生涯人間発達論
人間への深い理解と愛情を育むために

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「人生の各々の時期に遭遇する発達危機を乗り越え、人格的活力を獲得していくことで、人間は生きている限り豊かに発達し、成熟していくものである」と主張する著者。『エリクソンの発達の8段階』を現代にマッチさせ10段階とし、充実・発展した内容となっている。こどもの健やかな成長、青年、成人、高齢になってからの実りある生を論じる。
服部 祥子
発行 2000年03月判型:B5頁:168
ISBN 978-4-260-33063-3
定価 1,980円 (本体1,800円+税)
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やっと見つけた! 新教科に合致する本
書評者: 南 和子 (横浜市医師会看護専門学校・教務主任)
 カリキュラム改正時の基礎科目の構成において,その考え方の1つに指定されたのが「人間と人間生活の理解」であった。

 従来,本校では看護の対象である人間を理解するための基礎科目として,心理学や社会学,生活科学といった教科を設置していた。しかしカリキュラム改正時,この考え方を受けて,人間の発達やそれに伴う行動の変容,また発達に伴って生じる問題行動や病理について複合的に学ばせたいと考え,「発達心理と人間の行動」という教科を設置した。

 当時,教員間の教科への期待は膨れ上がったが,目的に合致するテキストが見つけられず,従来から参考図書として使用していた臨床心理系の図書を引き続き採用していた。

◆きっかけは教育研修会の著者講演

 年月の経つうちにテキストに関する課題はそのままとなり,日々の教育活動の中では学生への対応についての問題も浮上していた。

 時代の趨勢か,少しずつ学生気質も変化し,「学生をどのように理解していけばよいか,どのように関わっていけばよいか」ということが教師間の課題となっているおりだった。「学生の理解」に焦点を当てた医学書院主催の研修会(看護教員「実力」養成講座)の案内があった。学生指導に何かよい考えが得られるだろうとこの研修会に参加したのが,著者である服部先生のお話を伺う機会となり,本書を知るきっかけとなったのである。

 さっそく教科の担当講師に本書を紹介し検討してもらったところ,教科のねらいともほぼ合致し,テキストとして用いることになったのである。

◆実習前に患者を知るのにも使える

 本書は,著者も述べているように,エリクソンの発達理論を基盤としながら,著者自身の精神科医としての長い臨床経験からの知見が加えられ,0歳の乳児期から65歳以上の成人後期(老年期)までの発達理論が解説さている。さらにその時期に出現しやすい問題事例が紹介され,精神科医としての著者のアプローチや解説が述べられている。

 実際の学習活動では,どの領域の臨地実習でも受け持つ患者の発達段階を事前に学習するが,学生は本書を手がかりとして学習している。

 看護はどんな場であっても,生活している人々との人間関係を機軸として実践される。看護するものの年代や体験しえた生活経験に関わらず,目の前の対象者に限りなく近づきよりよい変化を目指し関わっていく必要がある。

 看護学生が普遍的な人間発達理論とその時期のさまざまな変化や,現在社会に生きる人間に生活行動上起こりうる問題を理解,対応の基礎を学んでいくことは自身の成長に役立つとともに,将来看護活動をしていく上で必須の能力である。本書はそのひとつの指針となろう。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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