規制や文化的背景の相違と相まって,時として本書に込められた著者の緩和ケアに対する思いを正しく理解できないことも考えられ,読み手の力量が試される粋な仕掛けもされているといえる。

 わが国ではWHOの基準に照らすと,緩和医療の現場では医薬品の使用方法などが幾分遅れているのではとの指摘がされている。このような中で,最先端の緩和ケアに関する処方薬集の発刊は,日々現場で緩和医療に取り組む薬剤師のみならず,治療を受ける患者の立場からしても,大きな福音といえる。
〔初出:『薬局』第68巻13号,p.3787,2017〕

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