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ジェネラリストのための内科外来マニュアル

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一般内科外来は難しい。患者の訴え・症状が多彩である一方で時間は限られている。そこでは、重大な疾患は見逃さず、コモンな疾患には効率的な対応が求められる。本書は、そのような臨床的困難と格闘してきた、日本を代表する8人のジェネラリストによる「内科外来マニュアル」の決定版である。外来で遭遇しうるプロブレムのすべてにおいて、その場で判断するための基本原則とコツから、治療やコンサルト、フォローアップまでの指針を明快に示した。
シリーズ ジェネラリストのための
編集 金城 光代 / 金城 紀与史 / 岸田 直樹
発行 2013年02月判型:A5変頁:576
ISBN 978-4-260-01784-8
定価 5,720円 (本体5,200円+税)
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推薦のことば(ローレンス・ティアニー)/(金城光代)

推薦のことば
 『ジェネラリストのための内科外来マニュアル』の巻頭言を書くことは非常に喜ばしい.沖縄県立中部病院,札幌の手稲渓仁会病院でこの本の著者全員と数年来,一緒に仕事をしてきたことを私は栄誉に感じている.これら2つの優れた病院が日本の最北と最南に位置しているように,この本も外来でのトピックを端から端まで隈なく取り上げている.金城光代,金城紀与史,岸田直樹医師のリーダーシップの下で作られた本書は,医学のなかでも最も難しい分野である外来診療の重要な教科書となるであろう.
 ともすれば入院患者の診療のほうが難しいと考えがちである.ところが入院患者は常に見守られているという事実を忘れないでほしい.外来の場合には時間的制限があるだけでなく,正しい診断方法・治療法,そして患者を帰宅させても安全かどうか,といった臨床判断をすべての患者で下さなければならない,という難しさがある.
 本書はこの難問への回答を見事に提示している.著者らは外来診療のエキスパートであり,教育指導にも長けていることで知られている.読者である若手医師らは,胸痛・発熱・関節痛といったあらゆる症状についての診断的考察を得ることだろう.さらに脂質異常症・高血圧・糖尿病といった慢性疾患の継続診療について,実践的で理解しやすい内容で示されており,最後に忘れられがちなワクチンをはじめとする予防医療についても取り上げられている.このマニュアルは外来診療を行うすべての医療従事者にとって非常に有用なものとなるだろう.

 It is a great pleasure for me to write this brief preface to “A Manual of Outpatient Medicine for the Generalist.” It has been my privilege to work alongside nearly all of its chapter authors at both Okinawa Chubu Hospital and Sapporo Teine Keijinkai Hospital. Just as these two superb hospitals cover Japan from north to south, so too do the authors cover beautifully the common ambulatory complaints from top to bottom. Under the leadership of Drs. Mitsuyo Kinjo, Kiyoshi Kinjo, Naoki Kishida, this book will clearly take its place in an extremely important position in the works addressing that part of medical practice which are the most challenging.
 We tend to think of in-patients as being the most difficult to care for;but overlooked in this statement is the fact that such patients are under scrutiny around the clock. When physicians see out-patients, not only is the time limited, but also there are the difficult decisions to make in all of them concerning the correct diagnostic studies, treatments, and whether the patient is safe to go home.
 The authors succeed wonderfully in providing this. They are well-recognized around Japan for their expertise in practice and in teaching, and the younger generation who read this volume will profit from diagnostic considerations for symptoms like chest pain, fever, and joint discomfort, among many others. In addition, the ongoing care of such chronic conditions such as hyperlipidemia, hypertension and diabetes is presented in a practical and easy-to-understand fashion. Finally, commonly overlooked preventive measures including vaccinations are quite nicely discussed. This manual will be of exceptional utility for any provider seeing out-patients.

 2012年12月
 ローレンス・ティアニー
 Lawrence M. Tierney, Jr, MD
 Professor of Medicine
 University of California San Francisco


 総合内科外来は難しい.振り返れば,研修医3年目として初診外来に出て診療した時の緊張感を今でもよく覚えている.主訴を聞いて所見をとり,自分がどんなアセスメントを立てたのかを振り返る暇もなく,次の患者を呼び入れた.限られた時間のなかで行う自分の判断が正しいのかどうかが一番不安であった.
 その後,米国での内科研修に組み込まれた週1回の初診・継続外来では,ゆっくりと時間をかけて一例ごとに指導医にプレゼンを行い,正しい鑑別診断と臨床判断ができているかどうかをチェックされ,不十分な箇所をフィードバックしてもらうことが大変ありがたかった.しかし,日本の内科外来では米国のようにゆっくりと外来で患者を診る時間はない.帰国後,内科外来研修の指導医として,研修医と仕事をする機会に恵まれた.日本で長年仕事をしてきた優秀な同僚たちから,忙しい日本の内科外来でもこなせるような診療のコツを数多く教えていただいた.経験に裏打ちされた能率や知識の深さと理論が同時並行で組み合わさっていく臨床判断能力の高さに圧倒された.
 5年前に沖縄県立中部病院に異動したが,優れた臨床医を生み出してきたこの研修病院の臨床で感心したのは,病歴と身体診察から鑑別を絞って判断していく流れを皆が共有している点である.総合内科の外来診療はさまざまな主訴の患者を評価しなければならない.限られた時間で問診と身体診察を組み合わせ,必要な検査をその場で決定していく,難しい作業の連続である.外来では常に効率のよい診療が求められるが,一方,研修医には指導医と相談する時間がないことも少なくない.そんな研修医たちのために,外来診療の考え方を言語化したいと考え,企画したのが本書であり,その執筆は,第一線の臨床現場で研修医を指導している先生方にお願いした.総合内科外来を担う先生方の診療の一助となれば幸いである.
 本書は,外来で研鑽を積みはじめた後期研修医や地域の中核病院で頑張っておられる若手の医師を,主な読者対象として念頭に置き書かれたものであるが,内容的に総合内科外来に携わるすべての方のお役に立つことを願っている.「初診外来」編では,主訴ごとにどんな疾患を考えるのか,鑑別診断の羅列ではなく,緊急性や重症度を意識しながら思考過程が見えるように記載した.外来を行いながら目の前のケースの鑑別疾患についてゆっくりと本を読む時間はない.その場でどんな鑑別疾患を考え,症状や身体診察からどんな検査を行うのかを出来るだけ時間をかけずに確認できるよう,各項目ごとに見開きの一覧表(「ジェネラリストのための外来戦略リスト」)を設けた.疾患ごとの理解を深めるため,本文中には各執筆者によるクリニカル・パールや診療で使えるような情報を,エビデンスのみに固執せず書いていただいた.「継続外来/健診異常への対応」編では,外来でよくある疾患や健診異常で受診した場合に押さえておくべき事項を網羅した.専門医を必要とする疾患については,専門書をご高覧いただきたい.
 本書は5年前に執筆を開始した.いろいろな理由で出版の断念すら考えた企画であるが,医学書院の滝沢英行氏に多大なるお力添えをいただいたお陰で,内容を大幅に見直し,刷新したうえで,このたびの完成につなげることができた.心より御礼申し上げたい.そして,出版のきっかけをつくってくださった岡田正人先生,執筆開始時から適切なアドバイスでお世話になっている田中和豊先生に深甚なる謝意を表したい.

 2013年1月
 執筆者を代表して 金城光代

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イントロダクション
 1 ジェネラリストのための診断アプローチ
 2 ジェネラリストのための外来診療のコツ
 3 ジェネラリストのための抗菌薬の使い方

初診外来
■ 全身症状
 1 「風邪」様症状
 2 熱
 3 寝汗・ほてり
 4 全身倦怠感
 5 体重減少
■ 痛み
 6 頭痛
 7 胸痛
 8 腹痛
 9 腰痛
 10 関節痛・関節炎
■ 神経系
 11 めまい
 12 意識消失
 13 しびれ
■ その他のよくある訴え
 14 不眠
 15 浮腫
 16 頸部のしこり
 17 咳(慢性)
 18 呼吸困難
 19 動悸
 20 下痢・便秘
 21 発疹
 22 認知症
 23 高齢者の様子がおかしい
 24 妊婦・授乳婦への薬剤投与

継続外来/健診異常への対応
 1 高血圧
 2 糖尿病
 3 脂質異常症
 4 肝機能異常
 5 貧血
 6 甲状腺腫大・結節(機能異常含む)
 7 高尿酸血症
 8 尿蛋白陽性
 9 尿潜血陽性(血尿)
 10 慢性腎臓病/電解質・酸塩基平衡異常
 11 便潜血陽性
 12 胸部異常陰影(特に孤立性肺結節影)
 13 心電図異常
 14 心房細動
 15 喘息/COPD(慢性閉塞性肺疾患)
 16 骨粗鬆症
 17 各種スクリーニング
 18 ワクチン・予防(成人)
 19 妊婦と内科疾患

付録
 1 システムレビュー(review of systems:ROS)
 2 鎮痛薬の使い方
 3 ステロイド用量換算表
 4 凝固能検査異常の鑑別
 5 無菌性髄膜炎の鑑別疾患
 6 発疹の分類
 7 Geriatric Depression Scale(GDS)簡易版
 8 高齢者総合評価

索引


Physician’s Memo
 伝染性単核球症
 漢方処方で,不定愁訴にも強くなれる!
 高齢者の発熱+頸部痛にCrowned dens syndrome
 リウマチ性多発筋痛症と側頭動脈炎
 嚥下困難の鑑別
 帯下の異常
 線維筋痛症
 Wallenberg症候群
 禁煙
 夜間腓腹筋痙攣
 非喘息性好酸球性気管支炎(nonasthmatic eosinophilic bronchitis)
 Mikulicz病
 診断がなかなかつかない時
 HbA1cと血糖の関係
 Drug seeking behavior and pain management
 ドメスティックバイオレンス(DV)と高齢者虐待
 臨床における倫理的な問題の考え方
 医療連携
 喘息 vs COPD
 肺機能検査のみかた
 ステロイドと骨粗鬆症
 ワクチン同時接種への対応

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頭の訓練,整理にもってこいの1冊
書評者: 松村 理司 (洛和会ヘルスケアシステム総長)
 2004年に始まった新医師臨床研修制度(以下,新制度と省略)の第1期生が,医学部卒後10年目を迎えている。新制度の3大眼目のうち最重要かと思えるものが,プライマリ・ケアの重視である。卒後初期にこそ,基本的臨床能力をどっしりと構築しておかねばならないという配慮である。そのために多くの地域中核病院や中小病院が,新たに臨床研修指定病院となり,一般病棟や救急現場を研修の場に提供している。

 一方,外来診療の修練の時期・場所・方法・効率について考えてみると,これがなかなかに難問であることがわかる。内科外来と限定してみてもである。プライマリ・ケアの重視と銘打った新制度の到達目標でもない。後期研修以降の課題なのだ。“大リーガー医”のローレンス・ティアニー先生が,本書の「推薦のことば」で,「医学のなかでも最も難しい分野である外来診療」と形容するくらいである。若手医師が担当する場合でも,一人前の顔付きでの即決即断が外来診療の基本だからである。

 本書の特質の第1は,3つの中~大規模病院で働く8人の中堅ジェネラリストだけの手によることだ。576頁もあるだけに1人当たりの執筆の負担はかなり大きいはずだが,この種の少数精鋭主義は心地よい。第2として,米国臨床医学に精通した方々ばかりなのに,訳本ではなく,自前の症候学というのも心憎い。種々の症候へのアプローチの仕方にも教わるところが多い。白衣のポケットに入れて診療の隙間に垣間見るという風にはいかないが,逆に少しは時間の余裕があるときの頭の訓練や整理にはもってこいである。第3として,「初診外来」「継続外来」ともに,その選択項目の幅と議論の深さは,必要十分かと考えられる。第4に,ほぼすべての項目において疾患頻度が5段階で区分けされていることである。エビデンスが示されていないので,主として執筆者の経験に基づくものだろうが,思い切った試みである。「よくある疾患」における頻度と「見逃したくない疾患」における頻度の基準は異なると思われるし,疾患頻度自体が各人の診療の場の影響を受けるわけだが,大概の地域中核病院での外来診療にとっては大いなる参考値となるだろう。

 本書は,内科外来を開始する後期研修医だけでなく,内科外来にかかわるジェネラリスト,さらに専門医にとっても資するところが大きい。値段はやや張るが,中味が実に濃いからだ。
一般外来で必要な知識を簡潔にまとめた良書
書評者: 松村 真司 (松村医院院長)
 一説によると,医師としての人生で,患者との出会いの95%は外来において行われるとのことである。その割には,卒前・卒後教育における外来診療の位置付けは大きくはない。外来教育といえば多くの場合救急外来での教育を指し,一般外来での教育は始まったばかりである。現在でも,一般外来を担当する医師たちは,手さぐりで学んでいくことが多いのであろう。本書はそのような医師を対象に書かれた,優れた内科外来マニュアルである。

 外来診療に熟達するために会得すべきもの,それは急性疾患の診断アプローチに始まり,慢性疾患のマネジメント,予防とスクリーニング・健康増進,そして複雑な問題を時間内で適切な解決に導く交渉技術に至るまで,カバーすべき分野は広大である。とりわけ,総合内科外来においては,これらの基本知識と,適切な戦略スキルを,ありふれた健康問題全般にわたって身につけることが求められるのであるが,これは簡単なように見えて難しい。特にジェネラリストは,これらの問題に対し,いかに幅広く,いかに深く,そしていかに最新の知識で対処し続けられるかが,その診療の質を決めるものになるのである。

 本書では,このように広大な領域について簡潔に記載するという試みが行われている。冒頭にジェネラリストのための診断アプローチ,外来診療のコツが記載され,一般外来で出合う健康問題全般への対応法が記載されている。そしてその後,特に問題となることの多い,外来における抗菌薬の使い方が記され,引き続き初診・継続外来でよく出合う健康問題のマネジメント方法が項目ごとにまとめられている。各項目は多くて10ページ前後であり,外来の傍ら,短時間で目を通すにはちょうどよいボリュームである。また成人のワクチン,妊婦と内科疾患など,外来でしばしば頭を悩ませる問題も取り上げられている。随所に挿入されたPhysician’s memoも臨床で役立つものである。外来を担当し始めた初学者のみならず,どのような立場の医師でも,本書を活用することで,明日からの外来診療の幅は広がり,その深みは増すことであろう。

 時間の制約の中,極めて幅広い問題を扱う一般外来において,常に適切な診療を続けるのは困難である。本書を活用しながら,医師としての残りの人生のほとんどを占める外来での患者との出会いを,より深く,より意義深いものにしていくことができればと,私も願っている。
内科系外来に従事する全ての医師に薦めたい
書評者: 徳田 安春 (筑波大教授/同大附属水戸地域医療教育センター・水戸協同病院総合診療科)
 最近,ジェネラリスト医師が増えてきている。スペシャリストからジェネラリストへ転向する医師,スペシャリティーを持ちながらジェネラリストとしてのスキルを身につけている医師,ジェネラリスト志向の研修医や医学生など,その人口が爆発的に増えてきている。新規開業の診療所では「総合内科」の看板で開業すると患者に人気が高くなる。病院内でも「総合内科」はもはや尊敬語となっている。

 このような中,ジェネラリスト向けの書籍が最近とても人気が出てきている。救急や入院場面でよく遭遇する問題に焦点を当てた書籍が多い中,ついに総合内科の外来現場に大変役に立つ実践的マニュアルが出てきた。本書がそれである。著者は手稲渓仁会病院と沖縄県立中部病院の総合内科スタッフ陣であり,総合内科業界では東と西の大関クラスの病院である。手稲渓仁会病院総合内科のメンバーももともと中部病院の総合内科出身が主体となって発足しているので,兄弟大関と呼んでよい。編著者の金城光代氏,金城紀与史氏と岸田直樹氏はもともと手稲渓仁会病院での子弟関係にある。著者メンバーの芹沢良幹氏と西垂水和隆氏も中部病院研修出身であるが,手稲渓仁会病院で両金城氏と同僚であり岸田氏の指導医であった。完成度の高い総合内科医グループが書いた信頼性の高いマニュアルである。

 各章冒頭の疾患別戦略リストは,多忙な外来現場に即応でき便利である。内容もアルゴリズムや表が多用されており,理解しやすく記憶しやすい。コラム的に挿入されたPhysician’s Memoはクリニカルパールが満載である。クリニカルパールの神様であるローレンス・ティアニー氏が推薦のことばで内科外来スキル習得の重要性について深く語っている。総合内科外来スキルの完成度を高めるため,内科系外来に従事する全ての医師が本書を読まれるよう推薦する次第である。
「なぜそう考えたらよいか」が理解できるようになる一冊
書評者: 野口 善令 (名古屋第二赤十字病院総合内科部長)
 序文の冒頭に「総合内科外来は難しい」とある。同感である。患者が持ち込む訴え,悩みを切り分けて診断しなければならない。特に見逃すとアウトカムが悪くなる重大な疾患を見逃して患者の余命を縮めるようなことがあってはならないし,医学的に解決できることは解決しなければならない。

 自分の経歴を思い起こすと正式に外来教育を受けることもなく,何となく見よう見まねで自己流の外来診療をやっていて,そのうちに個別の疾患についていくら勉強しても,患者の訴えを解決できないという壁に突き当たった。当時は,症候から鑑別診断を考え体系的にアプローチするという発想がなかったから当然であろう。

 さて本書は,日本でもようやく出来上がった外来に特化した診断の「言語化の形」である。救急,一般外来と診療の場が変われば診断をつけるための最適な戦略も変わるのだという認識の下に,イントロダクションの「ジェネラリストのための診断アプローチ」には,一般外来での診断推論の考え方の手順が,見事に「見える化」されている。また,初診外来の項目には,いかにも一般内科外来でありそうなあいまいな言葉から出発して,鑑別診断は何を想起したらよいか,いかに手掛かりを引き出して診断を絞っていくかが冗長になることなく記述されている。

 序文には,5年前に執筆を開始して途中で挫折しそうになりながらようやく上梓にこぎつけたという事情も述べられているが,「緊急性や重症度を意識しながら鑑別診断を詰めていく思考過程を見えるように」言語化するのは本当に大変なことだったろうと推察する。

 本書が読者に提供するのは,まさにジェネラリストとしてのコアとなる診断推論の能力である。この力がなければ,上記の壁を超えられないし,ジェネラリストとしてのアイデンティティをもつことも他科の専門医からリスペクトされることも難しいだろう。

 もちろん,外来診療にはあいまいさがつきもので,診断できない訴え,医学的に解決できない悩み事はどこまでいってもなくなるわけではない。本書が受け持つのは,あいまいさをできるだけ減らす方法論の部分である。不定愁訴への対応や,社会的リソースをうまく使って医学的な手段以外で患者のアウトカムをよくする方法については,MUS : Medically Unexplained Symptomsや医療連携の項目で紹介されている。さらに,患者とともにあいまいさに耐えるためのコミュニケーションの技法もジェネラリストには必要だが,これらの詳細は他書に譲ろう。

 一般外来の座右において常に参照しながら診療を行うと「なぜそう考えたらよいか?」がしみ込んでくるように理解できるようになる一冊であると思う。

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